転生先は、新世紀エヴァンゲリオン   作:㐂眼翔

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この世に生まれてきて、数年。

僕は研究所にいた。

周りの人間から、僕の事を不要となったのか破棄しようとしていた。

その時の僕は、何が何だか分からずに周りに流されていた。

だけど、破棄され殺されそうになった時に僕は彼女とあった。

彼女は自分の事を《みさと》って言っていた。

そして、僕を研究所から引き取られて彼女と住む事となった。

嬉しかった…研究所では余り良い事が無く偶に痛い事をされていた。

だけど、彼女は僕を可愛がってくれた。

名前無かった僕に《ペンペン》と言う名前をくれた。

美味しい食べ物もくれた。

だけど、僕は彼女の駄目な部分に晒されていた。

時に足場を無くされて、偶に黒い奴が床の上を走っていた。

僕は綺麗な方が好きだったから、そんな所だけは綺麗だった研究所は良い場所だと思った。

でも…ある日、一人の子供がやってきた。

彼は《しんじ》って言うらしい。

最初、みさと以外の人間は怖く見えたけど…家を綺麗にしてくれて僕を見つけるなり餌を与えてくれた。

そして、可愛がってくれた。

僕は嬉しかった。

みさととは違い、家を綺麗にして僕にちゃんと餌も与えてくれて優しく撫でてくれる。

偶にみさとは僕に餌を与えずに寝てしまう事もあった。

それに変わって、しんじはこの家にいる時は僕を愛でてくれる。

僕が僕なりにしんじの手伝いをすると、喜んで褒めてくれる。

しんじの笑顔を見ると僕も嬉しい。

だけど、怪我して帰ってくる時もある。

その時のしんじを見て、僕が治せたら良いのにと思う時がある。

でも、怪我していてもしんじはしんじだった。

そんなしんじは僕は大好きだった。

僕のお気に入りは…しんじが寝ている所に上に乗る事だ。

みさとと違って寝ている時に動かず、優しく大きな物で包む感覚がたまらない。

これからも僕はしんじに世話して貰おうと思っていた。

だけど、突然しんじは居なくなった。

代わりに違う子供がやってきた。

しんじと違って何処か僕の事を見てくれなさそうと思って、僕は大人しく自分の部屋に籠る事にした。

いつか帰ってくると信じて…僕はしんじを待つ事にした。

早く…帰ってきて。

《シンジ》

「キュ〜〜……」



刀…自分を収める鞘を探して

 

 

第3新東京市の街は、夜の暗闇に包まれている所とそうでは無い場所があった。 少し街から外れた所に、静かに建ち並ぶマンションの廊下に2人の子供が歩いていた。

 

スタスタスタスタ

 

ガチャ

 

「…さぁ、入って」

 

「お…おう」

 

レイは自分の部屋に、快く入る事を勧めようとしていた。 何処と無く今は無表情だが、身体の動きが喜びに満ちている事が何と無く見えそうである。 そんな彼女の姿にシンジは、完全に引き返せないと察してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンジがレイのマンションに到達する数分前。

彼がレイに爆弾発言に近い言葉を言われ、シンジは数秒間固まってしまったが我に帰った彼は凄く慌てながら彼女に言う。

 

「ちょっ! ちょっと待って! レイさん!? 自分が何を言っているのか…理解してる!?」

 

そんな慌てるシンジに、レイは何故シンジが慌てているのかが理解できないのか彼の手を握りしめたままで首を軽く傾げる。

 

(…くっ!!)

 

今の彼の心境は、今まで使徒と戦ってきた時の顔とは違い立ちはだかる巨大な怪物を目の前にした勇者のような顔になっていた。 彼女が持つ見た目、ショートで水色の髪に幼く整った顔付きで殆どの日常では無表情なレイに何処と無くあざとさを感じる動作によって、これを見た人間は骨抜きされていても不思議では無いだろう。

そんな芸当を狙ってやれる彼女では無いを知っているシンジ。 しかし、最近になって彼女は少しずつ表情を表に出し自分で何かを理由に動くようになり、シンジが来る前の彼女とは打って変わって人間らしさが出てきていた。 その為か、今のレイに女性としての可愛いらしさが出されていた。 今に至るまで彼女は、無気力で何をするにしても命令が無ければ動かない少女だった。 それが変わっていき、何事も彼女自身から学び吸収して少しずつと成長し未だに無表情がデフォルトではあるが故に変わる表情は、見る男性には威力が高かった。

 

閑話休題

 

そんな彼女の仕草に、彼の中で凄まじい理性と欲望が争っていた。 頑なに断ろうとする理性と身に任せようとする欲望。 彼は内心での2つの自分が戦争して固まって所に、レイの口が開く。

 

「? ホテルで寝るのも…私の部屋で寝るのも変わらない。 なら、シンジ君は私の部屋に来ればいい……嫌…なの?」

 

少し目尻が下がり表情が悲しそうな顔になりながら、彼の手を握った手に若干力が入っていた。 そんなレイの表情を見たシンジは、奥歯を噛みしめながら未だに争いが続くシンジの中の自分達。

 

(ぐぁ〜〜〜!! 止めてくれ! そんな顔で見ないでくれー! 良心が〜!!!!)

