私は捜査中に地球へ迷い込み、一晩が経とうとする今…いや二日目の夜。
事はまだまだ終わる事を知らず、私を試すよに難題を強いる…
「って、前回の予告に続き、こっちまで侵略しないでくれます?」
侵略なんか断じてしてないってキョウカ…
「いやいやいや、ここ私のコーナだし、っていうかあなたそろそろ名乗ったらどうですか?ねぇ!ねぇ!]
ってもう…茶々入れるから尺足りなくなっちゃったじゃん。
さて、前回の終わりから時間は少し巻き戻りまして……
「さてと‥火が通るの結構時間かかるしなぁ……」
私は焚き火に近くで調達した幼虫数匹を串刺しにした物を焼べて、簡易的な構造ではあるけど、漂着物やポイ捨てされた容器で作ったろ過装置も十分に温まる状態にして一息つく。意外にも、焚き火や花火が許可されている場所を探すのは大変だった、まあ故に私は砂浜にいる訳で、なんとか食はどうにかなりそうな状態だ、これでどこか安めの銭湯もどこか見つかれば最高だったのに。
ゆらゆらと揺れる火がパチパチと音を出しながらいい感じの焼き色を着けていく、ホントにこういう時くらいだ、色々な本からの入れ知恵はこう言う時に、いや普通はこう言う時こそ役に立たないのか。
てか、現地調達の幼虫なんか食べるのいつぶりだろう‥普通はこんな時こそ食べないだろと言われそうだけど。
‥焼けるまでまだかかりそうだし、今日の日記はもう書いてしまおうか。
日頃から携帯しているペンと分厚いノートを出して見開に1ページ前後、書けるだけ起きたことあった事を書き留める、10才からずっとやってる日課だから、今日もすらすらとペンが進んだ。毎度ついつい熱中してしまうのだけど。
「────────あっ、ちょっと焼きすぎた」
日記を書いている間に一番いい焼き具合を逃した、ノートを閉じて火から串を遠ざけ両手を合わせて、ちゃんと「いただきます」をして少し焼きすぎた幼虫を口に運ぶ、プリっとした食感が少し懐かしい、別に昆虫食って匂いも見た目も苦手な人は多いだろうけど、正しく調理すればめちゃめちゃにいい味してるんだよね‥それにサゴワームこと確かこっちではゾウムシって言うんだっけ? まあこれが見つかったのはラッキーだ、甲殻類みたいですごく美味しいし、しかも栄養満点で見た目よりもお腹に溜まり、腹持ちもいいのだ‥普通に明日までこれで持ち堪えれそうなくらいにね、何かに襲撃されたりしなければ。
それにしても、あの灯台異常に大きいなぁ‥話を聞くにこの辺の名所の一つらしい、だけどその影響かこの砂浜、街灯はないのに十分明るいせいで、あまりムード感はよろしくないかも。
さて、1匹目を食べ終えたところで容器を見てみると、まだペットボトル一本も溜まってない‥
「やっぱ蒸留でのろ過は時間かかるか‥」
それから2匹目に手をつけた頃には奥の方にいくつか光が見えた、見た感じ漁船っぽいね、やっぱりこの地域は養殖漁場も2カ所くらいあったし、普通に港街なのかなぁ?
────────さて、2匹目ももうあと一口だ、口を大きく開けてその中に放り込んだら‥なんかきた。
「お前か、例の‥空色の瞳の少女」
私はびっくりして口に放り込んだものが喉に詰まりかけた、昼間のアイツと同じことを言っている、しかも仮面はしてるし、下げているショルダーバッグからは剣の柄のようなものがはみ出していて腰から鞘を下げているかのように抑えている、一体何者?
