あの日、獣と化したヴォッサに敗れた私は、操り人形のよに立たされ‥本来の姿となった‥だけど、それが意味することというのは‥残念にも…
響キヒビカセ心二届ケ‥‥はじまります
……咲ちゃんが戦線離脱し、早くも1週間が経った。
あの子は、自分の本来所属している組織の施設へ戻り‥私たちは、次の魔導師が派遣されるまでの間、咲ちゃんのくれたカードリッジだけで
だけど、この週は、気持ち悪いほど何も起きなかったが‥‥そのせいか私は‥
「……zzz‥」「天音生徒、起きなさい!」
「はいっぃぃ!」
それは見事な寝不足に陥ったと言うのだ……
「水琴生徒に続き天音生徒も‥最近バイトでも始めたか?」
「いえ、特には‥ちょっと心配事があって寝れなくて」「そうか、なら早く解決するようにな」
水琴生徒‥つまりベルは家業の稽古が夜遅くまで続くので居眠り常習犯なのだが‥まあ彼女と同じ扱いを受けてるってことはよっぽど────────「──-水琴生徒!」「‥ふぁい」
────-大爆睡だったんだろう。
一度窓側に視線をやってから、ちょっとため息を吐く‥すると、視界の端では愛緒がクスリと笑っていた。
「──-私もベルと同扱いか‥」「いやいや、心配されてたじゃん、私なんか怒鳴られるし」「それは‥ベルが悪いよ」
授業後‥さっきの話をしながら、いつもの3人で廊下をとぼとぼ歩いていると、知ってる視線にぶつかった。
「天音‥少し時間いい?」「‥わかった」
空音だ……多分‥共有事項について何かあるんだろう。
「なんかキョウカさ‥最近澪とよく連んでるね」「そうかな?」
「‥でもあくまで、バイトでの付き合いだし‥ね」「ええ‥」
「たまには澪も一緒にご飯どう?」
最ッ悪だ‥機密事項かもしれないっていうのに‥でも空音はアイコンタクトを取り続けていた、おそらく意味は‥「面倒だから着いて行かせて」‥結局4人で屋上に向かい、ヒソヒソと本題について語るのだった。
「──-って言う事なんだけど‥どう思う?」「まあ‥新しい人とも仲良くやれるように頑張りゃいいじゃん‥別に苦手じゃないでしょ? コミュニケーション」
「そう見える?」「まあ見えないけど」
よく考えたら、空音とはかなり打ち解けれた気は自分でしてる‥さて‥どんな人が来るんだろ‥新しい担当魔道士さん……とりあえず一回語り部を交代しようか
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「これで一通り終わり、データは後で送っとくよ」
「ありがとうございます」
私は検査代から降りて、検査着にもう一度袖を通す‥メディカルチェックの為にこちらへ顔を出していたからだ。
「にしても珍しいね‥君が検査日程を早めるなんて」
「前、私の
「あったね‥そんなこと。まあ、その時と一緒で君の体は‥15才と2週間の状態まで戻ってる」
「やっぱり、また縮んじゃったか……いつになったら、外観も老けてくれるんだか」
「戦いの場から退くまでは、無理かな」
「ですよね……」
「でも、実際はそれが理由じゃないんでしょ? 日程早めたの」
やっぱり、見透かされてますか。
「まあ‥こっちに来る口実を作りたかったってのもあったりしますが」
「そうかい、まあ深くは追わないよ、だけど、たまにはお母さんだけじゃなくて、司書長にも顔出しな?」
私は出口にカードキーをかざして解錠すると、去り際に少しお小言を言われてしまった。
「余計なお世話ですよ‥司書長には、定期的にメールしてますし、別に……」「あれでもお前の育ての親だぞ? 部屋だってずっと残してくれてるのに」
確かに私は生まれてこの方、何処にも定住していない‥そのためここの寄宿舎が実家みたいなものであり、あの部屋しか私物を置いとく場所がないのは事実だが‥あの人に‥育ての親に顔出すのは単に恥ずかしいんだよね……
「とりあえず! 花だけ添えに行かせてください‥マードックさんもわかるでしょ‥私ももう17なの……恥ずかしいんだよ‥」
この施設というより、この組織の本部があるここには、内部に街が形成されている‥そこの中の墓地に‥母が眠っているのだが‥そこへの道中‥よく聞いた声が私を呼び止める。