 

少しずつ欲望を持った自分が理性を追い詰めていった。 今のレイの表情により、理性を持ったシンジは力を緩ませられ逆に欲望の方に力が注がれていく。 そして、トドメと言わんばかりにレイは黙っているシンジに少し不満そうな顔でこう言った。

 

「…何故、葛城一尉の家が良くて私の部屋は駄目なの…。 私の事…嫌い?」

 

その言葉がトドメとなったのか、シンジは内なる理性を謝りながら押さえ込み彼女の提案を呑むことにした。

 

「…はい、お邪魔させてもらいます」

 

「良かった…」

 

彼が自分の提案に乗った事が嬉しかったのか、レイの表情は軽く口の端が上がり微笑んだ。 そんな顔を見てしまったシンジは、心の中で白旗を上げていた。

 

(勝てないなぁ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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プカー

 

ミサトの家で風呂に仰向けで浮くペンペン。 ゆっくりと風呂の湯に浸かる所に大声が居間の方から鳴り響く。 それに驚き身を固くするペンペン。

 

「何ですって!? シンちゃんが出てった!」

 

ミサトの前に身を小さくしたアスカが立っていた。何処と無く悪さをした子供が大人にバレて怒られているような状況に近かった。

 

「………私が、少し嫌な言い方したらシンジの奴…さっさと出てって行っちゃったのよ……」

 

「…………」

 

アスカは素直にミサトに白状して罪悪感の所為か顔を下に向ける。 そんな彼女を見て、ミサトは腕を組みながら過程を組み立てる。

 

(…シンちゃんが、アスカの言った事に拒絶としての意味を持って言ってるとは受け取ってない筈。 彼、人の気持ちを読みとるのが上手い方だから。 そうすると…シンちゃんはアスカの男性を嫌う面を知ってるから、自分から大人しく出てったのが妥当か…ふむ)

 

ミサトの過程は殆どが当たっており、彼はアスカが言った言葉にそのまま解釈はしていなかった。 彼なりに、アスカがミサトの家に住むようになるので男性が苦手な彼女の為に自分が身を引けば、簡単に収まるだろうと思っての事だった。

 

「……ゴメン、ミサト。 私が余計な事したから、シンジ…出てって行っちゃった。 本当なら後から来た私が引くべきな…の……に」

 

下に俯きながら、ラフな姿であるアスカは両手でシャツの端を掴み震えていた。 彼女も自分がやらかした事に、ミサトに謝罪の言葉を言う。 彼女なりにシンジは、男性でありながら同年代で自分の事を分かってくれるかも知れない存在と見ていた。 それが少し素直になれず、今の状況を生み出した自分に苛立ちと悲しみが同時に混み上がり彼女の目に少し涙が溜まる。

 

「…今から探しに行って呼び戻してから、私が出て行…く……」

 

フワッ

 

アスカは柔らかく自分を包む感覚に、最後まで言葉を出せなかった。 今アスカは、ミサトに抱きしめられていた。 彼女の顔をミサトは胸に、自分の体を包むようにミサトは自分より小さいアスカの体を大きく抱きしめて、背中に回した両手をポンポンと優しく叩く。

 

「大丈夫よ、アスカ。 貴女は出て行かなくてもいいの。 シンちゃんなら、貴女の事を思って行動に移しただけよ。 だから、シンちゃんはアスカの事を嫌いになったり恨むような事は無いわ」

 

アスカは少しずつ涙をミサトの胸を濡らしていく。 自分を思っての行動だと分かった事と、優しく許してくれたミサトにアスカは無言のままミサトに黙って抱きしめられていた。

 

「明日にでも、学校で会うようだから謝っちゃいなさい。 シンちゃんなら許してくれるわよ。 まぁ、彼の場合…悪い事されたとは思ってないか最初驚くだろうけど」

 

ミサトの言葉に、胸の中で黙って頷くアスカ。 そんな彼女の反応に、満足したミサトはアスカを離して自分の懐から携帯を取り出す。

 

「何はともあれ…お腹空いたしご飯にしましょ。 出前になるけどね」

 

ミサトの言葉に、涙を拭き泣き顔を直すアスカ。 その後、出前を頼みんで食事する2人だったがミサトの内心はシンジの料理とツマミが食べれない事にショックでいたが表に出さずに心の中で泣くミサトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トントントントン

 

シャー

 

シンジはレイの部屋にあるキッチンで、食材を食べやすい大きさに切っていた。 予めレイの部屋に来る前に、深夜でも営業しているスーパーに寄って食材を購入していた。 しかし彼の後ろには風呂場が設置されておりシンジが料理してる中、レイは入浴中であった。 今彼の中で、自分を見失わない様に円周率を思い出していた。

 

(3.141592653589793238462643383279502884197169399375105820974944592307816406286208998628034825342117067982148086513282306647093844609550582231725359408128481117450284102701938521105559644622948954930381964428810975665933446128475648233786783165271201909145648566923460348610454326648213393607260249141273724587006606315588174881520920962829254091715364367892590360011330530548820466521384146951941511609433057270365759591953092186117381932611793105118548074462379962749567351885752724891227938183011949129833673362440656643086021394946395224737190702179860943702770539217176293176752384674818467669405132……)

 

凄まじい数字の数を頭の中で思い浮かべながら、手を止めず調理を進めていく。 今、シンジが作っているのはカレーであった。 しかし普通のカレーは、レイの苦手である肉が入っている為に代わりに高野豆腐を入れたカレーを作っていた。

 

最初に高野豆腐を水に浸けて、その間に玉ねぎと人参や豆をみじん切りしておく。 他にもニンニクやショウガをすりおろしていた。 野菜を切り終わった後に、フライパンにオリーブ油を熱してすりおろしたニンニクとショウガを入れて炒めていく。 炒めていく内にフライパンから香りがたったら、玉ねぎを入れて再び炒めていく。 玉ねぎに火が通ったのをシンジが見極めると、切っておいた野菜達をフライパンの中に投入していく。 ある程度、野菜達が火が通るとフライパンに水を入れてトマト缶の中の物を入れて煮詰ませる。 その間に、最初に用意しておいた高野豆腐を水から上げて水を切り食べやすい大きさに切り分けて、その高野豆腐もフライパンに入れる。 ガラムマサラも忘れずに。 この料理を作る際に、予めに底が深いフライパンを使うのをオススメとする。 今回は食べる人間が2人の為にフライパンであるが、4人以上であれば寸胴をご用意を。

 

閑話休題

 

そしてフライパンの中が煮立ったら、一度火を止め市販のカレーのルーを溶かして入れていく。 再び火にかけてある程度水分がとんで、とろみが出てくれば完成。 カレー以外にも生野菜を皿に盛り合わせておく。

