ヴィレッジ 1919   作:ペニーボイス

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バイオハザード・ヴィレッジ最速クリアRTA!〜イーサン生還ルート〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……他の者では力不足でしょう。私と娘たちなら存分に楽しませる事ができます。」

 

「そこどいてよブサイク!私が見えないでしょ!」

 

 

 目を覚ますと、目の前には古びた人形がいて、近くにいた醜悪な男に怒鳴り散らしているところだった。

 なんだここは?

 目の前ではどうやら何かしらの口論が行われているようだが、頭がぼんやりした状態では

 マトモに聞き取ることもできない。

 

 目を瞑って、自分が何故ここにいるのか思い返す。

 クリスの襲撃、連れ去られた娘、車両での移送、たどり着いた謎の村…………

 ああ、そうだ。

 

 

 俺はイーサン・ウィンターズ

 クリス・レッドフィールドによって自邸を襲撃され、妻のミアを殺された後、俺はクリスの部下に銃床で殴られて気絶した。

 目を覚ました時、俺は護衛付きの車両での移送されていたようで、しかしその車両は何者かの襲撃を受けたようだった。

 気がつけば周囲にクリスの部下達の死体。

 車外に放り出されていた死体が持っていた文書によると、俺とローズはサイトCという場所に連れていかれる予定だったらしい。

 だがローズはそこにはおらず、俺はその場に立ち尽くした。

 

 

 そうだ。

 確か彼らの死体のうちの一つが持っていたスマートフォンが鳴った時、後ろから誰かに声をかけられたのを覚えている。

 

 

「Welcowe to my VILLEGE, son!」

 

 

 聞き覚えのあるセリフに振り向くと、そこには肥満体の巨漢がいて、3年前と同じように俺は渾身の右ストレートを食らってしまった。

 そこから俺はまた意識を失って…

 それにしても、ファミパンの次はデブパンかよ。

 

 

 

「誰がブサイクだと、アンジー!おれはルーマニアのデカ●オ(笑)と呼ばれた男だぞ!」

 

「………あ、なんかごめんね

 

「おい!その態度はなんだ、アンジー!」

 

いや、ホントにごめんって。そんなつもりはなかった…

 

「おい!おい!アンジー!なんなんだよその態度!"冗談のつもりで言ったらガチだった"みたいな反応すんなよ!おい!アンジー!」

 

 

 醜悪男と人形の言い争いが、俺の意識を回想から引き戻す。

 SNSを巡る深刻な社会問題の縮図のような言い争いをしている彼らの奥では、巨大な女とサングラスを掛けたやさグレた男がこれまた口論をしていた。

 

 

「それに、我がドミトレスク家にお任せいただければ…この子に最高の待遇をご用意することを約束致しますわ。」

 

 

 どうやら向かって左奥にいる巨大な女はドミトレスクというらしい。

 その向かいにサングラス男がいて、両者の間にはカラスの仮面をつけた女がいる。

 悠然とした態度の巨大女は大切そうに何かを抱え込んでいるようだが…俺の位置からはそれが何なのか識別することができなかった。

 

 そんな彼らの様子を見ていると、手前側で言い争いしていた2人(?)の内、人形の方が俺を見て声を張り上げる。

 

 

「!…ねえ、起きたよおおおおおッ!」

 

 

 人形はそう言ってトテトテと走り始める。

 その方向には全身を黒いローブとベールで包んだ人物がいて、向かってきた人形を抱え上げた。

(かわいい)

 思わずそう思ってしまったが、サングラスが俺を現実に引き戻す。

 

 

「待て、つまり……テメェらうるせえぞ!………その子を独り占めして何が面白いってんだ!?この俺なら、こんな場所でもその子が楽しめるショーを見せてやれる!」

 

「ハッ!何てくだらない!安っぽいサーカスなんて教育に悪いわ!この子が楽しむ様は私が保証しますわ。」

 

「どうせ誰もいない部屋であやし尽くそうってんだろ?」

 

 

 口論を続ける巨大女とサングラス。

 それを遮るように、カラス女が口を挟む。

 

 

