煉獄杏寿郎と巡るユグドラシル【オバロ×鬼滅】   作:空想病

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※注意※
 商業ギルド“ノー・オータム”は、オリジナル要素・設定を大いに含みます。


第拾話   商業ギルドの受難、モモンガたちの災難

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 ミズガルズ〈奥地〉、シュヴェルトライテ公女領。

 商業ギルド:ノー・オータム、その本拠地──“シュヴェルトライテ城”。

 

「……あ~」

 

 古色蒼然とした城内から溢れる、気の抜けた女性の声。

 

「あ~あ~」

 

 苛立ちにこめかみを抑える声の主を前に、招集を受けたギルド構成員たちは、謹直な直立姿勢を保つしかない。

 普段は温厚かつ人格者として振る舞う商人の(かがみ)のようなプレイヤーであるが、その逆鱗に触れたものには容赦ない鉄拳の報復が待っていた。

 何より、噂によると彼女はリアルにおいてメガコーポレーションと太いパイプを持つとされ、彼女の決して低くはない沸点を超えたバカは、全員何かしらの形で社会的地位を追われているとか、いないとか。

 

 彼女たちのギルドが拠点とするシュヴェルトライテ城。

 

 ミズガルズ奥地の丘陵地帯に(たたず)む城は、かつて戦乙女(ワルキューレ)であった一人──大型アップデート“ヴァルキュリアの失墜”イベント時に、この人間の世界(ミズガルズ)へ墜ちた、天上の乙女の名を冠されるにふさわしい外観を誇る。「剣」を思わせるほど高く細く伸びた尖塔群は優美を極め、白亜の外壁も天上の石工(いしく)が仕上げたごとく美しかった。ところどころにあしらわれた乙戦女のレリーフも流麗そのもの。まさに「剣の乙女(シュヴェルトライテ)」の名にふさわしき威容である。

 この公女領内、城下をすべて見渡せる都市の中枢──そこを、ユグドラシルの四大商業ギルドに名を連ねる組織は占拠、というと語弊(ごへい)があるため、公女陛下と共同統治下においている。

 城の城主である元戦乙女の公女・シュヴェルトライテとの友誼(ゆうぎ)を結び、相応の金銭や食材や素材をやりとりしつつ、この都市……否、ミズガルズをはじめ、九つの世界すべてに商業網を()く商業ギルド──小型から超大型まで幅広い規模と分野の複合商業施設を展開、然るべき人材投入・傭兵NPCなどを警備システムとして有用に使い、プレイヤーたちが住まうゲーム内の都市の造営をすることを、ギルド:ノー・オータムはやってのけてきた。

 一金貨で賄われる安物食品から億クラスの超高級食材、誰でも泊まれる格安宿からギルド拠点用高級建築オーダーメイドに至るまで、かの組織の息がかかって久しい。「運営が用意するのよりも、数段マシな商品を」というキャッチコピーを掲げ、かの商業ギルドはDMMO-RPGユグドラシル内において、相応の地位を占めるにいたっている。

 

「っ、あ~、も~、まったく~、なにがどうなって、こうなってるわけ~?」

 

 貴族が住まうにふさわしい風光明媚(ふうこうめいび)な古城であるのだが、その部屋の中──ギルド長室の事務デスク周りは、ひどく散らかっていた。まるでニ十世紀初頭の古き良きオフィスビル内といった風情すら感じられるが、誓ってここは剣の城の内部である。清掃を担当する拠点NPCがいるにもかかわらず、この惨状を呈しているのは、ひとえに部屋の主の意向──(いわ)く「片付きすぎてると逆に集中できない」という事情で、このギルド長室は散らかるままに任せているのだ。

 デスクに行儀悪く組んだハイヒールの足を乗せて、報告書類を隅々まで目を通した女性が、大きく盛大に舌打ちした。 

 

「ッ、『第九開拓都市、壊滅』とかさぁ。

 いったい、なにを、どうトチったら、そういうことになるのよ!? 事後処理するこっちの身にもなれってんだ!!」

「申し訳ございません、お嬢」

「ああ?」

「いえ、失礼しました、ボス。此度の一件で、かなりの損失を(こうむ)らせてしまい」

 

