「キョウカがチームkeyに入隊し、さらに赤いリボンの少女サキが加入。」
そしてライトは私と同じ部屋で暮らすことになって‥初夜で羽のことがバレちゃって。
「さてさてどうなるのかな?」
さっそく見てみよ〜!
4月29日 燈ヶ浜の外れで‥
「必要以上に拘束しないんじゃ無かったんですか?」
「訓練は必要な時間だ」私は休日の午前中に呼び出されて基礎訓練からスタート‥役職的に体力作りはいらない気もするんだけど……一通りやって今はと言うと‥
「にしたって‥優さん、もうちょっと容赦してくれたって‥」
「って言って相手が聞いてくれる保証ないからな‥これでも手加減してるんだぞ」
YURIさん‥もとい優さんとの模擬戦であるが‥全く勝てない。
「天音、さっさと退きなさい」
今度は空音の番だが……結果は敗北である。
「結局空音もダメなんじゃん」「うるさいですよ……」
近づいて何かしらを当てさえすれば勝ちなのに‥なんでこんなにうまく行かないんだ‥
「次は誰だ?」「私が行きますっ!」
深海咲か……昨日司令が言ってたことが気になるけど‥
「お前は手加減なしでいいんだな」「はい! ‥ですけど──今回はこっちで」
「木刀? ‥珍しいな」「アークに頼れない今、やっぱりこっちに慣れなきゃって‥」
「なるほどな‥じゃあ、初めっ!」
優さんは薙刀を構えて迎え撃つ、深海さんは刀を構えず、なぜか部屋の外周を走り出した。
「何が狙いなの?」「さあ?」
動き回る彼女と動かない優さん‥一切読めない‥先に仕掛けたのは。
「はぁぁ!」「だと思った!」
彼女の方だ‥頭上を取り、宙返りと共に振り下ろすが初めて優さんの刃が舞い、柄と刃が交わり、快い打撃音が部屋に響く。彼女が足をつくと優さんはまた構えて待ち受け、射程に入ったところで禁じ手、突きを仕掛けるが、その上に乗り彼女の背後へ飛び、優さんが振り向きざまに切ると彼女も刃で受けて払い、構え直して、もう一度……まるで全て打ち合わせされた演舞の様な一戦だったが‥制したのは優さんだ。
「慣れてない割には動けてないか?」「でも、実際シャイニーの事、活かしてあげれなくて」「お前のそう言う所は評価するが、落ち着けば別にマシに動けるだろ」
優さんが悔しがる深海さんの手を取り、立ち上がらせると、今度は……
「じゃあ審判は俺がやる、マーシャルはいけるな? ‥澪、咲、お前らで一本やれ」
それからも、この日は午前中みっちり射撃、追跡、スニーキングにチェイスタグなどの訓練を受けたんだけど、優さんは愚か、深海さんにも勝てない……
けど澪は喰らい付いてほぼ互角のスコアを出している。
「なかなかやりますね」「当然です」
「じゃ、この辺で解散するか‥澪は待機、あとは各々で考えろ」
「「了解」」「ーあっ了解」
このレスポンスは早めなきゃなぁ‥
そしてこの日は日中に深海さんと会ったんだけど、この話は長いから、別でお話しするね
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翌朝
「ふぁぁあー、今日だけ行って、明日が休み‥だったらどっかの振り休ズラしてくれればいいのにぃ……」
「もー、一日だけなんだから、シャキッとしなさいな」
昨日の祝日は終わり、重い身体を引きずられるように登校し、下駄箱でちょっと弱音を吐く‥ホントに休みだったらなぁ‥おまけに今日英語ないし。
「あーダルい‥」「思っても言わないの」
昇降口で上履きに履きかえて、少し前に進むと、誰かにぶつかった。
「でも言わずに止めるのもっ? ‥アタタタ‥危ないなぁ‥誰!? って空音‥」「ちょっと時間いいかしら?」
呼び出しか‥多分何かの共有事項なんだろうけど。
そこから少しだけして、屋上にて。
「
「だとしてもそこは危ないわよ?」「え〜、ここが一番いいのに〜」
私はふて腐れながら階段の屋根から降りた。
「よっと……で、空音? なんで二人きりになりたかったの?」
「ええ、本題だけど天音、あの子の事どう思う?」
「あの子って‥どの子さぁ?」
「どのって……深海咲よ」
「深海さん? ……昨日見た感じは‥すごいなぁ‥強いなぁ‥ってくらいかな」
「そう言う事じゃない」「じゃあどう言うこと?」
「あの子、魔法使いだなんだ言ってたけど、まるでただの武道家じゃない……」
言われてみれば、そんな事を言ってた気がする。
「確かにそこは疑わしいけど、でも‥確かに空音より戦えてたのは事実だよね」
「だとしても司令や、獅童さんは何を考えてるの……あんな子‥」
空音は少々、いや随分と機嫌が悪い様だ‥あの子のことそこまで気に入らない?
