響ヒビカセ心ニ届ケ(仮題)   作:高町魁兎

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さてさて、前回のおさらいターイム!
「前回はもう一人の語り部である彼女がメインで進んじゃったね…」
うん、あの組織や…それに愛緒助けた子…気になる事だらけだね。
「とりあえず今週も…」
ちょっと早くない?
「でもあと何かあったかなぁ…」
ないね。


#07 鳩のち発進[side-A]

「母さん……母さん!」

 なんで……なんで振り向いてくれないの? ……私の声が届いてないの? ……

 果てのない道でただただ追いかけても、追いかけても離されて、声に気づく様子もない。

 どれくらい走っただろうか、息も上がってきた、追いつけない、並べない、顔を見ることも、出来ない。

 そして、もう止まったら走れないほど体力を浪費したころ、私の足を謎の手が掴んだ。

 それをねじ切るように無視して引きちぎりながら走っても、その手は何本も生えてきた。

「止めて、なんで! なんで邪魔するの!」

 この声には気が付いてくれたのか、振り返って私の方を向いて手を伸ばしてくれた、だけど振り返った母の顔はぼんやりと靄がかかって見えた……でも、伸ばしてもらった手を握り返せず、そのままズブズブと闇の中へ誘われ、目の前が真っ暗になっていく……

 ああ、もうだめだと目を閉じて、再び開けると……

「母さん……やっと……のにゅい……」

「キョウカ? 、キョウカ? ……大丈夫?」

 目の前に広がった光景はさっきまでの果てのない道ではなく、愛緒の部屋だった。ってことは全部夢? だったの? 

 意識がはっきりしてくると、目の下がジンジンする、触ってみると見事な泣きっ腫れができていた。

「キョウカ? 、ねぇ、キョウカ……」

「……」「キョウカ!」

「わわっ! 、お、おはよ、あお……」

「おはようじゃないよもう……何時だと思ってるの?」

 すぐ横の時計を見るととっくに短針は左を向いている。もうそんな時間か……

「久しぶりにキョウカの泣き顔見たかも」

「そりゃあ私ももう16だよ、人前で泣きますか」

「って言ってウチ来た頃からキョウカってめったに泣かない子だったけどね」

「そうだっけ?」「うん、私の中では結構強い子のイメージなんだけど。ま、とりあえず冷めちゃったけどご飯あるから、さっさと着替えて食べちゃって」

 愛緒がさっと立ち上がってすぐに部屋を後にした後でパジャマから着替える、姿見、見たくないなぁ……泣きっ腫れた自分の顔なんか見たくない、見るもんか。

 とりあえず、時間もう遅いし、テキトーに引っ張り出したサテン生地のテカテカしたクォーターパンツと、たまたま引っ張り出したら出てきた"I miss you(恋しいよ……)"と筆記体で胸元に書かれたTシャツに首を通してこれから運動でもするんですか? という装いが出来上がった。

 にしても、愛緒、文字Tコレクションは相変わらずクセ強いなぁ、毎度毎度どこで買ってくるんだろ。

「ふっW……わかりやすっw……」

 下に降りてくると私のTシャツをみて吹き出した。ミスったなぁ……愛緒も英語強いんだった。

「いいじゃん、筆記体だし多分バレないし、っていうかどこで見つけてくるの?」

「それはね……」「ちょっと待った、それ長くなる?」

「1時間くらい?」「じゃあいい」

 日曜日のこの時間は確か……ああ、30分前と30分後だから今週はいいや。

「いただきます」

 ご飯がよそわれた茶碗を前に両手を合わせていただきます、やっぱ愛緒の料理をこの頻度で食べられる私は……いや、安直なパクリに近いギャグはかまさないでおこう、絶対滑るから。

 テレビもつけずに、とぼとぼとご飯をほおばりながら愛緒と談笑する、それは、昨日まで非日常な目に遭ってたのが噓みたいに今までと変わらない何気ない時間だった……

 でも、ご飯食べたら「毎日来なくてもいいよ、キョウカにもプライベートがあるんだし」って言われたけれど、ライトのところ行こうかなぁ……って航太居るにしては何か静かだなぁ、かといって日出海さんは朝から市場で結海さんも出勤してて…………あれ? 今日も練習だっけ? 

