響ヒビカセ心ニ届ケ(仮題)   作:高町魁兎

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追いかけ迷い込んだこの土地で…新たな出会いと懐かしい顔に包まれて過ごしてきたこの1ヶ月。
事件を引き継いで帰る算段が経った頃だというのに、この日私には‥ここから1年を棒に振る決断をするキッカケができてしまうのだから。



#16兆しと悲劇

 同日……

「……イカれた耳の持ち主でも、待ち伏せには弱いようですね」

「ッ……!」

 澪が逃げ出した先で待ち構えていたのは……あの組織の一員であると同時に、指揮者であるフレイルだ。

 遭遇した途端に彼女は銃を抜き、発砲するが、その姿は突然と消え、駐車場のアスファルトに跳ねた弾が、快い音を立てる……

「消えた……いや、居る」

 虚空に弾を放ち、音の帰りを聞く……前後方向には居ないようだ……でも左右を確認する間はないが……右側から微かな異音を感じて、反射的に屈むと、頭上をフレイルが通り過ぎていく……

「ギリギリ‥ッ」「流石に近接戦ではこうなりますか……」

 振り返ってその方向を見ると、彼は懐から私が持っている鍵の様な外観の真っ黒な物をだして、奏でる‥

白鍵(ヴァイス・キー)? ……ッ何? ……この音……」

 その音に呼応する様にさっき回収した小さな宝石が光を帯びて、浮かび上がり……生物の形を象ると、彼は演奏をやめた。

「さて、質問に答えましょう‥これは白鍵(ヴァイス・キー)と対を成す五つの鍵、黒鍵(シュヴァルツ・キー)の一つ……そしてあの曲は“awake”のメロディ……つまり、目覚めです」

 光が大きくなり、駐車場の上空へと巨大な怪鳥が現れた。

「……巨大戦力がない時に‥」「さて、どう遊んであげましょうか?」

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「あれって……」「発動しちゃったか……誘導して、強制封印するしか……」

 ……さっき蹴ったあの仮面の亀裂が、妖光を放った……

「……グルルァァ……」「なっ……嘘でしょ……」

 野獣のような声を上げて、野獣のようにこちらを睨む‥並の人間なら容易く背筋を固めるであろう……

「‥仕方ないけど、キョウカ‥ライトと二人で行って」「でも‥それじゃぁ‥」

「分かってる、だから‥」私はポケットからパック型電池のようなものを二つ投げ渡した。

「‥カードリッジ?」

「持ってって、不完全だけど一時的に封印かけられる‥だけど、使い切りだから‥外さないでよ?」

「……わかったよ、じゃあ、地上はお願いっ!」キョウカが走り出したのを見届けて視線を戻すと、あの体は少し変体していた。

「こうなったら、私の手には負えないわね……」「どう言う事です?」

「……そいつと遊んどけば解るわ‥じゃあ、また」「待った! ッ……」

 お付きのもう1人、ブレッサは転移ゲートで逃げ、私は残ったコイツと対峙するが、全く正気ではなさそうだ。

「ガッ……aaa!」

 体を掴んで固めるつもりか? いや、本能的に動いてるだけなのか? 私に飛び掛かってくる……

「……シャイニーウィンガー、ブートオン!」

 武装展開して、刃の腹で受ける……両手を伝い地面へ逃げる衝撃はかなり強い……まともにやってたら、危ないということを、肌で感じさせられる……

 両足で下腹部を蹴飛ばして、脱出して少し様子を伺って見るが──-

「こりゃ、バケモノだ‥」

 ──-この一言に尽きる。

 しかも、奴は、まだ怯まない。まだまだ有り余る体力でこちらにもう一度向かってきた……ワンパターンすぎるっ……

come over here! (来ます!)」「闘牛みたいだね」

 起き上がり、2速歩行すらやめた彼奴が私を威嚇する……さあ‥どっちから来る? 

