テイオーが思ったことをぶちまけているとき。、感謝祭から戻ったキタサトの二人は、クレナイが寝ているベッドのわきで、暇そうにしながらクレナイを見ていた。
「クレナイさん、いつになったら起きるのかなぁ?」
「ん、わかんないけど・・・いつかは起きれくれるよ」
「私は早く起きてくれると、キタちゃんがまた学校に行ってくれるからうれしいんだけどなぁ」
丸椅子に座り、足をぷらぷらとさせながらそんなことを話していると、不意にクレナイの瞼がぴくっと動いた。
「あれ? キタちゃん。今クレナイさんの目、動かなかった?」
「え、ほんと!?」
二人一緒に丸椅子から降りて、ベッドに上がる。クレナイの頭の横に座って顔をじーっと除いていると、ゆっくりとkクレナイの目が開いた。
「・・・知らない、天井ね・・・?」
一言クレナイがそうつぶやく。それで二人にクレナイが目覚めたという実感がわき、特にクレナイの目覚めを待ち望んでいたキタサンブラックは一気に涙があふれてきた。
「くれ・・・ぃさん、くれないさぁぁん!!」
そのまま勢い余って顔にぎゅ~と抱き着く。
「あぇ? あなた、いったい?」
いきなり抱き着かれて驚きつつ、抱き着いてきた娘の頭をなでようとして、体が思ったように動かないのに気づく。
その間にもわんわんと泣きながらクレナイの頭に抱き着いているキタサンブラック。どうしようとクレナイがおろおろしていると、サトノダイヤモンドが助け舟を出した。
「キタちゃん、クレナイさん、困っちゃってるよ?」
そう言いつつ後ろに引っ張り上げ、キタサンブラックをクレナイの顔から話す。
「どうもありがとう?」
「いえいえ、どういたしまして」
にっこりした笑顔でクレナイに答えるサトノダイヤモンド。そちらからまだ泣いているキタサンブラックに目を戻す。
「あれ、あなた、前にうちに来た見学の・・・? でもそれにしては大きいような」
「覚えていてくれたんですか!?」
また歓喜極まって抱き着こうとするキタサンブラックを、後ろから羽交い絞めにすることで防ぐサトノダイヤモンド。
「ええ、でもそうだとしたら、私結構長い間眠っていたのかしら?」
体の鈍さ、知っている姿から成長したウマ娘。知らない、でも見たことのあるような天井それから最後に記憶している絶望。そのあたりから連想して、これ長い間寝てたんじゃなかろうかという結論に至ったクレナイ。
「はい、ほんと、長い間・・・」
「でも、起きてくれてよかったです」
それからクレナイはキタサトの二人に体を起こしてもらい、クレナイが倒れたあと何があって今は何時でなんかを聞き、あまりの長い時間すやぁしていたことに驚き、なんてことをしていると、ライブをぶち壊して、いやぶち壊す結果になって帰ってきたテイオーが扉を開けた。
「ただい・・・っ!? レイ!?」
クレナイが起きているのに気づいて駆け寄ろうとしたテイオーだが、クレナイを絶対に守ると心に決めたウマ娘がそれを阻止に動いた。
「だめええええええええええええっ!!!!!!!!」
羽交い絞めにしていたサトノダイヤモンドのから抜け出し、ベッドの端を蹴って空中に躍り出たキタサンブラックは、そのまま足をテイオーに向けてドロップキック。クレナイしか目に入ってなかったテイオーが避けられるはずもなく・・・。
「ぐぼぁ」
顔面に渾身のドロップキックを食らったテイオーはそのまま後ろに吹っ飛び、地面に着地したキタサンブラックはふしゅー、ふしゅーと息を荒げる。
「・・・えぇ()」
そしてそれを見たクレナイは、唖然とするしかなかった。
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「なるほどねぇ。それで私がずっと床にねぇ」
「うん。ほんと長かったんだから」
あのあとキタサンブラックをなんとかなだめた私は、なんとかみんなを椅子に座らせ、話を聞いていた。
「長い間の割にはテイオー。あなた全く変わってないわね」
「変わってないってどういう意味さ!」