「ねぇ、あお」「なぁに?」「コータは?」「航太? 航太なら……ひゃっ!」「あいたっ!」

 ご飯を食べた後で愛緒に尋ねると庭から円卓にワンバウンドしてからのヘッドポンプで私の額に見事ヒット、さらに円卓の上をワンバウンドしてもう一回航太の手に戻っていった。

「おっ、うまくいった」

「航太! 食器割れたらどうするの!」

「い~じゃん別に、それより」

「それより。じゃ、なぁぁぁい!」「まあまあ……」

「キョウカ、付き合え」「ちょっ、もうちょっと頼み方あるでしょうが!」

「なんでキョウカ相手でそんなこと意識しなきゃいけねーんだよ……」

「あ? 、これでも一応私のほうが年上だぞ!」

「それがなんだよ、じゃあ分かった、ストリートノアイテヤッテクレマスカ、キョウカサン?」

「ああ……どーせ断ったら面倒なのわかってるから、だけど私は君に都合のいい女じゃないんだぞ」

「ヘイへいわかってるよ」

 ほんっと可愛げない、あの頃の航太はどこに消えちゃったの? ……

 

 

 

 という訳でしばらく経ちまして……

「よっと‥やーりぃ!」

 バッと一発‥とはいかずリングに当たっての2ポイント、これで3-4っとまあ一点しかリードしてないけど。

 てかしっかり接戦? 

「で、私とやって練習なるの?」「いや、ただの憂さ晴らし、のはずだったんだけどな」

 航太はボールを受け取って私に渡しながら……「やっぱ強いや」と言って返球を待った。

「別に‥私は全然強くないって」

 ボールを返し航太の足音とボールの音に耳を澄まして……タン、ダン、ダン‥今っ! 

 予想通り飛んだ、そのままフリースローラインから打たれたシュートをカットして攻撃権を奪い取った。

「……」「‥ごめんね‥航太のリズムは大体覚えちゃったからさ」

「リズム?」「うん、航太とやってる間にさ、ドリブルのリズムが崩れたら多分打つな、とか、早くなったら多分曲がるなぁ‥とか大体読めるからさ、はい、次行くよ次^_^」

 そうやってボールを渡し、返ってきてすぐに航太の左側から抜けるべく真横を‥って珍しくアイドリング!? 

「隙ありっ‥いぃ?」

 真横に並んだ途端に航太がドリブルを妨害して捕ろうとした時、間違えて私の手を弾いて、勢い余って無いボールを突いて転んだ

「ボディタッチ、ファールだからまたパスから‥ってどうした? 疲れた?」

「いや、全然‥」

 手を伸ばすとそっぽむいてちょっと恥ずかしそうにしながら私の手を掴んだ。

「私の真似事? ‥って言えるほど上手くないけど、とりあえずインターバル入れる?」「勝手にしなよ」

 ほんとに素っ気なくなっちゃったなぁ……

「じゃあ、一旦きゅうけ〜い」と言いながらゴールにテキトーに投げると‥「……マッチポイント」「えっ?」バックボードに当たることなく綺麗に決まってしまった。

「あーあ、調子悪っ‥」「もー、相手しろって言っといてさぁ‥」

「やっぱダメなのかなぁ……」

 航太はペタンとコートに座っていじけている‥昨日の事よっぽど悔しいんだ。

「航太、愛緒から聞いたけどさ‥ブザービート決めれなかったんだって?」

「知ってるのかよ、どーせこう言いたいんだろ“だっさい”って」

 あーはいはい。

 とりあえず私は隣に体育座りして耳元で囁いた。

「でもさ、外れたとしても、投げただけかっこいいよ、だってなにも出来ずに終わったんじゃなくて、ちゃんとトライしてダメだったんでしょ?」

「まあ、そうだけどさ‥でも外しちゃ意味ないだろ」

「って言ってチームメイトから責められた?」「いや……」

「なら運が悪かっただけ、相手が強かったって思って昇華しなよ」

 航太はまだ不機嫌そうだ。

「まあ、そうしたいならいいよ……」

 私はTシャツの中から母さんの笛を取り出してとある曲を吹いた。

 “伝書鳩の唄”、この地域の郵便局で昔使われていた唄なんだけど、その野生化した伝書鳩の子供にも“この唄の方に人がいる”と言う目標として伝わっていったと言う経緯でこの唄を吹くと餌を求めて鳥が集まる‥まあこの地域限定だけど。

