4月1●日-1ページ目
大事な作戦曰くグランドオーダー当日。白野の言う通りにそのミーティングに参加した俺だったが、追い出されました。
……うん、そうなってもおかしくない程の理由があるのだ。
これまでの不参加もあって意味も分からず欠伸をしてしまい、更には素行の悪さも相まってか、オルガマリー所長から注意&ヒステリーを起こされたから。
『貴方みたいな素行が悪く、人理救済の意味を知らない人がグランドオーダーに参加する権利も何もないわ! 早く出ていきなさい!』と制服上着を取られて追い出されてしまった。お陰で今はTシャツとズボンのみだ。
まあこれに関しては俺が悪い、うん。個人的に反省しなければならないな。
「というわけで一緒にサボらせてくれ、ドクターロマン」
「あはははは、僕は理不尽な理由で追い出されたけど、君はまぁ自業自得だよね」
「云わないでくれよ……」
どうも彼――ロマニ・アーキマンに言われると耳が痛い。彼曰く「こっち方が呼びやすいから」とのことで、ドクターロマンと名乗っている。
彼は賑やかな人物で、ノリがよく、Aチームの二人よりも先に仲良くなった人物だ。あとオタク気質もあるので、時折一緒にサボって、お菓子を食べながらゲームをしてた。
今でもロマンの元サボり部屋兼俺の部屋で、ドクターは和菓子を、俺はケーキを片手に過ごしている。
「あと、猛留くん。彼女は君にとって苦手な存在だろうけど、彼女もグランドオーダーの責任とかで必死で――」
「オルガマリーのことは嫌わないでくれ、だろ。 まぁ今回の件というか色々諸々俺が悪いからな、別にそうはならんよ。あいつも若いのに大変だよな」
キシュタリアにも聞いたが、家督の受け継ぎも父の急死による急なもの。到底背負う準備も出来ていないタイミングで背負う羽目になり、心身共に余裕が微塵もなくなったことで、ああなったとのこと。
……逃げ出さないだけでも偉いと思うのに、彼女は戦う方を選んだ。それは誰にでも出来ることじゃない。彼女が本当に強いから立ち向かうことを選んだんだと思う。
「まっ。謝罪して適当な甘いものを上げて、キシュタリアたちとお茶会をしてご機嫌取りをしようと思う」
「あははは。それで機嫌が直るといいね」
「あっ。その間の仕事は勿論ドクターにお願いするから、よろしく」
「自然な流れで僕の仕事を増やしたね、きみ!?」
ドクターロマンの悲痛の叫びに俺は無視して、最後の一口となるケーキを食べ終える。
すると、ロマンの通信機から連絡が入ってきた。
『あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないか? Aチームは万全だが、Bチーム以下慣れていない者に若干の変調が見られる』
「了解だ。医務室にいるからすぐに向かうよ」
……さらっと嘘をついてたな、ロマン。
だけど俺は敢えて言わない。だって必要に応じて嘘をつくのもあるからな。
とりあえず俺は一言。
「まっ、頑張って。プータローの俺はここで寝てるからさ」
「……うぅ、今回ばかり君が羨ましいよ」
他人事みたいに応援して、俺はベッドに寝転がろうとしたとき――。
強烈な爆発音が響き、緊急事態を知らせる館内アナウンスが流れる。
『緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、及び中央管室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第2ゲートから退避して下さい。繰り返します。中央発電所、及び中央―――』
ただならないことが起きていることを悟ると同時に、再度爆発音が響いた。
中央管室って……白野! 俺はベッドから降りて、部屋から飛び出して駆け出していった。後ろからロマンの声が聞こえるも無視して、アラームが鳴り響き続ける廊下を駆け抜けていく。
そこはまさしく地獄だったと言いようがなかった。
爆発の中心点だったからだろうか、無残にも辺りのものは抉り取られ、轟轟と炎に巻かれる管制室であったもの。
だけど俺はそんなことよりも白野を探すことに夢中だった。たった一人の幼馴染が大丈夫なのか、その一心で探していると――見つけた!
