私のとってのシンジ君は、掛け替えのない大切な男の子。
いつも私に無いもの与えてくれる。
シンジ君と一緒にいるようになってからは、以前のような冷たい気持ちにならないのだ。
彼の笑顔を見る度に私の心は暖かくなる。
ある時はシンジ君が私に触れた時は心地よかった。
シャー
お風呂から出た私は、髪の水分をバスタオルで取りながら自分の部屋に向かう所でシンジ君に呼び止められた。
「レイさん、髪がまだ濡れてるよ? 俺がやってあげるからおいで」
先に入っていてシンジ君は私より長い髪を乾かし終えていたのか、私を呼び止めて変わりにやってくれると言ってくれた。 素直に私は彼の言う事を聞き、シンジ君の前に座った。
「♫〜♪〜」
気分が良いのか鼻歌をしながら、私の髪をドライヤーで乾かしていく。 絶妙に熱くならない距離を保ちながら、優しく私の髪を撫でていく。 その時の私は心地よく目を瞑り、彼の触れ合いを堪能していた。
気がつくと寝てしまったのか、身体が横に寝かされていた。 目を開くと最初は分からなかったが、目の前にあるのは彼の左膝だった。
私の身体は右向きに寝かされており、シンジ君の胡座している左股関節に頭をのせている形になっていた。 それも私の頭には彼の左手があった。 壊れ物扱うように優しく私の頭を撫でていた。
その瞬間はいつまでも続いて欲しいと願った。 しかし、彼は私が起きたのが気がつくと顔を覗き込み笑いかける。
「起きた? レイさん」
私は彼の事を本当に大切な人だと実感する。 上手く言葉に出来ないけど…とにかく私は彼の笑顔を守りたいと思った。
シンジ君…私は貴方に色んな物を貰ってるわ。 私もいつかはシンジ君に何かをあげたい。
待っていて…シンジ君。
…なんだろ。
身体が…ふわふわする。
なんか不思議な感覚だ。 自分が自分を認識がハッキリとしない。
周りは暗く、浮かんでいるような感覚で身体を動かそうにも身体が無いのか動かせる気がしない。
少し時が過ぎると…心が苦しくなる。 なんだろうな、負の感情で心が乱れ何とも言えない感覚に捉われる。
次に視界が開かれた。 目の前には、海があり海面を見る姿勢になっていた。 気がつけば、俺は自分が何かに攻撃されてる事がわかった。
そして…俺の心は、色で例えるなら赤。 それも黒に近い赤でドス黒い感情が満ち溢れて行く。 自分の身体が自分の身体で無い事を確認する事もせず、俺は感情に任せて身体を動かす。
憎悪 嫌悪 怒り 絶望 無念 悲しみ 苦しみ 後悔 恐怖 恨み 不安など、色々な負の感情が俺の中で暴れ出している。 そして感情は『噛み殺せ!』の一言に凄まじく集中し始めて身体は、勝手に動いていく。
目の前にいる『何か』を、記憶に無い動きで身体を動かして攻撃を行う。
元から知っていた様な動きで、『何か』と戦い最中に突如と何かが頭に入り込んできた。 それは地図のような画面が頭に浮かぶ。 その地図には×印がある場所にマークされていた。 深く考える事も無く、俺は『何か』をマークされた場所に追い込もうと動く。
何故か俺は知らないA.Tフィールドの使い方が頭に浮かぶ。 そして槍と同じ要領で、『何か』に放つ。 そして、目の前に爆発が見えると俺は意識が遠のく…。
☆★☆★☆★
突如と何かに引き寄せられるような感じを受けたシンジは少しずつ意識が戻ると、視界も開かれて行く。 すると目の前には天井が見える。 知ってるか知らないと言われるとどちらとも取れる。 そんな思考を走らせると、空腹の為に身体は信号を発信した。
「……お腹空いた」
☆★☆★☆★
