「どうも、シンジです。(^-^)シ」
「レイです…(´・_・`)シ」
いや〜、急いで書き上げたわ〜。( ̄+ー ̄)
「そうだね〜、前回よりは早いよね。今回は…」
「そうね…」
早く赤髪かな?いいえ、設定では金髪の人を出さないとマジでこの場に来るし、読者からのジーク・ヨッピーコールをきいたならねぇ。_φ(・_・
「あぁ〜、あの人か。 そう言えば貞本さんのエヴァ終わったね」
「長かったわ…」
そうだね〜、一巻買ってから14年は長いよね。
まぁ、この作品は短いかな?
では、どうぞ!
「どうぞ〜!」
「どうぞ…」
今にも倒れそうな歩き方でフラフラと歩き続けて、シンジはレイが住むマンションにやっとの思いで辿り着いた。
「ゲホッゲホッ…。 とりあえず着いたが…いるのは確実なんだよな」
遅い足取りでマンションの入り口に入り、エレベーターの前に立つと横にはキーロックの端末があり彼は解除する為にシンジのIDカードをスリットに差し込む。 彼のIDカードが吸い込まれ、カード情報を確認するためにセキュリティーコンピューターが稼動した瞬間。
ブウン
エレベーターと端末の電源がカットされる。
「…ちっ。 やっぱり簡単には行かないか…」
シンジはわかっていたように呟く。 前に彼はリツコに聞かされていた話を思い出す。 第3新東京市の街全てを管理をしているのは、ネルフ本部にあるスーパーコンピューター《MAGI》である。 そんなコンピューターが管轄下である、このマンションでネルフ関連の施設に於いて彼のIDカードを使えば情報はネルフの頭脳と言われる赤木リツコの元に知られる。
即ち未だ彼はネルフと言う壁に道を阻まれていた。 シンジは、溜息をしながらズボンの右ポケットから携帯を取り出す。 すると、今までサイレントモードしていた為に気が付かなかったのか履歴がミサトの名前で埋め尽くしていた。 それを見てシンジは苦笑しながら、ミサトの携帯番号を入力し耳に当てると数回のコール音の後に回線が繋がり、慌てた様子の声がスピーカーの向こう側から聞こえる。
『シンちゃん! どうして勝手に病院を抜け出したりしたの! 心配するでしょ! 電話してるのに出ないし!』
案の定の剣幕であるミサト。 しかし、彼は落ち着いた声でミサトに言う。
「ミサトさん…、それは大人達が俺に真実を言わないから独断でこうして動いているですよ? レイさんが無事なのはわかりましたが、何かがあって俺に知られてはマズイと思って、知らさなかったじゃあ無いんですか?」
少し声に怒りが混じり、電話の向こう先にいるミサトとは先程とは変わって無言になってしまった。 今回のシンジが独断で動いた件に関しては自分だけの非では無いと思って、現時点彼にレイの事を知らせなかった為に起きたのだ。 シンジの中では、ある程度は秘密や何かを隠されても文句は言うつもりもないのだが、今回のレイの件では話は別だった。 無事なのは理解したが、彼女の身に何があったのかを大人達が隠していたのが彼には腹を立てていた。
『……ごめんなさい。 だけど、今のレイを貴方に見せたら心が持たないと思って言わなかったのよ…』
覇気のない声が電話の向こう先から聞こえてくる。 シンジは、そんな覇気のない声を聞き肺にある酸素を全部吐いているでは無いかと思わせる溜息を吐く。
「…あのねぇ、ミサトさん。 俺がそんな柔な精神持ってたら、今俺ネルフにいませんよ? ましてや、最初の使徒を倒した所でトラウマを作ってエヴァに乗るのを拒んでいたでしょうよ…」
確かに彼は普通の精神ではあり得ないほど《異常》だ。 14の少年をいきなり、戦場に出され怪物である使徒と戦わせられ傷を負い苦しんでいたのに、恐怖に負けず逃げず周りの人間達に不安にさせない笑顔を振りまく事が普通の子供に出来るであろうか。
否