 お嬢、あるいはボスと呼ばれる女性プレイヤーは、これまた中世ヨーロッパの雰囲気が一切感じられぬ装いであった。

 切れ上がった眼に縁どられる、オパールのごとき色彩の瞳。東洋系の整った顔立ちにかかるのは、ビン底を思わせる大きなメガネ。腰の下まで伸びるパウダーピンクの髪は艶やかで、上質な絹糸の束を想起させてならない。起伏に富んだ女体美を覆うのは、太腿(ふともも)のスリットが実にけしからん、(しろがね)のロングチャイナドレス。DMMO-RPGではよくある女性プレイヤーの外装(グラフィック)であるが、彼女こそが、ユグドラシル創始期より営々とプレイヤーたちを“金”で支えた商業ギルド、その二代目総支配人を就任した商人プレイヤー──通称ボス── 一部からは“お嬢”と呼ばれる──ノー・オータムのギルド長である。

 

「ったく、大損だぞ大損。あ~、あそこを運営するのに、私らがどんだけの額をつっこんだと思ってんのよ~!」

 

 物怖じすることなく折り目正しい態度で謝罪する幹部メンバー、第九都市随一の酒場を経営していた都市顔役の木こり(ランバージャック)は、都市での酒場の大将と言った衣装から一転、このギルドの共通ユニフォーム扱いされている黒スーツ……魔法によって彼の背格好でもサイズぴったりなそれに、極太の総身を包んでいた。

 大樹を思わせるごつい見た目に反して、柔和で誠実で物腰の柔らかい紳士然とした──あるいは任侠映画のごとき鋼のような口調で謝罪を重ねる。

 

「申し訳ございません、お嬢」

「てめえ……はぁ──まぁ、過ぎたことをグチってもしゃあない」

 

 溜息を吐く感情(エモーション)アイコンが浮かぶ。いらだたしげにゲームキャラの髪を掻きあげつつ、事の発端から終局までを見てきた大男──第九都市に派遣していたギルド幹部の一人から問いただす。

 

「で。アンタらはそのモンスターの群れに、成す術もなくしてやられたってわけね?」

「はい、お嬢、いえ、ボス。まったく突然のことで、初動が遅れてしまい」

原因(いいわけ)はいらん。それよりも欲しいのは対応策よ」

 

 お嬢は天女(てんにょ)羽衣(はごろも)を思わせる袖付きの白い長手袋の指で、慣れたようにコンソールを操作する。

 

「このまま事を静観していたら、うちのギルドの名に──看板に傷がつく。早急に手をまわすぞ」

 

 デスクにあるアンティークじみた黒電話を肩に引っ掛け、関係各所へ指示を飛ばす。

 

「情報部、各開拓都市や同盟領地、全支部所設置ポイント、協力協定を結んでいるギルド:ワールド・サーチャーズに連絡! モンスターへの警戒レベルを最大(マックス)に引き上げさせろ! 周辺警戒も徹底するように! 理由ぅ?『ギルド長の命令』! いい?! とくに、血まみれな肉の(かたまり)じみたやつと、今送った合成写真(モンタージュ)にのってる少年は超・超・超警戒! 以上!」

 

 受話器を乱暴に置いた。

 その後、ギルド長室のシャンデリアの下に、現在までに明らかになっているミズガルズの地図を全投影。まるでプラネタリウムのような光点と光線の顕現に、室内にいる数人が感嘆の息をつくが、お嬢は頬杖をついて地図を(にら)むのみ。

 

 はじまりの街である樹界都市・アスクエムブラが下方にあり、そこから円を描くようにして、ゲーム初期に第一から第六までの開拓都市は築かれた。

 後年、ミズガルズ〈奥地〉に発見、あるいはイベントで発生した「王の領地」や「隠れ里」が点在し、さらにそこから樹海の〈最奥〉──世界の中心に(そび)えている大樹へと向けて、第七から第十二までの開拓都市が造営された。