ってか待てよ‥私の目が青く見えてるって事は認識阻害が働いてないって事?‥もしくは…
「碧眼の人なんか他にも居るじゃないですか、外人さんとか‥」
「だが、空色の瞳にその赤いリボン、そして真っ黒な髪‥聞いていた特徴そものだ‥」
「でもその三つなんか該当する方なんて私以外にもいますし、たまたまなんじゃ‥」「お前が髪を解くと何が起こるかも既に知っている‥」
すると昼間のアイツが撮った写真ではなく、私の証明写真を投影して見せてきた‥組織単位で私を追ってる輩って事か‥本来私が追う側のはずなのに。
って言うか、このリボンの事まで知っているってなると一体全体なんで私をさがしてるんだ
「はぁ、そこまで私のこと調べてるんだ、只者じゃなさそうだね」
私がそう言うと彼はショルダーバッグからはみ出たものを引き抜いて振る、するとその風だけでかなりの砂が巻き上がった。
目には入らなかったけれども、最後の3匹目が台無しだ。
「あーあ、もったいない、あなたは、ゆっくりご飯も食べ出せてくれない野蛮人ですか?」
砂ぼこりが止むと、目の前に彼は居ない。
「雑草の目は早めに紡げと言うだろう?」「ひぃっ!」
答えは私の背後だったか‥彼は私の背後から刃を灯台の光でキラリと輝かせて私の頬の横あたりに出した、迂闊に動くとまた斬られる。っていうかあのはみ出してたやつホントに剣だったよ‥
「個体管理コード“daughter”、お前を切る」「そっちの名前まで‥それ、どこで知った?!」
その名で私を呼ぶってことは‥いや、逆にどうやって知ったんだコイツ‥だけどそれを答える気はないのか、彼は剣を両手で構えると、「すまないが冥土の土産に聞かせるほどオレは気前がよくないぞ」と私をギロッと睨んで剣を振るう、私は身体を砂に転がして一打目を交わして、すぐに峰が低い位置で迫ってきたがバッチリ軌道は見えたからバージャンプの様に飛んで交わしたけれどまだ終わらない、右か? 左か? 、兎にも角にもひたすら見切って交わし‥を続けて‥
こんな時に‥あの弓、アークウィンガーが使えたら、“あの子ら”を呼んでも目立たない場所なら‥と思ったけれど嘆いたって仕方ない、どう足掻いても辿り着けないIFはこの状況には不要、打開策を編むことを考えろ私!
「どうした、何故武装しない?」
──息をつく間もないほど続く攻撃を生まれ持った反射神経と視力、それから鍛え上げられたフットワークで無駄なく交わすけど止まる気配がない、僅か数分で既に息が上がって来た。
そして彼は私にまた切っ先を、今度は目と鼻の間あたりに向けて来た。
「やはりあの弓はお釈迦か」
「‥さ、さあ‥どうかなぁ?」
図星だからしゃーないけど、思ってることすぐに顔に出るところだけは自分で自分を恨みたい‥
「……一個こっちからも聞くけどさ、あなた私の首が欲しいの? もしくは実験材料として身体でも欲しいって事?」「どちらでもないな‥単にお前を消せと命令が下っただけだ」
彼はそう答えると剣を離して両手で構えた。
はぁ、2回目だぞこんなの……だけど相手がそうならしゃーない、あっちが消しにきてるならまんまと殺されるわけにゃいかないし、“こっち”は使いたくなかったけど‥仕方ない。
「ふっ‥あぁぁ‥ハッ!」
決断した時に彼の剣が再び竜巻を起こして巻き込まれる、だけど私はその中で首から下げた勾玉とは別の色をしたものを一緒に巻き込まれた私の鞄から取り出して蓋をし、それを空に向けて……
「セイヤッ!」「‥なっ」
その勾玉を剣に変化させて、居合をする様に竜巻を打ち消した。
「確かにあの弓は今は使えないですよ‥でも‥こんな手もあるんです、流石にこれは予習してない様ですね」
そう言いながら私はもう一つまた色の違う、今度は赤黒い勾玉を取り出し、変化させて、それにさっきの剣を収めると同時に赤い魔法陣が足元に現れ、火柱が立ち、それを断ち切って身に纏うと、その火がレオタード状のインナーにサイバーなブーツやグローブなどを付け足した二次元の現代忍者風なデザインの防護服へと変化する。