そんな人間はいない。 大人であろうと逃げ出すであろう諸行なのだから。 しかし、シンジは使徒にも心にも負けずに戦っている。 そんな彼にも、何処か歪んだ所もある筈だが表に出していない狂者かもしれない。
「だから、電源を入れてくださいよ。 ミサトさん」
シンジは声のトーンを戻してミサトに言うと、返ってくる声には否定だった。
『ごめんなさい……出来ないわ、今のあの子には、シンジ君と会わせることは逆効果になるって私は思うのよ…』
「はぁっ!?」
『落ち着いて聞いて頂戴ね。 確かにレイは怪我はしてなかったのよ。でもね……作戦でのミスを相当に思い悩んでいるみたいで……その後にシンちゃんの病室に行ったらしく、貴方の事を見て心の方に深刻なダメージを負っちゃったみたいで、今はちょうどリツコがレイの部屋に行っているはずよ』
シンジは、ミサトの言葉に頭の中で自問自答していた。
(…俺が苦しんでいる時に、レイさんは来てくれて苦しんでいた俺と動かない左腕を見て心に傷を負った……違うな。 悶えてる時には、来てないのは覚えてる…医者や看護師が病室に入ってきていたのは覚えてるが、レイさんの姿は無かった…。 そうなると俺が、まだ薬で寝ている時に来て左腕を見てしまって…)
自分の中である程度の確証を持つと、彼はより一層に気持ちが駆られミサトを説得する。
「それだったら、俺が行って無事な事なのを知らせればレイさんだって…」
『もうすぐリツコから連絡が入ると思うから、悪いけどもう少しだけ待っていて欲しいの。 かなり興奮してるらしくて手間取っているらしいけど、もうすぐ終わると思うから』
「…何がですか?」
今の彼には表情は無く、氷のように冷たく人として恐怖させる貌だった。 ミサトの言葉に、再び声のトーンは下げながら問いかけた。
『治療よ……そう言ってもいいなら』
「…何をしたんですか?」
少しずつ彼の口調は変わり始めていく。
『鎮静剤を与えているの。 そうでもしないとまともに会話することさえ出来ないらしいわ。 作戦が終わってエヴァを降りたときにも興奮状態だったけど、今と違ってまだちゃんと会話は出来ていたのに……』
ミサトは、あの時のレイの姿を思い出したのか言葉に感情が現れるように弱々しかった。 すると、シンジは第3新東京市に来て、本気で電話の向こうにいるミサトに怒鳴った。
「だったら尚更、俺を行かせてレイさんに会ってやれば幾分か落ち着くだろ! なんで、こんな回りくどい事するかな!? 確かに、俺はレイさんを助けて怪我をして激痛に悶えてたよ! それがどうした!! 助けた人間がレイさんの心配しちゃいけないのか!? 現時点でレイさんは俺に罪悪感でも感じているんだろ!? 折角助けた人間を放ったらかしに俺にさせるのかよ!? だったら、ミサト!! 俺は、今の俺は何なんだ!?」
今までの彼からは到底想像できないほどに、敬語も抜けミサトに吼えるように叫んでいた。 余りの豹変にミサトは驚き、怯えるように返事をする。
『エ…エヴァのパイロットで……す』
「その役目は!!」
最早、歳の関係は意味を成さず歳下のシンジに敬語で話すミサト、歳下の彼は歳上の彼女に敬語すら無かった。
『使徒と…戦い、人類を……守る事です…』
「そうだろうが! 確かに俺は神でも無い、単なる一人の人間だ!! 全人類を助けることなんて無理な話だ! だけど、身近の人間も助ける事も出来なければ人類もクソもないだろ!! 目の前で手を伸ばしているかも知れない。 助けを求めているか知れない…些細な事でもしてあげればその人は報われるじゃあないですか? ミサトさん……」
最初の怒鳴り声から少しずつ落ち着いてシンジの声も言葉も戻っていく。 そんな中ミサトは無言のまま、シンジの言葉を聞いていた。 確かに彼の言う事も彼女の中では理解はしているつもりだ。 しかし、今の彼女に会わせれば彼の身に何かあってしまうんでは無いかと葛藤していた。