シンジの作業が終わるのを測るように、風呂場から上がYシャツ一枚で下には下着のみの姿で現れる少女。 上から3段目のボタンを止めたYシャツの少し肌蹴た隙間から見える肌が色気を滲み出し、下に下がって若干見えてしまう下着。 我に羞恥心など無いわ!と言いたげな格好に、シンジは少し溜息を吐く。

 

(はぁ〜…なんだろ。 俺も歳頃の男の言うのに、彼女は羞恥心など無いと言いたげな姿。 一人で悩む自分がアホらしく思えるわ…)

 

彼もレイの無頓着な所を見て、先程の荒ぶる自分が鎮火していくのを感じていた。 そんな彼の心境を知らず、頭をバスタオルで拭きながら出てきた彼女は、部屋中に広がる香りを可愛らしくスンスンと鳴らし嗅いでいた。

 

「…美味しそうな香り」

 

「ちょうど良く出来たから、食べよっか。 その前にもう少し何か着込んでくれる? 目のやり場に困るから…」

 

なんだかんだ思いながらも、シンジは今のレイの姿に目に入れるのは良く思わず彼はレイが視界に入らない様に目を逸らす。 だが、返ってくる言葉が酷かった。

 

「……私、制服とシンジが買ってくれた服しか無い。 だから何時も部屋では、この姿」

 

「………」

 

最早、シンジは言葉が出なかった。 流石に寝巻きなどあるだろうと踏んでの言葉が、帰ってきた返答は爆弾だった。 しかし、彼は内心で泣きながら自分のバックからいつも朝のトレーニングで着ている通気性が良い黒いスポーツウィアを取り出す。

 

「…じゃあ、とりあえずはコレを着て。 Yシャツのボタンも全部とめてね…暑くは無いはずだから」

 

「わかったわ」

 

シンジはしょうがなくと思いながら、レイに自分のスポーツウィアを貸し出す。 それを素直に聞くレイは、長袖長ズボンのスポーツウィアを着てボタンもとめていく。 応急処置として着せたレイの姿は、下は普通に履き上はスポーツウィアの下にYシャツで羽織る様に来ていた。 上のスポーツウィアは、前にジッパーが付いている為に羽織れていた。 Yシャツの上にスポーツウィアで羽織る姿は、ミスマッチであったが彼なりに落ち着ける姿になっていた。

しかし、それだけでは終わらなかった。

スポーツウィアを着たレイは、おもむろに上のスポーツウィアの袖を自分の顔に近づける。

 

「……シンジ君の匂いがする。 安心する…」

 

そんな彼女の言葉にシンジはダウン寸前であった。 しかし、彼女からの攻撃は止まらないでいた。

両袖を顔に持って行き、スンスンと匂いを嗅いでは安心するのか目を瞑り口元が緩むのか頬が上がり微笑んでいた。 そんな事をしているレイを見て、シンジは最早TKO寸前であった。 凄まじい羞恥心に駆られ顔を真っ赤にして両手で顔を覆いながら、口を開き声を小さく一言。

 

「ご飯…食べよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイの部屋の真ん中に卓袱台を置き、両側に座布団を敷き正座で座る二人。 卓袱台の上には、カレーと生野菜を盛り付けた皿が一つ。

 

パンッ

 

スッ

 

「頂きます」

 

「いただき…ます」

 

シンジは音を鳴らしながら両手を合わせ、変わってレイは静かに合わせてお辞儀する。 そして、レイは目の前にあるカレーに持ったスプーンですくって口に運ぶ。 するとちゃんと噛みながらも、彼女の動きは少し早かった。 レイは食べ出いく内に、少しずつと汗をかいていく。 時たまに生野菜に手を出しながらも食べる姿を眺めながら微笑みながら食べるシンジ。

皿の上にカレーが無くなるとレイは一言。

 

「美味しい…」

 

「良かった、お気に召せて」

 

作った人間が一番嬉しい言葉を聞く彼は笑う。 料理を作った人間は、やはり作った料理を褒められば嬉しいもの。 その後、レイはお代りするほどに絶賛なカレーだったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カチャカチャカチャカチャ

 

食事を済ませた2人は、再びレイはカレーで発汗した汗を流しにシャワーを浴びにシンジは洗い物をしていた。 ひと段落したシンジは、部屋にある椅子に座って改めてレイの部屋を観察する。

 

(やっぱり寂しいな、この部屋。 なんだか前のレイさんの心みたいだ…。 明日にでも何か買ってあげようかな)

 

今のレイの部屋は、ベット一つに冷蔵庫、小さめなタンスに卓袱台しか無く壁に掛けられた前にシンジがプレゼントした服がハンガーにかけられていた。 歳頃の女の子の部屋とは思えない部屋に彼は何を買うかを頭を悩ませる。 馬鹿正直にレイに聞いたとしても、彼女は必要無いと言うのは分かりきっている為にシンジが何が必要か考えていく。

そんな所にシャワーを浴び終わったレイが現れる。

 

「シンジ君…空いた」

 

「うん、わかった。 じゃあ…借りるね」

 

とりあえずシンジは後ほど考えようと決め、彼も入浴する為に風呂場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ〜…スッキリ」

 

ガシガシと頭を拭きながら部屋に入るシンジ。 今の彼の姿は、Tシャツに短パンだった。 そして、そのTシャツには可愛らしくデフォルメされた猫の絵がプリントされてあった。

 

「シンジ君…寝る場所どうする?」

 

後ろ髪をバスタオルで水気を飛ばしているシンジに、唐突にレイは彼に質問した。

 

「ん? 俺は椅子に座って寝るよ」

 

「それだとシンジ君…ゆっくり出来ない」

 

「大丈夫、俺寝ようとすれば何処でも寝れるから」

 

キッパリと言うシンジに、少し悲しそうにするレイ。 悲しそうにする彼女の顔を見てるシンジは意思を曲げない様に強く拒否する言葉を心の中で念じていた。

 

(駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!!)

