煉獄杏寿郎と巡るユグドラシル【オバロ×鬼滅】   作:空想病

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明輝(サンライズ・ブライト)〉は、D&Dを参考にした魔法で(以下略)


第参拾捌話 決戦

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「どいつもこいつも、私の邪魔を、するなああああああああああああああああああああああああああ!」

 

 それは悲鳴と呼ぶには力強い叫喚であった。

 

「ヴァフスルーズニル!」

 

 炭治郎の血を介して、己の支配権に組み込み終えた魔法詠唱者(マジックキャスター)に対し、氷河城の主たる無惨は確認を取る。

 

「各ワールドの侵攻状況は!」

『それが、(かんば)しくありません』

「なんだとッ!」

 

 ヴァフスルーズニルは弁明する。

 

『どうやら、向こうにもここに集っている者たちに匹敵するプレイヤーたちが邪魔だてしているようで──侵攻規模は三割にとどまっております。ワールドチャンピオンをはじめ、ワールドディザスターやワールドガーディアンも、本格的に抵抗している──なかには、クラン:鬼殺隊に所属していた者たちもおり、無限の悪鬼への対処法は完全に分析されてしまっているようで』

 

 そう報告を受け、無惨は盛大に舌を打った。

 

「ええい、使えぬ雑兵(ぞうひょう)共が! 幹部共は何をしているか!?」

『ワールドチャンピオンなる者との戦闘によって、フレイヤは逃亡、グレンデルマザーとグレンデルは死亡、他にも重傷者、瀕死者多数』

 

 ワールドを隔てている関係で、神クラスのフレイヤはまんまと逃走の手を打たれた。憤激する無惨。

 

「もうよい! 残った者たちをここへ集め、柱たちに一当てにせよ!」

『それも叶いません』

「──なんだと?」

『我が魔力は、先ほど炭治郎殿が転移したのちに、強化魔法などによってスッカラカンにされてしまいました。いまや私には、あなたどころか自分自身を転移させることも』

 

 できないという前に、鬼舞辻無惨の爪牙が、オーディンと並ぶ智者の首と胸を貫き抉る。

 

「ならば貴様にもう用はない。私の腹の中で、我が贄となるがよい」

『が、あ、あなたなら、そうすると、わかって、おりまし、た……』

 

 そのまま触腕に咀嚼されるヴァフスルーズニル。

 無惨は腹八分にも満たぬ魔力なしの魔法詠唱者を喰らって、多少は体力(H P)を取り戻した。

 

「ここにいる全員、生きて帰れると思うなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 無惨の絶叫がこだました。

 

 

 

 

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 氷河城、第19階層にて、ワールドエネミー鬼舞辻無惨に対し、討伐隊の員数は目減りしている。

 柱たち九人は健在。

 ワールドチャンピオン二人も壮健。

 クラン鬼殺隊の四人と、ギルド:アインズ・ウール・ゴウンはモモンガとタブラ・スマラグディナとぷにっと萌えの三人。合計して17人。

 軍団(レギオン)方式でいえば半数を少し越した程度の員数でも、鬼舞辻無惨に対し、圧倒的なアドバンテージを有する存在が、九人。

 

 風柱・不死川実弥。

 蛇柱・伊黒小芭内。

 恋柱・甘露寺蜜璃。

 音柱・宇随天元。

 霞柱・時透無一郎。

 岩柱・悲鳴嶼行冥。

 蟲柱・胡蝶しのぶ。

 水柱・冨岡義勇。

 

 そして、

 

「鬼舞辻無惨!!」

 

 炎柱・煉獄杏寿郎。

 このとき、モモンガのゲーム画面(インタフェース)に、一つの表記が浮かんだ。ぷにっと萌えとタブラ・スマラグディナも同様だったようで、一様に声をあげる。

 

「これって?」

Demon(デーモン)──Slayer(スレイヤー)?」

「おそらく、鬼滅の刃、その柱たちの称号、という意味でしょうね」

 

 一瞬で洞察してみせるタブラ・スマラグディナ。

 ユグドラシルに存在するイビルスレイヤーやデモンスレイヤーとは一線を画す存在であることを示すように、彼らの闘気がプレイヤーたちの各画面に可視化された形だ。

 

「この英語は文字通り魔を、鬼を退治するもの、という意味です」

「でも、どうして、今まではこんな表記?」

 

 存在しなかった。

 柱たち九人が参集を遂げた時にも、こんな事象は起こっていない。

 可能性があるとするならば、

 

「おそらく、彼らがこれから討伐する者の前でのみ与えられる特殊職業(クラス)、といったところでしょうか」

 

 タブラの予測通り、鬼滅の刃(デーモン・スレイヤー)たちのステータス値が、これまでにないほど増強されていく。

 

