「ミツネ、やるぞ。薙ぎ払う!」
『キュ!』
「あー、ルギウス!!上から行くわよ!!」
『グルアアアアア!』
「……元気、だなッ!」
「ガウ、ガウ!」
「ほいほいほーい!消し炭なりたなきゃそこら辺よけーや!」
「癒しの音色をお届けニャ!」
ドンドルマ――――現在、戦闘街。
様々な理由によって集ったハンター達やライダー達が、各々の得物を手に取り、大量になだれ込んでくるモンスター達に立ち向かっていた。
上空では龍識船やイサナ船、飛竜をオトモンにしたライダー数名が、高高度を飛ぶ飛竜たちに応戦している。
さて、ドンドルマに来て早々、百竜夜行まがいのことになっているが、何故こうなっているかの経緯を話そう。
▼▼▼
数時間前。龍識船で朝を迎え、チーズたっぷりの朝食を摂った。朝から味が濃い。
ぶっちゃけ、俺もクルガさんも里ではかなり食べるほうなのだが、アトラさんやマムの食べる量には敵わない。
「あら、それ、食べないの?もーらい」
「いいぞ」
「え?!あ、ありがとう……って、それにしても、あんまり食べないのね」
「マムがめちゃめちゃ食ってんだよ……」
ちょっと背後では、ミツネとルギウスがなにやら会話しながら食べていた。
そんな朝食が終わって、龍歴院の主席研究員さんとかにめちゃめちゃ質問されたりしつつ時間が過ぎ、遠くにドンドルマの町並みが見えてきた。
『空の王者』リオレウスと『大地の女王』リオレイアに敬意をもつような赤と緑の屋根。
それから、吹き荒れる竜巻に落ちる赤い稲妻……って。
「……何か、おかしくないか」
「せ、や……な。隊長、なんか連絡来とらんの?」
「い、いえ……まだ何も」
龍識船に警戒命令が出される。
アトラさんは[碑文の砲ハロエリス]を構え、船首の方へと向かう。
俺達もいつでも対応できるように構える。
数秒の沈黙。
そして、それを切り裂いたのは鳥のような咆哮だった。
『ビョィィィィィィィ!!』
「セルレギオスかいな!めんどいやっちゃ!!」
『千刃竜』セルレギオス。黄金の刃鱗を持つ飛竜。空中において、リオレウスとタイマン張れるような飛竜。
アトラさんは放たれた刃鱗を、なんと全て通常弾で撃ち落とす。
それから即座に徹甲榴弾を装填し、的確に気絶させて撃ち落とす。ここまでの間、なんと5秒程度。驚きの速さだ。
「凄いな……」
『キュ……』
或る意味感動していると、隊長が戻ってきた。
「あ、み、みなさん!今連絡が入りました!」
「それで……なんと……」
「要約すると、突然のモンスターの群れの襲撃で……とにかく、救援要請です!僕たちは上空をなんとかしますので……」
「つまりウチらは地上に来とる奴らをなんとかしろってな!任せや!」
「分かった……」
「分かりました。ミツネ、やるぞ」
『キュ!』
「わ、私もやります!かっ……彼氏って言うなら、あなたもちゃんと手伝ってね、ルギウス!」
『クルルルル、ガウ!』
▼▼▼
……というわけで、現在、百竜夜行風に言うなら、クシャルダオラをヌシとして進み来る、モンスターの群れに応戦している。
中には、ジンオウガ亜種やベリオロスなんかが混ざっていて、地域も生息環境もごったまぜになっている。訳が分からん。
クルガさんに操竜されたジンオウガが縦横無尽に駆け回り、ルギウスの落とす爆鱗で怯んだモンスターの頭蓋骨を、マムが片っ端から[毒鎚【鳥兜】]でブッ叩いて毒を叩きこむと同時にスタンさせていく。
視界の端にアトラさんの「スーパーノヴァ」が映り、耳にはアトラさんのオトモアイルーの回復笛の音と、[有頂天外に響くムジカ]の音色が最も強く聞こえてきた。
遅れをとらぬよう、俺達も目の前のモンスター達を薙ぎ払う様に動き回る。
目の前に来るジャギィとランポスの群れを纏めて切り払う。
斬撃後のどうしても出来てしまう隙を狙ってベリオロスが飛びかかって来るが、そこをミツネが圧水ブレスを放ってカバーしてくれる。
そして、ミツネのブレス後の隙を狙ってくるフルフルに対しては、俺が思いっきり桜花鉄蟲気円斬を叩き込むので問題ない。
「マム!後どのくらいいそうだ!」
上空でルギウスに乗りつつ、次の群れの方へと向かうマムに大声で問う。
「後はクシャルダオラと取り巻きだけ!!取り巻きは爆撃してくるわ!!」
『グラアアアア!』
「なら遅れて俺達も行く!」
『キュイイ!』
「おっしゃ、クシャルはウチらに任せえや!」
「任せろ……」
「うんうん!あたしも頑張っちゃうぞ!」
最後誰だ?!最後それ言ったの誰?!