「互いの言い分は分かっ」

 

「ハイゼンベルクは幼稚で子育てには向いていません!寧ろ彼にベビーシッターが必要です!私にお任せくだされば、滞りなくこの子を…」

 

「ガタガタ言ってねえで、"最近娘達が思春期で少し寂しい"だけだと認めちまえよ!養子が欲しけりゃ他を当たれ!」

 

 

 ガン無視されるカラス女

 立ち位置的にはこの村の指導者的なポジションだし、その出立ちも相応しいが、巨大女とサングラスはまったく彼女を気にも留めずに話を進め続ける。

 

 

「その口をお閉じ、坊や。今は大人が話しているのよ。」

 

「坊やだぁ?テメェこそ、その子の意志を無視する気か?」

 

 

 いったい何の話をしてやがるんだ?

 この2人は、少なくとも俺の事を話しているようには見えない。

 だが巨大女が抱えているモノが泣き声を上げた時、俺はようやく状況を理解した。

 

 

「………おぎゃあ…おぎゃあ!おんぎゃあ!」

 

「…ローズ!…ローズなのか!?」

 

「ほらみろデカ女!こんな話ばかりしてるから泣き出しちまったじゃねえか!」

 

「お黙りッ!お前は子育てというものを理解していないようね!………あ〜↑よちよち、怖かったでちゅねぇ〜↑ドミトママがいますからね〜↑もぉお大丈夫でちゅよぉ〜泣き止んでくだちゃい、よちよちよちよちぃ〜

 

「きゃっ☆きゃっ☆」

 

 

 クリスの時のように"俺のローズに触るな!"と言いたかったのだが、言葉が喉で詰まってしまう。

 ローズが泣き出した瞬間、巨大女は慣れた手つきでローズをあやし、泣き止ませてしまったのだ。

 何故か自分の叔母に我が子を預けているかのような安心感を感じていると、先ほどのデカプ●オ(笑)が椅子を持ってきて、俺を座らせる。

 反対側からは人形使いがやってきて、はにかんでいるような声で俺に話しかけた。

 

 

「………その…ごめんなさい、こんなところを見せてしまって………あなたは、誰?」

 

「…お前らこそ誰なんだ?」

 

「えっと…………私はドナ。彼はモロー。背の高いご婦人はオルチーナ・ドミトレスク、サングラスの彼はハイゼンベルク。それから、奥にいるのがミランダ様。」

 

「ほら見てみなさい、ハイゼンベルク!この子もまだ私の城にいたいようね!」

 

「ぐぅ!クソ!…なぁ、頼むよ、安全は俺が保証するから1時間だけ預けてくれ!その子のために、せっかくメリーゴーランドを作ったんだぞ!」

 

 

 ドヤ顔をするドミトレスクに、地団駄を踏むハイゼンベルク。

 奴らが何者なのかは分かったが、何故こんな事になっているのかは謎のままだ。

 とりあえず、目の前で口論を繰り広げている奴らと対話ができることは分かる。

 だから俺はやらなければならない主張を行った。

 

 

「なあ!おい!アンタら!俺のローズに何してる!」

 

「"俺の"…ローズ?………もしかして、あなたがこの子の父親なのかしら?」

 

「ああそうだ!」

 

 

 ドミトレスクはローズを抱えたままこちらを睨んでくる。

 もしかして、コイツらアルバニアの犯罪組織か?

 東欧では人身売買が増加傾向にあるという。

 まさかこいつらもその類の連中じゃ。

 ハイゼンベルクが唐突に立ち上がり、こちらに向かって歩いてくる。

 巨大なハンマーのような物を持ち、俺は若干圧倒された。

 だが、男の態度はそのハンマーとは正反対だった。

 

 

「………はぁ、すまねえな、アンタ。昔はこの村には、人の赤子を攫うような恥知らずなんていなかったんだが」

 

「それについては同感よ。まったく!どうしてこんなことをするのかしら。…本当にごめんなさい。」

 

 

 ハイゼンベルクに続いてドミトレスクがそう謝ってくる。

 だが俺の目は彼らの奥にいるカラス女…ミランダに釘付けだった。

 彼女は何も口にはしていないが、その雰囲気が全てを語っている。

 

 

(…いっ!言えない!私が拐ったとかっ…!言えない!)