初号機と使徒との戦いの映像を、ブリーフィングルームのモニターで映されていた。 そこには、椅子に座るシンジと彼の横に立つミサトが2人で映像を鑑賞していた。
彼の意識が戻った際に、食事を取ってひと段落してからの事だった。
「…これが、シンちゃんの戦闘結果よ。 貴方の記憶には無いと思うけど…」
ミサトは、彼がエヴァに取り込まれた事は伏せながら戦闘結果を見せて報告する。 だが、この後の作戦もあってミサトの気分は良くなかった。
「あ…あのね、この後なんだけど。 今アスカとレイが行ってる特訓に、シンちゃんも加わってもらうわ…。 作戦内容は…3人のコンビネーションを高めて、分裂する使徒を殲滅。 もし…特訓自体が駄目な場合だけど…」
彼女は少し、少しずつと声が消えてしまいそうなほど小さくなる。 既に映像は消えて、黒に染まるモニターを見つめるシンジを見てミサトは恐怖に襲われていた。
何か取り憑かれているようにも見えるほどに彼はモニターを見続ける。 そして、当初の作戦が実行出来ない場合は彼を生贄当然の事をさせなくてはならない事に彼女は言いにくそうになっていた。
「…その場合は、初号機を囮に…今製造された全てのN2爆弾を使って使徒に攻撃。 MAGIの計算なら…使徒は殲滅出来るみたい。 だけど…初号機は大破確定だそうよ…」
言いづらい事を言い終えたミサトは、下を向き彼の反応を待った。
今の彼女の心境は、酷く乱されていた。 それもその筈。 家族当然とも言える彼を、今も命かけて使徒と戦っている。 毎度ながら、楽には勝利は取れずシンジは必ず言っていいほどに負傷している。 どんな時も弱音吐かず、勇敢に使徒と戦う彼を大人が勝利の為に非道とも言われてもおかしくない作戦をさせようとしているのだ。
最早、彼がミサトを作戦の事で責められたとしても彼女は受け入れる覚悟は持っていた。
しかし、彼女が恐れているのはシンジが…彼が自分達に絶望し見捨てられる事だ。 使徒との戦いでの戦力としてもそうだが、家族としての彼を失うのが1番にミサトは恐れていた。
最悪な事をイメージが過る度に、ミサトは身体を震わせる。 ネルフの立場としては彼を戦わせなくてはならない自分と、家族としての自分がミサトの中で混ざりあっていた。
「…はぁ」
「っ!?」
シンジの突如である溜息に、酷く怯えるミサト。 顔を上げ彼の方を見ると、シンジは彼女の方に顔をゆっくりと顔を向ける。そのゆっくりとした動きにミサトは恐怖しかなかった。 彼の顔が…どうなっている事が。
「了解です。 じゃあ、俺も早く2人の特訓に参加しないといけないですね?」
彼はいつもと変わらない表情だった。
その表情を見たミサトは思わず、瞳から涙を流す。 そして、彼の前で跪くとシンジの膝に乗る両手を掴み謝罪するように頭を下げる。
「ミ、ミサトさん!?」
「…ごめんなさい。 私達…大人達の決定で貴方の命を脅かす事になってしまう」
驚くシンジであったが、彼の手を強く握りながらも震わせるミサトの手と彼女の体制に理解していく。
彼女達の立場では、使徒を倒すのが最優先にしなくてはいけない組織。 しかし、人としては非道だと分かっていながらも子供にその役目をやらせる事にミサトは謝罪していた。 自分より年下の少年に…恥も関わらず涙を流しながら。
それをシンジは…。
パフッ
「っ!」
「ミサトさん、気にしないでとは言いません。 だけど…信じてください。 俺を…レイさんやアスカちゃんを」
シンジは片手をミサトの頭に乗せて、ゆっくりと撫でる。
「ミサトさんは…俺らを信用できませんか?」
「っ!? そんな訳っ!」
ガバッと顔を上げるミサト。 それを見た彼は、人の心を穏やかにさせるかのような笑顔で言う。