……と思えば、[有頂天外に響くムジカ]を担いだ、フィリアX装備っぽい格好の女性ハンターだった。そういやさっきからムジカの音聞こえてたな。
一応アトラさんとは面識があるような振る舞いなので、まあ多分信用はできる……と今は思っとこう。考えるのは後だ。
クシャルダオラからほど近く、闊歩するジンオウガ亜種達に向けて、ルギウスの爆鱗が投下される。
まあまあの硬度から落とされたそれらは、着弾するや否や衝撃により爆発。
しかし、それだけで倒せるような相手では無いのはマムもルギウスも、俺達も承知の上。
マムはルギウスの背から飛び降りると、真下にいるジンオウガ亜種の頭に向けて、思いっきり毒槌【鳥兜】を振り下ろす。
確かに……まあ俺もだが、マムは下位ランクのハンターだ。なんなら武器も毒属性、弱点属性は狙えない。その上、最終強化って訳でもない。
しかし、そこそこの高度から、全体重を乗せながら武器をふるえば?
答えは簡単。それこそ、一撃だけとはいえバサルモスの鱗も砕けるだろう。それも、一撃一撃が重いハンマーなら尚更だ。
ゲリョスの頭を模したハンマーが、ジンオウガ亜種の頭骨に叩きつけられる。
威力十分どころか威力過多だったらしく、ジンオウガ亜種の頭が砕け散ってしまった。軽くグロ画像である。
「よおっし!この調子でやっちゃうわよ!」
『グルアアア!』
息ぴったり、さっきまでいろいろブツブツ言っていたとは思えない。流石カップル……とか言ったら、俺があのハンマーの餌食になりかねんのでやめよう。大怪我じゃ済まん。
爆撃に巻き込まれないように、俺達も突撃。視界の端で、クルガさん達がクシャルダオラの相手をしているのが見える。
――――わずかな異変を感じたのは、なんとかベリオロスを討伐したあたりだ。
他のハンターやライダーの活躍もあり、残るはクシャルダオラのみとなった。
そのクシャルダオラも、クルガさん達三人――――後で聞いた話、この場に居た中でも最もHRの高い3名だそうだ――――によって、かなりの傷がつき、角が折れていた。尾も斬り飛ばされて落ちていた。
いうなれば満身創痍。いくら古龍とはいえ、どう見ても命は風前の灯火に見える。
まあしかし、そこは古龍。往生際が悪い。満身創痍になっても尚、竜巻を立て続けに放っている。
「……私、古龍って故郷で一回だけ見たことあるのよ」
「突然どうしたんだ?」
ルギウスと共に、未だ毒鎚を構えたマムがこっちへ来た。
「あのね、なんて言うか……いくらクシャルダオラが古龍で、あの子が丈夫で大きな個体だとしても、一切弱った様子がないのは、おかしくない?」
「それは……」
「おいおい、お嬢ちゃんらよ、何を見て「弱ってない」って言ってんだ?」
マムの言葉を聞いて、改めてクシャルダオラを観察しようとしたら、なんかこう……ゴロツキ風の男が唐突に話しかけてきた。
ゴロツキというか、チャラ男というか。装備は多分ジャギィ装備だ。装備は片手剣。見覚えがない形だが、色合い的にはランポスのものだろう。
「誰だお前」
「ボク君は新人かな?オレはスージャ。先輩ハンターだ!ほら、あの様子をみて弱ってないわけがねえんだ。分かるか?」
「あ、あなた何言ってるの?」
なんというか、面倒な輩に捕まってしまった。一応まだ戦闘中だというのに、何をしてるんだ。後何言ってんだこいつ。
わかるか?じゃないんだ。
「見て分かる通り、角も折れて尾も切れている。傷だらけで、しかも相手は伝説とも英雄とも言われる3人……な?」
「は、はあ……」
「だから、お嬢ちゃん?そんな得体の知れないモンスターを連れた男とじゃなくて、オレと一緒に……」
「あ」
これはイラっときた。得体のしれないモンスターではなく、ミツネだ。せめてタマミツネとか泡狐竜くらいならスルー出来たが、こればかりはちょっとな……と思えば、マムが斜め上を見た。
それにつられて見れば、クシャルダオラが確かにこっちに向かって突っ込んできている。
「え、うわああああああああ?!」
「あ、逃げた!?」
「言ってる場合か!とりあえず避けろ!」
かなりの速度で迫ってくるクシャルダオラ。位置取り的に、マムやルギウス、ミツネは間に合うだろう。
だが、俺は風圧に圧され少々反応が遅れた。
これは、流石に――――――――
「」
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