 

流石のシンジも、色々と彼女の表情の変化に惑わせられていたが男女2人が同じベットに寝るのは阻止する。 そんな彼の強い意思を感じたのか、渋々と言いたげな表情でレイは返事をする。

 

「……わかったわ」

 

「分かってくれて嬉しいよ」

 

その後、2人は他愛も無い話を少しした後に就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜、私はふと目が覚めてしまった。 いつも私だけしかいない部屋は、その静寂な空間に私を招き入れる。 外からは昆虫の鳴き声と風の音、内側からは私の呼吸と心臓の音だけ。 そんな空間に私は、何処からが私で

何処までが私なのかを曖昧にさせる。

 

今私は窓側に向きながら寝ていたが、いつもなら知っている音しか鳴らない部屋に一つ違う音を鳴らす存在がいた。 私はその音がなる方に、身体を向かせると椅子に座りながら腕を組み寝息をたてながら眠る彼がいた。 男の子の筈なのに、私でも女の子のような可愛らしく思える顔つき。 窓から溢れる月の光が彼を照らすと、その姿が少し綺麗に見えた。 そんな彼はいつも私を変化させる。

 

いつも私を暖かな気持ちにさせる彼。 いつも私の気持ちを変える彼。 いつも居て欲しいと思わせる彼。

 

私の中では、最早碇司令より大きな存在である彼。 今彼が私の部屋にいる事に幸せに思えていた。 昨日、彼がホテルの前に立っておりタイミング良く私が本部からの帰りに見つけたのは奇跡だったかもしれない。 聞いてみれば、本来彼が住んでいた葛城一尉の家に二号機パイロットがきた為に代わりに彼が出て行かないといけなかったと聞いた時は、私の中で嫌な気持ちに満ちていた。

 

何故、彼が出て行かなくてはならないのか。 出て行かなくてはならないのは、二号機パイロットの方でないかと。

 

そんな思いが立ち込められていくが、ふと私は思った。 なら、彼を私の部屋に呼べばいいでは無いかと。 そんな考えが出ると私は行動に移るのが速かった。 なんだかんだと言いながらも、彼は私の部屋に来てくれた。 そして、彼はスーパーで買ってきた食材を調理してる中私は先にシャワーを浴びに。 私がお風呂場から出ると彼が作った料理の匂いが私の鼻を刺激した。 元々、私は余り食に関して興味が無かった。 だけど彼にあってから、彼が作るご飯が美味しく感じた。 最初は、学校でお弁当を食べて。 その後は色々な所で食べさせてくれた。 そして今回、彼はカレーと言う物を食べさせてくれた。

私が肉が嫌いだと知って、肉無しのカレーを作ってくれて食べてみたら美味しかった。 辛くて身体が熱くなるのに…気持ちは暖かった。 いつも一人である部屋に、彼の笑顔を見ながら食べたカレーはより美味しく感じた。

 

私がそんな考えをしてる所、突如寝ている彼は魘されているのか苦しそうな顔になる。 何かを怯えているのか、それとも耐えているのかは私には分からない。 人は夢を見ると言っていたが…私は見た事が無い。 どんな物なのかはわからないが、目の前の彼を見ていて私は嫌な気持ちになる。

 

いつも笑顔な彼。 私の中では太陽な存在、変わって私は月。 彼が照らす光のお陰で私は輝ける。 だから…そんな彼が辛そうで苦しそうな顔を見ると私は悲しい。 使徒がくれば彼は、何も言わずに戦ってくれる。 私を守って、心から助けてくれた男の子。 そんな彼に、私はどうすれば返せるのか…いつも思う。

 

私は身体を起こし、ベットから下りて彼に近づく。 そして、彼の頬に右手を伸ばす。 乱暴に扱えば、簡単に壊れそうな彼に。

私の手が彼に触れると一瞬固まるが、彼は先程よりは魘されなくなった。

 

だったら、もっと私が触れれば落ち着くのでは無いかと思って両手で彼の顔を包むようにすると、彼は少しずつ柔らかな寝顔になっていく。 私はそんな彼の変化に、心が暖かくなる。 私を必要としてくれるみたいで。

 

一度手を離して、彼を見ると再び魘されていく。 それを見て私は考えた。 私と一緒に寝れば解決するでは無いかと。

 

考えが纏まった私は、彼の組む両手を解くと力なく下がる両手を見て私は彼に近づき両脇に腕を通して正面で抱きしめる形になる。 その際に彼の顔が近くになり、少し心臓の鼓動が早まるのが自分でも分かってしまった。 そして彼の身体は、私の身体に密着する形になっている為に彼が貸してくれたスポーツウェアとは比較になら無いほどの彼の匂いが私の鼻を刺激した。

 

私は…もう幸せな気持ちだった。 いつも側に居て欲しい彼が、こんなに近く私の好きな匂いがいっぱいだったから。 とりあえず、余韻に浸るのは後にする為に彼を椅子から離す為に抱きしめながら持ち上げる。 男の子である彼は、私でも左程苦にならない体重の為に持ち上げるが出来た。

しかし、無理に運ぼうとした為か彼は魘されて起きそうになる。 そんな彼を見て私は固まる。 今彼に起きられると非常にマズイ。 この状態が彼に知れたら、もしかしたら彼は私の前で眠る事が無くなってしまうと私は思った。 それは避けなくてはならない。 彼と一緒に入れる可能性が無くなるかもしれないからだ。

 

少しその体制を維持して、彼の様子を見る事にした。

 

少し時間が過ぎると再び彼は寝息を立て始める。 それを確認した私はユックリとベットに運び始める。 彼は私より身体が小さい為に引きずる事は無かった。 そして、彼を一度ベットの端に座らせてから横にさせる。 ここまで来れば、後は私が彼の横で寝るだけだ。

 

彼を私の方に向かせて、私の右腕を枕にして顔を胸に持っていく。 余った左手で彼を包むように被せ、足はお互いの足の間に片足を入れて絡ませてより身体を密着させた。

 

いつも誰かを守って生きてる彼。 だから眠って魘されている彼は私が守る。 だけど守るって言っても、今私は幸せに満ちていた。 今この瞬間から時が止まって欲しいと、私は心から思っていた。 何故だろう…こんなにも愛おしく思えるのは。 前の私には考えられない感情だった。 だけど、目の前の彼を見てる内に些細な事だと思うようになった。