「猛留!?」
「みどり、かわさ、ん?」
煤と怪我を負っている白野が、下半身を落石に潰された少女――マシュ・キリエライトを助け等と瓦礫を持ち上げようとする姿があった。
白野が無事だったのはいいが、まさかキリエライトが潰されているグロテスクな場面を見るとは思いもせず吐き気を催した。だが、それを必死に我慢しながら、俺はキリエライトの瓦礫をどかそうと持ち上げようとするが、動きすらしない。
「もう、いい、ん、です。 おふたりとも、にげて……」
「ダメ! 絶対に助けるっ、その弱気しか出ない口閉じといて!」
何とも男らしい発言だっ、白野に同意するように必死に持ち上げようとするも全然できない。
『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました』
そんな時に、機械的な声が響く。
『シバによる近未来観測データを書き換えます。近未来百年までの地球において 人類の痕跡は 発見 できません。人類の生存は 確認 できません。人類の未来は 保証 できません』
『コフィン内マスターのバイタル 基準値に達していません。レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。適応番号47、岸波白野。適応番号48、緑川猛留をマスターとして再設定 します。アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します』
その言葉とともにその場にいる全員の体が少しずつ黄金の粒子へと変換されていく
「あの……せん、ぱい……手を、握ってもらって……良いですか?」
キリエライトの言葉に頷いた白野は彼女の手を優しく握りしめる。
――おいおい諦めるのが早いだろっ、まだ何とかなる!
『レイシフト開始まで、あと3――2――1』
『全行程終了 ファーストオーダーを開始します』
凄まじい光の奔流が周囲を照らし出したのと同時に、俺らを飲み込んだ――。
『猛留様、お忘れ物がございますよ? これから先向かうのは危険な場所――ドライバーとライズキーを入れたバックは持ち運んでください』
……すいませんでした。
脳裏に響いてくる言葉に、そう謝罪するしかなかった。
* * * * * *
4月1●日-2ページ目
気づけば俺は燃え盛る廃墟も同然の街にいた。
あちこちから火の手が上がっているせいか、黒煙が至る所から上がっている。その上骸骨のような化け物が辺りを彷徨いていた。
…………白野たちの姿がないな、はぐれてしまったんだろうか?
背中に違和感を感じたので見てみると、なぜかバックが背負ってた。あれ? 俺、バックなんか持ってたっけ?
背後からカラカラと何か地面に引きずる様な音が聞こえた。
振り向くとそこにはカットラスを持った6体の骸骨達が俺を見てケタケタと不気味に笑っている。
まず第一に思ったのは、これ死ぬわ、だった。
だってそうだろ? ホラー顔負けの骸骨が今にでも襲い掛かろうとしているんだ、しかもこっちは戦うことのできない一般ピーポー。
逃げようにも火が回って、どこに行けばいいのか分からない。
「いでっ」
しかも、後ずさった際に転がって尻もちをついてしまった。その隙を見逃さなかったか、骸骨たちが一斉に襲い掛かってきた、あぁこりゃあもう絶体絶命――。
【KAMEN RIDER】
機械的音声が鳴り響くと同時に、地面から何かが飛び出してきた。
……それは、バッタだった。
しかし、緑色の生身なものでなく、全身機械のロボットだ。周辺の地面が抉れるのもお構いなしに跳ね回っている。そのおかげか半分の骸骨たちは踏みつぶされて、残りはあと三体だ。
「ギィ、ギィイイ!」
バッタは、俺の眼前に降り立つと同時に、片足を上げて俺のバックを指す。
……このバックに何か用があるのか? バックから取り出したのは、銀と赤色のバックル型デバイスとティールブルーのカード型デバイス。
これが一体何だというのか首を傾げていると、バッタは苛立ったように呻き声をあげたと同時にデバイスたちを蹴り上げた。
上空に蹴り上げられたカード型デバイスは吸い込まれるようにバックル型デバイスに差し込まれる。すると、バックル型は右手側にレバーが付いている銀と赤色のベルトとなって、上空を飛び回ってから俺の腰に巻きついてきた。
そして、自動的に右手側のレバーを引かれ、カード型デバイスが強引に開かれることで展開された。
【CYCLONE RIZE】
【ROCKING HOPPER】
【TYPE ONE】
強烈なスパークと共に身体全体に急激な痛みが襲い掛かってくるのと同時に、俺はスーツとアーマーを装着していた。
……この時初めて変身して思ったのは、何故か懐かしさと力強さを感じたことだった。
それが一体なぜなのかは分からなかった。