「また顔出さないで行く気だった?」「‥なんでわかるんですか」
「6年も面倒見てたんだよ……考えくらい読めるさ」
私を育ててくれた、あの人‥司書長だ。
この組織には様々な世界の情報をまとめた超巨大データベースがあり、記録媒体が本であることからそこに勤める人たちは司書と呼ばれている。
私は里親となる人物が名乗り出なかったため、一時的にその司書達に預けられて、そのまま6年も面倒を見てもらった相手なのである。
だから私にとっては親代わりなのだけど、だからこそ‥顔を合わせるのが恥ずかしい。
「────-絶対に自分からは来ないだろうから顔見に来たけど‥元気そうだね」
「‥私が正月しかこっち顔出したくないの知ってて来ましたよね」
「まあ‥そうだけど‥嫌だった?」「別に‥どっちにしろ、部屋に寄ってく気はあったからいいですけど」
「そっか‥あっ何か言い忘れてない?」「──-ただいま」
全く‥この人は意地悪だ
「おかえり、サキ」
私の頭をくしゃくしゃと撫でられた‥子供じゃないんだよ、私は
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ほぼ同刻‥格納庫にて‥
「……なるほどな‥これをこうすれば‥」「真也さん‥これで何日目ですか?」
「さぁな? ‥だが、これだけは自分の手で仕上げたいって欲が出ただけだ」
「そうですか‥久しぶりに聞きましたよ、そんな言葉」
格納庫では真也さんが他の整備員の手を借りずに一号機に何かを施していた‥謎が解けたと叫んだ日からずっと‥こんな時に有事になったらどうする気だ。
「‥だが、アイツ‥キョウカがこれに気がつくかどうかだな」「あの子はここまでかんだけで色々をどうにか出来ちゃう上に‥不思議なほどタフですからね‥」
「ああ‥だが、これは‥下手なことをすれば使い捨てるようにパイロットを殺す危険性のある代物だ、なぜ、前線で活躍し続けれたんだ‥」
「そう言うあなたも‥今、最前線に置いてるじゃないですか」
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場所戻って、屋上‥
「ふぁぁぁ‥」「情けない‥」
屋上のポカポカ陽気がまた眠気を誘う‥夏も近づき、そろそろ海開きという時期だけどここはやっぱり風通りがよく、快適だ。
「ちょっとくらいいいじゃん‥」
空音の視線が、少し凍った。
「(私はなんで、こんなキョウちゃんより、戦場では劣ってしまうんだろう‥)」
「空音もどう? 、気持ちいいよ」「制服が砂だらけになるからやめっ……! 天音!」
私は身体を起こして座っている空音に飛びついてはっ倒した。
「聞くは易し行うは難し、って言うでしょ?」「使い方間違ってるわよ」
空音はまだ少し付け加えようとしたが、止めて大の字になった。‥意外に満更でもない様子である。
「ね、風が気持ちいいでしょ?」「確かにそうね‥」
休み時間が終わるまで、このままで居たかったけれど、そうにもいかないみたいで‥嵐の前の静けさと言うのは、油断させきったところで終わるのだった。
「「ッ!?」」
通信機の振動で一緒に身体を起こし、応答する、有事になったようだ。
「司令‥どっちですか?」『消防庁から巨大空想生物らしきものが出現したとの緊急要請だ‥恐らく、遺伝子結晶の自然発動だろう』
「了解」「
「って事は結構遠くになりそうね、授業潰しといてください」「‥潰すって何?」
「‥緊急出動で出れなかったコマを無くしといてくれるって事よ」「そんな都合いいことできるの?」「一応‥出席で居なくても勝手に進んでくれるだけよ‥一応この学校の職員、ほぼグルらしいし」
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「よし、全員居るな?」「あの‥キョウカがまだ……」
「じゃあ前回の復習行くぞ──-」「(また‥元からいないかの様に扱われてる?)」
キャリアペリカンを待つ間に、チャイムは鳴ってしまい、窓から教室の様子を伺うと、私がいないまま出欠が取られ、授業が進行されていた。