「俺は皆…人類全部とは言いませんが、貴女達を守りたい。 よく漫画や小説のような主人公みたいには、出来ないのは知っています。 なら、自分が出来る事はやりとげるつもりです。 だから…ね? 信じて、俺らを。 俺、レイさんとアスカちゃんを…そして俺らの帰りをね」
自分より年下の少年から、人としての大きな器を見せられミサトは涙流しながら少し笑った。
★☆★☆★☆
「…はぁ…はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…チックショウ…」
特訓の為に着せられた少女2人は、訓練室で息を切らし汗を流していた。 アスカの方は、悪態を吐いていた。 それもその筈であった。
残り日数は半分が切りそうなのだ。 それなのに…2人は、息を合わせるので精一杯なのか進歩がそこまで見られない。
「…もう一度」
「分かってるわよ!」
だが、疲労が溜まる身体に無理にでも動かしてお互いの動きを合わせようと努力していた。 しかし、歯車も歯が合わなかければ上手く回らないのは当然。
「合わ…せようとして」
「してるわよ!」
お互いがお互いに合わせようとしてるが、何故か2人の動きに一致する事は無かった。 残り時間が少なくなる度に、2人の焦りがより一層と動きに変化を生じ合わせるのが困難になっていた。
「…」
「……」
無表情ながらもレイは必死と、自分の意味とプライドの為に動くアスカは少しずつと動きが遅くなっていく。 しまいには、無言で2人は止まってしまう。
どうしても合わないお互い、無情にも過ぎる時間。 2人の気持ちが少しずつと折れそうになる。
そんな所に…彼は2人の前に姿を現わす。
「う〜す、頑張ってる?」
「「!!??」」
訓練室のドアから頭を出して2人の様子を眺めるシンジ。
2人は、シンジの顔を見て彼女達の顔には力が程よく抜け始める。 今の彼の顔は、緊張感など無い優しい笑顔で2人を見ていたからだ。
★☆★☆★☆
彼女達の休憩を挟み、シンジも2人と同じ衣装に着替えていた。
「じゃあ、シンちゃん。 さっき見せたダンスを踊ってくれるかしら? 一先ず、シンちゃんが踊れるか知りたいし」
「わかりました」
♪〜♬〜♫〜〜♪〜
流れ始める曲と合わせて、シンジは覚えたダンスを踊りだす。
それを見る3人は、シンジのダンスに魅力されていた。 レイとアスカの踊りは、例えるならテストの解答を答えを見ながらただ書いているようなもの。
しかし、シンジの場合はダンスの振り付けに感情が篭っているのか不自然さも無く綺麗に踊っていた。
これにはミサトもガッツポーズ。 彼なら2人を引っ張って、呼吸を合わせられると間違いないとミサトは確信した。
「じゃあ、シンちゃんも特訓に参加できるわね。 では、本格的に3人の呼吸を合わせるわよ!」
そうして、残り5日の3人での特訓が開始された。
☆★☆★☆★
少しずつ過ぎていく時間の中、3人の踊る訓練室を映すモニター室で書類を書いているミサト。
彼女は、作戦責任者として前回の戦闘による報告書や請求書などの処理をしていた。
今、3人の特訓には独自にやらせてより呼吸を合わせられると思ってミサトは自分の仕事に回っていた。 今の所は、シンジが投入された事にレイとアスカの踊りにキレが出るようになっていた。
プシュー
突然、モニター室の扉が開かれた。 すると、そこには加持の姿が見えた。
「よぉ、葛城。 上手く行ってるか?」
「当たり前田のハイキックよ。 シンちゃんのお陰で2人の動きに良い方に変化があるもの。 最早、作戦はコンビネーションの方になるわ」
声の主が解ると、顔も上げずにカリカリと書類に記入していくミサト。 それを見て呆れる加持。
