煉獄杏寿郎と巡るユグドラシル【オバロ×鬼滅】   作:空想病

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※注意※
 作者は、YGGDRASIL(ユグドラシル)未プレイですので、オバロ読者の皆様はそのつもりでお読みいただければ幸いです。

 あと、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」最っ高でした!!

 煉獄さんとモモンガさまの『中のひと』つながりによるクロスオーバーものですが、どうかお楽しみください


第一章 ── 異なる世界
第壱話   煉獄杏寿郎、YGGDRASIL(ユグドラシル)を翔ける


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「……………………」

 

 

 

 

 目が覚めた。

 両膝をつき、水面(みなも)に映る顔を凝視している(おのれ)

 父譲りの切れ上がった双眸(そうぼう)を、(しか)と開けて見た。

 小川のせせらぎとかがやきが、両の耳目(じもく)(こころよ)い。

 見下ろせば、黒い隊服と、白地に炎の意匠を(かたど)る羽織……それを(まと)う己の体が、両手を握り、ついで緩める。

 腰にはこれまた炎を象った鍔をはめこんだ(あか)き炎刀──炎柱(えんばしら)の日輪刀を納めた白鞘の重み──

 立ち上がり、長い沈黙の(とばり)を抜け出した男の意識は、開口一番に大声を放つ。

 

 

 

 

 

「よもやよもやだ!!」

 

 

 

 

 ところどころ赤色を点じる金髪を振り動かし、状況を把握した。

 上弦の参との戦いで、自分こと煉獄(れんごく)杏寿郎(きょうじゅろう)は、確かに、命を落としたはず。

 あれほど凄惨(せいさん)かつ熾烈(しれつ)な殺し合いが、夢想(むそう)(まぼろし)であるはずがない。

 だとするならば。これは、

 

「ここは、お館様(やかたさま)のいう黄泉(よみ)の国、噂に聞く三途(さんず)の川か…………(いな)!」

 

 立ち上がった煉獄は周囲を見渡す。

 自分が戦った無限列車や線路は、影も形も見あたらない。

 彼の目の前を悠々と流れる小川の様子は、真昼の太陽の輝きを受けてどこか長閑(のどか)(おもむき)すらある。頬を叩く風も、心地よい空気を運んでくるだけ。横転して無限列車の石炭と鉄、油と黒煙の臭いは一切なかった。

 そしてなにより、河原で小石を積みあげる(わらべ)も、それを打ち払うとされる地獄の(おに)も、ない。

 

「いやはや! どこをどう見ても三途の川とは思えん! はて、どこなのだ此処(ここ)は!?」

 

 訊ねる声は、しかし、答える声が返ってこない。

 彼と共に鬼殺の任務につとめる鎹鴉(カスガイガラス)の「(かなめ)」が、そばにいなかった。

「仕方なし」と判断し、煉獄は大手を振って歩き始める。

 大地を踏みしめる感覚も申し分ない。あれほどの戦闘が嘘であったかのように、煉獄の体は傷ひとつ見当たらなかった。体力の摩耗さえ完全に消失している。

 ──自分の身に、尋常でないことが起こっている。

 そう理解はできても、成す(すべ)を持たぬ煉獄は一人歩く。

 どこか集落にでも行きつかないかと、川の流れに沿って()てもなくさまようこと、数分。

 

「ん? 今のは、人の声?」

 

 長年鬼殺の任務で研ぎ澄まされた鋭敏な聴覚がとらえた、かすかな声量。

 その音域の高さは、鬼と出会い恐懼(きょうく)する者の悲鳴に酷似している。

 

「まさか!」

 

 煉獄は刀を掴んだ。

 川辺から一息に駆けあがり、人の背丈以上もある草原を疾風(はやて)のごとく蹴散らし進む。

 そうして二十秒もせずに、街道らしき開けた空間に飛び出た。

 (わだち)の上を、声のした方角めがけひた走ると、何やら戦いの気配──血臭が鼻腔(びこう)をくすぐり、剣戟(けんげき)の音色が耳朶(じだ)を叩く。

 ついに目視できる距離にまで接近。

 

「あの異形(いぎょう)──まさか鬼か!?」

 

 ギラついた(ひとみ)に宿る殺気と醜悪(しゅうあく)面貌(めんぼう)は、並の人間のそれにあらず。

 煉獄は鯉口(こいぐち)を切る。

 街道を行く人間の徒党──か弱きものに襲い掛かる所業は、断じて許しがたし。

 さらに。

 

『太陽の下で活動できる鬼』という様は、脅威的かつ驚愕の事実!