「……ふう‥好きでしょ? この曲」「これも好きだけど……」

「他のが良かった?」「別に‥(相変わらずこの唄すごいな……)」

 ちっちゃい頃の航太は私がこの唄で鳩集めすると喜んでくれたけど、今もそれは同じっぽいや‥

 とりあえず航太的には邪魔そうだから何かしら餌だけあげて帰すか。

「じゃ、またね」

 再び笛を口に当てて曲の後半を吹くと一斉に飛び立って各々の巣へ戻っていくこの光景はなかなか神秘的で自分がこの鳩全てを従えているかのような気分になる。この光景を見るために餌を用意してはこの唄を吹いたっけ‥愛緒と航太と一緒に‥ん? もう一人誰かいたような気もするけど、誰だっけ? ‥。

「ほんとに何回見てもこれすごい技だね‥キョウカ、キョウカ?」

「────────まだ見ぬ〜先へと♪ ただその場所へ〜その〜場所へ……」

 思い出そうとしている間に無意識に母さんの子守唄を口ずさんでいた。

「心地よい風が────────あっごめん、コウタ……」

「ほんとにキョウカって無意識によく歌うね」

「だね、自分でもびっくりするくらいね‥あ‥ふぇ?」

 質問に答えながら航太の方を見ると目を疑う光景が広がっていた……

 目の前には四足歩行の巨大な何かがいた、普通にSANチェック級の出来事が‥また起きてるんですが。

 

「___バカ、何してるの! ……だけどこっちもお目当ては見つけたわ、後で合流しましょ___」

 

「とりあえず逃げよう……ッ! ‥オイ!」

「コウタ!」

 コートから離れようとすると、茂みから出てきた誰かがコウタを羽交い締めにし、もう一人が私の前に立ってお辞儀して話しかけてきた。

「手荒でごめんなさいね^_^、ところでお嬢ちゃん‥あなたのその鍵、譲ってくれないかしら?」

「なんでですか? 嫌ですよ」

 そう言うと彼女は私の顎に手をかけてクイっと上に上げながら話を続けた

「あの怪物はあなたが目覚めさせたのよ‥そんな危険なもの‥」「だとしても、見ず知らずのあなた方に預ける通りはないです、だから‥」

「なら、それを渡さなかったらこの子を仕末するって言ったら?」

 もう人の男が羽交い締めにした航太に拳銃のようなものを突き当てた。

「なんのハッタリだ!…ッハナセッテ!」「‥あなた方‥初対面の相手になんて汚い交渉を!」

 航太は助けたい、でもこの人たちに渡しちゃいけないのは肌感覚で判った、漫画やドラマじゃよく見る展開だけど、いざ自分が置かれると冷や汗が止まらない。

 どうにかできる第三の方法はなんだ? ……そう考えて居るとその怪物が真上を通る、すると私に問い詰めていた彼女が私の首根っこを掴んだまま近くのビルの上に飛びその屋上に私を投げ捨てた。

「キョウカ! ……こんのぉ‥」「oh!?」

 それを見ていた航太は自分を羽交い締めにしていた男の腕に噛み付いて、ボールを拾って顔面に当てたあと、怪物の進行方向がその方向だったと気づかないままボールを持って私が連れ去られた方向へ駆け出した。

 さてさて、状況戻って、投げ捨てれた私は……

「イタタタ‥」「さて、その鍵を‥」「だから渡しませんって! なんでそんなに欲しがるんです?」

「その理由はあなたは知らなくていいの‥兎も角、その鍵を探し回収しろとだけ命令が下っているとだけ教えてあげる」

「なら、ダメです」

 鍵を渡せ鍵を渡せ‥そればっかだ、私は投げ捨てれた場所から破片を退かしながら立ち上がって睨み続ける。

「なら、そちらが納得する交換条件を提示してくれるかしら?」

 ‥その発言を聞いた時、ちょっとした言葉遊びが思いついた‥上手くいくかな? 

「でしたら、あなた方がこの鍵を手にするのを諦めた頃に差し上げます‥」

「あなた、”受け取った時点でまだ諦めてませんね、では不成立で“って言うきでしょう‥」

 ちぇ、読まれたか‥でもあとなにが‥!? 