 

 

「しかし見つけたのがミランダ様で良かったなぁ…気をつけねえと、この辺じゃ最近アルバニアの犯罪組織が…」

 

「でもおかしいわね。保護者がこんな近くにいるのにこの子がミランダ様に保護されるなんて…ひょっとしてミランダ様は何か目的があってこの子を…」

 

 

 ミランダが急に顔を上げる。

 今こそ自身の主張を述べる時!、そう感じているに違いない。

 だが彼女の希望はあまりに儚い物だった。

 

 

「我が」

 

「馬鹿野郎ッ!ミランダ様が誘拐なんて恥知らずな真似するわけねえだろうがッ!イカれてんのかこのデカ女ァ!」

 

「オルチーナ様、おれも"ママ"はそこまで落ちぶれていないと思う」

 

「…………ミランダ様は………外道じゃないわ…」

 

「い、言ってみただけよ!私だってミランダ様が赤子の誘拐なんて卑劣なことをするなんて思ってないわ!」

 

(いっ、言えないッ…!私が誘拐したなんてッ…言えないッ!)

 

「ああ、でもよかったよ。"ママ"があの子を分解してフラスコに詰めるなんて言ったときはどうしようかと…」

 

 

 再び顔を上げるミランダ。

 どんな外道な事を考えているかは知らないが、少なくとも彼女は周りが思っているほど聖人ではないらしい。

 彼女は意を決したとばかりに口を開く。

 

 

「我が」

 

「いい加減にしやがれッ!モロー、お前ミランダ様を鬼畜か何かとでも思ってんのか!?」

 

「………モロー…あなたきっと疲れてるのよ…」

 

「ドミトレスク家の城主として、今の発言は認められないわ。ミランダ様をクズのように扱って!」

 

「わ、悪かったって!きっと白昼夢でも見たんだ…」

 

(言えないッ!分解してフラスコに詰めて分散管理させようとしてたなんてッ!言えないッ!)

 

 

 再びガクリと肩を落とすミランダ。

 あの子の父親としてはこれで一安心(?)だが、肩をプルプルと震わせながらただただ黙しているミランダが段々と可哀想に見えて来る。

 とはいえローズは渡さん、諦めろ。

 

 ローズをあやし続けるドミトレスクが、俺の方に屈み込んでくる。

 何をするかと思えば、意外な事に彼女は素直にローズを差し出した。

 

 

「……それじゃあ、彼がこの子の父親って事で間違いなさそうね。ちょっと名残惜しいけれど、お別れしないと。」

 

「…返してくれるのか?」

 

「あら?返さない方が良いのかしら?」

 

「あ、いや。こうもすんなり返されるとは…」

 

「ふふふふふっ…まさかとは思うけど、()()()()()()()()()()とは思っていないでしょう?」

 

 

 クソッ!やはりか!

 こんな上手い話があるわけはない。

 さあ、何を要求して来る!デカ女め!

 俺はこの子の為なら何でもする覚悟がある!

 父親として…ミアは守れなかったが、この子の父親として、その義務だけは果たすつもりだった。

 

 

「…ふふっ、良いお顔だこと…それじゃあ…」

 

 

 ドミトレスクが不敵に笑いながら舌舐めずりをする。

 その様は吸血鬼のように見えなくもない。

 彼女は俺の耳元に顔を近づけると、驚くべき"代償"を要求する。

 

 

「………私の城で、スウィングを聴いていってもらえる?」

 

「………は?