「でも、きっと深海さん‥悪い人ではないことだけはハッキリしてるから‥魔法使いってのが嘘だとしても、私はあの人のこと信用するよ‥昨日ご飯たべながら話した感じではね」
「ああ、そう……」
空音は若干呆れ気味なのか、ため息を吐いて手すりに身体を預ける‥そう言えば、空音ってずっと────
「あのさぁ‥人と話す時くらいイヤホン取ったら?」「別にいいじゃない‥」「いや、ずっとイヤホンしてさ、ホントに聞いてる? って言いたくなるけど‥てか何聞いてるの?」「なんだっていいでしょ」「よくないって! ねぇ!」「なんでもいいでしょ」「気になるじゃん〜♪」「いいから気にしないで!」
この時、彼女のイヤホンは一切の振動なくなんの音も流していない事に私は気がついていない、故に彼女が外では耳に栓をしている理由に気が付けなかった。
そして、私の発言が気に障ったせいか、空音は屋上からどこかへ行ってしまった。
そこから2コマ授業を受けたあとだっただろうか?
『次の時間は、予定を変更して全校集会になります……』
「不審者ぁ? ‥こんな日に」「とことん最近色々起こるね」と愛緒と談笑しながら整列しに行くと‥校舎東側から破裂音‥いや鈍器で壁を壊す音に近いけど、それにしては音量がデカすぎる。そんなおとはしてから火災警報が鳴った。
「早くない? ‥てか出火?」「‥今職員室から連絡がありましたが、火災のケースですが、一応体育館へ避難になりました」
廊下に出て、移動する最中に、隣の列の誰かが私を気づかれないように上手く引き抜いた。
「‥誰? 、って空音?」
私を引き抜いたのは空音だ‥そのまま私の口に人差し指を当てて、「小声で話せ」とジェスチャーしている。
「天音‥変だと思わない? 不審者と火災が同時だなんて‥」「いや、建造物破壊目的ならあり得るんじゃないの?」「授業中の学校にそう言う人が堂々と入ると思う? だいたい夜よ」
「じゃあ‥」「あの黒い船の連中じゃない? ‥」
「まっさかぁ〜そんなわけないじゃん、早く逃げよ?」「その必要はないわよ、教員はグルだから‥ッ! 虫!?」「空音‥ビビってどうするの? ‥ってデカくない? って!」
空音はすぐさま巨大な蜘蛛を撃ち殺した。
「……」「非常時だし、問題はないわ‥あなたも早く装備しなさい、出動よ」
「いや、教室に置いてきたんだけど?」「‥あなた‥自覚ないの‥」
空音が説教を始めようとすると、髪を常に擦り合わせるような音と共に蜘蛛の大群が校舎内の制圧を開始していた。
「どうする、空音?」「一旦あなたの教室に避難よ!」
私は猛ダッシュで教室に入り、ドアで蜘蛛の大群を足止めして、鞄の中から銃を探した。
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・
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同刻、体育館
「あの‥先生! キョウカが‥聞いてますか?」
「2年B組全員の点呼、取れました」
空音が言った通り、先生たちはグルらしく、私たちが居ないまま点呼を済ませた。
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「よし、わかった‥調査を続けろ‥応援は送る」
「さてと‥場所が場所だからなぁ‥」「やな予感はしてたんですよね‥大当たりだ」
通信を受けたkeyの基地内に現れたのは、別行動中の咲ちゃんだった。
「お前の方の仕事はいいのか?」
「ええ、むしろ今は捜査よりこっち優先ですから‥と言ったものの学校かぁ……召喚獣じゃ目立つし‥校門の正面突破もなんかなぁ……」
「いつもみたいにワイヤーじゃダメなのか?」
咲ちゃんは少し渋い顔をした‥
「アークはまだ、使えなくて……」「なに? ‥」海堂司令が彼女の首に下がった勾玉を睨むように観て言った。
「何故それを早く言わない」「すみません、真也さんの手を煩わせたくなくて‥」
「お前なりの気遣いか、だが、その必要はない、俺も腕を鈍らせたくないからな」
「‥相棒をお願いします」「ああ」
海堂司令の手に、彼女の紫の勾玉が渡った‥そして────────
「二輪免許は持ってたよな?」「そんなの13の時から持ってますよ……」
「なら、あの二人を助けに行ってやれ」「了解」
────-咲ちゃんはビシッと敬礼して、からこちらに向かった」
・
・