どういう意味かと問われたので、私は胸部に視線を向ける。視線の先を理解したテイオーは手で自分の胸を隠し、顔を真っ赤にした。
「そんなことないよ、ちゃんとおっきくなってるよ!!」
「あらぁ、私はどことは言ってないけど、テイオーは何を思い浮かべたのかしらねぇ♪」
「ぐぬぬぅ」
そんな感じで言葉でじゃれていたが、少しするとテイオーが真剣な目でこちらを見てきた。
「それで、レイ」
「ええ」
「ごめんなさい」
深く頭を下げる。
「それは何に対して、かしら?」
「全部。レイとの約束を忘れたこと、レイがもう走れないようにしちゃったこと、長い間レイの人生を奪っちゃったこと。どれも全部」
すぐには答えられず、無言の時間が過ぎる。
「はぁ、わかったわ。許す」
「なっ」
私の答えに驚いたキタが声をあげた。そうそう、テイオーが来るまでの間に、私はキタサンブラックのことをキタって呼ぶことになった。そのほうが親密そうでうれしいとのこと。サトノダイヤモンドはダイヤ。こっちも呼び捨ての方がいいんだって。
「いいのよ、キタ。謝ってくれたらそれで許す。私は昔からもそうしてきたし、多分これからもそうするから」
「です、か・・・」
まあ、年単位で眠るきっかけを作って、それをこれくらいで許すなんてのもそうそうないかもしれないけど。
「・・・テイオーさん」
キタがテイオーに向かいなおる。
「何かな、キタちゃん」
「クレナイさんが許しても、私はまだ許せそうもありません。クレナイさんにこれだけのことをして・・・」
「うん、普通はそうだよね。ボクもそうなると思ってたんだけど・・・」
なんかジト目を向けられた気がする。なんでだ?
「でも、見方によっては、これすっごい心に来ますよね。テイオーさんは謝るとか、クレナイさんに償うことで贖罪になるんですけど、許されたらこれ以上テイオーさんが贖罪することはできませんし。その気持ちをもってずっと生活しないといけないのを強要するんだとしたら、すっごい策士ですね?」
「なるほど、そんな思惑が。やっぱりすごいですね、クレナイさん!」
「いやそんな思惑は一切ないよ!?」
そんなことを考え就くダイヤって、結構お腹黒い・・・?
とか考えたらなんかすごい笑顔を向けられた。何この娘鋭い。
「まあ、ここではいおしまいなんてのは無理だと思うし、そこは時間が解決してくれるんじゃないかしら」
寝てたとは言ってもまだまだ若い私に、中等部のテイオー、小学生のキタサト。まだまだ時間はたっぷりある。そのうち、これも笑い話にできる日が来るんじゃないかなと思う。
と、そんなところに。
「クレナイ、目が覚めたと聞いたが!!」
勢いよく扉を壊すようにしながら、ルドルフが部屋に飛び込んできた。
「あら、ルドルフじゃない。久しぶりね」
にっこり笑いながらそう答えると、泣きながらこちらに、ってなんかすっごい酷い顔してるわね。隈とかすごい。
「目覚めてよかったぁぁぁぁぁ」
「はいはい、よしよし」
そのまま胸に抱き着いてきたルドルフの頭を少しずつ動くようになってきた腕でなでる。なんかこう、ほんとみんな心配してくれていたのねぇ。
そんな思いを感じながら、私はルドルフの頭を撫で続けた。
「むぅぅ、会長さん羨ましい・・・」
そう言ってキタがルドルフの頭の上に自分の頭を乗せる。それを見たテイオーも
「あー、キタちゃんずるい」
と言って、ルドルフの頭の上に自分の頭を乗せようとしてくる。
「いいんです、私はまだテイオーさんのことを許していないので、譲らないんです」
「ぐぬぬぅ」
「ところで君たち、今は私が撫でられているところなんだが・・・」
「なんか見てたら私も撫でられたく・・・」
・・・なんかこう、これから騒がしくなりそうねぇ。ところで私の腕は四本も無いから、できれば順番に並んでくれるかしら?
こう、話数を重ねていくたびにだんだん湿度がなくなっているのに気づきました。
なんなんでしょうね、これ。
多分次の話でラストになるかと思います。