名前の知らないウマ娘さん   作:小鳥遊 小佳夏

13 / 13
ウィンタードリームトロフィーの出走ウマ娘を変えました
二つ名付けにくかったのが主な原因です
すみませんがご了承下さい


受け継ぐもの

夢の舞台ウィンタードリームトロフィー

トレセン学園ファン大感謝祭の一大イベントとして組まれたこのレース。名だたるウマ娘が一堂に会し、レースを繰り広げるエキシビジョンマッチ。

そのレースが今始まろうとしていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さぁ始まります夢の舞台ウィンタードリームトロフィー。各ウマ娘がゲートに向かってゆっくりと歩みを進めます。それでは出走するウマ娘を紹介しましょう。

1枠1番先頭の景色は譲らない サイレンススズカ

2枠3番白い稲妻 タマモクロス

3枠5番アクセル全開 ウオッカ

3枠6番紅焔のギア マルゼンスキー

4枠7番精神一到 グラスワンダー

4枠8番純白の怪物 オグリキャップ

5枠9番ガラスを乗り越え アグネスタキオン

5枠10番ブルーローズチェイサー ライスシャワー

6枠11番熱血アミーゴ エルコンドルパサー

6枠12番世紀末の覇王 テイエムオペラオー

7枠13番私が勝つ スペシャルウィーク

7枠14番波乱注意の浮沈艦 ゴールドシップ

7枠15番女帝の生徒会長 エアグルーヴ

8枠16番坂路の申し子 ミホノブルボン

8枠17番影を壊せ ナリタブライアン

8枠18番レッドエース ダイワスカーレット

 

そしてそして、ケガさえなければレースに出ていたであろうトウカイテイオー、二人のウマ娘の教え子として、その思いを背負ってレースに出るのがこの二人。

1枠2番帝王の名を一心に背負って キタサンブラック

2枠4番ステイヤーの走りを受け継ぐ サトノダイヤモンド

 

以上の18名で行われます。

夢のレース、誰が勝つのか全く予想もつきません!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ついに来たね、このレース」

「うん、来ちゃったね」

私やダイヤちゃんの周りには、既にGIレースで名を残しているウマ娘さんたちでいっぱい。私達も名を残し始めているけども、どちらかというと、トウカイテイオーとメジロマックイーンの後継者として呼ばれたのが大きいと思う。実際このレースが発表されたときは、こんな舞台にそんなコネみたいな方法でって陰口も言われた。でも!

「キタちゃん、キミなら勝てるよ」

「ダイヤさんも。なんせ私達が直々に教えているんですもの」

私達はそう元気づけられた。その思いを無駄になんて絶対にできない。それに。

「こんなのもらっちゃったら、負けられないよね」

「うん、絶対に勝たないとね」

私はテイオーさんから首に巻くようにとスカーフを。ダイヤちゃんも首に巻くようにってリボンをもらって勝負服に合わせている。夢の舞台を走れなかった二人の代わりだとしても、だからこそ私たちは負けるわけにはいかない。

「行こう、ダイヤちゃん!!」

「うん、キタちゃん!!」

私達は絶対に勝つ。絶対に勝って、テイオーさんとマックイーンさんの名を受け継ぐんだ!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さぁ各ウマ娘ゲートに入りました・・・スタートです!!」

「各ウマ娘一斉に飛び出した! 先頭を行くはサイレンススズカ。その後ろ4馬身離れてマルゼンスキー、ダイワスカーレット、ウオッカと続く。続いてタマモクロス、グラスワンダー、オグリキャップと集団を形成。キタサンブラックとサトノダイヤモンドは後方に付け様子をうかがう、その後方にはゴールドシップが足をためている。第二第三コーナーを駆け抜け先頭は変わらずサイレンススズカ」

 

「キタちゃんファイトおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「ダイヤさん行きなさあああああああああああああい!!!」

観客席から必死の応援を飛ばすトウカイテイオーとメジロマックイーン。

昔はテイオーとマックイーンが走りキタサトの二人が声援を飛ばしていたが、今は逆。そしてあの時、キタサトの声援がテイオーとマックイーンに届いたように、二人の声援もキタサトに届く。

「テイオーさんがあんなに応援してくれてる」

「マックイーンさんの声、しっかり届きました」

 

「おおっと、後ろから猛烈な勢いで追い上げてくるウマ娘がいるぞ!! キタサンブラックとサトノダイヤモンドだ!! 観客席から応援するファンの、そしてトレーナーの声援を一心に受け、一気に加速、そのままサイレンススズカと並んだあああああああ!!!」

 

「速いですね、二人とも。でも、先頭の景色は譲りません!!」

サイレンススズカがさらに加速すると、二人はスズカを抜ききれずに二番手、三番手につくことになる。そしてその間にも後方からは追い上げを図るウマ娘がどんどん距離を縮めてくる。

「速い、強い。やっぱりみんな、すごいウマ娘だ」

「でもここで、終わるなんてできません」

後ろからくるプレッシャー。前との距離を縮められない焦り。そして背負った声援の重さ。そのどれもに負けそうになるけど、スカーフが、リボンがそれを和らげてくれる。私たちは一人で走ってるんじゃない。私にはテイオーさんが、ダイヤちゃんにはマックイーンさんがついて一緒に走ってくれてる。

「二人で走ればあああああああああああああああ!!」

「絶対に負けないんだからああああああああああ!!」

 