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「‥全く、外しすぎよ」「これでも‥精一杯なの!」
私と空音は、中の蜘蛛を駆除しつつ、誰か怪しい人物が居ないか探すけど‥数が多すぎてキリがない。
「てか侵入したにしては数多いし、デカイしコイツら‥なんなの」「この量を一気に、一晩で‥ッ来る!」
空音は抜群の反射神経で振り向き打ちし、また1匹命を奪うが……キリがなくすぐに囲まれる。
「ひいいっ!」「グズグズしないの!」
空音はすぐに道を開けて一直線に突っ切る。
「待って、空音!」
「悪いわね‥戦場ではいちいち仲間に構ってられないものなのよ‥置いてかれて死んでも、どうか恨まないことね」
空音がどんどん先に行く……あれが、戦士の感覚なのか? ‥置いてかれて、包囲されて、行く手はない……一か八か、当たれぇっ!
物騒な音が響くけど、1匹として怯まない。
「そんなっ! この! このっ! ……」
全ての弾は明後日の方向に飛び、ほとんど当たらない。
「お願いっ‥当たって、当たってぇ! ‥」
その時、空から窓を突き破り、バイクで誰かが突っ込んで来て、すぐに銃を抜くとあっという間に倒してしまった。
「ビビって手がブレてる、実弾銃じゃないんだから反動もないはずなのになんでそんなにブレブレなの? ‥とりあえず‥深呼吸しな?」
ヘルメットを外した途端、それが誰だか分かった……見覚えしかないリボンで髪を一本に結び、チームkeyのエンブレムが入ったライダージャケットに身を包んだ、私より少し背が低いあの子‥咲ちゃんだ。
「深呼吸って‥今?」「全く‥ひよっこの様子見に来たら随分とパニックみたいだね? ‥でも生きてる間に駆けつけれたみたいだ」
「パニックになんか‥なってないですから」「タメでいいって言ったのに‥まあ良いや、とりあえずこの校舎を新略してるこの蜘蛛たちは“フォールスパイダー”って言う種類で、洞窟内に蟻みたいな勢力関係を築いて住んでる大蜘蛛だよ‥で、今多分この建物を巣にしようとしてる‥だから女王をどうにかすれば万事解決っ。……と危ないねぇ」
咲ちゃんが話してる間にも、蜘蛛の大群は迫ってくる‥すると咲ちゃんは、紅色の勾玉のようなものをポケットから出して構えた‥あれ? 首から下げてた紫の方は?
「しゃーないか‥でも響花しか見てないからいっか……」「何か策があるんですか?」「ないよ」
期待して聞くと即答だったが空音の疑問の答えが後に続いた。
「でも、大丈夫‥可能性はゼロじゃないからさ……刮目しなぁ、キョウカ……見せてあげるよ、“本物”の魔法をね♪」
そう告げると、間を開けることなく目を閉じて長々と呪文のような文章を唱え始めた、私の知らない言語のはずなのに‥何故か私は意味がわかった。
「※| 不可思議を起こす導師の杖‥その手の内で、悪しき影を惑わせ‥月明かりの翼、ブラッティウィンガー! ……boot、ON!」
途中でその勾玉は刀の鞘のような杖となり、唱え終わったと思われるタイミングでは、一瞬衣服が弾け飛ぶように消えてから、炎でできた
「‥なにこれ? すごっ!」「防護服纏っただけだって、まだまだこれからだよ? ……我乞うは光の刃……」咲ちゃんがまた呪文を唱え始めると、足元に大きな紋章‥いや魔法陣が現れて、その外周から赤い光でできた刃が無数に現れた。
「ブレイドメイク‥アーンドシュート!」一斉にその刃が散り散りに飛び、一気に蜘蛛達を刺していく。
「とりあえず、女王の場所に心当たりは?」「心当たり‥あっ! さっきすごい音がしたんです! 家庭科室あたりで」「じゃあ案内して?」「でもバイクじゃ行けないって!」
「大丈夫、こう言う時に役に立つ仲間が居るから」そう言うと、今度は大なカンラン石のような形の宝石を出して、何かを唱え始めると────-
「風音を越す音速の銀狼……我が前に現れ地を制せ‥
その名をもって命ず、来よ、翼狼ウィンドルガ! 従獣召来!」
────-その宝石が羽を持った大きな狼に変わると、真っ先に咲ちゃんへ飛びついた。
「まったくもう‥甘えん坊だなぁ、とりあえず力を貸して?」
頭を撫でながら言われると頷いて咲ちゃんを背中に乗せた。
「やっぱりエールよりは諦めがいいねキミは‥キョウカ、後ろ乗りな?」
ヒョイって軽々右手を掴んで私を引き上げると、この狼は全速力で駆け出した。てか、蜘蛛多すぎじゃない?
