天彗の狩人   作:VerT-EX

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 二話です( ˘ω˘ )もうお気に入りがつけられていてびっくり……嬉しい限りです


ハンターデビューの日

───ディノバルドの事件から数年後。

 

 未だに何故ディノバルドがこの地に現れたのかは解明されないまま、年月が過ぎた。

 

 里の人たちから「綺麗な銀髪だ」と褒められてきた髪も伸びたせいで、前髪で右目が隠れた。後ろ髪は切ったけども、ミツネが片目が見えないのなら、俺も片目を隠すくらいはいいだろう。

 

 ミツネは少し大きくなって、いわば青年期を迎えた。

 以前よりもヒレも尾もかなり大きくなったが、それでも体長は抱き抱えることが出来る大きさだ。個体差的なものなのだろうが、ミツネは泡狐竜の中でもかなり小さいらしい。どこぞの極小怪鳥みたいなものか。

 

 

 教官や里長、それからクルガさんからの厳しい指導を受け、とうとう俺もハンターになる許可が下りたのだ。

 

 それで今俺は、はじめてのクエストに出るための準備をしているところだ。具体的には、お祝いにクルガさんからプレゼントしてもらった装備を着ているところだ。

 

「ここに袖を通して、それからこれをつけて……ん?」

 

 桃色が鮮やかな和装、ミツネ装備。駆け出しハンターにはいささか見合わない装備だが、俺がこの装備を切ることに関して、いつも寡黙なクルガさんが、「バルクは必ずミツネ装備にすべきだ」と譲らなかったそうだ。

 

 いや、それはいい。いいのだが、この頭装備。フードのようになっているこれって、女性用のデザインじゃ……?

 いやまあ、それ以外の部位は男性用なのでいいのだが。どっちかというと、俺としてもフード型の方がありがたい。男性用のキツネ耳、あれが似合うのは茶髪や赤毛だ。灰混じりの白い髪である俺には浮く。

 

『キュー?』

「ん、ミツネ。どうした?」

『キュー……キュイ!』

 

 ミツネがじゃれついてくる。ちょっと重いが、毎日やってくるので慣れた。それに、俺も鍛えているので問題ない。

 そういえばあの日から、バクレツアロワナやハジケイワシをよく食べるようになったけど、好物でも変えたのだろうか。いや、もとからハジケイワシはすき好んでいたな。

 

 着替えを終えて、ポーチに回復薬や漢方薬、粉塵にシビレ罠と落とし穴をしまう。

 

 

 準備を終えて、里長達の待つ鑪広場へと向かった。

 

 

▼▼▼

 

 

 広場では、もう既に里長達が待っていた。ヒノエとミノトもいる。

 

「おーい!こっちだよ、我が愛弟子!」

 

 教官が手を振る。教官の指導下にはいったことで、俺も「愛弟子」認定を受けた。一応ややこしいので、俺とクルガさん両法と話すときは名前を使ってくれている。

 

 階段を駆け上る。後ろからミツネもついてきていた。

 

「遅れて申し訳ありません!」

「いや……いい……早過ぎただけだ……」

「うむ。少々張り切りすぎてしまってな。まずは、ハンターとしての登録を済ませてくるが良い。ゴコク殿の場所は分かるな?」

「それは勿論。行ってきます」

 

 

 集会所の方へと向かう。鬼蛙のテッカちゃんに乗ったギルドマネージャー・ゴコクさんが待っていた。

 

「むっ、バルクゲコか。どうしたゲコ?」

「ハンター登録を済ませに来ました。何をすれば……」

「ハンター登録?そんなもの、とっくに終わっているゲコよ。クルガもそうだったでゲコが、こちとらオムツを履いているときから知ってるゲコよ!」

 

 「兄弟弟子は似るのゲコかねぇ……」というつぶやきが聞こえた。そういやライズの主人公……この世界ではクルガさんにあたるハンターもそんなやり取りをしていた覚えがある。俺もそんな感じなのか……。

 

 

 そんなこんなで、登録も終わってうさだんごも食べて(この時、里長がお酒を飲もうとしてむせたのは面白かった。)、持ち物を持って、最初のクエストを受けるためにも武器を持っていこうとしたところで、異変に気が付いた。

 

「あれ……なあミツネ。俺の[鉄刀]知らないか?」

『キュー……』

 

 俺がものをなくした時、だいたいミツネが覚えていてくれる。目こそ見えないが、嗅覚などのその他感覚が鋭いのか、ほぼ必ず場所を教えてくれる。

 ただ、ミツネが首を傾げたということは、この家――建て直した家――にないことになる。俺も、昨日しっかりとこの家のこのボックスの上に置いたのを覚えている。

 

「……仕方がない。クルガさんにカムラの太刀を借りよう」

『ムキュ』

 

 気乗りしないし、怒られそうだがこの際仕方がない。投げナイフだけでなんとかするわけにはいかないし。

 

 

 

 

 広場に戻る。

 

「……ん、鉄刀は……どうした……?」

 

 

 やっぱり聞かれるか。正直に言おう。

 

「それが、なくしてしまって……昨晩きちんと手入れしてボックスの上に置いたのは覚えていたのですが……」

「それはよろしくないね。本当に管理していたのかい?」

「本当です!」

「本当に?」

 

 教官とクルガさんからの圧がすごい。いや、ハンターとして、武器の管理がおざなりなのは致命的だ。

 足元からミツネが心配そうに見上げているが、こればかりは俺が悪い……はず?

 

 しばらく圧に耐えていたら、突然教官達が笑い出した。

 

「ぷっ……あははは!」

「あっえっ?」

「ふふふ……いや……すまないな……」

「いやぁ、驚かせちゃったね?」

 

 そう言いながら、教官がなにやら布の巻かれた細長いものを差し出してきた。

 「開けてみて」と言われ包みを開いて見る。その中にあったのは、刀身に桜の花弁が散らされた、流麗な薄桃の太刀。

 

「それは俺からのお祝いだよ。我が愛弟子……クルガが防具を渡すなら、俺は武器を、ってね?」

 

 [狐刀・カカルクモナキ]。タマミツネの素材から造られる太刀だ。駆け出しが持つには、少々どころかこう……アレな気もするのだが。

 でも、信用してくれているというのだ。裏切らないようにしないと、な。

 

「ありがとうございます。必ず、応えてみせます」

「ああ、君なら大丈夫だ!さあ、早速最初のクエスト……ってそうだそうだ。オトモはどうしたんだい?」

「あー、結局、合うオトモが見つからなかたので、ソロで活動しようかと……」

「なるほど……それなら……仕方がない、な」

 

 オトモ達とは、小さなころから仲良くしている。とはいうものの、動きの点でどうしても相性のいいオトモが見つからなかったのだ。

 心細いが、仕方がない。無理矢理ってのもよくないし。

 

「それじゃあ、ミノトの所に行って、クエストに行ってみよう!大丈夫、君ならできる!」

「俺も、応援している……」

 

 

 二人に見送られ、ミノトさんの所へと行く。

 

「えっと、クエストを……」

「聞いております。こちらですね」

 

 渡されたクエストを確認する。

 

 目的地は大社跡。目的は「特産タケノコ10個の納品」。サブとして「厳選タケノコ3個の納品」となっている。

 

 そして、クエスト名、「美味なるタケノコを求めて」。さあ、まずは、行くか。




閲覧ありが( ˘ω˘ )スヤァ……ございます
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