 

可愛らしい顔で私より小さな身体で、強く逞しい彼をより抱きしめる力を込める。

そんな不思議な彼の温もりを感じていく内に私は徐々にと睡魔に襲われていく。 そして彼の寝息が私の子守唄の役割を果たしているのか、少しずつ意識が優しく途切れていった。

 

「シンジく…ん、す……すぅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タッタッタッタッ

 

第3新東京市の早朝に少年が走る姿が見えた。

白く長袖長ズボンのスポーツウェアを来て、顔からは大量の汗を流し走り続けた。 彼の表情からは、誰も引き寄せない真剣な表情だったが早朝の為に周りには誰もいなかった。 走ってる最中に彼は、手頃な物を見つければフリーランニングを行い身体を縦横無尽に飛び跳ねていく。 そして、彼は芦ノ湖に着くと目的地だったのか少しずつ歩き呼吸を整え始める。 その際に上のスポーツウェアとTシャツを脱ぎ、それを近くに投げ捨てる。

呼吸が整ったのか、シンジは半裸のままでその場に足を止めて緩やかに身体を動かしていく。 その動きは速さは無かった。 唯ユックリと右腕を斬り払う動きにも、左足を地面を捉える動作にも四肢と胴体や頭部を一定の速さを保ちながら身体を回転させ何処か舞のような動きだった。 少しずつ芦ノ湖の周りにある山から朝日が顔を出していく。

朝日が芦ノ湖を照らしていくと、水に光が反射して湖の周りを照らしていく。 そんな中、湖の前で舞っているシンジは幻想な光景が広がっていた。

 

彼の周りに身体から出た汗が一つ一つの動きにより宙に舞い、何故か人の目で確認が出来てしまう時の流れに変わってしまったのか芦ノ湖から朝日の光が、宙に舞う汗を照らし出されていた。 今彼は飛び散る光る滴の中心で、何を思っているのか眼を瞑りながら舞い続けていた。 そんな光景を他の人間が見れば、芸術に見えたに違いないだろう。

闇雲に動いてるにも見える動作に、何処か規則性が含まれているのか無駄な動きには見られない。 そして時の流れを置いていっていたのか、彼が止まると周りの時間が戻るように宙に舞っていた滴は速やかに地面に落ちた。

 

「…すー、は〜」

 

彼は深呼吸しながら顔を上に向ける。 一度、二度、三度と深呼吸をした後に顔を再び前に向ける。 今の彼の身体には汗一つ無く、先程の行動により全部吹き飛ばしていた。 しかし、そんな彼は少しずつ表情が暗くなっていきその場に座り込んでしまった。

 

「はぁ〜…」

 

(何で俺…レイさんと寝てたんだ? いつもなら途中で起きる筈…なのに。 ヤバイ…ヤバイぞ! そんな緩んだ事をしていれば……いつか絶対に過ちを起こすに違いない)

 

シンジは今朝、時間通りに起床すると何故か横になっている事に驚き自分が丸くなって寝ていた為に誰かが包む正体を知った時は二度も驚いていた。 顔を少し上げれば、あどけない寝顔でまだ起きていないレイが目の前に広がっていた。 彼も一緒、悲鳴を上げそうなるが抑える事が出来て寝ていながらもシンジを抱きしめて眠る彼女からの拘束を逃れた。 その時に彼が離れた時のレイの寝顔は何処と無く残念そうだった。

とりあえず、置き手紙を書き残してトレーニングに向かうが彼の頭の中にはレイの寝顔が鮮明に残ってしまい離れなかった。 その為に彼は無心になろうと必死になり、トレーニング中では人を引き寄せない表情になっていた。

 

(……俺が寝ぼけてレイさんのベットに行ったとは思えない。 だったら…彼女が俺を運んだのか……? でも何故…レイさんが寂しくて一緒に寝ると言う行動に移すか? 否、無いな。 確かに、彼女は最初に一緒に寝ようと言ったが俺はちゃんと断ったから無いしな。 ……う〜〜ん、わ・か・ら・ん!)

 

「ウガー!!」

 

分からない事に苛立つシンジは、頭を掻き毟りながら地面に横になった。 彼はいつも夜に寝ると一度深夜に起きてしまうのが、彼の習慣だった。 その原因が寝ている最中に、突如魘されて少し経ってから起きてしまうのが彼の夜中に起きてしまう原因だった。 しかし、本人は寝ている時に魘されているとは気づいてはいない。

 

「はぁ〜…仕方ない。 今回は俺の所為だ。 俺が気をつけていれば起きなかった事だし…午後に不動産行かないとな。 何時迄もレイさんの部屋に居るわけにはいかないし」

 

自分の中で気持ちを整理して、今回の事はとりあえず自分の疎かな気持ちでの事故を反省していた。 実際はレイが彼をベットに運んだのだが、彼の性格上で疑いかける事はしなかった。

草で生い茂る地面から起き上がり、投げ捨てたTシャツを拾い上げて芦ノ湖の水で洗い流す。

 

パンッパンッパンッパンッパンッ

 

洗い終わったTシャツを、宙で切りつけるように振ると鞭と同じ原理でその場に音が鳴り響く。 何度か振るとTシャツはある程度水気が飛び、再びシンジはまだ少し湿ったTシャツを着込んだ。 そして、スポーツウェアも拾ってはTシャツの上に着る。

 

「よし、帰るか」

 

シンジは来た道を戻るように、再び走っていく。 帰りは芦ノ湖の冷たい水で洗ったお陰か、Tシャツがヒンヤリとして彼の身体を優しく冷やした。 そのお陰か、帰りは少し楽に走れたシンジだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラッ

 

「おはよーロッパ連合」

 

シンジは2年A組のドアを開けるなり、少し可笑しな挨拶をクラスメイトに届けた。 芦ノ湖を後にしたシンジは、レイの部屋に戻ると彼女は起きており一度シャワーを浴びてから朝食を作った。 2人一緒に朝食を摂った時に、彼は一度もレイには一緒に寝ていた話を持ち込まなかった。 確認取るまでも無いと考えのシンジであったが、変わってレイは何故聞かれないのか不思議であった。