 しかしながら、長いユグドラシルの歴史の中で、イベントやレイドボス、さらには無限湧きするモンスターの巣窟に行きあい、このミズガルズだけでも三つの都市──第五開拓都市と第八開拓都市、そしてフローズニル王領が壊滅、一時破棄され、その後なんとか奪還して再建にこぎつけた過去がある。

 

 今回の事件でミズガルズの歴史上四つ目の都市を失ったというわけであるが、お嬢は釈然としない情報を率直に言葉に変えた。

 

「その、謎のモンスター……カテゴリ表記が“文字化け(バグ)”ってた肉塊を引き連れた……少年剣士? そいつ、“他にもやばい連中を連れてた”って?」

「ええ、お嬢。その通りです。しかもあの時、どういうわけだか〈記録(レコード)〉のマジックアイテム──記録用のカメラが使えなかったことも解せません。証拠としては不十分極まりないところですが、私を含む第九にいた全員が証言できます。それに、不可解なことがもうひとつ」

「なに?」

「実は、肉塊の群れの中に、先日何者かの襲撃を受けたというギルド連中、うちと大口の取引があった団体、その構成員(メンバー)らしき姿を確認しました」

「おいおいおい。つーことは、なにか? まさか、一連の事件がぜんぶ繋がってるとか言わないでしょうね?」

 

 彼女はそう言ったが、大男は該当するプレイヤーをファイリングした名簿を取り出してよこした。

 コンソールを通じて受け取ったそれは、確かにここ数ヶ月で謎の襲撃を受けて壊滅したという報せを受けたギルド、その構成員たちである。

 彼らが視認できただけで50人程度……商業ギルドである彼等だからこそ、それだけの顔見知りを、化け物の群れの中から特定できたわけだ。

 幼いころからお嬢の身辺に侍る目の前の人物が、虚偽の情報を伝える理由がない。しかし、お嬢は眉を(ひそ)めざるを得なかった。

 

「……プレイヤーがB級ホラー映画よろしく、蘇生に失敗して、ゾンビにでもなったってか?」

 

「わかりかねます、お嬢」と即応する大男。

 

「──それが事実だとしてもさ、いったいどういう理屈よ?

 その少年剣士とやら。プレイヤーを、いや、プレイヤーの残骸を、肉人形にして隷属(れいぞく)させてるってか?」

 

 だが、プレイヤーのアバターを強奪したという可能性は、まずもってありえない。プレイヤーのアバター情報はプレイヤー個人の所有するところにある。ゲームの仕様で操ったり操られたり……精神系魔法による幻術や死霊系魔法による死体使役はあっても、魔法やスキルの効果が永続するなど、普通に考えればありえない。戦闘が終われば自動的に効果は消滅するだけ。アバター強奪などという事態が許されるなれば、運営へのクレームが殺到するだろう。しかし現在まで、そのような報告例はない。そもそも、襲撃を受けた連中というのも、なんだかんだで蘇生復活自体はできているのだ。ちょうど、第九都市でやられたノー・オータムの構成員ら──目の前の木こり男がそうであるように。

 お嬢が疑わしげに書類をめくると、第九開拓都市で、壊滅の現場に居合わせたプレイヤーたちの証言が羅列(られつ)されている。その証言も十人分を読み込む頃には頭痛が増すように感じられる。

 頭が痛いことこの上ないというように、最上位白竜(グレーテスト・ホワイト・ドラゴン)の革がはられたデスクチェアに身体を沈めていくお嬢。

 

「……リアルでもくそ忙しい時に、こんな大問題(ビッグトラブル)まで処理しなきゃなんて、マジやってられんわ」

「ゲーム内であろうと姿勢を悪くすると体に(さわ)りますボス、いえ、お嬢」

「てめえ、もうわざとだろ、それ。……まぁいい。拠点大型内装用データと拠点NPC動作パッケージ、外装(グラフィック)イラスト納入の件は後回し。──発注元の友樹(ゆうき)さんと逢坂(おうさか)さん、あと仕入先のリヒャルトさんとカワウソさんにも、連絡か……」

 

 予定変更と姿勢矯正を余儀なくされ、大いに機嫌を損ねるお嬢。

 事情説明だけでもいろいろと難儀しそうな案件を、幹部らと共に鬼のようなスピードで片付けた、直後であった。

 新たな一報を告げる黒電話が、けたたましくコールベルを打ち鳴らした。

 

