天彗の狩人   作:VerT-EX

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こんばるさみこす。ウェルテさんです。やりたい放題楽しいですね()


万里見通す天狐の眼

◇◇◇◇

 

 ミツネは、ヒトが言うところの『泡狐竜』タマミツネだ。

 

 元々は大社跡から少し行ったところにある水辺で、母親と共に暮らしていた。少々周囲の他の泡狐竜より様々な感覚が鋭敏ではあったが、単なる竜の子の一匹に過ぎなかった。

 

 だが、ある日、見慣れぬ竜に縄張りを侵され、母親を殺された。当時まだ幼いミツネは、その黄金の雷を纏う竜に殺されると恐怖した。

 

 しかし、ミツネは死ななかった。影より忍び寄る竜のようなニンゲンにより、黄金の雷を纏う竜は討たれたからだ。

 

 そして、その影に潜む竜のようなニンゲンは、何を思ったか、幼いミツネを連れ帰った。

 

 そして、影に潜む竜のようなニンゲンは、幼い人間と幼いミツネを出合わせた。

 

 

 その幼いニンゲンへの第一印象は、「何かがおかしい」だった。

 確かにその幼いニンゲンはニンゲンなのだが、持つ雰囲気が、ミツネにはどこかニンゲンとは思えなかったのだ。

 

 銀の髪も、空色の瞳も、ニンゲンというよりは竜……いや、龍に近く感じた。いつか母泡狐と共に見た、遥か夜空の赫い彗星のような気配だ。

 

 そんな気配を感じて、初対面の時は怖気づいてしまった。し、かなり警戒もしていた。

 

 だが、その幼いニンゲンは悪い龍ではなかった。ただちょっと周囲のニンゲンよりも大人びているだけのニンゲンだった。

 ミツネは「ミツネ」という名を貰い、「バルク」というニンゲンと共に兄弟のように育った。互いに自分が兄だと思っているのは御愛嬌である。

 

 

 そんな暮らしの中で、剣を持つ竜にバルクが襲われた。

 兄弟を殺させまいと思い庇った影響で、ミツネは光をほとんど失った。

 

 ただ、それで不便と思ったことはなかった。元々様々な感覚が鋭敏だったのを研ぎ澄ませば、いくらでも情報は手に入れられる。

 

 

 「ハンター」とかいう、あの影の竜のようなニンゲンや、その師らしい雷狼の竜のようなニンゲンと同じシゴトをするようになった。

 心配だったし、なにより面白そうなことを自分抜きでやろうとしているのが許せなかったから、ついていった。

 

 

 そして今、銀色の兄弟の様子がおかしくなった。

 いつもはゆっくり輝く星のようなのに、突然、天より堕ちてくる彗星のような気配に変わった。

 

 原因はなんとなくわかる。禍々しい気配の龍の子供がまき散らしている何かだ。兄弟が「遠くから助けろ」と言っていたのはそれでだろう。

 

 様子の変わった兄弟は、鬼気迫る様子で禍々しい龍の子供の相手をしていた。その様子にミツネは、初対面の時以上の怯みを感じてしまった。

 

 そのまま兄弟は禍々しい龍の子供を殺してしまうかと思ったが、兄弟はやはり弱っていた。

 それにとどめを刺そうと、龍の子供は翼の爪を振り上げていた。

 

 

 あの様子の兄弟は怖い。まき散らされた黒い何かのなかに飛び込むのも怖い。

 だがそれ以上に、兄弟を殺させるわけにはいかない。どれだけ共にいると思っているんだ。

 

 あの龍の子供を吹き飛ばせるように、兄弟を助けられるように!

 

 そう強く思いながら、禍々しい海の中に踏み出した。

 

 

◇◇◇◇

▼▼▼▼

 

 闇色の中で、青白い光が燃えていた。

 炎のように、大きな傷のある右目から、青く光る水蒸気が立ち昇っていた。

 

 ミツネが、青い泡を従えてそこに確かに立っていた。その様子は、小さいながらも二つ名の泡狐竜――――『天眼』そのものだ。

 

『ヒュイイイイイイイィィィィィ!』

『ググ……キシャアアアアアアア!』

 

 黒い龍の子と、眼に光を灯す小柄な竜が咆哮しあう。

 

 黒触竜が放つ狂竜のブレスに対し、青や透明な泡を放ってぶつける。

 泡を纏い、しなやかな動きで黒触竜に接近する。そのまま尾を叩きつけた。

 

 黒触竜は狂竜粉塵爆発を用いて迎撃するが、ミツネは爆発の間を縫うように動き、至近距離で青い泡を放つ。

 

 青い泡は破裂し、黒触竜に火をつける。

 ゴア・マガラは火を消そうと、足元の小川に転がり込んだ。

 

 

『キュ!』

 

 なにかがちょいちょいとつついてきた。

 鳴き声に目を向ければ、泡で滑ってきたミツネがそこにいた。光は消えている。

 

 起き上がりながらそちらを見れば、ミツネは、手放してしまっていたカカルクモナキを咥えて引きずってきた。

 

『キュイ、キュイ!』

 

「……だな。」

 

 そうだ、何を考えていたんだ?今はクエスト中だ。あの黒触竜の角をへし折ってやらねばならない。

 

 カカルクモナキを受け取り、倦怠感と頭痛を気合でおしやり、立ち上がる。

 

 黒触竜も同時に起き上がったらしい。こちらを敵視している。

 

 さて、やってやろうじゃないか。視界は霞むし頭痛はひどいが――――

 

 

「てええええい!」

 

『ググゥ?!』

 

 上空から、掛け声とともに黒触竜への衝撃があった。同時に、黒触竜の角がこちらに吹き飛んでくるので、反射的にキャッチする。

 

「やっっっっと見つけた……って、あんた、かなりヤバそうなんだけど?!」

「マムか……だいじょ……ばないな」

「だいじょばない?!」

 

 「とにかく伏せて!」とマムが言うので、踏ん張る構えを慌てて取れば、警報音のような咆哮と共に特攻機が黒触竜に突撃した。

 

『グュイイ……』

 

 「やってやったぜ」と言わんばかりの様子で、ルギウスが着地した。

 

「とりあえず、一旦キャンプまで戻るわよ。有無は聞かないわ!」

「え、あ、おい、ちょ……?!」

「ルギウス!」

 

 マムの声に反応し、ルギウスがこんどはこちらに飛んできた。

 俺もミツネもマムに抱えられ、マムはルギウスに飛び乗る。追撃して来ようとするゴア・マガラに対し、ルギウスは爆鱗を飛ばして牽制、そのままキャンプまで連れていかれた。

 




閲覧ありがとうござい( ˘ω˘ )
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