「これはひょっとすると、私たちの出番はもうなしかも?」

 

 そう平然(へいぜん)と評するタブラ・スマラグディナの前で、煉獄たちは一斉に動いた。

 

「炎の呼吸 玖ノ型 煉獄」

「水の呼吸 拾ノ型 生生流転」

「蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き」

「岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部」

「霞の呼吸 漆ノ型 朧」

「音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々」

「恋の呼吸 陸ノ型 猫足恋風」

「蛇の呼吸 伍ノ型 蜿蜿長蛇」

「風の呼吸 玖ノ型 韋駄天台風」

 

 鬼滅の刃の柱たちは、次々と大技を繰り出していく。

 この時点で既に、勝敗は決したも同然であった。

 

 

 

 

 

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「ぐおおおおおおおおお────なぜ、何故ぇ……」

 

 鬼舞辻無惨は狩られる半歩寸前にまで来ていた。

 柱たちの赫刀。互いに連携を取りつつも、最大の技を繰り出す剣技の冴え。

 

「私は、死なん!」

 

 肉体分裂で逃げおおせようとしたその時、炎柱をここまでかついできた当世具足の鎧武者が、趙絶的な剣技を放つ。

 普段は弓や長槍で武装していた腕が振るうのは、まぎれもなく呼吸術。

 これまで一度も使用してこなかった、腰に佩いた大刀の一本を抜き払い、陽光のごとき力の放出をうむ。それが、分裂しようと起爆する無惨の身体各所を押し包むように斬り刻んだ。まるで、「二の轍は踏まん」とでも主張するがごとき技の神速。抜刀から納刀まで、それは誰の目にも止まらぬ冠絶した速さであった、

 しかし、それはありえないものであるはずだった。

 少なくとも、鬼舞辻無惨にとっては、最も忌むべき記憶である。

 

「ばかな……何故、何故ここに、貴様が!」

 

 鎧兜の鬼面の下から覗くのは──、

 老いさらばえた老骨の皺。

 揺れ動く長い白髪。

 

「一気に追い込むぞ!」

 

 岩柱の号令。

 柱たちの一人にして最強と目される悲鳴嶼の“目”でも、そちらへは一切反応できなかった。反応できない速度で繰り出されたのだ、無惨の分裂を防ぐ彼の剣技は。

 柱たちが最後の技を繰り出し、畳みかけ続ける。

 それでも、無惨は諦めない。

 

「ぐううう、無駄、だ……た、太陽さえなくば、貴様たちなど!」

「ほう。そんなに太陽が恐ろしいのか? ──ならば、くれてやる」

 

 無惨は振り返った。

 振り返った先で、骸骨のプレイヤーが何かのアイテムを起動していた。

 

「〈魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)明輝(サンライズ・ブライト)〉」

「ぎゃああああああああああああ────ッ!」

 

 モモンガの職業(クラス)では扱えない魔法だが、装備箇所をひとつ潰すリスクを冒して用意した、対鬼舞辻無惨用の、魔法。

「畳みかけろ」というモモンガの的確な判断に、プレイヤーたちが呼応する。

 

「〈魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)明輝(サンライズ・ブライト)〉」

「〈魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)明輝(サンライズ・ブライト)〉」

「〈魔法三重最強化(トリプレットマキシマイズマジック)明輝(サンライズ・ブライト)〉」

 

「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ──ッ?!」

 

 タブラ・スマラグディナ、鬼殺隊のシマエナガ、ワールドチャンピオンの剣帝らが、この時のために用意しておいたマジックアイテム(スクロールやワンド)などを駆使して放った太陽光の出現、合計十二連に、無惨の五体はズタボロにされる。

 ただ魔法を浴びせるだけでは、ここまでの効果は期待できなかっただろう。

 柱たちの死戦で体力を削り取られていなければ、多少は抵抗もできたであろう偽の太陽であったが、このタイミングにおいては効果覿面に働いた。

 もはや虫の息という鬼舞辻無惨──だが、なおも抵抗しようとする鬼の始祖に、柱たちは死力を尽くし、最後の技を降りそそがせる。

 

 

 

「風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り」

「蛇の呼吸 壱ノ型 委蛇斬り」

「恋の呼吸 壱ノ型 初恋のわななき」

「音の呼吸 壱ノ型 轟」

「霞の呼吸 弐ノ型 八重霞」

「岩の呼吸 壱ノ型 蛇紋岩・双極」

「蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ」

「水の呼吸 壱ノ型 水面斬り」

「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」

 

 

 

 

 それは、鬼舞辻無惨という悪腫を、この世界から完全に葬り去らせる九連撃となった──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




完結まで、あと3話
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