 

 だが、それでも。

 判断から抜刀に至るまで、煉獄杏寿郎の心に、一切の迷いはなかった。

 

 

「 炎の呼吸 一の型 」

 

 

 鬼らしき異形の数体が煉獄の剣気に気づいて振り返るが、炎柱たる男にとってそれは鈍牛のごとき遅さである──

 

 

「 不知火(しらぬい) 」

 

 

 一刀のもとに(くび)を両断された、黒き小型の鬼の群れ。

 日輪刀に宿る陽光と、炎の呼吸によって生じる火焔との合力(ごうりき)により、鬼どもの身は(すみ)くずのごとくボロボロと(ほど)けていく。

 煉獄は確信を込めて血振(ちぶ)りした。

 

「うむ! やはり呼吸できている(・・・・・・・)! ならば、俺は生きている、ということだな!」 

 

 己の解に納得を得た。

 叩いた胸の奥の鼓動はしっかりとしたもの。

 五体に宿る血脈も、燃え盛るかのごとく熱い力をみなぎらせてくれた。

 結論はひとつ。

 煉獄杏寿郎は生きている。

 

「しかし! まだわからんこともあるな!」

 

 自分が生きているということは、あの上弦の参との戦いは?

 列車の乗客たちの安否は?

 自分を看取ってくれた竈門(かまど)少年たちは?

 ここは日本(ひのもと)何処(どこ)なのか──果たして?

 

「あ、あの」

 

 おずおずと声をかけられ、煉獄は振り返る。

 

「おお! もう大丈夫! 鬼はすべて退治した!」

 

 勢い込んで話しかけるが、煉獄はそこにいる人物たち──男女三人の身なりに、少なからぬ違和感を覚える。

 

「ああ、いや……まさかこんな序盤で、黒小鬼将軍(ぶらっくごぶりん・じぇねらる)の軍団と出くわすなんて……正直、助かりました。ふぅ」

「こんな、序盤の、ふぃーるどで、遭遇(えんかうんと)するには、極悪すぎるって」

「……同感」

 

 息つく男の装束は、ぱっと見だと西洋風だ。

 疲れ切った女性二人も似たような仕立てをしている。

 スーツの下に着る白シャツ──隊服の下の衣服と同じものだったと煉獄は記憶しているが、細部が微妙に異なる。脚絆(きゃはん)……ズボンの類についても、大正の世では馴染みつつある格好と言える。しかしながら、それらの上から身に帯びた白銀の安っぽい胸当ては、鎧甲冑(よろいかっちゅう)というよりもただの鉄板(てっぱん)めいていて、実にたよりない。

 世は大正の時代を迎えて久しいが、それでも、こういった“奇天烈(きてれつ)”な格好をする者は、あまり多くはないだろう。国中を練り歩く旅の大道芸人の類にしても、かなり奇矯すぎた。

 否、それ以前に。

 

「君も、いや、君らも帯刀しているのか? ──もしや、同じ鬼殺隊(きさつたい)か?」

 

 剣戟(けんげき)の正体は、男性と女性らが握っている西洋剣や短剣によるものだったと了解する。

 しかし、日輪刀ではなく、呼吸術も使えていない隊士など、鬼殺隊に存在するはずもない。

 問われた青年は困り顔で首を傾げた。

 

「へ? いえ……キサツタイって、何のことでしょう?」

「えと、もしかして、そういう“ぎるど”の名前ですか?」

「私らは、最近始めた初心者で、その、あまり詳しくは」

 

 話が噛み合わないこと(はなは)だしい。

 実に珍妙な状況におかれていると、煉獄は肌の先で感じ取る。

 

「いや! こちらの話だ!

 とにかく道中には気をつけていかれよ! また鬼が出ぬうちにな!」

 

 刀を鞘におさめた煉獄は、竹を割ったような清々しい声音(こわね)を残して走りだした。

 男の「え、ちょ、どろっぷした“くりすたる”や“あいてむ”は、いいんですかー!?」という質問さえ遠くなるほどの、超疾走。

 煉獄の感覚が察知するに、周囲にはあれ以上の鬼はいない──そう判るほど広けた野原の轍を、炎柱は翔けていく。

 彼の意中に渦巻く、数多くの疑問。

 なにより、昼間──太陽の下で平然と人を襲う鬼が出るとは、前代未聞だ。

 鎹鴉(カスガイガラス)が近くにいない今、できれば一刻も早く鬼殺隊と合流し、この事実を伝えなければ──

 

 使命感に衝き動かされる炎柱(えんばしら)煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)は、晴天の大地を()けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、彼は知るよしもない。

 彼が合流すべき鬼殺隊は、その世界には存在しないことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこはいわゆるゲームの世界──

 

 

 

 DMMO-RPG〈Dive Massively Multiplayer Online Role Playing Game〉

 

 

 

 YGGDRASIL(ユグドラシル)

 

 

 

 12年の歴史を刻み、一大ブームを巻き起こした仮想空間内体感型ゲーム──

 

 

 

 その(なか)でおこっていた、奇跡のような物語──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煉獄杏寿郎と巡るYGGDRASIL(ユグドラシル)

 

 

【オーバーロード×鬼滅の刃】

 

 

第壱話

 

 

「煉獄杏寿郎、YGGDRASIL(ユグドラシル)を翔ける」

 

 

 

 

 




最後に……



2020/05/08、オバロ四期&劇場版製作発表、おめでとうございます!
そして05/10は煉獄さんの誕生日です!!おめでとうございます!!!
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