カムラの里と大社跡並に、ユクモ村と渓流は近かった。ちょっと竜車に乗れば、数分で着く。
紅葉彩る清水の源、渓流。
主に生息するのは青熊獣に狗竜、迅竜に泡狐竜、雷狼竜。海竜が出ることだってある。
風光明媚な見た目とは裏腹に、割と危険地帯だったりする。ちなみに、この先には霊峰が存在しているのだとかなんとか。実はあんまりよく知らない。
「さーて!ウチらはこの辺に行くわ。バルク君らには、この辺……森と水辺やな。巡回しながら、もしドスジャギィがこっち来ようとしとったら、妨害頼むわ」
アトラさんが地図を見せながら説明してくれる。
「分かりました」
「終わったら信号弾打ち上げるかんな。で、もしそっちに緊急事態があったらこれ打ち上げてや」
信号弾が詰められた単発の銃を渡される。セーフティのピンを外して引き金を引けば、上空に信号弾が打ち上がるのだとか。
「っちゅーコトやから、頼んだで!サクッと終わらせてまうから任せときーや!」
「ああ……すぐに、終わらせよう……」
雰囲気がマジだ。ちょっと怖いが、怖気ついていては生き残れないということは、よくわかっている。
「じゃ、互いに移動しよか!」
▼▼▼
俺とミツネがやってきたのは、「エリア4」と「エリア7」の中間あたり。
クルガさん達は、「エリア9」よりも奥の奥、ゲームの地図にも、俺が今持っている一般ハンター向けの地図にも書かれていない、通常の狩猟範囲外に行っている。
ルドロスとブナハブラが多くいて、遠めの茂みにジャギィが見える。ドスジャギィはどこにいるのだろうか。
水が多く、ミツネはかなり元気だ。元気っていうか、テンションが高いっていうか……。
『キュッキュ♪』
「食いすぎて動けない、とかやめろよ?」
『ムキュムキュ』
「まあ、こう……腹が減るのはわかるが」
ルドロスなんてもう食べん!とは思っていたものの、それはそれとして、やっぱりどこか食欲が湧いてくる。まあ、昔の主食だし、仕方がないのか。
ミツネは小川からバクレツアロワナを捕まえては食べている。さっきも海鮮饅頭食べていたんだが……?
「ほら、食ってないで狗竜探すぞー」
『キュー』
ジャギィのいる方へとそっと近づきつつ、尾行すれば、茂みの先にドスジャギィが見えた。どうやら、ロアルドロスと縄張りを巡って争っている様子だ。
この渓流は資源が豊富なので、様々なモンスターがやってくるのだろう。群れの長というのは、なかなか大変そうだ。
しばらくのほほんと見守っていれば、最終的に決着はドスジャギィ達の勝利に終わった。決まり手は物量。力こそパワーとは言うが、物量もパワーだ。
その後群れが移動する方向を見て尾行していくが、クルガさん達のいるはずの方向に向かう様子はない。
「ちょっと休憩するか……」
『キュッ』
そう思い、近くの魚群に向かって釣り糸をたらそうとした時だった。
茂みが動いた気がする。ミツネもなにか聞こえたらしく、ヒレをピクピク動かしている。
背後の茂みへと、カカルクモナキに手をかけつつ忍び寄る。下手したら、迅竜がいるかもしれない。最大限警戒する。
すると、茂みから何かが勢いよく飛び出してきた。それはどっちかと言うと人型で………と、いうか。
「わああああ!!人だあああああ!!!ふべっ」
「ちょっ?!」『キュ?!』
飛び出してきたのは、ユクモノ装備の、同い年くらいの少女。ゲリョスの頭の形をしたハンマーを背負っている。
少女は茂みから飛び出すや否や、足元の水溜まり(+ミツネの泡)で盛大に滑って転んだ。
危ない、間違えて人間に斬り掛かるところだった。
「あーー、大丈夫か?」
「へう……」
手を差し出せば、少女はつかまって立ち上がる。それから顔を軽く拭うと、ハッとした様子でピシッとなって。
「あ、ありがとね。助けてくれたことは感謝するわ」
「お、おう?」
少々上から目線っぽい態度だが、感謝自体は伝わるので良しとしよう。
視界の端にドスジャギィ達をとらえながら話を聞く。
「それで……あなたもハンターなのね?」
「え、ああ。俺はバルク、見ての通りハンターだ。こっちはオトモのミツネ」
『キュッ』
「へーぇ?タマミツネがオトモ?ふーん……」
少女はミツネのことをまじまじと見る。ミツネは少女のことを、首を傾げつつ見返す。
「ほーん……あ、名乗ってなかったわね。私はマム。ハンターランクは3の将来有望なハンターよ!」
「同じランクなのか」
「うぇえ?!あんたも3なの?!はっ、ハンター歴と年齢は!!」
「年齢?聞いてどうすんだ……まあいいが。だいたい16だ。ハンター歴は……半年行くか?うーん。」
「あら、私の方が年齢も歴も3つ先輩ね」
小さな声で「歳上じゃなくてよかったぁ……」と聞こえたが、聞かなかったことにしておこう。
それはそれとして。
「まあ、で、だ。なんでアンタは茂みから飛び出してきたんだ?何かのクエスト中か?オトモは?」
「そ……そうよ。採取クエストで、迷子……って、そう言うあんたはなんでいるのよ?」
「クエストだ。あの狗竜達が狩場に向かいそうなら、妨害するんだ。俺の兄弟子とその友人が別のモンスターを狩ってるとこだからな、邪魔されないように。」
「なるほどね。乱入防止クエストか。ちょっと珍しいけど、おかしい話じゃないわね」
なんなんだコイツ。悪い奴じゃないのはよーく分かるのだが、何か隠しているような感じだ。
採取クエスト、と言う時もなぜ目を逸らしたのだろうか。もしや、無断で狩猟に来たとか?
密猟なら大問題だ。ギルドに報告しなければならない。
が、そういう気配はしない。いったいなんなんだ………と思った時。
空から、爆撃が降り注いできた。俺とミツネを狙って、広範囲に。
見上げれば、そこにはどうしてか、今はクルガさんとアトラさんが相手取っているはずの────
──────『爆鱗竜』バゼルギウスがいた。
閲覧ありがとうございます。( ˇωˇ )
(余談:お気づきでしょうが、オリジナル(?)キャラクター達の名前はモンスター名から取っています……( ˇωˇ ))