天を翔ける、されどその翼は黒く   作:紅小豆

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あーどうもどうも、皆さんに顔を見せるのも何年ぶりかな?(笑)

僕ですよ、旧多二福です。そうそう!あの時准特等にコテンパンにされちゃった外道です。

結局あの後地獄に送り込まれちゃいまして、その間色んな試練に耐え抜いてやっと全部乗り越えたところなんですよねぇ。

ちなみにキッショーさんはたった一年で全部の試練終えたって知ってます?やっぱやべぇわ、あの人(笑)

そんなこんなで今神様に呼ばれて目の前で正座してます。見た感じ結構低身長で笑えますね。おおっと危ない危ない(笑)バチが当たっちゃう。今から何言われるんですかねぇ、あぁ怖いなぁ。

「アンタ、地獄の試練は全て終わったんだな?」

 

「ええ、バッチリ終わりましたよ」

 

「そうかそうか、じゃあ今から転生してもらおうか」

へ?もう転生ですか?てっきり300年くらいここに縛られると思ってました。

 

「え?もうですか?緩くないですかここ?」

 

「当然だ。これが俺のやり方だから」

 

「ククッ、言わせてもらいますけどあなたって本当に神様失格ですよ」

 

「よく言われるな、まぁ安心しろ、今度ばかりは”普通に生きさせてやる”」

はぁ、覚えてらっしゃるんですねぇ、まぁ神様だから当然か……こっち側に来てから良かったことなんて一つもありませんでしたが、そのことについてだけは感謝してますよ。

「ほら、この扉をくぐったら次の人生が始まる。せいぜい楽しむんだな」

はいはい、今度ばかりは”普通に生きさせて貰います”。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、旧多二福、人生2周目スタートいたしましたぁッッッッッ!!!!

いやぁ幼少期は本当に良い環境で過ごせましたよ。何より家族に恵まれましたねぇ、一人っ子で忌々しい兄弟もいないですし、お父さんはあのクソジジイとは違っていい人ですし。

学校に関しても概ね良かったですね、良いクラスメイトに恵まれましたよ。まぁクラスに数名死んで欲しいクズはいましたが、全員途中で転校していっちゃいましたね、チョー笑えます(笑)

それより聞いてくださいよ、この世界、人間の他になんかすごい種族がいるんですよ。ウマ娘って呼ばれててですねぇ……頭にウマの耳が付いてて、普通の人間とは比べ物にならないくらい足が速いんですよ!見た感じキッショーさんの2~3倍くらいの速さです。しかもその子達でレースもしたりするんですよ!

いやぁ、あれは凄かった初めて生でレースを見た時、珍しく熱中してしまいましたよ。これがきっかけでウマ娘に興味湧いてきたんですよ。いやー、この僕の興味をここまで引く存在が現れたとはッ!我ながらビックリです(笑)

そういうわけで大学に進学してからはウマ娘を指導し育成していく仕事、”トレーナー”になるための勉強を始めたんです。今考えたらこんなことやってるなんてなんか僕らしくないですよね(笑)

まぁ見事在学途中でなんとなんとか合格できちゃいましたよ。それで卒業と同時にトレセン学園からスカウトの手紙が届いちゃいました。そういうわけで、僕のトレーナー人生がスタートしたわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

学園に入ってすぐは、先輩トレーナーさんのトレーニングを見学したりとか、ここにいる色んなウマ娘の資料を見たりとかしてました。あと先輩には色んな方がいらっしゃいますね、キジマさんみたいな方はさすがにいませんでしたが……。

トレーニングを見た感じ結構トレーナーにも負担がかかりそうですねぇ。僕力仕事苦手なんだよなぁ……まぁ前職に比べればこれくらいラクなもんですよ。あんな仕事、もうコリゴリですから。

 

あっ、それと生徒会長さんにお会いしてきましたよ!なんというか、独特なギャグセンスをお持ちのようで、すごい面白い方でしたよ(笑)