『……わかったわ。 でも、一つだけ約束して…リツコの邪魔はしないで。 それだけ今のレイは何をするか分からないほど危ないのよ…』
やっと、ミサトから許可が下りシンジはホッと息を吐く。 少し笑顔になるシンジは軽口を言う。
「もしレイさんがヒステリーになっていたとしても、俺はそれを受け止めるだけですよ。 良い男になるためにもね」
シンジの中では、まだまだ小童として精進を積み重ねようとするが周りの人間から見たらほぼ完璧超人に近かった。 そんなシンジの軽い言葉で、少しミサトの気持ちも軽くなる。
『じゃあ……動かすわ』
ミサトの返答とほぼ同時のタイミングでエレベーター脇の停止していた端末とエレベーターに再び電気が流れ始め、飲み込まれたままだったシンジのIDカードが認識されて排出されてくる。 カードを取る前に、電話をまだ切っておらずシンジはミサトに一言。
「…そうだ、ミサトさん。 どんな理由であれ怒鳴ってしまいゴメンなさい…。帰ったら、取って置きの物を振る舞うんで…」
しかし、ミサトは無言のままで電話も切らなかった。 シンジは、ミサトに怒鳴った事は後悔はしていないが少し寂しい気持ちになり通話終了ボタンを押そうとした時。
『…期待してるわ』
そんな一言が聞こえた後、ツーツーと鳴り電話が切られた。
「はい」
シンジは、そう呟き携帯を仕舞いカードも取りエレベーターに乗り込む。 レイの部屋の階にボタンを押して、エレベーターは動き出すとシンジはエレベーターの壁に寄りかかった。
「はぁ……なんだかなぁ…。 もっと上手く出来ないもんかねぇ……ミサトさんは俺を心配してくれてるのを分かっているのに。 そう簡単に世の中、上手く行かないなぁ…」
右手で頭をガシガシと掻き、先程の自分に後悔していた。 そして、何回目か判らない溜息を吐いてから深呼吸をした。
「…よしっ! 今はレイさんに会って安心させないとな! 今は左腕は動かなくても、大丈夫って教えれば!」
シンジは壁から離れ、気持ちに気合を入れるとエレベーターはレイの部屋がある階に止まり扉が開かれる。
「さぁ、行きますか。 今度は大切な女の子の心を助けに!」
茨の道に裸足で行くかのように、これから始まる出来事にシンジは逃げず諦めず立ち向かおうと決心してエレベーターから降りた。
☆★☆★☆★
暗い部屋の中、床にセフィロートの木が書かれている司令室にゲンドウと冬月が話していた。
「…いいのか、碇?」
「何がだ…」
冬月はゲンドウの言葉に溜息を吐いていた。 諜報部員からの連絡は、ゲンドウの方にまで届いておりシンジがレイのマンションまで辿り着いていたことは知っている。 それについて冬月はゲンドウに聞いたと言うのに知らないフリしている為、心底不器用だなと冬月は内心思っていた。 実際、諜報部員にシンジを捕獲命令出したのはゲンドウであった。 彼はシンジの事を心配し、諜報部員に命令を出したと言うのに失敗の連絡が送られてもゲンドウの表情は変わらずに一言。
「そうか…」
この一言だけで、諜報部員は何もお咎め無しに終わっていた。その後にミサトからも連絡が入り、シンジを止められなかったとゲンドウに報告するもミサトにも処罰を与えなかった。
「シンジは自分の意思で、レイに会いに行っているんだ。 私達がこれ以上手を出すこともないだろう。諜報部員に捕まればそこ迄の意思。 葛城一尉に止められていたならそこ迄の意思。 だが、シンジはそれすら超えて行ったのだ。 好きにさせるさ…」
「とことん不器用な男だ、碇。 しかし、あそこまで似ているとはな。 ユイ君も一見、マイペースで他人の意思を尊重しているが自分の考えに決心すると、貫き通そうとする強さを彼女は持っていたな。 それが息子のシンジ君も似るとはな…」
