煉獄杏寿郎と巡るユグドラシル【オバロ×鬼滅】   作:空想病

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アニメ遊郭編第六話、やばすぎです


第弐拾話  鬼舞辻無惨、蠢動(しゅんどう)

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 我が身は死を克服した。

 この身は死を超越した。

 

 

 いかなる理由でかは知らぬが、我が身はこの地にあった(・ ・ ・)

 ユグドラシル──その中の「冥界(ヘルヘイム)」に、私は身一つで流れ着いていた。

 

 目の前の白亜の宮殿──氷河城の白き門扉(もんぴ)を押し開き、(かつ)えていた衝動のまま守衛の巨人を喰い、城内の肉のある者ない者、分け(へだ)てなく喰らった。

 朽ちた死者の腐肉を飲み下し、白骨の髄液の残滓まで(むさぼ)って、我が歩みを邪魔するもの──城の衛兵たる異形すべてを、我が臓腑の底に蓄えていった。

 そして、

 数刻も経たぬ間に、私は城の最上層──その玉座に座していた、“災厄姫”とは名ばかりの小娘(ヘル)を屈服させ、足下に(ぬか)づく隷奴(れいど)の地位に(おとし)めた。冥界の女主人など、恐るるに足らず。

 

 

 新たなる城を得た私は、己の胸の内にあった(こころ)みを実行に移した。

 

 

 一時は我が掌中にしていた竈門炭治郎を、惜しむらくも取りこぼしはした──が、私の手の(なか)には、炭治郎の細胞が確実に取り残された。

 それらを解析し、分析し、理解し、再構築と再構成に利用して、私は【竈門炭治郎】と同じものを産み出すにいたった。

 

 

 この手で生み出した数多(あまた)の鬼などとは比べるべくもない完成度。

 (ことごと)く鬼狩りの前に(つい)えた上弦たちでさえ及ぶべくもない高性能。

 その身は太陽の光を克服し、かの血で作られる悪鬼もまた太陽の下で活動できることが可能という、絶対生存能力。

 

 

 まさに“鬼の王”。

 この私の意思を継ぐべきもの──竈門炭治郎。

 

 

 手始めに冥府の川の橋の女門番を殺戮させ、血族(けつぞく)に加えさせた。

 氷河城に囚われていた神の敵対者なる者どもを、血族に加えさせた。

 冥界の湖沼や毒竜の巣窟、死した巨人族の墓所──そこにいた化外の者共も血族に加えさせた。

 プレイヤーと呼ばれる人間どもの居を襲い、集落を喰らい、城を陥落せしめ、十を超える集団(ギルド)を駆逐し、その者達も血族の末端──肉腫の悪鬼の群れに、加えさせた。

 

 

 そんなある日、人間どもの土地を斥候(せっこう)していた炭治郎の血族──鷹の羽衣を纏った女神(めがみ)の一柱・フレイヤより、(しら)せが、届いた。

 

 

『あのさ~。風の噂で聞いたんだけどねー。

 鬼殺隊(キサツタイ)っていう名前の組織(クラン)が今、ミズガルズの都市にあるらしいけど、これ、炭治郎ちゃん関係の案件~?』

 

 

 ──

 

 ……

 

 

 

 鬼

   殺

     隊?

 

 

 

 ──鬼殺隊──

 

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊鬼殺隊。

 

 

 ──  キ  サ ツ  タ イ  !!!!

 

 

 その単語を聞いただけで、脳髄のひとつが捩じ切れそうなほどの憤怒(ふんぬ)を感じた。

 発作的に刃のごとき腕を振るい、首輪に繋がれていた小娘(ヘル)の臓物をこぼれさせるほどの一撃を与え、血飛沫と悲鳴の濁音をあげさせた。

 そちらは一切無視し続け、無惨はフレイヤの知らせによって、烈怒(れつど)(とりこ)となった。

 思い出すのも忌々しい。

 我が身が朝日の中で焼け、塵埃(じんあい)と化していく凶熱と屈辱を、否が応でも想起させられた。

 このセカイでも尚、この私を──鬼舞辻無惨を追い立てようなどと(たくら)む高慢な輩が、害虫が、塵芥(ちりあくた)が、存在していてよいはずがない。

 私は即座に命じた。炭治郎に──「鬼殺隊を抹殺せよ」と。

 

 

 しかし、この世界の人間どもの抵抗は、こちらが想定していた以上の(げき)を見せた。

 鬼殺隊を率いていた柱の一人は見事瀕死(ひんし)にはできたが、この世界の人間どもの強さは、私のいた日本(ひのもと)のそれを超過していた。武具の(たぐい)も見た種類のないものが多かった。銃火器は南蛮銃や大砲が存在したが、戦車やミサイル、なにより“魔法”というものは、完全に慮外の武力であった。奴等の抵抗が苛烈となった理由──『これまでは自分たちの居を守るべく、力を温存していたのでしょう』という魔法詠唱者(ヴァフスルーズニル)めの言い分もあり、炭治郎には一時帰還の撤退を命じた。今まで通りとはいかぬ以上、策を練り直す(よう)があった。

