こちらは尺の都合で#12よりカットした部分を読み飛ばしても問題ないようにアレンジを加えて掌編にしたものになります。
4月29日、訓練が終わった昼下がり‥
私は棒になった足を引きずって愛緒の家に帰ってきた。
「ただいまぁ……あれ? あおは?」
「僕が留守番引き受けて遊びに行ったよ〜、航太は練習そろそろ帰ってくる頃だと思うけど」
#12をよんでくれた人は疑問が浮かんだだろうから説明すると‥ライトは本日非番である、そして私が朝だけ‥って言って救急、消防の類と違って自宅から緊急招集されるケースの方が大半なのだけども。
てなへんなシフトがあるためか、今日は家でくつろいでるご様子‥
にしても愛緒に着せ替え人気にされた影響か、背中から生えた羽が自由に伸びるように背中の空いたトップスでさらに袖周りにフリルがあしらわれた‥エンジェルスリーブっていうんだっけ? まあそんな感じでめちゃめちゃ可愛いお洋服でゴロゴロ中なのだ‥中々似合ってるなぁ‥
「で、今日はこのあとどうするの?」「お昼食べて‥後は別にすることないかなぁ‥そうだ♪ お出かけ‥する?」「賛成♪」
犬の尻尾かの様に背中の羽が揺れている‥これもこれで可愛い……って何考えてるんだ私は!
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同刻‥灯台付近の砂浜‥
頬を擽る風、潮の匂いと細波の音‥そして紺碧の海と群青の空……昼間の方がより良い景色ではないか‥気に入っちゃったなぁ、この土地の景色も。
砂浜に座り、景色に見惚れる……あぁ‥あ?
「サキお姉ちゃんだぁ♪」「サキお姉ちゃん〜♪」
「よく見つけたね。アオイ、ヒュウガ‥それとお友達も一緒かな?」「うん♪」
誰かと思ったら優さんとこの双子ちゃん達か‥
「この人だぁれ?」「サキお姉ちゃんだよ、いろんな所でお仕事してる人なの」
「はじめまして、深海咲って言います‥みんなはアオイのお友達かな?」
返事が一斉に聞こえて来る、中々元気いっぱいだ。
「サキお姉ちゃん‥みんなにもいろんな世界のお話聞かせてあげてよ」「‥いいよ、じゃあどこのお話にしようか? ‥」
「海のところとか?」「あ〜海洋国家スプラシアかな? ‥この国はね‥」
私は双子ちゃん達ご一行に、お仕事や‥おやすみをいただいて旅した色んな土地の話を語った。‥思い返すと私って結構いろんな所行ったんだなぁ‥でもまだまだ未開の地があるってのがまだまだワクワクする‥
そしてお話しながら、私は市場へ案内された‥そう言えばお昼まだだったなぁ‥
「そういえば、私お昼まだだったなぁ、アオイ達は?」「もう済んでるよ♪ ‥だけどお店案内しよっか?」
そうして初めて来た市場のとあるお店の前で、見覚えのある顔に出会った。
「おや、君確か‥」「深海‥さんでしたっけ?」
彼女はいきなり私に頭を下げた。
「遅くなりましたが愛緒と航太を助けてくれてありがとうございました」
「ホントに今更だね……てか、君は航太とどう言う関係? ‥あっいや‥立ち話も悪いんで、お昼一緒にどうですか? あなたとは一回お話ししてみたかったんです」
それから子供達と別れて、お店の中で注文を待ちながら談笑することにした‥
「──-で、つまり君は実兄弟じゃなくて居候なんだ‥複雑だねぇ」
「まあ、そんな感じです‥あっ私の話したんで、逆に‥深海さんのことを聞いていいですか?」
「深海さんだなんて、硬いなぁ‥」「いや‥一応年上ですし‥目上の人だし‥」
「年齢なんか関係ないよ、それに立場は同じだから、フランクに来てよ。
ほらっさっちゃんでもふーちゃんでも、サーくんでも、呼び捨てでもいいから好きに呼んで」