 ……僅かに動いた先は右……フェイントは仕掛けてなさそうだ。

 刃の向けて、すれ違いに切る算段で踏み切るけど、珍しく読みを外してしまった。

 私の身体は宙に投げ出され、立体駐車場へ放り込まれ、柱に身体が収まった……

「……とんだ、パワーおバカだね‥」

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「おまたせっ‥って!」「邪魔が入りましたか』

 走って追いかけてきた先で、空音たちと合流しようとした矢先、空音は、黒い衣装の笛吹き男に襲われていた。

「空音に、手を出すなぁぁぁ!」

 ブラスターを乱射しながら、立体駐車場に飛び込むと逃げるように、彼は飛び降りていった。

「大丈夫?』「なんともない‥それより、一緒じゃないの?」

「一緒って‥あっ咲ちゃん? ‥取り込み中でさ」

 そう言うと、空音は睨むような目付きでこちらを見る‥また口論になるぞ……

「深海さんがいなきゃ、あれは封印出来ないんでしょう?」「そこは、大丈夫‥これ、預かってきたから」

 私は受け取ったカードリッジの片方を渡してこれがあればどうにかなると説明するたところ

「……とりあえず信じてよ、咲ちゃんのこと」「‥わかったわよ」

 言い合いも済んだところで、キャリアペリカンが現着し、颯さんの声が聞こえる。

『お二人さん‥早く登ってきな〜♪』

「でも‥まだミラとライトが‥』『大丈夫、もうこっちに居るよ』『行きましょう、ミオ』

「じゃあ、空にはライジング=エンジェルを上げて、私は、こっちから止めを」

「‥修理、終わってるの?」『バッチリだよ〜♪ キョウカちゃん、ライトくん』

「よっしゃっ、ならライト」『うん、サクッと終わらせよう!』

 ワイヤーで吊るされたリングに片脚を掛けて登り、内部シューターから移動コックピットへ行き……「セーフティリリース、ユニゾンっ! ゴー!」

 ────────『2番カタパルト展開‥発進、どうぞ!』

「MB-01、ライジング=エンジェル、天音響花「行きますっ!」」

 空中へ機体を投げ出して、翼を広げる……速度を上げ、目前の怪物‥いや、怪鳥を追って‥入り組んだビルの間を潜りながら頭部の発光体を狙うけど‥

「ダメだ‥定まらない」

 ビル街に現れてしまったため、下手に撃てない、それに……

「キョウカ‥どうかした?」

「あの子って、ただ自由に飛んでるだけなのに、‥悪いことしてないけど、撃たないといけないのかなって……」

 ────────私だって、避けられるなら殺生はしたくない。

「流石に、あのサイズじゃ日本の研究施設においとけばいだろうからね」

 サクッと終わらせようと言ったものの、引き金を引けない自分だって居る。

「……確かに、あの時の地龍とかと同じで目的はないかもしれないけど‥守りたいんだよね、大事な人を……」「うん‥」「なら、割り切るしかないよ……』

『天音……そこから左手側に誘導できる?』

「左? ……」『‥地図送るわね‥』

「この位置に?」『ええ‥』

 上昇して上から閃光弾を放つと、ついて来ずに離れていった‥なら、行く手を阻む形のの誘導か……

 着いてきてくれれば簡単だけど、あの怪鳥は少々臆病だったようみたいで‥これは時間も弾数も要りそうだ……

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「お前に指揮権を渡したのは間違いだったみたいだな」

「Ankerですか‥ちょうど良かった‥少し手を‥」

「派手に暴れた挙句、尻尾を巻いたやつの意見はいらない」

 立体駐車場から離脱したフレイルはアンカーに止められ、睨み合った‥

「部下は仮面を破られて暴れ‥お前は放置して逃げた上に、例の回収対象で……」

「……正直言って‥あの神話の伝承を検証するより、壊して探した方が早いじゃないですか?』「確かにビジネスライクに考えるならそうだろうが‥必要以上の被害出すのは“憎き者たち”と同じだ」

「何を今更‥理想の達成には、犠牲は……」「もういい、お前は戻れ──────」

 ────────その頭上、数階上では

「交代だ、ブラッティ」「all right」「Get ready?」

 私と、野獣化したあのガチムチとの交戦が続いていた。

「現れよ‥強靭なる鎖……」

 周りの瓦礫から実体を持った鎖を作り、体を締め上げるが、奴が全身に力を込めて、さらに筋肉を隆起させると‥鎖が砕け散り、砂となった。

 あの筋肉からなる一撃、本格的に喰らいたくない。

「我乞うは光の刃……」

 ブレイドメイクで全身にソードビットを舞わせて、距離を離しては飛ばしてを繰り返す、でも‥速すぎる‥そのうえシャイニーとブラッティでは早さがトレードオフ若干装甲は厚くなるが、心許ない‥追いつかれたら終わる。