「お待たせしました‥御所望はこちらで?」
赤と黒を基調とした装いで私はニヤリと笑ってみせると彼の気迫が少し強まったのか、心が沸るとか言いそうな目をしている。
「やっとか‥なかなか斬りがいがありそうだなぁ……」「でしたら私も、今日は射貫かず斬り返させていただきます!」
そのまま私は慣れない剣で彼との剣載戦に持ち込み刃を交える。
何度も刃がぶつかっては離れ、時に交わし、砂の上を駆け回って、砂に鞘を突き刺し、それを忍刀の鍔で壁を登るように踏み台にして飛び蹴りを仕掛けるけど交わされた、それから彼は交わした動作から続けて体を転がして私の背中を取ったがそれは想定内だ。肩から背中側に刃を担ぐようにして刃を刃で受ける。
「‥暦戦の勘、舐めないでよね‥っと!」
「‥その程度で調子に乗るか──-」
そのまま互いの刃が離れて、私は振り返理ながら両手で一振り、だけど受け止められて今度は鍔迫り合いを仕掛けられた。
「中々の太刀筋だな、慣れていないにしてはな」
「‥はぁ‥はぁ‥確かに慣れてませんよ‥故に、私にこの手を使わせた時点で‥峰打ちで終わる保証はもうできませんよ!」
そのまま競り負けて飛ばされたけど、受け身のまま一回転して起き上がり、すぐに鞘を拾い、剣を鞘に戻し____「
____と鞘に入った魔力を込めた弾丸のようなものを用いて刀身に青い火を纏わせた状態で鞘から射出させて……「────────鬼火!」発射した勢いをそのまま利用して大きな半円を描くと、その火が弾けて彼を襲った。
流石にやりすぎたかもしれないけど。
「その髪を解かずしてここまでとは、少々舐めていたが、余計に燃えるなぁ‥」
耐えた!? ‥想像よりタフすぎる‥
「なかなか熱かったぞ、だが、その心意気に敬意を称してこちらの大技も見せてあげよう‥」「気前良くないって自分で言っといて気前のいい事するんだ‥」
とは言ったものの既に肩で息をしている私の疲労は相当だ、残された手はいくつかあるけど、最短かつ、体力浪費が少ないのだと2個くらいしか有効打にはならなそうだし‥しゃーないか、しゃーないけど……
私は髪を結っているリボンの端っこを掴んで唾を飲んだ、来るなら‥来いっ!
「そこまででやめておけ、相手に手の内を初めから明かしすぎるな」
さっきの彼の仲間らしき仮面の男がそこに居た。
「あなた方、一体‥いきなり襲ってきて何が狙いなんです?」
「質問には答えよう、さっきの彼みたいな野蛮人だと思われては心外だからな。
俺はお前の追っているエヴォルスコアの幹部の一人、
「って事は貴方達はやっぱりあの集団の‥で、アンカー、でしたっけ? なんで私を?」
「キミのデータを我々のボスは求めている、それだけじゃなくキミの通信網が復活すると我々にとっては不都合が多い、勿論君の首は求めてないさ、あくまで邪魔者を先に消そうとしたまでだが、データだけは取っておきたいほどにサンプルとしてキミは優秀って事だ、だけども‥だけども交渉したところでこっちに来ないのはし既に知っている、故にデータだけでもうちのドンは求めててな」
「ええ、全くその通り、私は貴方達に付く気はありませんから、仮に組織の思想は正しくてもやり方を間違えた人を取りしまるのが今の私の仕事です」
「やはりそうか、こっち側に来る気はないか」
「あるわけがないじゃないですか‥そんな危険物を無断で持ち出すような組織に、何がしたくてあんな物‥」
私は彼を睨みつけながら尋問を続ける、けれどこれ以上の質問には答えようとせずに「それが気になるなら自分で探れ」の一点張りだった。
「うちの野生児が迷惑をかけたな、だが、これ以上の親切心は向ける気はない、お前も切られる相手のことはある制度知っておきたいだろう?