 

「昔は娘達も喜んでくれたのだけれど、最近は思春期で寂しいの。1人で練習するだけじゃつまらないわ…」

 

「はぁ……」

 

「おいデカ女ッ!言わせておけば何を勝手に取り決めてやがる!あの子は俺の作ったメリーゴーランドに乗ってもらうぜ!」

 

「お黙りゃあああッ!お前の作ったメリーゴーランドなんてただのデッドコースターでしょうがッ!」

 

「大丈夫ッ!大丈夫だからッ!安全安心に作ったからッ!せめて一回!先っちょだけでもっ!……あ!保護者同伴ならいいだろ!?保護者同伴なら載せても良いだろッ!?」

 

「もうエスカベッシュの仕込みを済ませたんだ、食ってってくれよぉ」

 

「………お人形…持って帰って………」

 

「………マジかよ」

 

 

 一気に要求をたたみかけて来るハイゼンベルク達。

 ミランダは体育座りをして落ち込んでいるものの、それ以外の彼らは見た目の割に良い人間らしい。

 俺が彼らの要求全てに応えるのは、決して難しいことではないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…村で何があったんだ、イーサン?」

 

 

 帰りの車の中で、対面の席に座るクリスにそう問いかけられた。

 あの後、クリスに殺されたはずのミアがいつのまにか合流していて、一緒に村巡りをした後俺にデブパンを食らわせてきた商人の馬車に乗って村の外に出たはずだ。

 俺たち3人で"遊園地"…正確には寒村だが…なんて初めてだったから、つい楽しみすぎて馬車の中で寝込んでしまい、気がつくとクリスに回収されていたのだ。

 

 そのクリスから、ミアに化けていたあのミランダの事を聞いた後、今度はこちらが質問されている。

 ミアはまだローズを抱えて寝込んでいて、俺はその幸せな光景を見ながら、ありのままをクリスに話した。

 

 

「………だから、城でスウィングを聴いて工場でメリーゴーランドに乗って湖の辺りでエスカベッシュご馳走になってお土産に人形もらって帰ってきた。」

 

「……………はぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

 深々とため息をするクリス。

 その様子を見るに俺の話を信じていないらしい。

 

 

「いいか、イーサン。俺は上の連中に報告書を上げなきゃならない。悪い事をしたとは思ってるが、お前の協力が必要だ。…だから、正直に話してくれ。村で何があった?」

 

「………だから、城でスウィングを聴いて工場でメリーゴーランドに乗って湖の辺りでエスカベッシュご馳走になってお土産に人形もらって帰ってきた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






















エージェント「ローズ、迎えに来たぞ。」

ローズ「…はぁ、最悪………それじゃあ、パパ、ママ、行ってきます」

ミア「行ってらっしゃい、ローズ。今日はあなたの好きなエスカベッシュよ。」

イーサン「無理はするなよ!…そうだ、君、ちょっとこっちに来てくれ。」

エージェント「私ですか?」

イーサン「ああ。………くれぐれもウチの娘を"エヴリン"とは呼ぶなよ?」

エージェント「!?…………」

イーサン「君もクリスを怒らせたくはないはずだ。」

エージェント「……も、勿論です。それでは。」



………




ローズ「………ねえ。着くまで退屈だから、何か曲を掛けてくれない?」

エージェント「ああ、ローズ。どういうのが良い?」

ローズ「そうね……スウィングがいいわ。とびきりご機嫌なやつ。」

エージェント「いいだろう。…ところで、昨日は遊園地で何をしてた?」

ローズ「なっ!?……監視してたの!?」

エージェント「仕事だからな。」

ローズ「信じられないっ!クリスに言いつけてやる!」

エージェント「そのクリスからの命令だ。」

ローズ「………はぁ…メリーゴーランドに乗って考え事してただけ。」

エージェント「メリーゴーランド?」

ローズ「ええ。アレに乗ると、解決策が湧いて来るの。」

エージェント「…そうか。……なあローズ、もう一つ聞いても良いか?」

ローズ「何?」

エージェント「いつもバックに付けてる人形なんだが、どこで買ったんだ?」

ローズ「欲しいの?」

エージェント「いや、そういうわけじゃないんだが…その手の人形は高級品だ。どこで手に入れたのか気になってな。カミさんが好きなんだ。」

ローズ「ふ〜ん…知らない。私が物心ついた時には、もうあったわ。」

エージェント「そうなのか…何でルーマニア歩兵の人形なんだろうな。」

ローズ「さぁね。作った人にとって、大切な"何か"だったんじゃないかな。」

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