少し表情を変えたゲンドウは、何時もテーブルに両肘を置き口元を隠す姿勢を辞め、椅子の背もたれに体重をかける。
「…そうだな。 私にとってはユイは光を差し込んでくれた人間だ。 闇の底に転がり落ちていた私を、拾い上げ愛してくれた。 そこにシンジが産まれた。 赤子の時から不思議な子だった…ユイが育児に励んでいて、私は赤ん坊であるシンジに嫉妬をしていた。 ユイからの愛をシンジに目一杯注がれていたのを。それと言うのに、シンジは私に近寄りユイを連れてくるのだ…」
余りゲンドウは、人に昔の話をしない人間だと冬月は知っていたが本人の口から聞いて、冬月は驚いていた。 ゲンドウの後ろに立つ冬月の顔は見えず、彼は話を続けた。
「これが一回や二回では無い…。必ずしも私がユイの近くにいるとシンジは気付き近寄ってくる。そして、シンジが私に抱かれるとユイが笑い私は心に余裕が出来ていた。 そんな私を見たシンジは本当に幸せそうに笑った…シンジを嫉妬した実の父親に。 私は元々人との関わりが苦手な人間だったのだが、2人が私を少しずつ変えてくれた」
ゲンドウは少し俯き、声のトーンも下げながら語り続ける。
「そんなある日、ユイは私の目の前から消えた。 その日から私の心は荒れて身はボロボロだった。なぜ、神は私にユイを与えては奪ったのだと…。 そんな時、あの話を委員会から言われてユイを取り戻す為に、シンジを親戚に預けてこっちに来ようとしてシンジと別れようとするとあいつは言ったんだ…」
「何と言ったのかね、シンジ君は…」
フッと笑いながら、あの時に言ったシンジの言葉をゲンドウが話す。
「シンジはユイの声に似せて言ったんだ。 『お父さん、お母さんから伝言。「シンジから聞いてるって事は、私はこの世にはいないでしょう。 貴方、何も言わず居なくなってしまってゴメンなさい。 だけど、私はいつも貴方の側にいるわ。 最後に…シンジをお願いします」って、言ってたよ』私にはシンジの後ろにユイが見えた気がした。 シンジがその伝言を言い終わると、あいつは泣き始めたんだ。 『…お父さん、ゴメンなさい。 あの時、お母さんを止めれなくて…僕が気づいていたら止めれてかもしれないのに…』私にはシンジの事がよく分からなかった。 子供と言うのに、自分の所為で母親を無くしてしまったんだと私に謝ったんだ。 そして、私はその場を後にしようとすると大声で泣きながら笑って一言…。『いってらっしゃい』と、私の背中に言ってきたんだ」
ゲンドウの話を聞いていた冬月は、若干涙目になりながらも耐えていた。
「だから、私は思ったんだ。 シンジは確かに私とユイの子供だと。 ユイが居なくなり別れるまで、私を励まして幼いながら家事もしたのもシンジ。 しかし、あの子には私は何も言わず何もしてあげなかった。 そして、あの事件だ。 今の私には立場がある為、ある程度はシンジの助けや妨げになるだろう。 それしか私には出来ないからな…」
昔話は終え、ゲンドウは少しスッキリしたのか表情が笑みに近く再び何時もの姿勢に戻った。
「シンジは私の自慢の息子だからな、レイの件も最良の行動を取るだろう」
☆★☆★☆★
エレベーターから降り、おぼつかない足取りでゆっくりレイの部屋に向かうシンジは何となく嫌な感覚に囚われていた。
「……? なんだこれ…何か拒絶しているのか、空気が重い感じがする…」
例えると一つの部屋に、2人の人間を配置する。 その2人は仲が悪く、お互いが相手の事が嫌いであり拒絶しあっている関係である。 その中に第三者の人間が入れば一目瞭然。 第三者の人間は、その部屋の空気が重いと感じるだろう。 シンジは、それに近い感覚を感じていたがそれ以上にピリピリと背筋を冷やすほどの何かを身に捉えていた。 外は暑く、汗を流すほどだが今は汗が止まり少し肌寒いとシンジは思った。
(これって、レイさんが…?)