帰るぞ、フォイ」
「あ? 途中できて邪魔しやがって‥こいつを遣るのが‥アタタッタ‥
お前、次は……その目を2度と開けれなくしてやるからな! 覚えてろ! ────────」
そう言うと駄々っ子を連れ帰えるようにアンカーは彼を引きずりながら転送ゲートらしき光の上に立って消えた。
とりあえず、助かった‥‥
二人が去っていった直後、安心して力が一気に抜けてガクンっと体が崩れ落ちかけた‥なんとか剣を砂に刺して倒れるのはとりあえず阻止できた。
はぁ……やっぱり、慣れない物使うのは余計体力いるや‥付け焼き刃でどうにかなっただけ今回はまだ良いのかもしれないけど‥
するとさっきまで使っていた武装の支援AIが目を覚ました。
「
「二人とも、大丈夫だよ……でもかなり‥疲れた‥かな──」
ここから先の記憶は曖昧にしか残ってない、どうやら砂浜にバタリと倒れてしまったらしい、この後に二機が何かを言ってた様だけど、その声は私の耳に届かず、そのまま夢すら見ていない状態で私は死んだ様に砂浜に倒れ込んでしまった。
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「さっきの青い火ってこの辺でしたよね?」
「ああ……ッ!? 、お前、大丈夫か?」
私を見つけた誰かが身体を揺さぶる、けれども私はそれに一切気が付いていない。
「脈はある‥体温も呼吸も正常……単に寝てるだけっぽいな」
「ヒデさん、どうします?」
「まあ、野ざらしにする訳にもいかないしな、事務所に連れ帰って一晩寝かしといてやろう、こっから近いしな‥それに、コイツ怪我してやがる‥おい、とりあえず足っ側持て」
「へ? ‥あっは、はい!」
とまあ、私がどうなったか気になるかと思うけど、ここでとりあえず、またキョウカに語り部をパスしようか。
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そこから30分前後した頃……
「あお〜ちょっと煮込み始めるの早かったんじゃない?」
「だってさぁ‥お父さんが遅くなるって分かるわけないじゃん‥」
水原家のすき焼きの準備が整った頃、愛緒の両親は少し急用で遅くなると電話が入ってきた、一体港で何が起きたのか?
でも、電話てきたって事は船は昨日の影響を受ける事なく戻ってこれてるんだよなぁ‥日出海さんがまた何か見つけたか?
と‥そんな事を考えている間に二人は帰ってきた。
「おっ? バックする音‥」「帰ってきたね」
「……」
毎度の事ながら航太は乗り気じゃなさそう。
ではでは、お出迎えしなきゃね。 3人で玄関で靴に履き替えて車庫へと歩くと、二人揃って降車するところだった。
「おかえりなさい、お父さん」「ああ、ちゃんと帰ってきたぞ」
そんな会話をしながら日出海さんと愛緒がハイタッチする様に掌を合わせてお互いにに笑った。
「また背伸びたなぁ‥」「まだまだ勝てないけどね」
一年の間に家にいることが少ない職業のせいか、日出海さんは静かに笑い、久々の我が子の姿を堪能している。
「響花、お前もだいぶ伸びたなぁ‥カナさんと見違えたぞ」「お世辞はいいって日出海さん……それに海に出る前からあんまり伸びてないよっ‥tちょっと‥髪の毛くしゃくしゃしないでよ〜」
「でも、前みたいな気の抜けた顔じゃ、なくなったな」
「そうかなぁ‥ってだからっ‥もうっ! 私も子供じゃないんですよ!」
「悪かった、悪かった。でも流石に6年も居候してんだ、俺にとっちゃお前も娘みたいなもんだよ」「‥実の息子そっちのけでそれいいます?」
航太はこっちを見たままちょっと不機嫌なようだ、前回もそうだったけど。
