天彗の狩人   作:VerT-EX

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こんにちウェルテさんです。今回もけっこう強引に話を進めています。すまない(´・ω・`)


まつ毛のハンター

 間に合わない。こうなれば、せめて受け身とらなければ。

 

 鋼龍の青い瞳が、俺を捉えている。

 頭痛が走る。反射的に額を抑えるが、あまりにも悪手だった。

 

 受け身の構えを取ろうとするものの、その姿勢から何故か動けない。全身が鋼鉄になったかのように動けない。

 

 それに、酷く頭が痛い。本能も理性も「避けろ、守れ」と警鐘を鳴らしているのに、何かが「目障りだ、消せ」と囁いている。

 

 

 鋼龍はもう目前。覚悟を決めるしか─────

 

 

『キュイイイッ!』

 

 相反する声に戸惑う中、真横から衝撃が走った。

 

 ミツネだ。ミツネが泡を纏いながらタックルを俺に放ち、手首の装甲に噛み付いて共に真横に押し出したのだ。

 

『キュ。キュイ!!』

 

 「何をやっているんだ」と言わんばかりにキュイキュイと叱ってくる。

 そうだ、まだここは戦闘街。誰が言ったか、マイハウスに戻るまでが狩猟だって。

 

 

「ありがとう、ミツネ。そうだよな」

『キュイ!!』

 

「ほんともう、びっくりしたわ。なにやってんのよ!」

『グルル……』

 

 マムとルギウスも、呆れつつも心配してくれたようだ。

 

 カカルクモナキを構え、立ち上がる。泡まみれだが、これが一番動きやすい。

 

 

 クシャルダオラは地面に激突する直前、器用に羽ばたいて空中で体勢を建て直した。

 

 クシャルダオラは、こちらをしっかりと捉えている。先程まで戦っていた強敵であるはずのクルガさん達には見向きもしない。

 

 相変わらず頭痛はするが、それに意識を向ける場合ではない。

 

 向かってくると言うならば、せめて一太刀。カウンターを叩き込んでやるくらいの意気込みを持つ。

 

 

 クシャルダオラが竜巻を放つ構えをとる。さあ来い……と思う前に、クシャルダオラは地に堕ちた。

 

 

 物悲しく雅な音色が、戦闘街に響き渡る。

 同時に、クシャルダオラが沈む。その質量からか、かなりの音を立てて。

 

 その倒れたクシャルダオラの上に、ストッと着地する人物。

 [有頂天外に響くムジカ]を携えた、フィリアX装備のような格好の女性。

 

 彼女はふいっとこちらを向くと、いたずらっぽい笑顔で言った。

 

「美味しいとこ、とっちゃってごめんね?」

 

 

▼▼▼

 

 

「旦那、いつになく大所帯ニャルね?」

「まあまあ、あたしが払うんだし頼んだよー?」

「うむ、任せるニャルよ」

 

 屋台。キャラバンの開く店のひとつだと言うのは、フィリアX装備のハンターが言うところだ。

 

 俺達……俺とマム、ミツネとルギウスは何故か連れてこられた。ちなみにあの二人はなにやら報告に行かなければならないらしく、この女性に俺達を頼んで行ってしまった。

 

「ええっと、あなたは……?」

 

 マムがおそるおそる尋ねる。フィリアX装備の女性は、にこにこしながら答える。

 

「あたしはマデュラ。見ての通りハンターで、《我らの団》所属だよー」

「マデュラ……って、あのマデュラさん?!」

「何か知っているのか?」

 

 名前を聞くや否や、マムはガタッと机を押して立ち上がる。

 

「知ってるもなにも!あのマデュラさんよ?!武器防具無しでダレン・モーランに挑んで生還した!天廻龍シャガルマガラを制した!!あの!!!マデュラさんよ!!」

「あ、ダレン・モーランの話知ってるのかぁ……うん、まあそのマデュラさんだよ」

 

 フィリアX装備の女性……マデュラさんは、「あははー」と笑いながら、その赤い目を細めた。

 

 青にも緑にも見える髪が左目を隠しているため片目しか見えてないものの、なんとなく両目で笑ってるんだろうなーと思う。たぶん。

 

「はわわわわ……」

「とりあえず落ち着いてね。アトちゃんから話は聞いてるよ?銀髪のキミがバルクちゃんで、金髪のキミがマムちゃん……で、あってる?」

「はい。俺がバルクです。この子はオトモのミツネです」

『キュ』

「あ、あわ、私はマムです!で、えーっと、こっちは……一応、彼氏?のルギウスです」

『グルルル……』

 

「聞いてた通りなんだねー。うんうん、面白くっていいと思うな!」

 

「料理、できたニャルヨー」

 

 大量の料理が運ばれて来た。中華っぽいが、それはさておき本当に量が多い。取り皿もあるのは嬉しいのだが、未だ頭が痛いのもあり、食い切れる気がしない。いやまあ、頭痛は普通に無視できるくらいには落ち着いたのだが。

 

「ま、とりあえず食べながら話そうよ」

 

 ミツネたちのぶんも運ばれる。おいしそうな蒸し饅頭だ。

 

▼▼▼

 

「さって……あの二人から任されたし……」

「どうしたんです」

「いやー、2人とも、あたしの紹介するクエストに行ってみない?ギルドカード見る限り、もう少しで上位だけど」

 

 デザートをつつきつつ、そんな話になった。あの料理の4分の3は、マムとマデュラさんの胃袋に収められていった。どうなってんだ。

 

「是非是非!お願いします!」

「俺もいいですけど……どうしてそんなことを?初対面でしょう?」

 

 そう聞くと、マデュラさんは「うーん」と悩むそぶりを見せた。

 

「……面白そーだから、かな?それに、後で聞くと思うけど2週間くらいは自由時間だからね」

「どういうことですか?」

「あたし達……クルちゃんとかアトちゃんとかあたしとかって、ちょっと重大な呼び出しを食らって来たの。でも、呼び出し対象が揃うのは2週間後くらいだから、その前にできることは……ね?」

「えっと?」

「まあ、あたしの気まぐれって考えてくれたらいいよ。難しく思わないでいいよ」

 

 そう言いつつ、マデュラさんは何やら紙の束を持ってきた。

 マデュラさんは紙束をめくりつつ、何枚かを抜きだす。

 

「えーっと、面白そうなの……」

 

 ワクワクしているマムを横目に、抜き出された紙束を見る。

 

「……あの、マデュラさん?」

「ん?なあに?」

「その……それの中から選ぶんで……」

「これにしよう!これ、行ってきてみて?」

「えーっと」

 

 1枚渡されたそれには、正直ちょっと引く内容があった。どうしろって言うんだ。

 

「見せて見せ……えっ」

「……これ本当に行くんですか?」

「大丈夫大丈夫!ミツネちゃんと彼氏ちゃんもいるんでしょう?」

 

 

 紙に書かれたクエスト。

 

 報酬金は悪くない。向かう先は遺跡平原。

 ざっくり言えば部位破壊クエスト。一応下位向けではある……が。問題は目標モンスター。

 

 

 

 クエスト名、『黒衣に蝕る(かざる)白金の鱗』。

 

 メインターゲットは……『ゴア・マガラの触角破壊、リオレウス希少種の尻尾切断』だ。

 

 俺は心の中で、「アホか……」とだけ思った。




 閲覧ありがとうござい( ˘ω˘ )

Q 銀レウスって遺跡平原には出ないんじゃ?
A 黒炎王出るんだし多分出るんじゃないですかね(適当)
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