「ふざけないでちょうだい!」

 ついに武力行使に出られた。

 初手の蹴りを身体を横に転がして避けれたけど、こうなられたら流石に‥

 勝てない。

 母さん仕込みの受け身と回避術をフル活用し‥いやできないくてあっという間に柵に背中が付き背水の陣になってしまった。

「随分とちょこまかしてくれたわね‥」

 距離を徐々に詰められて首から下げていた鍵を庇った。

 ああ、今度こそダメか‥ごめんね‥愛緒、航太…………ライト……

 諦めたその瞬間、目の前にストンっと白い影が落ちてきた。

「へぇ‥こんなの集めて何したいの? ロクでもなさそうなことな気がするけどっ!」

 その誰がが回し蹴りで距離を離させると、彼女が驚いて少し怯んだ。

「……天使!? ‥いや見間違い‥よね」

 そして彼が私を庇うようにこちらを向いて、私の頭の裏に手を回そうとしてみたけど背丈が足りない。

「可哀想に‥迎えに来たよ‥キョウカ」

 そう、そこに立っていたのは、昨日私が置いていった衣服に身を包んだライトだった。

「この子、どこから‥」

「ライト、出れないんじゃ‥」「昨日も言ったでしょ? 出れるけど入れないから実質出れないだけって‥」

 呆れた顔をしたライトは無愛想に右手を差し出した。

「とりあえず、あの怪物はキョウカがいなきゃどうにもできないから迎えに来ただけ、勘違いしないで……行くよ?」「‥うん」

 右手を握って立たせてもらうといきなりライトが走り出して反対側の柵を蹴破って私もろとも身を投げた。

「ちょっ‥なにして‥ってコラ! どこ掴んで‥」

 空中で手を離して私を抱くと、地面スレスレからVの字でグイーンっと空へ舞った。

「僕の背中の羽は見せかけじゃないんだよ♪」「先に言ってよ‥心臓に悪い‥」「ごめんね」

 そのまま一旦怪物を振り切りあの場所へ降りて‥格納庫へと滑り降りて……

「あーキョウカ‥流石に着替えたら? 探したら何着かカナの置いてったの見つけたし」

 格納庫で改めて自分の姿を見ると思ったよりボロボロだ‥

「うーん‥じゃあテキトーに‥あっあっち向いててよ!」

 Tシャツを脱ぎ捨て、テキトーに掴んだサーフシャツに袖を通して、ってこれノースリーブだから袖ないや‥で一緒にハンガーにかかっていた黒いタイトスカートと、隣に下がったシュノーケルコートを羽織ってチャックを閉めた‥いや待て‥なんだこの戦隊的格好は。

「OK、これで良い?」「うん♪ カッコいいね」

「とりあえず‥航太が無事かも確かめたいし‥さっさと行こうか!」

「行程は覚えてるよね?」

「多分バッチリ」

 様々な確認画面をスキップするように目を通して鍵を笛から出して……

「セーフティリリース、ユニゾン……ゴー!」

 勢いよく刺して回すとキャノピーが閉じ射出機構が起動した。

「天音響花、「ライジング=エンジェル……発進!」」

 迸る電磁波が磁力を生み、高速で空へ私たちを投げた。

 そして翼を開き来た道を辿ると、隣にこの前のもう一機が隣に着いた。

「あれってこの前の‥」「5号機、ミラージュ=エルフ、かつての僕らの仲間だ」

「って事はあの機体もライトと同じように‥」「うん、5号機の駆動炉核士(コアドライバー)も僕みたいな感じで‥でも背はあっちのが高かったかなぁ」

「へぇ……」「だけど、パイロットは多分別人……近いけど少し違う立ち回りだったね‥まあ6年もあれば世代交代してても違和感がないね」

「ライトが知ってるのって母さんの‥」「もちろん、七音遊撃隊(オクターヴ・ウィングス)時代のパイロットだよ‥だから年齢的に現役降りてるかもね……」

 ・

 ・

 ・

「あの機体‥本当にそうなのかしら?」

「ええ、でも乗ってるのは意外と知り合いかもしれないわね」

 ・

 ・

 ・

「見えた! ……?」

 現場まで戻ると怪物の姿は見えたけど航太の姿は見当たらない……ちゃんと逃げれただろうか? 

「とりあえず、闇雲に撃つのはよして‥海の方へ誘導できれば良いんだけど‥」

 誘導かぁ‥まずどうやってこっちに注意をひけばいいんだろ…。

 

 

 Continue to side-B‥

 see you next time




次回予告
突如現れた怪物、その目的は?
それから響花が飛び立った後航太は?
そして響花と航太を襲った誰かの正体とは?
次はその答えを同時刻の別の場所の話から次は始めようか
次回、第8話「鳩のち発進[side-B]」
さて、やれるだけ頑張ってみますか。
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