そう思いながら、足を止めずレイの部屋に続く廊下に出ると彼は予想外の光景を見てしまい絶句してしまう。
ちょうどレイの部屋の前で額を押さえて蹲っているリツコの姿を見つけた。
「リ、リツコさん……」
余りのことに、シンジはリツコの名を呼び近寄る事しか出来なかった。
「シンジ君、駄目よ……まだレイは落ち着いていないわ……」
疲れた様子でふらふらと立ち上がったリツコは、何か固い物がぶつかったらしい内出血と、わずかにそこから滲んだ血をハンカチで覆い隠す。
「リツコさん…大丈夫ですか? それにしても、レイさんが人を…リツコさんを傷つけるなんて」
「平気よ……悪いんだけどもう少しだけ時間を頂戴。何とか部屋のドアを開くことが出来たから、 後は刺激しないように近づけばいいだけよ……」
「すみません…それは出来ません」
シンジの断る言葉に驚くリツコ。
「シンジ君? 貴方にはわからないかもしれないけど、女の子ってヒステリーを起こすと手近にある物を投げるわ、殴るわ、蹴るわ。 本人の意思とは違った行動を起こしてしまう物なのよ。 私だって気が優れなければなる行動だし。だから、今シンジ君が部屋に入れば彼女から何をされてもおかしくないのよ…」
リツコは、子供に分かりやすいように説明をしてシンジをレイの部屋に入れるのを阻止しようとする。 そんな話を聞いて尚、気持ちを変えないシンジであった。
「確かに今の俺じゃあ、レイさんに負けるでしょうね……でも彼女が救われない。 何も解決しない。 だったら、行動を起こして先に進むのが早くないですか?」
「…シンジ君の言う事もわかるわ」
先程からリツコは、傷を負ったのにも関わらず余裕ある態度を崩さずにいた。 年齢を重ねただけで今の彼女のような落ち着きや包容力を持つことは難しいであろう。
「だけど、言わせてもらうわ。 焦るのと急ぐのは違うわ。 時には人の心は、時の流れによって落ち着くものでもあるわ。 シンジ君がやろうとしているのは、自殺行為であり一層にレイの心に傷を深くするだけだわ」
確かに、人間は時間と言う流れによって心は変わるものである。 幼い頃に嫌な体験をして、心に傷を負ったとして数年後には何も無かったようになるケースもある。 しかし、変わらないケースもある。 ある出来事でトラウマになってしまった人間が、数年後にトラウマを克服できるかと言われると否である。 だが、時間では無い他のやり方でトラウマを克服する事も出来る。
「リツコさん?」
「何?」
シンジは、体調が優れず顔色は悪いがリツコに向かって優しい笑顔を向ける。
「好きな人はいますか?」
「!?」
いきなりのシンジの質問に驚くリツコ。 驚いているリツコを少し笑いながら、シンジはゆっくりと話し始める。
「俺はレイさんが好きです」
リツコの脳内では、シンジの言うことが理解出来ずに混乱していた。
「それにリツコさんも好きです。 ミサトさんも、マヤさんも、学校にいる友達も、お父さんも、お母さんも…」
笑っていた顔から苦笑した顔に変わっていく。 リツコは少しずつ正気に戻りながらもシンジの話を聞いていた。
「俺は、全人類が好きかと言われたら違いますね。 嫌な人、嫌いな人、見たくも無い人もいるでしょう。 俺だって人間です。 醜い所もありますよ…だけど、好きな人が直ぐそこで苦しんでるかもしれない。 助けを求めているかもしれない。 全部に手を差し伸べる事は出来ません…ですが、この2本の腕で数少ない人達を助けて行きたいと思います」
リツコに向かって頭を下げるシンジ。
「レイさんは、俺に会いたくないかもしれない。 助けを求めていないかもしれない。 ですが、俺はそんなレイさんの苦しむ姿を見るぐらいなら嫌われても敵わない。 彼女の笑顔が戻るのであれば…だから行かせてもらいます」
シンジは、そう言うとリツコの横を通りレイの部屋に向かった。 シンジが彼女から通りすぎると、リツコは振り向きシンジの後ろ姿を眺めていた。
(…強い子ね。 そして、弱い。 何が彼を支えているかは、解らないけどそれが崩れた時は大変な事になるわね…シンジ君は。 まぁ、今は彼に任せるのが得策ね。 そんなシンジ君を壊れないようにするのが私達大人の仕事ね)
リツコはシンジの後ろ姿から視界から外し、その場を後にした。
☆★☆★☆★
シンジはレイの部屋の前まで辿り着いた。 深呼吸を3回して、ドアノブに手をかけると突如背筋が先程以上に冷たく感じていた。
(なんか人を立ち入れさせないための壁を触ってるような……A.T.フィールド?)
