煉獄杏寿郎と巡るユグドラシル【オバロ×鬼滅】   作:空想病

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第参拾弐話 鬼舞辻無惨討伐隊 -4

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 氷河城の一角から外に押し出されるようにして飛び出た影が、ガルガンチュア上にいたアインズ・ウール・ゴウンメンバーの眼には見えた。

 

「あれって」

 

 即座に戦艦並みの巨大さを誇る巨剣を取り出し、その刃先を豪雪地に突き立てクッションにするかのごとく大地に降り立つアースガルズ・ワールドチャンピオン。

 

「おいおい~、どうしました~、剣帝さまともあろうものが~」

 

 そう挑発的な主張をしたのは、ガルガンチュア防衛に力を割いてくれているニヴルヘイム・ワールドチャンピオン──最上位死霊王そのひとだった。

 剣帝は挑発など知らん顔で、事実のみを巨影に告げる。

 

「潜入した連中が分断された」

「……なるほど──敵はその手で来ましたか」

「ここで少し雑魚狩りして、ステータスをあげて再度突入する。それで文句はないな?」

「ええ。もちろん」

 

 二人のワールドチャンピオンが話し合う先には、いまだに敵攻城ゴーレム“アウルゲルミル”の姿と、その補佐を命じられた無限の悪鬼がひしめいていた。

 

 

 

 

 

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「よくやった、モーズグズ」

 

 その一言だけをくれてやって、炭治郎はワールドチャンピオンという脅威を排除した女騎士への関心をなくす。

 

「さぁ、お次、は?」

 

 振り返った先で、ヴァフスルーズニルは肩をすくめた。

 

『逃げられました』

「貴様──オーディンと並び称される智者ではなかったのか?」

『何ぶん、五対一でしたので、守勢に回られては』

「言い訳など知らん、追うぞ」

 

 炭治郎が連中の逃げた方角をたずねると、ヴァフスルーズニルは言った。

 

『タブラというものは下へ。モモンガ以下四名は二階へと逃げました』

「一方は囮だな? お前は囮の方を片付けにゆけ」

『御意のままに』

 

 囮役と判断されたタブラ・スマラグディナを追って、ヴァフスルーズニルは飛行する。

 

「僕たちは上だ。この城に土足で踏み込んだことを連中に後悔させてやるぞ」

『御意』

 

 モーズグズを従えた炭治郎は、モモンガたちを追う。

 

 

 

 

 

 

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「本当にタブラさん一人で大丈夫かな?」

「囮役は少数が鉄則ですよ、モモンガさん──それに、こっちの状況だって、けっしてよくはありません」

「なにしろ前衛二人が戦力半減してるからな」

「二人合わせて一人前か」

 

 モモンガは考える。

 

「ここは、あのスキルを使ってみるのもありかなと思うんですけど」

「ゴール・オブ・オールライフ・イズ・デス、ですか?」

「そりゃあ、モモンガさんの最終兵器だろ?」

「せめて、ワールドエネミー戦まで温存しとくのがベストじゃね?」

「おっと、作戦タイムは終了のようです」

 

 そうこうしているうちに、氷結したダンスホールに炭治郎とモーズグズが現れる。

 どちらもワールドチャンピオン級の力の持ち主──そしてこちらは戦力減耗いちじるしい。となれば、

 

「やはり使います! 皆さん、充分離れて──いえ、先に行ってください」

 

 モモンガの意を受け、ぷにっと萌えはニンジャとサムライを小脇に抱え螺旋階段をのぼっていく。

 

「追え、モーズグズ」

「させるか、〈心臓掌握(グラスプ・ハート)〉」

 

 スタン状態を余儀なくされる女騎士。だが、そちらに意識を集中していたモモンガは、炭治郎の超スピードに対抗しきれない。

 

「げふっ」

「僕のものに触れるな!」

 

 大した適役だとモモンガは思った。剣を使わず、拳骨一発で左の頬骨が砕かれるアインズ・ウール・ゴウンのギルド長。

 

「モモンガさん!」

 

 見上げれば、ぷにとっ萌えたちが十分な距離にまで離れていた。

 

特殊技術(スキル)!」

 

 ──“The goal of all life is death(あらゆる生ある者の目指すところは死である)”──

 

 モモンガの、死霊術師を極めた彼だけのスキルであったが、

 

「無駄なことを……さがれ、モーズグズ」

 

 炭治郎の命令で急激に距離を取る女騎士。

 少年剣士は、モモンガを一方的にタコ殴りにしつつ、モモンガの時計が十二秒を刻むのを待つ。

 