「とりあえず‥そこで止まってて‥」「咲ちゃん? ‥って何コレ!?」
いきなり、咲ちゃんが分身して蜘蛛の足止めをしている‥魔法ってすごい?
「分身も出来るんだ……」「違うよ、幻影を遠隔操作してるだけ、めちゃくちゃ集中しないとできない芸だからあんまり使いたかないけど」
そのすごい芸当の数々で蜘蛛を翻弄しながら家庭科室へ辿り着くと‥想像の7倍くらいエグいことになっていた‥壁という壁に糸が張り巡らされ、逃げ遅れた何人かが囚われている‥そして蜘蛛の足元には、空音が一人で応戦していた。
「空音っ!」「しっ‥気づかれるから……じっと見てて」
咲ちゃんは狼の背から降りると杖とは逆の手に火の玉を作り、そこに息を吹くと‥シャボン玉のように飛んでいき、器用に蜘蛛へと当たった。
「全く、素人さんが勝てる相手じゃないよ」「あなた‥深海咲?」
「かたっくるしいなぁ‥せめてラフに呼んでよ、澪さん」
「あなたこそ気安く呼ばないでください‥第一なんですか? その格好」「そういう君こそ制服じゃないか‥危ないよ?」「それは承知です!」
空音が飛び出していく‥すると咲ちゃんは光の拘束具と鎖で足止めした。
「はいっイエローカード、無鉄砲なのは見過ごせないなぁ」
「いったいこれ何ですか? ‥抜けれないっ」「言ったよね? 私魔法使いだって‥」
そう言いながら刃を飛ばして糸を切り、囚われた人たちを解放すると咲ちゃんは空音を解放した‥
「この人たちを部屋の外にみんな出して‥キョウカも手伝って!」「天音? ‥居たなら早く言いなさい!」「いやそれは理不尽じゃない?」「じゃあ搬送は任せた! ‥おいで♪ ウィンドルガ!」
あの翼狼と連携して咲ちゃんが蜘蛛を翻弄してる間に私たちは解放した人を一旦部屋の外に出していき‥最後の一人と言うところで邪魔が入った‥
「‥この人が依代になっちゃったんだ……もう少し寝てて。 ッ?!」
咲ちゃんの目の前を横切った影が両手で抱えた少女をひったくって立ちはだかった。
「Anker、なんでここに‥」「様子を見に来ただけだ‥だが、このクリスタルはハズレみたいだ」「ハズレっ? 、生命にあたりもハズレもあるかっ!」
女王蜘蛛を無視して杖で殴るが容易く交わされてしまう‥
「‥別に、コイツを悪くは言ってないが‥“儀式の神獣”の欠片には使えそうにないと判断しただけだ」
「儀式の、神獣?」「気になるならその手で探れ‥良いのか? あの蜘蛛は放って置いて」「ッ……自分勝手な‥」
咲ちゃんは鎖でAnkerの手の中から彼女を奪い取り、戻ってきた私たちにパスした。
「咲ちゃん!?」「いいからその人も外に! ……」「っと‥わっわかりました!」
「ふう‥一気に蹴りつけようか」
仮面の男を拘束したまま、さらに16本の鎖を作り出して蜘蛛の自由を奪った上で人間離れした高さへと跳躍して飛び乗り、頭部の発光体に手を当てた‥
「
コール・クルリア・クラシカル‥戻す力をこの手に宿せ……
抵抗できないまま、蜘蛛の表面が宝石のようになり、ひび割れて砕けるように消えた。
そして、他の蜘蛛や糸、割れた女王の欠片が粒子状になり消えていく中で、核になっていた宝石を掴んで着地した。
「上出来だな……」「あなたに言われる筋合いなんてないですけど? 大人しく着いてきなさい」「断る‥それに、今興味があるのはお前よりも“Aの鍵”の方だ」
拘束から逃れ自由となった仮面の男は、私に近づき、アゴをくいっと上にあげて耳打ちした。「次はお前で楽しませてくれ‥」と‥
「犯罪者を易々と逃すわけには行きませんので」「と言いつつ役所の人間は乱暴な手は使えないだろ? ……っとあのバカども」
外から鈍い音がした‥外を見ると、2足歩行型の怪獣が校舎に向かっている。