シンジの感じているのは、レイから発している拒絶する気持ちが他の人間にも感じるほどの重い空気とも言える。 A.T.フィールドとは、絶対領域と言われ使徒やエヴァにも使われているがレイが放つ重く冷たい空気もA.T.フィールドとも言える。 人間の感情は、負の感情の方が強く今の彼女は最大に周りに出し自分に近寄せないテリトリーのような物を作り上げていた。
(レイさん…今行くよ)
しかし、そのテリトリーを越えようとシンジは踏み出す。 一度ドアノブから手を離し、二度ノックする。
「レイさん…入るよ」
すると、より一層重い空気が濃くなっていく。 シンジは気にせずにドアノブを回して部屋に入る。
そのドアの向こう側は、異世界と勘違いさせるほどの空間だった。 野生動物が傷つき身体を治す為に身を潜めている巣穴に入り込んだ気分に陥っていた。
部屋の中は薄暗く不思議な緊張感が走り、その巣穴に住む美しいと思える獣は他者の存在を頑なに拒絶していた。 だが、彼は進み始めようとする。 敵意は見せず傷つけないと意思表現するように体に必要以上な力は抜き廊下に足を乗せ歩を進ませる。 その中、怯えきった獣による容赦の無い攻撃をされてたとしても彼は微動だにしないであろう。 彼女がそれで気が済むのであれば、淡い良く引き受けるであろう。
「レイさん…」
声は小さく、彼女を驚かせないように少し聞こえるぐらいの声量で声をかける。 しかし、彼女からの返答は無くシンジは静かに部屋の奥に進む。
「俺は大丈夫だよ? 元気になったんだよ。 また学校で一緒に登校して、お弁当食べよ? 左腕なら時間おけば治ると思うし、レイさんが思うほどの物じゃないよ~」
気軽に彼女に話しかけるように、色々と話しかけるが返答は先程のよう返ってこない。玄関から台所まで足を進ませて、部屋に入る瞬間に室内の空気が怯えの色に変わる。 カーテンは締め切っていたが所々が破れており、締め切った重苦しい雰囲気な部屋。 今ここはレイの心中とも言えるであろう光景が広がっていた。 部屋は乱雑に物が散らばり、冷蔵庫は倒れ戸は開き中から物が飛び出していた。 タンスは中身を放り出されて下着がそこら辺に散らばっているが大半は、引きちぎったのか破れている下着だった。椅子も倒れており、本来の役目を果たしていなかった。
シンジは部屋の状態を見渡すと、部屋の隅に置かれたベットの上で布団で包まった存在を見つける。顔があると思われる穴が見られるが、部屋は薄暗く彼女の顔はシンジの目からは見えなかった。 よく見ると布団で包まったレイは震えていた。 余りに痛々しい姿にシンジの心に痛みが走る。
「レイさ…」
「……帰って……」
呼びかけようとしたシンジを途中で遮るレイの声は酷かった。 本来、銀の鈴を打ち振るような可憐と言えた声とはまるで他の物にしたような声だった。 シンジも数時間前まで悶え苦しんでいた為に少し声が嗄れていたが、レイの声はそれ以上だった。
無惨に潰れてしまったのか、目の前の少女は老婆と錯覚させてしまうほどだった。
「来ては駄目……帰って……私……会えない……会話できない……」
普通に喋るだけでも痛みを感じているのだろうか、レイは苦しげな呼吸と一緒にかろうじ て聞き取れる程度の声量しか出すことが出来ないようだった。 シンジの心に、何か鋭い凶器を押し付けられている気分になっていた。
「もう何もしない……余計なことも考えない……使徒とは戦うから、それ以外は近付かない……」
「…レイさん」
彼女の哀しい純粋さが、より一層にシンジの心に凶器が刺さり始める。 シンジは、ブンブンと頭を振り自分を取り戻す。
恐らくはレイは病院からこの部屋に逃げ込み籠もり始めて以来、喉が潰れるほどずっと嘆いていたのだろう。何もせずにじっとしていれば気が狂ってしまいそうな自責の念に囚われたまま、彼女は嘆き、 叫び続けて喉を潰してしまったのだろうと。