「おい旧多、そろそろ時間だ、行くぞ」

 

「あ、はい、わかりましたぁ……」

 

 

 

というわけで、今から模擬レースを見に行って来ますね。

 

 

 

 

 

 

 

今日は学園の模擬レースの日、選抜レースも近いからでしょうか、観客席にいる私にも緊張感が伝わってきますわ。

ちょうどその時観客席に入ってくる二人の人影が視界の端に映りました。1人は何人ものウマ娘を育ててきたベテラントレーナー。トレセン学園最強と言われているようなチームを率いている方で、彼の指導を受けたいと思う方も多いですわ。もう1人は確か、最近入ってきた新人トレーナーですわ。なにか話をしているようですね……。

 

「それで、お前は今回のレース、どうなると思う?」

「えぇ……まだ新人の僕なんかじゃそんなの分からないですよ……」

「まあまあ、外れてもいいから考えてみな。レース展開を見て作戦を変えることだってあるんだ。だからさ、最初は練習だと思って」

「は、はぁ……」

「ちなみに俺の予想では”セイウンスカイが序盤から飛ばして逃げ切る”かな?アイツの逃げは天才的だからな」

「僕も……中盤までは先輩と同意見です。データを見た感じだと、最大で4バ身は引き離すでしょう。ですが、おそらく4コーナーに入る辺りから後方集団にいるスペシャルウィークさんがスパートをかけて加速、ゴール手前230mで追い抜くと思います……」

「なるほど……面白い予想だな」

「あのー……感心してくださってるところ申し訳ないんですが……僕、あんまり自信がないというか……」

「大丈夫だって!たとえ間違ったとしてもそれは経験になる。そういう間違いからいろいろ学んでいくんだよ」

 

 

ベテラントレーナーさんが新人さんの肩をバシバシ叩いております。あまり自信がなさそうな顔をしているのがなんとも新人らしいですわね。確かにセイウンスカイさんの逃げは素晴らしいです。今回もスカイさんが大逃げで勝つはずですわ。

 

 

全員のゲートイン完了後、合図と共に全力で駆け出していく。やはり前に出たのはスカイさん。後ろとの差がどんどん広がっていく。奥の直線に入ったときにはもう4バ身差、これならいつも通り逃げ切れるはずです。位置関係はかわらないまま第3コーナーへ、その瞬間に後方の集団が1つにまとまりました。スペシャルウィークさんは……まだ仕掛けてきませんわね。先頭と後方の集団の差はまだ空いております。そのまま第4コーナーへ……スペシャルウィークさんが集団から抜け出しましたわ。ですがこの差を縮めるのは……いいえ、すごい勢いで差が縮んでいきます!4バ身あったはずの差は2バ身程に縮まって直線へ、完全に前を捉えておりますわ。差がどんどん縮んでいきます。そして残り200mの手前辺りでしょうか、2人の姿が重なって……

 

 

 

 

 

 

 

「すごかったよね~」

「うんうんっ!あそこから追い抜くなんて思わなかった!」

 

 

レースが終わった後しばらく経ち、周りの方々も帰ろうとしているのを見て、私も帰ろうと席を立った時、ふと先程の二人のトレーナーさんの会話が耳に入ってきました。

 

 

「クッ……ハハハハハッ!まさかドンピシャで当てやがるとはな!いやー参った参った!今回は俺の負けだ!お前、なかなか良い目を持ってるぞ」

「い、いえ……今回のはただのまぐれですよ」

「そうだとしても、だ。お前の直感は今後かなり役立つぞ。さあ、そろそろ戻るぞ」

「あっ!待ってくださいよ~」

 

 

あの方……とんでもない観察眼ですわね。少し気弱なのが残念な所ですけれど。さて、私もそろそろ帰らなければ……

 

明日の選抜レース、必ず勝ってみせますわ。

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