「葛城〜、自分の仕事も大事だが…彼等の側にいた方がいいと思うぞ〜?」
「どう意味よ…それ」
「彼も人間って事だよ、確かに子供としても人間性にしても出来た子だ。 だけどな…あの子だって溜めてる物はある筈だ。 そんな時に頼れる大人がいなければ不安定になるぞ」
加持の言葉に、自分の本当にやらなくてはならない事を考える。 確かにシンジは普通の子供とは思えない性格を持っていて、今の環境や状況に愚痴も言わないでいる。 だが、流石に次の作戦や前の戦闘後には訓練など過酷な事が立て続けに起きれば大人でも気が滅入るだろう。
そんな彼に任せきりはマズイと思い、ミサトは持ったペンを置き、三人がいる訓練室に足を向けていた。
「やれやれ…」
★★★★★
残り4日、シンジの参加により2人の少女の踊りには少しずつと動きを合わせられている事が見て判るほどだった。
「はーい、午前の訓練は終了よ〜。 お昼ご飯食べた後、午後も引き続きで訓練よ〜」
「はい…」
「は〜い」
「…了解です」
3人はミサトの指示に返事をして訓練室を後にする。
残ったミサトは彼らの訓練結果を見て、少し不安があった。 アスカとレイは少しずつと動きが良くなっていくが、シンジの動きが少しずつとラグがあるように彼女達から遅れていくのが解る。
今の所、指摘されればシンジは2人の動きに合わせる事が出来ているのでミサトは問題視しなかった。 だが、何となく胸に引っかかる感覚があったから不安なのだ。
(考え過ぎかしら…今の所は、シンちゃんが加わった事で2人の動きは良くなってる。
だけど、前の戦闘から直ぐに復帰してから休み無しに訓練…。 でも、シンちゃんは疲れた様子も見られないから大丈夫だと思うけど)
そんな事を考えながら、自分も昼食を済ませるために食堂に向かった。
♪〜♫〜♬〜
午後も訓練室には音楽が流れている。 その音楽に合わせて3人は踊っていた。 左からアスカ、シンジ、レイと並びで3人お互いのリズムに合わせようとしていた。
「ほらー! もっと音楽に合わせて、リズムも合わせて!」
ミサトは3人に指摘を飛ばしては、シンジ達はより一層とお互いに合わせようと必死になっている。
「…ッ!」
歯を食いしばりながら、2人に合わせようとするレイ。
「なんで合わないのよ!」
苛立ちを隠さず必死に合わせる為に身体を動かすアスカ。
「ハァ…ハァ…」
リズムに合わせていく内に少しずつと息を切らし始めるシンジ。
どうしても3人のリズムが合わしきれない。 何処か噛み合わない歯車のように、ぎこちなくお互い同士が動きを阻害し合っている。
2人から3人になってからは、改善された所はあったが作り上げられたパズルのように最後のピースが無い状態であった。
ガッ
「ッ!?」
「えっ? きゃあ!?」
シンジはターンした時に足を縺れてしまい、アスカを押し倒すように倒れ込んでしまった。
「いったーい、バカシンジ! 何すん…の…よ」
下敷きにされたアスカは、伸し掛かるシンジの体制を見て驚いていた。 それはアスカの胸に頭が挟むようにシンジが倒れ込んでいたのだ。
それを見たアスカは、恥ずかしさの余りに瞬間的に赤面しシンジを退かそうとする。
「このスケベ…」
最初は荒げた声で叫ぼうとするアスカだったが、シンジの様子を見て声を失っていく。
「ハァ…ハァ…ハァ…グッ!」
何処か痛みに耐えるように、顔色は悪く動いていたのはあるが息の切らし方と汗のかき方が普通では無いのがアスカには見て解るほどだった。
「大丈夫! 2人共!?」