 妨害もいつまで通用するか……と思っていた矢先、身代わりにしていた柱のうち、一本が折れ、上の階の床が抜けた。

「しゃーなしかっ!」

 私はあの砂浜以来に二機を‥ブラッティウィンガーと、シャイニーウィンガーを重ね、音速を凌ぐ速さを手にし、その範囲を脱出した。

「are you ok?」「ダメ‥だけどやるしかないじゃん」

 魔力を込めた弾丸を浪費し、その魔力と体内の魔力を掛け合わせて起こした突風を用いて極限の移動速度を手にするブラストシステムを扱うと、やっぱり全身がバキバキになるから使いたくはなかった、だけど、もうこれしか思いつかなかった。

「ブラストシステム……イグニッション!」

 刀を鞘に収め、抜刀すると同時に竜巻のような風に乗って、奴と同等の速度で追い付き、背後から一閃‥することは叶わず、確かに私を視認し、刀が突き刺さると同時に、私を捕まえて投げた。

「がっ……ぁぁ‥みえっ、てたっ‥ぅぁ‥」

 直撃を喰らい、店舗側の壁に打ち付けられ、食道の中に上がってきた血を豪快に吐いた‥

 やっぱり‥アークがいなきゃ‥私は‥“あの子”が居なきゃ‥私は……

 意識が少しだけはっきりとした時には、もう‥目の前で刺さった刀を抜いて捨てた後、両手を組んで大地を蹴った後の奴が居た……

 次の瞬間には目の前で紅色の桜が舞い‥手足は萎えて力を失った。

 

 ──-あぁ、私“また死んだんだ”……こんなところで。

 ・

 ・

 ・

「‥空音‥そっちに真っ直ぐ飛んでくる‥討てる?」

『言われなくても‥やるしかないんでしょう』

 地上の空音は指定ポイントで、ブラスターにロングバレルとスコープストックを取り付けて伏せている。

『カードリッジ照合‥問題なし……風向きは‥』

 来るまであと数秒‥だけど、空音は目を閉じて、インカムを外した。

「来るよっ‥って聞いてる? 、ねぇ‥ねぇってば!」

 ちょうど頭上を通り越す手間で、目をバッと開き……迷いなく射った。

 確かに当たりはした‥でも、いつものようなヒビは入ってない……

「外し‥た?」 左右は完璧だった、だけど、上にブレてしまったようだ。

『空音‥空音‥っ!』「ごめんなさい‥さっさと交代して」

『‥わかった』

 私は少し弱った、怪鳥を横目にキャリアペリカン内部へ戻ろうとした矢先‥声が聞こえた……撃たれた鳥のような声が。

「まさかっ!」「この前、僕らを落としたあの!」

 黒い、1号機……それが、あの怪鳥を問答無用に撃ち落とした。

「折角傷付けないようにしてたのに……」胸の奥から湧いてくる何かに急かされるように、私は無意識のうちに、引き金へ手を掛けていた。「この子は‥あの鳥さんは‥傷つけなくてもいいでしょ!」

 私は黒い1号機へ舵を切り、機銃を向ける‥だが相手も上手い、巧みに交わしては、反撃してくる。

『颯さん、私も上がります!』『OK、コンテナ開けるよっ!』

 

 ──────────────────-

 

『天音! 落ち着きなさい!』インカム越しの声と共に、空音たちが後ろから来て、あの機体を攻撃する……

『冷静になりなさい‥もう一回落ちられたら困るから』「空音……ごめん‥確かにさっきのいい判断じゃなかったかもしれない‥だけど、許せないんだ、人であれ、怪物であれ、必要以上傷付いてほしくないんだ……だから、だから……」