「流石にサーくんは‥そうだなぁ‥でも呼び捨てだとなんか語呂悪いし……じゃあ、咲ちゃん、でいいですか? ‥なぁんか見た目的にくんよりちゃんかなって」
「いいよ、一番ベーシックなの選んだね‥なんか落ち着くや」
「落ち着く?」「私さ‥自分の名前‥結構好きなんだよね。だから下の名前で呼んでくれるとすごく嬉しいんです」
「そうなんですね」「この名前、
私は響花に自分のことや私を育んでくれた方々の話、兄妹のように扱ってくれた人たちの話や、魔法の先生の事など、自分のあれこれを言える範囲で教えて‥気がついたら、私を育ててくれた人たちの話ばかりしていた。
「──-あとはさっき行った服とか作ってくれるお姉ちゃんのお友達で……」
「失礼します、こちら日替わり定食になります」
「あっ‥ごめんね‥話しすぎちゃった」「いいですよ、咲ちゃんって、その人たちのこと、大好きなんですね」
「‥はい、血は繋がってないですけど、私にとってはみんなみんな、大事な家族ですから」
「血が繋がってなくても家族‥ですか‥」
「ええ、私の先生は前こう言いました‥“血が繋がってなくても、お互いのことを大事に思って、同じ帰る場所があるなら、もうそれは家族‥で良いんじゃないかな”って、実際にその先生ある事件の捜査で懐かれた子、一人養女として引き取っちゃった様な人ですけど」
「お互いのこと、大事に‥か」
先日のヒデさんの言葉が頭に蘇る‥その理論なら、とっくに愛緒や航太だって家族だし‥なんなら‥そのうちライトも‥いやいや‥
この事を考えるのは後にしようか。
私は話題を少しずらそうとこう切り出した。
「それにしても咲ちゃん‥英語圏の人みたいに身振り手振り沢山しながら話してるの‥なぁんか好きです」
「それはキョウカもじゃない?」「私そう言う節あるかなぁ?」「時々だけど、ある」「ホントに?」「ホント、でもボディランゲージって日本じゃ馴染み薄いけどいい文化だと思うから、むしろ良いことにも思えるけど」「-だねぇ〜口だけよりもずっと気持ちも伝わるし」
「にゃはは♪ 仲良しですね、二人とも」
そう言うと、二人揃って赤くなっちゃった。
「……さて、冷めちゃう前にいただきましょ?」「‥ですね」「頂きます」
この日の献立は鯛の塩焼きに、おひたしと漬物に、この店ではお馴染みらしい味噌汁とお米という、一汁三菜のいかにも日本的なものであった‥素朴ながらとても美味しい。
そう言えば日本育ちだった私の先生もこう言う食事作ってくれたなぁ‥今もどこかで、生きて帰って、誰かを助ける術を教え続けてるのかなぁ……
余談だけど私はこの先生と同じ部隊にいた時に、ほんの好奇心で日本語を教わった。
「やけに日本語達者だなぁって思ったら‥やっぱり、教わったんですね」
「ええ、ほんの好奇心で‥新しい世界をどんどん観に行くのは大好きですから」
3人でお昼を食べながら話して、私は響花とはすごく気が合いそうだと思えた。
もしかしたら、来るもの拒まずのいい子なだけかもしれないけど。
それから楽しく話して、お店を後にしたところで、一旦別れることにした。
「じゃあ‥また、どこかで」「いや、そんな遠く行くわけじゃないんですから」
「でも、間違ってはないじゃん♪ 楽しかったよ。 またね────-あっあと、タメでいいよ、私気にしないから」
私はちょこっとカッコつけてその場を後にした……今日は日記に書くことが沢山出来ちゃったなぁ……
次回予告
さてさて、今日からは授業再開‥そんな放課後。
空音はアンティークショップを物色中‥勉強勉強、鍛錬ばかりの彼女らしくない店で何見てるのかな?
次回、第13話、「mission:母の日」に?
セーフティリリース、ユニゾン♪ゴー!