だが、ミサトの声に反応するようにシンジは一旦深呼吸をしてから何も無かったように立ち上がる。 シンジはアスカから離れて、顔色は完全とは言わないが何も無かったように手を差し伸べる。
「ごめん、アスカちゃん。 足縺れちゃて…大丈夫?」
「う…うん」
あの状態からの対応に、アスカは何処か気の抜けた返事になっていた。
ミサトはシンジが疲れてしまっての転倒だと思い、一先ず休憩を入れることに。
「無理にやっても逆効果だし、少し休憩を挟みましょう。 時間は30分で」
ミサトは指示を出すと、アスカを起こしたシンジは一目散と訓練室を出て行く。
「じゃあ、トイレに行ってきまーす」
「はいはーい、時間までにもどってきてね〜。 ふ〜…良かったわ、何も無くて。 今シンちゃんに何かあったら大変だもの」
訓練室から出て行く後ろ姿を眺めていたアスカは、何処か違和感を持ち彼女もシンジを追うように訓練室を出た。
「……くっ、身体中が痛いなぁ。 ハァ…ハァ…昨日起きてから少し痛みあったけど、徐々に酷くなってるな…これ」
シンジは通路で壁を片手でつきながら、痛む身体で歩いていた。 ヨロヨロと弱ってる身体を無理に動かしながら、医療室に向かっていた。
「少しでも痛み引かせないと、動けなくなるなんてシャレにならないし…痛み止め貰いに行かないと…」
自分のそんな姿を見せないように、シンジは自分なりに解決させる為に彼なりに急いでいた。
しかし、そんな姿を後ろから見ていた者がいた。
「……なんなのよ、アイツ」
そんな一言を呟いて再び訓練室に戻って行く少女がいた。
★★★★★
カタカタカタカタ
キーボードを叩く音が鳴り響く。 リツコは今までの初号機のデータを、あるシステムに打ち込んでいた。 今の所、戦った使徒の数は5体であり1体はまだ倒してはいないが戦闘記録としてあるのでリツコなりにアレンジして入力されていく。
「ふー…とりあえずはデータを入れ終わったわね」
ひと段落ついたのか、リツコは背もたれに寄りかかり体を伸ばす。 彼女は数時間も座り続けて作業していた。
今までのデータにより、初号機がシンジに加わる負担を計算され彼の容体を分析されていた。
「…やっぱりシンジ君の容体は良くは無いわね。 初号機とのシンクロが高いのもあるけど…フィードバックが強く出ている。
彼自身には外傷とかは無くても、初号機で受けたダメージが殆どがシンジ君の身体に刻み込まれているわね…」
エヴァとのシンクロ。
普通のロボットとは違い、操縦桿を使っての操作では無くエヴァと自分を繋げて動かすのだ。
それは操縦者とエヴァが一心同体になり、動かす事が出来てダメージを受ければエヴァだけでは無く操縦者側にも影響を受けてしまうのだ。
例えば人間は思い込みの強さで、色々な現象を起こしてしまうのが一例としよう。 暑いと思えば暑い、寒いと思えば寒いなど普通の棒で手の甲に押し当てた時に火傷の跡になってしまうなど。 人間の身体は脳が支配している。
それにより熱くも無い棒を熱いと強く思い込めば、身体が反応して火傷と言う現象を起こすのだ。 エヴァのフィードバックも同じ原理で、エヴァ自身のダメージがシンクロにより脳と繋がり操縦者の身体に刻まれてしまうのだ。
だが、実際にはエヴァ初号機から受けたダメージは緩和されてるのかシンジに受けたダメージの現象は少ないと言える。 彼と初号機のシンクロ率だと、ほぼ生身と言えるほどの一心同体だった。 しかし、結果に残るのは片目が潰れれば一時的に見えなくなるなど本当のダメージはシンジの身体には刻まれていないのだ。
その代わりに幻痛が凄まじく彼に襲いかかっていた。 四肢の一部を無くした人間が、無い箇所が寒いなど痛いなど言う現象。