「なんのつもりですか?」「俺に聞くな、少なくとも‥あの船でこっちに来た部下が勘違いで呼んだんだろ」「止めさせることは?」「無理だな」
どうする? と考えるまもなく、空音は通信機に向かって叫んだ。
「司令‥機体をこっちに送ってください」『構わんが、アレはまだ未完成だぞ?』「それは今までだって同じです、問題ありません」『了解、一発勝負だ、堕とすなよ?』
「了解、来なさい、天音」「ふぇっ?」
通信を切ると、空音は屋上へ駆け出した。
「空音! 、今から基地行ったって間に合わないでしょ?」「ええ、だからここなのよ」「待て待てなんで今靴下脱いでるの? 言ってることとが噛み合ってないですよ?」
「噛み合ってるわよ、理由はすぐわかるから……」
そう言った途端に何か音がした‥その方向を見ると‥私たちの機体がこっちに飛んできている……
「まさかっ!」「そのまさかよ。危ないからちゃんと私の言ったタイミングで飛び降りて」
墜とすなってそう言うこと?! 冗談じゃないってぇ……
「そろそろね‥3、2っ!」「ちょっとぉ!」
先に空音が飛び降りた‥がすぐに微かな音量で‥「今っ!」と聞こえた。
「ばかぁあぁぁ!」私は覚悟して飛び降りると、校舎の両側を横切る機体の片方に見事に飛び乗れた‥安心して一息つくと、足元には、例のスーツが消防士の服の様にして置かれている‥そう言うことか。
「お待たせ、キョウカ‥とりあえず鍵刺して自動操縦をオフにして」
「‥わかった、セーフティリリース、ユニゾン‥ゴー!」
鍵を回して展開して差し込み回す‥そしてスイッチをオフにして急旋回するが‥校舎まではもう時間がなかった。
「それに手を出すなぁぁぁぁ!」機銃の弾は全て弾かれこちらに気が付いていない‥そして────────轟音とともに壁にはヒビ、ガラスは砕け‥家庭科室の一つ上の階に風穴が空いた。
「ぐっ……」
私は唇を噛んで声を殺す……この機体にもし‥手足があれば受け止めることもできたのだろうか? 。
「ライト‥腕、的なものってない?」「そんな気が利いたのは‥救助作業用アームくらいだけど‥これは今回積んでないし……って言うか、航空機にそんなの基本ないでしょ!」「‥それはわかって言ってる」
『腕……ね、確かに殴れたら早そう』『ミオ? ……』『エクステンドエッジは?』
『ダメよ‥中は電化製品や可燃性物質もあるのよ? 、電流なんて流したら建物が丸ごと吹っ飛ぶわ』
あの怪獣を校舎から離す方法‥離す方法‥考えて‥考えて‥考えて‥周りが見えなくなって、一人の世界に隔離される寸前‥空音の声で引き戻された
「天音ッ!」「──-ッ!? あばばばば‥ぎゃっ!」
校舎に衝突する寸前、角度を90°変えようと舵を切るが‥間に合わない‥だけど何故か‥私は無事だった。
「……あれ? ‥なんで……」「これはっ‥」
私たちを乗せた機体‥ライジング=エンジェルは戦闘機から手足だけ生えているような外見へと変わっていった。
「おー、欲しいと思ったらでてくるもんだねぇ」「いやいやそんな事ある?」
『これがこの
「「Roger!」‥ライト、今日の気分は?」「アップ系が聴きたいかな?」
「OK♪」
両脚で蹴りを入れて挑発するとこちらに気がつき追いかけてくる‥そこで操作系を操り音源を再生する‥選んだ曲は、2×Yshのとある曲だ。
「守る力が欲しいと♪ 願ったわけでもないのに……
何度も宙返りするように怪物を翻弄していき‥時折、両手の機銃や物理攻撃を与えていく……私が歌っているおかげか、かなり高威力で扱えたため、しばらくするとヒビが入った。
「迷いはない、今駆け出す‥力なき者の為に!♪ ──-今だよっ空音!」