「なんだ航太、おかえりもなしかぁ?」ニコニコしながら日出海さんが近づくと、航太はわかりやすく嫌がった。
「‥ったく、俺も子供じゃないんだよ‥ベタベタすんなって」
そうとだけ言って先に居間へ戻っていった。
わかりやすい反抗期かな? まあ航太って昔から照れ屋だしね……あっそれだけじゃなくて、今日の試合2点差からのブザービートでのスリーポイント外して悔しがってるって愛緒が言ってたっけ……てかそんな一か八かのシュートを咄嗟に
「航太ももう年頃か、早いもんだなぁ〜」「ちょっとお父さん、声大きいって」
「コータ、余計にへそ曲げますよ?」「確かにな」
「とりあえずっ、さっさとごはんにしましょうか」
「だな」「賛ッ成」「ですね」
そのままゾロゾロと家に入っていく、途中でふと気になった。
「そう言えば日出海さん、今日なんで遅くなったんですか?」
躊躇いもなく口に出すと割とあっさり答えてくれた。
「それがなぁ、砂浜に青い炎が見えてな、それで舟着けてから見に行ったら砂浜で大きいリボン付けた子が倒れてたんだよ……ちょうどお前らくらいだと思うが、こんな時代でも殴り合いの喧嘩ってのはする奴はするんだなぁ‥あ、どうした、愛緒?」
「その子、もしかして‥昨日、私助けてもらった子かも! 写真ある?」
「昨日? あの羽の生えたバケモンが出た時にか? ‥」「うん‥」
「流石に写真はねぇけど‥」
愛緒を助けた子? ‥そう言えば、愛緒に瓦礫が降った時に、その瓦礫は不自然に空中で割れてたけど、その直後の人影かな?
「まあ仮に愛緒の恩人だったなら、しっかり礼を言っとかなきゃな」
……てか、待てよ……灯台のあたりに青い炎って……ライトが何か知ってたりするかな?
「キョウカ?」「ううん、なんでもない……沸すぎちゃう前に戻らなきゃだ‥あ?」「なーんかヘンだね、昨日から」
「そうかな?」
誤魔化して笑うけれど、愛緒に隠し事って今までしたことなかったなぁ、これが初めてだ‥でも言ったら愛緒に迷惑かけちゃうよね‥
翌日‥
「はっ! ‥あっ‥ありゃりゃ?」
意識を取り戻してガバッと体を起こすと‥ってガバッと? ……確かあの二人と戦ってそのまま砂浜に‥うつ伏せで倒れたはず。
じゃあなんで今仰向けなんだ? それにあたりを見ると見慣れない天井や家具に囲まれているし‥って事はあの二人と戦ったのは夢‥じゃないよね‥てかここ‥どこ!? ‥って鞄は!? ……
そうパニックを起こしている私の耳に「おや、お目覚めかい?」と、お婆さまが私に話しかけた。この人に連れ帰られたって事?
「ええ‥はい」「そうかい、あんた傷だらけで砂浜に倒れてたんだよ、結構鋭利なもんで斬られた傷ばっかやったけど、そんな物騒なもんで喧嘩でもしたのかい?」
「まあ、はい‥喧嘩して負けた‥みたいな感じです」
私はそのお婆さまから顔を背けながら答える。
とりあえず喧嘩かどうかは置いといて、確かに私は負けた、完敗ではないけれど、確かに負けた‥アークが、相棒がいなきゃ私はここまで力不足だったなんて……
そう声に出さず嘆いていると、お婆さまはまた私に話し始めた
「若いねぇ、だけんど手当大変やったよ、ヒデさんが連れて来てな、“オイ! すぐ救急箱持ってこい! ”って大声出して来て、見たら傷だらけ、あれだけ怪我しとったからかなり衰弱してよ〜く寝とったよ」
「お見苦しいものをお見せしました」「気にせんでええよ‥過ぎた事は」
改めて自分の身体をよく見てみると、少々古臭い寝巻きに身が包まれ、スカート状になっている裾からは太腿から下がはみ出していて、脚には幾つかガーゼで傷が塞がれた箇所があり、腕もまた、絆創膏とガーゼで手当てされた箇所が見られた。
それから頭と‥!?