これが今のシンジが罹っている症状なのだ。 先の戦闘によりエヴァとしての性能以上の動きによる筋肉痛や、使徒から受けた攻撃によるダメージ。 これらがシンジの身体で体感しているのだ。 普通大人でも悲鳴を上げてもおかしくない痛みを彼は抑え込んでいる。 14歳とは思えない精神力と人間性。 それをリツコは危惧していた。
「何処か…彼が心が折れた時、反動が強すぎて壊れてしまいそうね」
そんな事をポツリと独り言を呟いた。 するとリツコのいる部屋に来客。
プシュー
「リツコさーん」
「お届け物だ」
入ってきたのは加持と背負われたシンジだった。 不思議な光景にリツコは問いかけた。
「どうしたの、シンジ君」
「途中で拾ってね、目的先がリッちゃんの所だったから運んで上げたのさ」
「ありがとうございます、加持さん。 助かりました」
加持はそっとシンジを下ろして、空いてる椅子に座らせる。
「リツコさん、頼みたい事がありまして来ました」
「何? シンジ君が私に頼みたいなんて」
シンジは真剣な表情で、リツコにある物を作って欲しいと頼み込む。
「それに関しては構わないわ。 後シンジ君、貴方今身体中痛いでしょ?」
「…えぇ、身体中痛くて先程医療室に行って痛み止め貰って飲んだばかりなんです。 ここに向かってる最中に、加持さんと会って此処まで運んでくれたんです。 本当に助かりました、加持さん」
ペコリと隣に立つ加持に頭を下げる。 そんな加持は笑いながらシンジの頭に手を乗せて撫でた。
「構わないさ、君は大人じゃ出来ない事をして戦ってくれているんだ。 そのくらい甘えてくれても構わないさ」
そんな言葉にシンジは心が少し軽くなった気がした。
★★★★★
残り2日まで時間は過ぎていく中、訓練内容は進行していなかった。 本当に3人の動きに一つ何かが足りないのか、未だに噛み合わないでいた。
「…2人とも一度、シンちゃんと組んで踊って貰える?」
ミサトは何か感づいたのか、シンジと2人のどちらかと組ませれば原因が解るかも知れないと思い実行に移す。
シンジとアスカで踊らせると、アスカのリズムに合わせてシンジが踊る。
変わりシンジとレイでやってみると、お互いが合わせようとする為にスムーズだった。
それを見てアスカを2人に合わせる為に言うが、本人も合わせようと努力している。 ミサトも残り少ない時間の中で、完成させなくてはならない焦りで一言。
「最早これはシンちゃんとレイのコンビでやったほうがいいかもね」
「ッ!?」
その言葉にアスカは、怒りと不甲斐なさに身体を震わせて突如その場から逃げるように走り出していく。
「アスカちゃん!!」
その後を追いかけるシンジ。
使徒再活動まで残り43時間17分。
どうも、長い間更新を止めてしまい読者の方々に謝罪を…すみませんでした!!
お久、ヨッピー!(`・∀・´)
ある感想が一件で、この作品を書く意欲がポッキリと折れてしまったんです。
それからは他の作品に手を伸ばし続ける日々でした。
だけど、長く止めて他の作品を書き上げているのにも関わらずにエヴァはまだかと言う読者が少なからずいました。
その度に心に響きながらも、最早トラウマに近い物があって書けない状況でした。
少しずつと他の作品を書きながらも、ヨッピーエヴァのストーリーが頭の中で出来上がっていく始末。
皆様にこんなエヴァがあっても良いだろう、読んで欲しいと思い再び書き始めました。
今の仕事環境が最初の頃から過酷な状況の為に簡単に書き上げられないのが現実でした。
何はともあれ、こんな作者の作品ですが…良ければ末永くお待ちください。
ネオ・ヨッピー!\\\\٩( 'ω' )و ////