そんなこんなでレイの部屋から、学校へ一緒に登校するが日頃一緒に登校している為に誰も彼がレイの部屋から登校したなど予想していなかった。

その後続くレイも教室に入り、挨拶を済ませると2人は自分の席に座る。 そして、時は流れて始業チャイムが鳴る数分前であるにも関わらず唯1人まだ来ていなかった。

 

ガラッ

 

すると、チャイムが鳴る寸前に教室のドアが開かれた。 其処に立っていたのはアスカであった。

 

キーンコーンカーンコーン

 

タッチの差でアスカは遅刻にはならず、彼女の後ろから教師も入ってきた。 そんな彼女の様子にシンジは、席に向かうアスカを眺めていた。

 

(あら…朝起きれなかったのかな? 少し目の下に隈が…)

 

「起立! 礼! 着席!」

 

そんな事を思いながら、委員長である洞木の号令に従っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は昼休み、午前の授業が終わり生徒達は昼食を食べる時間になるとそれぞれで食べ始めていた。 そんな中、シンジは午前中の間アスカの事を気にかけていた。 授業中の彼女は、起きてはいたが教師の話を聞いていないのか黒板を眺めているだけでノートを取らずボ〜としていた。

時々シンジは、そんな彼女を見ていた為に心配していた。

 

(どうしたんだろ…ミサトさんと何かあったのかな? そうすると俺がしゃしゃり出るのはなぁ〜)

 

悩みながらカバンの中から、朝作った2人分の弁当を取り出す。 シンジとレイの分である弁当箱を、机の上に置き彼女に話しかけるべきかそっとするべきか悩んでいると、レイの方から彼に近寄った。

 

「シンジ君? どうしたの…屋上行かないの?」

 

「あ…うん、行こうか」

 

レイの言葉に彼は一度、アスカの事は置いて彼女と屋上に向かおうとすると2人の会話が聞こえたのかアスカが席を立ち暗い顔しながら2人に近寄り彼に声をかける。 そんな2人を見ていたレイは、彼の後ろでアスカをレイなりに睨みつける表情になっていたが当の本人であるアスカは気づいてはいなかった。

 

「…ちょっと、シンジ」

 

「あっ、アスカちゃん。 なんだい? それにしても、今日ギリギリだったね…」

 

「……話があるの。 少し付き合って」

 

「了解、じゃあ屋上で良い? レイさんも一緒になるけど」

 

「わかったわ…」

 

3人は屋上に向かう際に先頭にシンジ、真ん中にアスカ、そして最後にレイと言う順番で歩いていた。 その時も、レイはアスカを睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上に着くと3人はベンチに座った。 真ん中にシンジが座り、両サイドに彼女達が座った。 そしてレイはシンジに弁当を渡され食べていた。 そんなレイを余所に、同じベンチに座りシンジはアスカに用件を聞く。

 

「で…アスカちゃん。 用件は?」

 

「………」

 

アスカは昨日ミサトに言われた通りに、彼に謝ろうと口を開こうとするが何故か声が出ずに小さく口を開けたり閉めたりしていた。 そんな彼女を見て、一旦少し話を変えようとするシンジ。

 

「あ〜…そう言えば、2人って初対面だったよね? レイさん、こちらがドイツから来たセカンド・チルドレンの二号機パイロットの惣流・アスカ・ラングレー」

 

彼がアスカの事を紹介した為に、箸を止めレイはシンジの隣に座るアスカに無表情な顔を向ける。

 

「……よろしく」

 

「で、今挨拶したのがファースト・チルドレンで零号機パイロットの綾波レイさん」

 

「よ…よろしく、零号機パイロット」

 

アスカはレイの無表情を見て、何処かレイから感じる雰囲気に少し戸惑いながらも挨拶するアスカ。

 

「これからは、3人で使徒と戦う仲間って事で宜しく。 まぁ…挨拶も終わったし、アスカちゃん? 朝ギリギリだけど…ご飯食べてきた? 後、昼飯は?」

 

「わ…私、ギリギリまで寝てて食べてないけど錠剤は飲んだわ。 昼ご飯は…用意してない」

 

明るい紅茶色の髪とは逆に、本人は暗くシンジの質問に答えるだけだった。 そんな彼女の様子に、シンジは疑問しか無かった。 何故こんなにも彼女が落ち込んでいるのか。

とりあえず彼は、自分の弁当をアスカに渡す。

 

「じゃあ、この弁当をあげるよ。 俺、そんな腹減ってないし」

 

「い…良いわよ。 気を使わなく…」

 

キュルルルルルッ

 

アスカは気を使うシンジに、渡された弁当を返そうとするが身体は正直なのか彼女の腹部から可愛らしい腹の音を鳴らしていた。 余りにもタイミングの良さに、アスカは顔を真っ赤にして下を俯いていた。 それを見たシンジは、笑いを堪えながらも勧めた。

 

「く…ほ、ほら。 た、食べなよ。 口に合うかは分からないけどさ」

 

そんな彼を見て、羞恥心が振り切ったのかヤケになりシンジから渡された弁当を食べ始めた。 最初に御菜を口に運ぶとアスカの顔に驚きが浮かび上がった。 その後は少しずつ食べる速度が上がって、アスカは無言のまま食べ続けていた。

そんな姿に彼は、微笑んでアスカを見ていた。 彼の視線に気づいたのか、アスカはシンジの方に目を向けると微笑む彼を見て顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。

 

「シンジって、料理出来るのね。 意外ね」

 

シンジの弁当を平らげたアスカは、腹を満たして気分が落ち着いたのか先程の落ち込んでいた様子は無くなっていた。

 

「そう? ミサトさんの家にいた時は、毎度作ってたし幼い頃に興味があったから作れるようになったよ」

 