そのままそのヒビを蹴破るとコアが露出した。
「あとは任せて頂戴‥ドライブウェポン、エクステンドエッジ!」
背中の方で待っている空音が私に話しかけながらあの刃を展開する‥交わさなきゃ。
「don't be long待っていろ〜真っ直ぐそこへ行くから♪」
視界の隅から迫る空音を、また宙返りでかわすと、勝手にその手足は格納された。
「その信念♪ 貫いて♪」「ドライブ‥イグニッション!」「切り裂け! Blake to the desire! ♪」
空音の機体が赤い光を刺し殺して爆ぜた‥そして‥被害はなんとかさっき砕かれた階と‥校庭の砂が巻き上がっただけで終わった。……
『任務完了‥帰投します』
「やっぱり勘違いじゃないや‥キョウカたちの機体から強い魔力を感じる」
咲ちゃんが私たちの機体を見送りながらボソッと呟いた。
『ご苦労だったな‥お前も後始末は国に任せて帰還しろ』「了解です、海堂司令‥あの子らの荷物持って向かいますね」
それから少しして‥
「バカ! 本気で心配したんだからぁ!」「ごめんなさいっ!」
私は基地で色々話してから帰宅したら、案の定愛緒に叱られた‥だけど機密事項を明かさなきゃならなくなるせいで真実は言えない、こそばゆいよ。
「でも無事だったんだしいーじゃねぇかよ」「そこにはぼくも賛成‥キョウカも反省してるみたいだし」
「じゃあ、二人に免じでこれくらいにしとく‥」「うぅ‥」「次心配かけたら1週間買い出し全部任せるから」
ああ‥この際もうそれは確定事項なんだよ‥だって、愛緒に隠れて、みんなを守らなきゃいけないんだから。
・
・
・
・
「‥確かに、これは‥」「そこで何をしてる?」
真夜中の格納庫、真也さんが私を見つけて怒鳴った。
「気になった事があって‥この機体について」
to be continue……
& See you next Chapter
第一篇あとがき
はじめまして、深海魁兎(ふかみかいと)と言います。
さて、響キヒビカセ心ニ届ケ、ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
さて、執筆秘話をさせていただくと、この作品は僕が元々書いていた作品2本を練習として、今回僕の世界観でそこで生んだ面々を集め、さらに“天音響花”と言う新たな主役をエッセンスとして取り入れた作品となっております。
実質ラブコメと歌とアツめなメカ戦を掛け合わせて、さらに逆異世界モノと言う贅沢欲張りセットになっていますが、初めて書いて上げなかった作品をブラッシュアップしてお送りしてる感じになります。
って言ってもさらに元を辿ると、作詞のための副産物ですけどね。
故に響花が口ずさむ歌などの歌詞は僕の考えた物です、これに全て歌を乗せるのもまた一つの野望なのですが‥読んでくださるみなさんがメロディを想像してくれると嬉しいです。
おっと話が脱線しましたね、とりあえず第一篇は序章“響花編”という事で、天音響花が如何にして戦いに身を投じるかというお話を丁寧に描写すべく、たった3日間のお話に12回も使ってしまいました(苦笑)
さてさて‥響花と咲ちゃんが繰り広げるこのお話は、次回より意外と日を跨ぐ話が多くなって参ります‥そして僕の出したくてたまらない構想がまだまだ余っておりますので楽しみに読んでくれると嬉しいです。
次回からは第二篇「Excellent Ear」‥おっと気がついた人は気がついたかな?
このネーミング、法則がないようであるんです‥がその解説はまた次回に持ち越しましょうかね。
ではでは‥今回はこの辺りで。
またお会いしましょう♪
次回もセーフティリリース、ユニゾン♪ゴー!
writen by 2021 Jun 26