「ぐほ、げほ、〈魔法抵抗難度強化(ペネトレートマジック)心臓掌握(グラスプハート)〉ッ!」

 

 相手はたった一人。ゆえに魔法拡大化する必要もなく、ただ一点のみに魔法効果を集中させる。 

 そして、十二秒目の針が天を指した。

 即死魔法の効果が、竈門炭治郎に適用される──

 

「終わり……だ……?」

 

 ──はずだった。

 

「何が、終わりだって?」

 

 炭治郎は、健在。

 ありえないことが起こってしまい、モモンガは現実を受け止め切れない。

 

「な、そんな、ばかな」

「ヴァフスルーズニル」

 

 オーディンに並び称される智者。

 

「奴が教えてくれた、おまえの特殊技術(スキル)、ゴールなんとやらの防御方法は、なんらかの復活手段を講じること、だろう?」

 

 にやりと笑う炭治郎。

 

「だが、俺は竈門炭治郎──あの御方の血を受け、あの御方の後継として立った、鬼の王。復活する手段など、それこそ百はくだらないぞ?」

「ば、ばかな!」

「モモンガさん!」

 

 ボールに蹴りでも入れようとするような炭治郎の一発を、紙装甲の忍者が盾となって防いだ。

 

「弐式炎雷さん!」

「悪い……ちょっとあなどりすぎた。出直してくるわ──」

 

 そういってリスポーン地点……ナザリック地下大墳墓へと死に戻るザ・ニンジャ。

 

「わずらわしい。モーズグズ、とどめをさせ」

『は』

 

 機械槍を構えた女騎士が、モモンガの首を刎ねとばそうとしたとき、遅れて下に駆けつけた武人建御雷が胴体を割られる。

 

「建御雷さん!」

「俺も。悪鬼とやらになって、モモンガさんの邪魔をするのは御免だ。二抜けさせてもらうぜ」

 

 半魔巨人の武人、その肉体が消滅した。

 

「モモンガさん逃げて!」

 

 残されたのは後衛役が二人。ぷにっと萌えはせめてもの盾役に蔦の巨人を召喚するが、寒冷地戦に向いたモンスターではない。

 モモンガは腹部にある世界級(ワールド)アイテムによる攻撃を意識するが、これはワールドエネミー戦まで温存せねばならない。

 まさに万事休す。

 

「不愉快だ──諸共に死ね」

 

 炭治郎が口腔部にエネルギーの塊を生成し始めた時。

 

「へえ。おまえ、そんなこともできるのか?」

 

 もはや聞き知った声が響く。

 アースガルズ・チャンピオンの揶揄(やゆ)するような口調に向けて、炭治郎はエネルギー砲を発射する。

 が、それは縦に両断されてしまった──〈次元断切(ワールドブレイク)〉の力によって。

 

「あらためて、やべえ戦力だ。チャンピオンに総動員令でも出した方がマシだったレベルだな」

「貴様……」

「ギルド:アインズ・ウール・ゴウン! 今のうちに退いておくか?」

 

 モモンガは数瞬ほど答えに窮した。そのうえで、言った。

 

「俺は、進みます!」

「よぉし、その意気だ!」

 

 快く承諾し助力してくれるアースガルズ・ワールドチャンピオンの姿に、モモンガは今はもういない仲間を──アルフヘイム・チャンピオンの姿を幻視しかける。

 ぷにっと萌えと共に第三階層へ登ろうとする二人を、モーズグズは主人の顎の先に命じられるまま追い立てた──が。

 

「おたくの相手は俺だよ、っと!」

 

 最上位死霊王の影の拳が、盛大に叩き落とした。

 

「まったく。作戦通りいかないね、世の中は」

「気にするな。それが醍醐味ってもんだろ?」

 

 行けと促され、モモンガとぷにっと萌えは第三階層へ。

 

「さぁて」

「一丁、派手にいきますか」

 

 樹剣を構える剣帝。

 陰の姿で拳を握る死霊の王。

 二人のワールドチャンピオンを前に、炭治郎はわずらわしさに身を震わせながら、告げる。

 

 

「調子に乗るなよ、たかだか人間風情が」

 

 牙を剥き、竜尾の刃をしならせる炭治郎に対し、

 

「そんな悲しいことを言うものじゃない、竈門少年」

 

 燃え上がるような金色の髪。

 赤い瞳には強き意志が漲り、見る者の心を圧する。

 上の階層に各地に飛ばされたはずの煉獄が、クラン:鬼殺隊を引き連れて現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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