ふとシンジがミサトの家の話を出すと、再びアスカは表情に影が差し込み顔を向かせてしまう。 そして、彼女は決意して顔を上げてシンジに言おうとした。

 

「あ…あのね、シンジ。 昨日、私が行った事は冗だ…」

 

しかし、そんな彼女の言葉を遮るようにレイがシンジに話しかける。

 

「シンジ君、もう少しで休み時間が終わってしまうわ」

 

「あ、そうだね。 あれ? アスカちゃん、ごめん。 途中で切っちゃって、もう一回良いかな?」

 

シンジは申し訳なさそうに、アスカにもう一度言ってもらおうとしていた。 しかし、彼女は決意した炎が鎮火してしまったのか再び落ち込んでしまった。

 

「いや、何でも無いわ。 弁当、ご馳走様」

 

空になった弁当をシンジに返したアスカは、その場を後にした。 そんな彼女の後ろ姿を見た彼は首を傾げるが、その横にいたレイは少し微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、シンジはカバンに必要な物だけを入れて一度レイの部屋に戻ろうとしていた。

 

「シンジ君、帰りましょう」

 

「そうだね、一度レイさんの部屋に行って荷物取りに行かないと…」

 

教室には、残り彼等しか居らずレイはシンジと帰る為に声をかける。 だが、彼の言葉にレイは違和感を感じた。

 

「…どうして荷物を取りに行くの?」

 

帰る準備が出来たシンジは、教室のドアに向かって歩き出しレイもそれに着いて行くように歩き出す。

 

「これから不動産に行くからさ、それで部屋が決まり次第でそこで生活するから手っ取り早くと思ってさ」

 

レイは彼の言葉に少しショックを受けていた。 この先も、彼は自分の部屋に居るものだと思っていたのが1日だけだと分かれば彼女は落ち込んだ。 しかし、レイは彼の後を追いかけながらも諦めなかった。

 

「その必要は…無いわ。 これからも私の部屋に居ればいいわ」

 

「いやいや、そこまでお世話になる訳にはいかないよ。 レイさんだって、元々一人暮らしでしょ? 落ち着けないでしょうよ、他の人間がいたら。 それに男だし」

 

それでもシンジは、レイの為の事を思っての言葉だった。 彼女に今までの生活にいち早くでも戻ってもらおうと。 しかし、レイは食い下がる。 彼女はシンジがカバンを持っていない左手を後ろから両手で掴み、一度彼の歩きを止めた。 その行動にシンジは、レイの方に振り返る。

 

「私は…シンジ君に居て欲しい。 1人は……寂しいの。 だから、もう少しでも良いの。 居て…」

 

悲願するようなレイにシンジは戸惑っていた。 確かにシンジも彼女から好意を向けられているのは自覚していたが、彼女にこの様な表情をさせるほど居て欲しいと分かれば彼もこれ以上に悲しい顔をさせたく無いと妥協する。

 

「はぁ…なら、条件。 一週間だけお世話になるよ。 それ以上は譲れ無いよ、レイさん?」

 

彼の妥協案にレイは納得したのか、悲しそうな表情から嬉しそうな表情に変わっていった。 それを見たシンジは内心で溜息を吐いていた。 何処までも甘い自分に。 だけど、彼女の嬉しそうな表情を見て少し良いかと思っていた彼がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ〜にぃ〜! 謝れてないィ〜!?」

 

その日の夜、ミサトの家でアスカの報告にミサトが絶叫していた。

 

「ナァンデェッ!?」

 

最早、日本語が怪しくなっているミサトだったがテーブルの向こう側に座るアスカは俯いていた。 彼女も自分の中で、もう少し勇気を出していれば言えたものを弱い自分に負けてしまった事に悔やんでいた。 彼女は、人生の中で男性に謝る事が無かった所為か同年代と言えど躊躇してしまった。

そんな弱ったアスカの姿に、我に返ったミサトは溜息を吐きながら彼女を応援した。

 

「まぁ…アスカ、とりあえず頑張りなさい。 貴女にも、事情は有るのは理解してる。 だけど時間置く度に言えなくなってしまうから…早くね」

 

ミサトの言葉に頷くアスカ。 しかし、ミサトの内心では血涙を流していた。

 

(…くそ〜、延長戦か。 ぐっ……私の活力が〜!!)

 

ミサトはミサトで一切ブレてはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後もレイの部屋にお世話になっているシンジは、ホームセンターなどにより色々と買い込んでいた。 あの部屋に明るさを取り入れる為に。

床に絨毯を引く為に、その下にクッションとしてスポンジ製のパズルを何セットか購入。 壁には剥き出しのコンクリートを見えない様に、白のウォールステッカーも購入していく。 その他にも色々と買って、その日にレイの部屋を改造していくシンジ。

 

「終わった〜」

 

完成したのか、彼は床に敷いた絨毯に横になり身体を伸ばしていた。

今のレイの部屋は、剥き出しにされたコンクリートが見えない様に床にクッションと絨毯を弾き壁と天井にはウォールステッカーを貼っただけでも、前の部屋とは思えない程に明るい部屋になっていた。

 

「これが…私の部屋」

 

レイは変わった自分の部屋に驚いているのか、キョロキョロと見渡していた。 そんな彼女を見て彼はクスリと笑う。

 

「手軽くやったけど、この部屋に明るさが出たでしょ? 前の部屋だと寂しく思えるほど何も無かったからね」

 

「ありがとう、シンジ君」

 

今まで自分は暗い世界だと思っていたレイだったが、彼の手によって今の部屋に明るさが灯り暖かい気持ちを抱くレイだった。

その後は、いつも通りにシンジが料理して風呂に入り就寝するが今の部屋になったお陰で床で寝れる様になって彼は購入しておいた寝袋に身を包んでいた。

 

「じゃあ、お休みなさい…レイさん」

 

「お休み…なさい、シンジ君」

 