「ううううるっさい! なに? いま忙し、──はあぁ!? だ、第十一に、“襲撃”?! ガチで言ってんの、それ!!」

 

 椅子から転げかけながら立ち上がるお嬢。

 届けられた一報に対し、幹部たちの声でざわつく室内。

 お嬢はそれには構わず、「とにかく徹底的に抗戦し、情報を可能な限り集めろ!」と簡潔に明確に指示を出し終えて、受話器を置いた。

 お嬢は拳を痛いほど握り込む。

 

「……うちの傭兵警備システムが、ぬかれてる? 嘘でしょ? ここ数年完璧に機能してたっしょ? 先代の頃から試行錯誤かさねて、あのクソ駄目ヘイト管理を調整できるように、やっとの思いで構築したのに?」

 

 大量の傭兵NPCを利用することが大前提の警備システムを生み出したことで、敵性プレイヤーの集団やモンスターの無限湧きの類も、ほぼ100%検知できるようになった。

 都市攻防において重要な初動──敵の襲撃をいち早く感知・迎撃する手段を、先代や仲間たちと共に築き上げた。

 いったい全体、何が起こっているのか理解しかねるノー・オータムの長、であったが。

 

「いかがしますか、お嬢?」

「あ~クソがああああ、マジでウゼエえええええ!」

 

 必要なことは「対応」ひとつきりである。

 お嬢はヒールの踵を大理石の床が割れんばかりに打ちつけた。チャイナドレスの裾を(ひるがえ)し、アイテムボックスから外出用の神器級(ゴッズ)アイテムを掴みだす。真紅の血に濡れたような外布(マント)竜殺しの隠れ蓑(タルンカッペ)”を、マフラーのごとく首元に巻き付ける。

 

「第十一にカチコミ行くぞぉ! この落とし前、課金拳で絶対につけてやるっ!! てめえらぁ、さっさと戦闘準備ッ!!!」

 

 ビン底メガネの奥にある瞳が、憤激の色に染まったようにみえた。

 即座に承知の声を奏でる木こり(ランバージャック)をはじめ、幹部たちが戦闘と転移門の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 

「おい、煉獄さんは大丈夫なの、弟?」

「わかんねえ、なんだ、あのモンスター? なんでカテゴリ欄がバグってんの?」

「……いったい、下ではなにが?」

 

 煉獄に逃げろと言われたモモンガたちは、もちろん逃げてなどいなかった。

 プレイヤーたちがバリケードを築く大市場(おおいちば)、そこを十分に見渡せる五階建て相当の建物──その屋上の影に身を隠しつつ、慎重に、事件を遠巻きに見ながら、都市の様子をつぶさに観察する。

 

「つかモモンガさん。危ないから魔法を飛ばすのは控えてくださいよ。今ミズガルズのプレイヤー、この都市の住人に見つかったら、ガチでやばいっすから」

「いやすいません、つい」

「いんや、ナイス判断だったよ、モモンガさん。あのままだと、さすがの煉獄さんも危なかった。弟の狙撃だと、こっちの位置がモロバレするところだったし」

「お、俺だって、数キロ離れたところからやれば、位置バレなんてしねぇし!」

「はいはい言ってろ言ってろ」

「二人とも、静かにっ」

 

 三人は異形種(いつも)の姿に戻っていた。タブラ謹製の人間種に化ける装備品──世渡りの仮面(マスク・オブ・ゴーイングスルー)を装備したままでは、従来のLv.100の力を発揮できない。攻撃も防御も、かなりお粗末な事態になるため、異形種のもとの姿に戻らねばならなかった。そのおかげで、第九位階の〈心臓掌握(グラスプハート)〉で肉人形と化したプレイヤーの動きを止められたわけであり、こうして、こそこそと声をひそめ隠れながら、事態の推移を見守る羽目になった。やはり煉獄の言う通り、都市の外を目指して逃げるべきだったと後悔しても、もはやあとの祭りである。

 