 忌々しいことだが、いまは、炭治郎の無事が何よりも優先される。

 炭治郎こそが、私の意思を継ぐもの──この世の摂理と法則さえも超克せし体現者。“鬼の王”として君臨すべき、我が寵児(ちょうじ)なのだから。

 

 

 故に。

 

 

「新たな戦力の補充?」

「……は、……はい」

 

 

 その申し出を城の寝所──姫のための私室で休んでいた折に受けても、心から快諾(かいだく)した。

 それは私自身も考慮していた。この氷河城内に蓄えた戦力・炭治郎の血族は「無限」にも思えるが、あの第十一都市とやらで失った以上の補充は必須といえる。

 すべては鬼狩りを駆逐し、鬼殺隊を完膚(かんぷ)なきまでに滅ぼすために。

 

 

「よろしい。まだこの冥府(ヘルヘイム)にも狩場にしていない土地があったな。そう、毒の沼地あたり。ナザレだのなんだのと言った場所の近くか。あの領域近辺から見繕ってくるがいい」

 

 

 炭治郎は言葉少なに部屋を()した。

 十五前後の(よわい)の見た目の故ではあるまいが、今の私の遊興ぶりを直視できぬとは、やはり精神は(いとけな)いのだろう。恥ずかし気に目も合わせられぬとは。

 私は私で、我が腕の中で(あえ)ぐ小娘を(もてあそ)び、戯れ続けた。

 人間など即死即壊の力を持つ無惨でも破壊できない異形の娘というのは、考えてみれば実に稀有(けう)な事例である。                                                                                                                        

 

 

「ふむ。──ようやく(つや)のある()い声になってきたではないか。その身は死体と言って何も感じぬと強がっておった割に、なかなかの具合の良さ。──そら、この私を(たの)しませよ、冥界の女主人よ」

 

 

 ヘルは真っ赤な顔で(なみだ)(よだれ)をこぼしながら、新たな己の主──無惨に対し喜びの嬌声(きょうせい)をあげはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 

 

 

 ヘルヘイム。

 グレンデラ沼地。

 1500人全滅の伝説を築いたギルド:アインズ・ウール・ゴウン──その拠点「ナザリック地下大墳墓」を(よう)する毒の沼地は、不浄な空気で視野が霞み、現れるツヴェーク()系モンスターの厄介さ……敵襲を仲間に知らせ大群となる特性などから、大概のプレイヤーたちからは恐れられている。

 

「今日も特に異常……なし」

 

 侵入者の気配の、その残りカスすら見当たらない。

 ギルド本拠地周辺の、ギルドメンバーのみが使うよう巧みに整備した巡回道(ルート)を行きつつ、彼は告げる。探索役(シーカー)として斥候偵察を得意とする『ザ・ニンジャ』──弐式炎雷(にしきえんらい)は、退屈すぎてあくびまで出る始末だ。青い忍装束に忍刀を腰にぶらさげている。

 心底(しんそこ)から退屈気(たいくつげ)な友人の主張に、仲間の一人が応えた。

 

「まぁ、異常なんてあるわけないからな。あの『大侵攻の失敗』『1500人全滅』以来、ウチを本気で攻略しようなんて(やから)、ほぼほぼいなくなっちまった」

 

 彼に同道するのは、無骨な鎧甲冑に三日月形の歪な角を持つ『ザ・サムライ』──武人建御雷(ぶじんたけみかづち)。打倒たっち・みー(ワールドチャンピオン)の目標のもとに己で製作した主武装“建御雷八式”と“斬神刀皇”を腰に()いていた。

 さらに、彼らと共に肩を並べる蔦の死神(ヴァイン・デス)の指揮官『アインズ・ウール・ゴウンの諸葛公明』ともあだなされるぷにっと萌えが、定期巡回の後衛役として、二人と共にギルド周辺領域を見回っていた。

 

「おかげで、ウチのギルドは平和そのもの……なのはいいですけど」

 

 新たに出現したワールドエネミー・鬼舞辻無惨とかいう、氷河城の主について、彼らは情報を共有するにいたり、ギルド長であるモモンガもまた、その討滅事業を掲げる商業ギルド:ノー・オータムの動きに呼応しようとしている。

 が、問題がひとつあった。

 

「正直いうと、敵がいなくなるっていうのも、考えもんだよな」

「確かにな。前は定期的に、ウチを攻めようとする気骨のある連中もいたが」

 

 キブツジムザンとやらの存在に興味をひかれなかった忍者(ニンジャ)(サムライ)は、自分たちの状況を率直に思っていた。

 