 怪鳥の声は少しずつ小さくなり、あの機体は待たず迫る‥

「……やっぱり、やらせて、……ライト」「いいよ、付き合ってあげる」

『あらあら……』『まあ止められないとは思ってたわ』

 操作パネルに手を滑らす様にMDを再生して、一直線に風を裂き、正面から攻めて、スレスレを交わす‥そして、相手が先に旋回し、こちらが前となった。

「はしれ‥はしれ‥心に届く‥聞こえる、呼んでる……あの日の声〜♪ ──-」

 私が歌い出すと、機体が桜色の光を帯びていく。

 響く声が力に変わり、円を描いて真上から射つ‥当然相手も上手く交わしていく……

 そして、あたかもブルーインパルスの様な攻防を繰り広げていく最中、……機体が徐々に人型へ近づき‥前以上に近づいていく。

「燦然照る太陽の様に♪ 

 思いは燃えてるよ〜♪」

『あれは一体?』『来たか……』

「語りかける勇気が♪ 明日を連れてくるから〜♪」

 ワンコーラスを歌い上げる頃には、あの機体を追うことに集中しすぎて、自分の身体の動きと、機体の動きがリンクしている事に気が付かなかった。

 ‥『面白かったぞ、Aの奏者、唇の巫女よ。‥我が名はAnker、お前は?』

 相手は通信を繋ぎ、こちらに話しかける、それに驚いて集中を欠いた途端、機体は大きく揺れながら元の形に戻った。

「私? ‥私はキョウカ、天音響花と、相棒のライト」『キョウカ、か‥ではまた会おう、邪魔が‥っともうそんなところに』

 その声と共に、全員のレーダーが同じ熱源をキャッチする‥まるで火の塊が飛んでくるかのような、高温の反応だった。

『天音‥あれ!』

 示された方向から飛んできたのは、あの時の火の鳥、それを見て、アンカーは退散と言う選択肢を選んだようだった。

「‥待って、アンカー、何個か教えて、なんであの鳥を撃ったの? 、火の鳥さんは何者なの? 、あなたたちエヴォルスコアは何者なの?」

 追尾しながらマイク越しに言った、だが、全てのアンサーは、当然くれるはずなかった。

『あの鳥は、俺たちの目的の為に必要だったから撃った、そしてその火の鳥はお前らに危害を出さないだろう‥あと一つは‥自分で探れ』

 流石にそうですよね‥

 逃げながらも、機体は高度を下げて行く……

「……ドライブウェポン、使用許可を‥」『どうする気?』

「あの鳥さんを守りたいんです!」『なら、ブラスター用のカードリッジを4番コネクタに刺して射って……そうすれば、宝石に戻せるかも』

「やってみます‥ライトも付き合ってくれるよね?」「そろそろキツいけど、OK、ちょっと無理するよ」「ありがと」

 二人で大きく息を吸って‥

「「ドライブウェポン、アクセルカノン! ‥フィニッシュ‥イグニッション」」

 側面のレールガンを展開し放つ、‥0距離発射したお陰か、見事に中央を貫き、その鳥がひび割れて小さくなる‥

「‥しまった、どうキャッチしよう?」「‥あっ……どうしよっか?」

 結局封印はしたものの、落ちていくクリスタルは、アンカーの機体で回収されてしまった。

『……丁寧にご苦労‥まあ、これと引き換えに教えてやろう‥最後の質問の答えをな』

 再び通信が入り、彼はそう告げながら、火の鳥から逃げていく。

『我々、エヴォルスコアは、争いを終わらす者‥その為に、破壊と創造の神器を探す者だ』「創造と‥破壊? ‥」『それ以上はまた、探るがいいさ‥また落ち合おう‥天音響花』

 火の鳥は彼を逃してしまい‥この任務は、閉幕を迎えた

『……海堂司令‥任務失敗です』『そうか……こちら司令室、了解……各機帰投せよ』

「────-あの‥海堂司令‥」『なんだ? ‥』「地上の咲ちゃんは……」

『気になるか? 、ならキャリアペリカンに機体を格納して見て来い、自分の目で確かめてくるんだな』

「了解‥」

 言われた通り颯さんに機体を預けてあの立体駐車場へ戻るが‥見えた光景は、想像と遥かに違った……

「冷却完了、担架に乗せろ!」「それにしても、これは少しやりすぎでは?」

「仕方ない‥コイツはちょっと特殊なんだ……っ? 響花か」

「あの‥優さん、ユキさん‥これって‥どう言う事ですか!?」

 優さん達の指揮で、衣服が燃えたように数カ所がなくなり、あのリボンを右手でしっかりと握った咲ちゃんが、消火剤をかけられた上で搬送される様子だった。

「‥アイツは、どうやらここまでの犠牲を払うほどの相手とやり合ったみたいだな‥気にするな、あの状態でも命に別状はない‥と言うか“生き返ったようになってるはずだからな”」

 

 

 to be continue

 




次回予告
 青い火の魔導師は敗れ、一時古巣へ帰ることとなった。
 そして、真也さんが解き明かし、私たちに告げる‥新たな真実とは?
 次回、「破れた斑鳩」
 咲ちゃん‥
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