「いざとなったらモモンガさんの〈記憶操作(コントロール・アムネジア)〉で、人間(プレイヤー)に「自分たちは味方」とか言って誤認させることもできますが、さすがにあれだけの大人数には」

「──使いようが、ないですしね」

 

〈記憶操作〉の魔法は、このユグドラシルにおける精神系魔法のひとつだ。

 その効果はずばり、ユグドラシルプレイヤーの記憶を操作する……ことまではできないが、相手対象(一人~四人)が認識している魔法使用者(じぶん)の存在を都合のいいものに書き換える──ようするに視覚データを換えることができる。たとえば、異形種の見た目を、ただの人間種のそれにすり替えたり。実に、人間種に化ける効果を持つ世渡りの仮面(マスク・オブ・ゴーイングスルー)と、効果効能はほぼ同じと言えた。タブラの詳細な説明だと実態は少し違うらしいが。あのアイテムは、魔法を使えない職種のプレイヤーでも、敵の認識を書き換えることができるという点で優れていた。〈不可知化(アンノウアブル)〉の魔法とは違い、回避手段が極めて限定される──精神系対策をしていても、ある程度の効果を期待できる、精神系攻撃完全無効の種族や装備以外には、防御不能な魔法なのだ。

 ちなみに、〈完全記憶操作(パーフェクト・コントロール・アムネジア)〉という上位魔法になると、「敵対関係を一転“味方”にし、自陣営として操作できる」──プレイヤー本人も気づかぬまま、敵の意のままに操られてしまう。さらに、「十人以上の大人数の認識を書き換える」だけでなく、相手の「レベル数値をダウン」させることも、〈完全記憶操作〉は可能。

 無論、精神系対策を取ったプレイヤー相手だと抵抗され、大幅なレベルダウンは見込めないが、対策ができてないモンスター──Lv.90以上だと大抵は対策されるが──だと、最大で1/2、つまり50%ダウンまでできるのだ。それほどの効能ゆえ、この魔法は精神系魔法を極めた魔法職でなければ取得要件を満たせないため、死霊系魔法に特化したモモンガは取得できていない。

 それでも、相手の認識を書き換え狂わせるというだけでも、この魔法はなかなかに便利な代物だと言えた。

 

「かといって、また仮面をつけても、いま都市を抜けるのは」

「難しいよね。……どこもかしこも大騒ぎだ。ミズガルズの〈最奥〉、世界樹の深奥に迫るための橋頭保(きょうとうほ)、人間種たちの砦たる──あの第十一開拓都市が」

 

 都市が、ありえざる速度と深度で“襲撃”され、西門の区画エリア一帯が、主戦場と化している。

 さらに、戦域は拡大の一途をたどっていた。

 空を飛ぶ魔法詠唱者(マジックキャスター)や、竜や魔獣や巨大蟲や機械兵器に(またが)騎乗兵(ライダー)たちも、都市を蹂躙する肉塊のモンスター──血走った眼や牙を剥く口つきの触手による攻撃に、もはや「てんやわんや」といったありさま。商業ギルドの構成員らの徹底抗戦や情報収集が各所で行われているが、このような事態は想定の範囲外で、実に混沌としている。この都市に物資を運搬してきただけの商人にまで「戦闘に参加しろ!」と呼びかけられている状態だ。……このような乱戦下で、実戦闘力を喪失する仮面(アイテム)を身に帯びたまま、都市のプレイヤーに遭遇し、共に戦えなどと言われたら、とてもではないが「やってられない」状況に(おちい)ると、容易に判断がつく。

 それになにより、

 

「このまま、煉獄さんを見捨てていくというのは、ちょっと気がひけますからね」

 

 モモンガの主張にペロロンチーノもぶくぶく茶釜も同意の首肯を落とす。

 三人の見つめる先で、炎を思わせる剣士が、緑と黒の羽織を纏う不気味な少年に斬り込んだ。

 

 

 

 

 




※注意※
〈記憶操作〉の魔法の記述については、D&Dを参考にしております。エンリに使った際も、ガチで記憶を操作できる魔法のように扱っていましたし。
 なお、その上位魔法である〈完全記憶操作〉については、原作のオバロには登場しておりません(効果はD&D参考です)ので、あしからず。
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