この後、計画的犯行のレイは床に眠るシンジをお姫様抱っこして自分のベットに運んでは再びと一緒に寝る事となっていた。

そんな彼と彼女の生活は続いた。 時にレイの我儘で一緒に風呂に入ろうなど(結局、シンジは服着たままでレイの頭を洗ってあげただけ)、一緒に寝て欲しいなど(彼が断ったとしても、結局シンジが寝た後にベットに運ばれていた)と言った事があった。 レイは心から安心して信用している彼が、いつも自分の部屋にいると思うと彼に甘えたいと言う衝動に従っていた。

しかし、そんな幸せに感じていた時間も刻一刻と過ぎていきラスト1日になっていた。

 

「あ〜、明日で終わりだね」

 

「……そうね」

 

残り明日までしか居ない彼と、明日になれば彼が居なくなることを拒む彼女。 そんな2人は、レイの部屋での最後の夕食を食べていた。 予め、彼はレイの部屋を出た後に直ぐ部屋に有り付ける為に用意していた。 彼も彼で、レイとの生活は楽しい物と感じていた。 色々と男としての威厳などが失ってしまったが、色んな彼女を見れて良かったと思っていた。

逆に彼が部屋に来るまでは孤独しかなかったレイは、シンジと生活して寂しさが無くなり彼女なりに楽しかった日々だった。 そんな其々の思いに浸りながら夕食を食べていると、玄関から来訪者だと思われるノック音がレイの部屋に鳴り響く。

 

ガンガンガンガン

 

彼女の部屋のインターホンは、壊れている為に玄関をノックする方法でしか無かった。

 

「誰だろ? 俺…出てくるね」

 

「ん……」

 

レイは彼の料理を黙々と食べながら返事をして、シンジは箸を置き玄関に向かった。 ドアには覗き穴が無い為に、防犯の為にチェーンをしてドアを開けて来訪者が誰なのか確認しようとした。

 

ガチャッ

 

「どなた様…」

 

バキャッン

 

「…はっ?」

 

すると、ドアを開けて向こうを覗こうとしたシンジだったが開かれたドアを掴み凄まじい力でドアを引っ張った所為でチェーンは引きちぎられた。 そんな光景に唖然となる彼。 そして、全開に開かれたドアの向こうから2つの影が彼を襲った。

 

「シンちゃ〜〜ん!!」

 

「シンジーーー!」

 

ガバッ ガシッ

 

ドンッ ガシッ

 

上からミサト、アスカがシンジに抱きついていた。 ミサトは彼を正面から抱きしめ、左手は脇を通し右手は彼の頭を自分の顔に寄せるように抱いた。 アスカは彼の腹部に自分の胸を押し付ける形で、ハグするように抱きしめていた。

 

「はしゃみわなやたらっさこねたはあこてたのっ!!!!????」

 

ミサトに顔を近づけられ自分の右側には、彼女の顔の温もりを感じていた。 次に腹部には、女性の象徴と言える物が柔らかく意外にもサイズが大きかったのか彼の腹部に押し付けられて形を変えていた。 そんな男には幸せな体験を彼は送っていたが脳の処理が追いつかなかった。 最早、彼の言語は崩壊していた。

 

「お願い、シンちゃん! 帰ってきて! もう貴方がいないと駄目なの!」

 

「シンジ! 素直になれなくて…ゴメン! 許して! そして帰ってきて、アンタがいないと駄目なのよ!」

 

そんな2人は彼に悲願するように頼むが、未だに処理が追いついていないのかアワアワとなっていた。 側から見れば、男であれば羨ましく思える言葉を美女と美少女の2人からシンジは言われていた。 そして、騒ぎに駆けつけて部屋からやってきたレイはそんな光景を目にして危機感に襲われたのか彼の右手を取り、2人から奪い返すように引っ張る。

 

「駄目…シンジ君は私の部屋で住むの」

 

「レイさん!? なたやにしきてなはひまっ!?」

 

未だ言語が戻らないのか、彼は3人の女性に引っ張りだこになっていた。 ミサトとアスカも負けられないと、彼を部屋から出そうと引っ張る。

 

「レイ! シンちゃんがお世話になったわ、ありがとう! でも、今からウチに戻ってもらうから!」

 

「そうよ、ファースト! シンジには帰ってきてもらうわ!」

 

「イヤ。 許されない、シンジ君はこれから先私と一緒に住む」

 

「イタタタッ」

 

両方から引っ張られて、痛む右肩を見て少し冷静になったシンジは騒ぐ女性3人の中で呟いた。

 

「なんだ…これ」

 

そんな言葉を呟いた彼は、玄関で争う3人に巻き込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 













コソッと投稿してみたいと思ったヨッピー…

どうも、いつもより早めに更新できました。^o^

いやぁ〜…全開の話で感想が多くて嬉しくて嬉しくて!泣

シンジ「余程嬉しかったんだね」

おう!(=゚ω゚)ノ

レイ「今回の話…原作から離れた」

そうよ、てかラブコメだよね?最早…

ラブラブじゃなく…ブラブラと

彼女達は彼に好意、最早恋?近い物はありますけど未だ人としての好きの範囲ですね

そんな彼女達の気持ちを半分理解していながら、表に出そうとしないシンジ

これらは、この先の展開で証明されますので!(タグは増やさない構え)

アスカ「それにしても今回は、レイが一番美味しい立ち位置じゃない?シンジに色々としてもらって」

まぁ、そうだね

でも、彼も彼で美味しい所幾つか体験してるからw

レイ「…良かった、一緒に暮らせて」

シンジ「………」

…シンジも男だもんね

よぅ耐えれたな…少し踏み外せば薄い本だったから

ミサト「ペンペン…」

あぁ、そうそう

今回はペンペンの気持ちも書いてみました

人によっては要らないだろと思う方もいるでしょう

でも、ペンペンもエヴァワールドの立派なキャラの一人(一匹)なので活用しました

ただ単にヨッピーが動物が好きだからと言うのもありますがw

ペンペン「クェ〜♫」

では、そんなこんなで次回でお会いしましょう。

久々にグダグダする為に……逃走!
ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌( ̄◇ ̄)┘

ジーク・ヨッピー!(`_´)ゞ

なるべく何時も通りの感覚で更新する構えで…

感想者に変態が来るかもw

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