「あの第八階層での“あれら”を使った逆転劇。あれ自体は、本当うまくいってよかったよ。──けど」

「ああ……我らの誇るギルド長・モモンガさんの世界級(ワールド)アイテムと、“あれら”とのシナジー効果」

「出回った動画だけでも100はありましたね。当時、乗り込んできた連中の残した、実況動画。正直ものすごくグロかったですよねー」

 

 ぷにっと萌えも会話に参加しつつ思い出す。

 何しろ第七階層までで削り落とせたのは、500人かそこら。残る1000人規模で第八階層を踏破しようとして──見事、返り討ちにあったのだ。“あれら”と“ルベド”に対して、一方的に殲滅(せんめつ)されかける侵入者たち。第八階層守護者である胚子の天使(ヴィクティム)の強力無比な“足止め”スキルで、侵入者全員が、為すすべもなく自由を奪われ拘束された──そして、あの『最期』だ。一時は運営への抗議文がパンクしたというほどだが、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンは一切不正行為(チート)やバグ技を働いておらず、ある意味において運営からの「御墨付(おすみつき)」を頂いたことになる。

 しかし、

 

「あーあ。せめて。ご新規さんでも、きてくんないかなー」

「お化け屋敷感覚としては、完成度激高(ゲキダカ)評価(レビュー)もらってるからな、ウチは」

「あー、ですねー」

 

 気のない会話。

 ギルドメンバーたちの多くは、ゲームの生活(ユグドラシル)に退屈さを覚えているものが多い。

 最強であるが故の悩み──というほどではないが、実際として敵との対戦が減少傾向にあることは事実であった。必要な素材集めの遠征や、それらを使った武装やアイテムの製造錬成、ギルド拠点の改造改築、拠点NPCへのプログラミングなどのやりこみ要素も、まだ数多く残ってはいたが、やはり特定のゲームのみに時間を浪費するプレイヤーは、そう多くない。実際、弐式炎雷もぷにっと萌えも、この“YGGDRASIL”のみをプレイしているわけではないのだ。

 くわえて、たっち・みーやウルベルト・アレイン・オードルをはじめとする構成員の正式脱退も相次いでいる。リアル事情で脱退する間もなく非ログイン状態が続く構成員(メンバー)──ヘロヘロなどの例もある。とくに、ギルドの発起人たるたっち・みーが去ったことで、彼に救われた者や彼の力を目標としていたプレイヤーたちは、目に見えて気力が()えていた。武人建御雷(ぶじんたけみかづち)も、実にその一人である。

 ──端的に言ってしまえば、メンバーの多くが“飽き”を感じていた。

 弐式炎雷(にしきえんらい)も。武人建御雷(ぶじんたけみかづち)も。

 ぷにっと萌えでさえ、例外ではない。

 ギルド長(モモンガ)のように精力的にゲームにのめりこむ気概(きがい)を持てるものは限られている。いや、むしろ、彼は仲間たちのため可能な限りログインし、精力的に活動し続けているといっても過言にはならない。(くだん)の氷河城の一件にしても、そういったイベントを企画して、そうして仲間たちにゲームをより楽しんでもらおうとしている意図は明白であった。残存しているメンバーらを奮起させるのに、ヘルヘイムの再難度ダンジョンに巣食う脅威というのは、実に興味をそそがれてしかるべきだろう。

 だが、それも実際はこのありさま。

 全メンバーがゲーム(ユグドラシル)を離れるまで、いつまで持つかどうかというところである。

 

「とりあえず今日の巡回は一周したし、ここまでだな。早いとこ戻るか?」

「ああ、そうだな、建御(たけみか)────?」

「ん? どうかしまし……?」

 

 疑問の声をあげかける軍師を、探索役(シーカー)は片手で制した。

 沼地のねじれた毒々しい木々の影──その奥の闇を凝視する忍者。

 ハーフゴーレムである彼が感知しているのは──なにかの“うめき声”というべきか。

 

「ツヴェークじゃないぞ、この声? この気配は、なんだ?」

「おう。敵襲(プレイヤー)か?」

「とりあえずスキルで、皆の全能力さらにあげときますね」

 

 ぷにっと萌えが特殊技術(スキル)を発動すると共に、三者三様に武器を構える。

 弐式炎雷が忍刀“素戔嗚(スサノオ)”を抜きはらい、武人建御雷(ぶじんたけみかづち)が“建御雷八式”と“斬神刀皇”の二刀を構える。ぷにっと萌えは武装というよりも、植物で編まれたNPCモンスター“蔦の暗殺人形(ヴァイン・アサシンドール)”を三体召喚してみせる。いざという時の壁役として。

 

 そして、“それ”は来た。

 

 

 

「「「「「 ヴア"ア”ア"ア”ア"ア”ア"ア”──ッ!!!! 」」」」」

 

 

 

 肉が膨れ、爪牙を剥き出しに、かろうじて人型を保った、異形(モンスター)の姿。

 それが五体。

 “悪鬼”の尖兵が、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンの周辺領域に踏み込んできた瞬間であった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は煉獄さんたちのターン・対無惨作戦の会合です。
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