「あの‥私の髪留めと、首から下げてた‥」「髪留めは砂だらけやったから服と一緒に洗ったよ、まずかったかい?」「いえ、ただ結んでる方が‥落ち着くので」「そうかい、ならちょっと我慢してな‥それから首から下げてたもんってこの勾玉かい?」「はい! それです、よかったぁ‥」
「これ、大事な物なんだろうと思っとったけど‥」「はい、髪留めも、この勾玉も大事な人との思い出の品で、なんか、身につけてないと、落ち着かなくて‥」
「なら、はよ乾かさんとあかんなぁ‥」「なにからなにまでありがとうございます、こんな見ず知らずの私の為に‥」
「礼なら、ヒデさんに言いな」「ヒデさん?」
「この辺の漁師さ、日出海さんって言ってな、丁度市場におると思うよ」
「漁師‥って事はやっぱりこの辺って‥」
「おや、あんたこの辺の子じゃなかったのかい」「ええ、まあ‥この地域に来るのは初めてで‥」
「そうかいそうかい、やったらちと、おしえよか?」「是非! ‥あっ」
私のお腹が鳴った‥そういえば今、何時だ? ‥
「昼まで寝とったもんな、ほら、これお食べ」
そう言いながらお婆さまは机の上に置かれていたお盆をラップをしたまま私に差し出した。
「‥いや‥泊めていただいて、ご飯まで頂くのは‥一宿一飯の恩をお返しできるほど、私‥何もできませんので‥」「ええよええよ、困った時は他人を頼りなさい、それに、これ売れ残りやから‥食べてくれると、捨てんで済むんや」
もう一度私のお腹が鳴った‥これは逆に遠慮する方が失礼か? ‥だったらありがたく、ご好意をいただくのが正解かなぁ……
私はお盆を受け取り、ラップを剥がして両手をあわせてっ……
「なら‥いただきます」「泣かんでもええよ‥」
だって、タダ飯だよ? こんなにありがたいものはないじゃないかぁ!
そして、私がご飯に手を付けるとお婆さまが話し始めた。
「じゃあ、早速始めるよ。
この辺は
「おバカではないと思いますけど‥」
「まあどう思うかは自由やけどな、それで元々は本州にすごく近い漁師島やったが、今は合併して本州の一部もここの土地になってからは大きな橋で結ばれた二つで一つの街って言われとる港町さぁ」
「二つで一つの街……では、こちら側は?」
「ここは昔っからの離れ島のほうだねぇ‥あっちは戦いで焼かれたあとに都市開発されてからは商業区って呼ばれとるよ」
「って事はだいぶ昔にはもう橋で繋がってたんですね」
「橋が繋がれたのはそれくらいの頃さ、でも商業区なんて呼ばれ方はここがまた焼かれた後のことさ」
「ふぇっ? ‥じゃあいつから……」
「覚えてないのかい? 6年間の戦いを」
そんなに最近にも!? ‥日本ってそんな最近に何かあったっけ? ‥
「なーんだい都会の子は知らないのかい。
6年前、辺な船が攻めて来て、ここが焼かれたんよ‥その時に
私の知らない日本の記録‥勉強不足か? ‥でも地理は分かったし‥って魔法もなしにそんなこと‥できたのか?
そう思っていると、ガラッと引き戸を開けて大柄な方が入ってきた。
「おお、お前さん‥目が覚めたか?」
「あなたが‥」「ヒデさんだよ、お礼言うならさっさといいな」
お婆さまに背中を押された。
「あの‥昨夜は、ありがとうございました、お陰で野ざらしで朝を迎えずに済みました」
「いいんだよ‥今後は気をつけな」
To be continue
結局君名乗ってないじゃん
「まあまあもうちょっと待ってって」
まあいいや、悪夢で目を覚ました私は航太の練習相手にされて‥
ってまた尺足りないんですけど!
次回、第7話「鳩のち発進[side-A]」
セーフティリリース、ユニゾン…ゴー!