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「‥ここね‥新たな
現場近くでは‥いつもの2人組と‥指揮権を奪われたフレイルが発動したクリスタルによって誕生したベルゼブを見つめていた‥
「此奴を放てば、まともにやり合えるだろうとな」「って言って、割れた仮面が治ってないんじゃ、コイツ、時限爆弾じゃないの?』「だが、それがいいのではないかとな、あの魔導師を破ったバケモノだ‥なぁに、この笛で操れるはずだ」
フレイルはFの
音色により操られた彼は再び身体が変態し、高く跳躍して、身の丈の数倍の虫へ飛び掛かっていく。
鈍い音をたてながら飛びつき、ひたすらに殴っていく‥あたかもそれは‥キングコングの様であった……
しばらくするとその虫の両側の羽を掴み、共に地面へ落ちていく……それを見たフレイルは、操りのメロディを止め、
「フレイル‥あれ、来ちゃったわよ」「何っ?」
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「見つけたっ!」「って言ってもほぼ終わってるね」『二人共、集中力の欠如は誤射のもとよ』『慎重に‥行きますよ』
私たちの機体が現着し、既に地面に堕ちたあの生物を目がけて‥底面コンテナの武装を展開する。
「ドライブウェポン、スタンバイ……スタンカードリッジセット‥」「サーチok‥ロックオンッ! 「……アクセルカノン、ドライブッイグニッション!」」
2機出す必要も無かったみたいだね‥私の機体から打ち出された収束砲は、その怪物を射抜き‥動きを止める‥因みに前回と違って何故動きを止めるだけなのかというと‥封印には、魔力と呪文が必要らしく‥専門の人にしか出来ず‥前回はカードリッジに刻んでいたらしい。それ故今回は封印までは出来ない‥
『‥活動停止を確認‥運搬します』
空音はいつものエクステンドエッジではなく、ユニバーサルマニピュレーターと言うドライブウェポンを用いて、その怪物‥いや巨大昆虫? の運搬を開始した。
「よしっ、じゃあ帰投しますか……」「とりあえず、新しい人の到着前にどうにか出来たね‥」
基地の方向へ舵を切り、帰投しようとすると、また‥この前の様に、レーダーが乱入者の襲来を知らせた。
『また会ったな、天音響花』「‥アンカー‥私は、貴方とやり合う気は‥ないよ‥」
『だろうな‥まあ、そう思って一つゲームを用意した』
通信越しに、指を鳴らす音が聞こえた‥すると……共に動きを封じた筈の、ヴォッサが何故か活動を再開した。
『タイムアタックだ‥アイツを放っておけば、街はどうなると思う? ‥』
「あなた‥戦いを無くすために戦うんじゃなかったの?」『‥俺はお前を試したい‥それだけさ‥どこまでやれる奴なのか? ……』「こうでもしないと‥私がやる気にならないからって事?」『守りたいんだろ? その感情は、覚悟は、本物か知りたくなってな‥』
そう話している間にも、眼下であの野獣は暴れ続けている。
『挑発に乗らないで、あの機体とは‥』「ごめん空音‥やらせて‥どうやったらあの野獣を回収してくれるの?」
『‥簡単な話だ‥お前のお仲間があの怪物を討伐するか、俺を降参させるか‥ただし、天音響花‥お前が地上に降りた場合は‥』
『しょうがないか‥優を呼ぶ‥それまで持ち堪えろ!』
理不尽にも程があるでしょうが‥なんて言ったってあっちは聞いてくれやしない‥
でもやるって‥決めたんだもん‥
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ところ戻って‥とある共同墓地……
「じゃあ、行ってきます……」
私は両手を合わせて‥花を供え‥少し話したあと、母に別れを告げる。
決心もできたんだ‥
新品の赤い靴が新たな旅先へと‥快い音を立てた。
「待っててね‥“みんな”」
To be continue……
次回予告
アンカーが仕掛ける都市防衛ゲームが勃発、私を試すためって言っても‥やりすぎだよ。
理不尽な状況の最中、蒼き魔導師が、新たな羽を携え帰って来る!
次回第18話、「revenger!」
隠されし力よ、目覚めろ!