「……レイさん、喋りたくないならそのまま聞いててくれ…。 俺はレイさんに負の感情なんか持っていないよ? ちょっと来るの遅くなちゃったけど、レイさんに会いたくて此処まで来たんだ。 嫌いになっていたら来てないよ」
レイに今のシンジが部屋まで来た気持ちを伝えようと話す。
「レイさん…今君は俺の事を思って、この部屋の状態になるほど嘆いていたんでしょ? 俺はレイさんに逆に謝らなくちゃいけないんだ…」
(このまま、レイさんの気持ちを変えられれば…)
今の彼女は、自分の所為でシンジを傷つけてしまったと思っている為に自分を責めている。 ならば、少しでも自分の責任から離そうと考えたシンジはレイに言う。
「あの時、どっちも傷つかない方法に移らなかった俺が悪いんだよ。 それなら、今頃俺達は無傷でいられたんだ。 それなのに俺ってば、馬鹿すぎてこの状態を引き起こした訳だし…だから、レイさんは悪くないんだよ?」
すると、ピクリとレイは動き始めた。 それを見たシンジは内心ではガッツポーズをしていた。 そして、少し…少しずつベットに近寄っていく。
「……私…の、……所為じゃ…………ない?」
ポツリとレイは呟く。 それを聞いたシンジは、レイの正面に移動し人1人分の距離を置き彼女の目線に合わせるように身を低くする。
「そう…レイさんの所為じゃないんだよ」
シンジがそう言うと、レイは下を俯いていたのか顔を上げる。すると、シンジから布団の中からレイの顔が見えるようになった。 しかし、レイの顔は窶れており髪がボサボサだった。 シンジはレイの酷い状態の顔を見ると安心する。 これで一件落着と思い、シンジはレイに近寄ろうとするが。
「いや……いや…ああぁ!」
突如、レイは極限状態から感情が噴き出したのか布団を剥ぎ近くに置いていた果物ナイフを持ち始める。 突然の事に驚くシンジだった。
「ああああぁ! …やっぱり……私が…シンジ……君を…傷つけた! だから……私に…寄らないで! 」
ブンブンと果物ナイフを振り回して、シンジとの距離を離そうとするレイ。
レイから見たシンジの顔は、顔は青白く唇が紫に近い物で暗い部屋で見れば死人に近い顔つきにレイには見えてしまった。 実際、レイの部屋までに諜報部員からの逃走で血を吐きすぎ体を酷使した為、顔に出てしまいレイには先の戦闘を思い出させる切っ掛けになってしまった。
「帰ってぇぇぇ! ……ああああああぁ! 私は…シン…ジ君……を傷つけて……しまう!」
逃げ場も無く自分が何をしているのかも理解していないレイは、無我夢中でナイフを振り回す。 シンジは何を思ったか、立ち上がりナイフを振り回すレイに近寄ろうとする。 シンジが近寄ろうとする度、レイは後ろに下がるが壁にぶつかり逃げ場を失いながらナイフを振り回す。 しかし、シンジは気にせずレイに近寄るとナイフはシンジの身を刻み始めた。 一箇所、二箇所、三箇所と次々と傷が増えていくがシンジは止まらなかった。 それを見たレイは、シンジを傷つけてしまったと言う感情が振り切られ理性が無くなってしまった。 レイは、両手に持ったナイフをシンジの顔に目掛けて刺しにいった。
「あああああああああああああぁぁぁ!!」
慟哭に近い声をあげると、窓が開けられており風が吹き込みカーテンが舞い上がる。
外から差し込む太陽の光が、レイの部屋に照らす。
そこにはシンジの頭がレイにナイフで貫かれた影が写し出されていた。
「なんかサスペンスになってないか、ヨッピー!?」Σ(・□・;)
ん?気の所為だょ。うん…_φ(・_・
「…私、殺人者?」
まぁ、次回作だな。_φ(・_・
では、カキカキカキカキカキカキカキカキピーカキカキカキカキピーカキカキ_φ(・_・
ジーク・ヨッピー!( ̄+ー ̄)
「ジーク・ヨッピー!」( ̄+ー ̄)
「…ジーク・ヨッピー?」(´Д` )
レイさん!?Σ(・□・;)