「さらに加速するキタサンブラックとサトノダイヤモンド!! そして今! サイレンススズカを! 追い抜いたあああ!!!」

「残り200メートル、このまま先頭を進めるのか、それともほかのウマ娘が差し切るのか! 全く予想がつきません!!!」

「「いっけえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

全身全霊を込めた本当のラストスパート。全ての体力を使い切るつもりで放った全速力。

そのまま無我夢中でゴール板を駆け抜け、だんだんと減速し歩くスピードになったところでターフに倒れこむ。

「ウィンタードリームトロフィーを制したのはキタサンブラック!!! ハナ差でサトノダイヤモンド!!! 3着はサイレンススズカという結果になりました!!!」

「私達、勝てたんだ」

「うん、やったね、キタちゃん!」

息を切らしながらその余韻に浸る。こうして、トウカイテイオーとメジロマックイーンの教え子。キタサンブラックとサトノダイヤモンドの名がトレセン学園の伝説の一つに刻まれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、ウィンタードリームトロフィーも終わりましたが、ウマ娘がライブの用意をしている間に、もう一本エキシビジョンマッチと行きましょう。

その名も、トレーナー最強決定戦! 普段はウマ娘にトレーニングをつけるのがトレーナーの仕事ですが、でも皆さん誰が一番早く走るトレーナーなのか気になっているのではないでしょうか。そこで! このファン感謝祭でそれを決めてしまおうということで組まれましたこのレース。

まず人間のトレーナーは特設コースが組まれた短いコース、芝800mコース1周を走っていただきます。続いて元ウマ娘トレーナー。こちらは現役より衰えているとはいえ人間よりはるかにスピードも出るため、先ほどのコースと同じ芝2400m1周となります。

さぁ、どのチームのトレーナーが勝ち栄光のセンターの座を取るのでしょうか。

それでは走者の紹介に移ります。まずは元ウマ娘の面々。

1枠1番帝王の走りは顕在か トウカイテイオー

1枠2番メジロの名は汚さない メジロマックイーン

2枠3番引退しても皇帝であり続ける シンボリルドルフ

2枠4番公式レースはこれが初参戦、ウマ娘トレーナーの道を切り開いた幻のウマ娘 クレナイ

続いて人間枠・・・」

 

そう、ウィンタードリームトロフィーで全力を出したウマ娘が体調を整えている間に余興で行われるレースがあった。トレーナー杯。最強のトレーナーの座とトレーナー杯でのライブのセンターの座をかけて。今熾烈なバトルが始まろうとしていた。

だが、普段は見ているだけだから良いものの、いざ自分が躍るとなると何とも恥ずかしくてどうにかして全力を出している風を装いながらも負けようとしているのが人間トレーナーの面々である。もちろんそんなのはお見通しであるウマ娘たちは、それぞれのトレーナーに発破をかけていた。

例えばカノープスはターボの涙目で「トレーナー、勝てるよね?」

リギルは「最強を目指すリギルはトレーナーも最強ですよね!」

スピカにいたっては、ゴルシ以下のメンバーが「負けたら、トレーナーのお金で高級料亭で好き勝手に飲み食いする」とそれぞれのトレーナーにウマ娘からの圧力が駆けられていた。

こうして、面子と財布をかけ、熱いバトルが始まろうとしていた。

そんな中でも、チームスピカの沖野トレーナーとおハナさんはほかのトレーナーとは違った思いを持っていた。

「おう、マックイーンにテイオー。今日はよろしくな。しっかし、まさかお前らと走れる日が来るとはな」

「そうだね、こんな日が来るなんてね。とはいっても、トレーナー相手でも手加減しないよ♪」

「ええ、ですわね。私としてはテイオーと争える久々の公式レース。トレーナーさんに手加減などしていられません」

そう、二人とも元教え子とのレース参加である。二人とも、引退したウマ娘たちがどのような走りを見せてくれるのか気になりつつも、でも負けないという気持ちでいた。

そしてゲートインの時間となる。

 

「各員ゲートに入って、今スタートです!!」

なお、レース自体はあっさりと決着がついた。というのも、久々に出るレースとあって、ウマ娘一同久々に体を鍛えなおし、瞬間的には現役時代と同程度のスピードを出せるに至るほどであった。やはり引退したとはいえウマ娘。勝負事には全力で、絶対に勝つとの意気込みを見せたのであった。

「いきなり飛び出したクレナイ! その背を追うはトウカイテイオー、シンボリルドルフ、メジロマックイーン! このスピードでは人間組は勝負にならないか!?」

人間チームがコーナーを曲がり向こう正面に入った頃にはウマ娘組は向こう正面の最後でコーナーに入ろうとしている差。

「さぁウマ娘組は最終コーナーに入った! そのまま最後の直線に入る! 人間組はようやく最終コーナー半分と行ったとこ、ぎりぎり追いつけるか、それともこのまま逃げ切られてしまうのか!」

 

「やっぱり強いね、マックイーン。でも負けないよ!」

「あなたこそ。でも勝つのは私です!」

「これでは威厳がなくなるな。ちゃんと勝利し、皇帝の存在を見せつける!」

「初めてのレース、負けるわけにはいかないんだからぁ!!」

それぞれ違う思いを胸に抱き、最後の力を振り絞る加速をする。

「「「「だあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」

そしてその勢いは、内側のコースでようやく直線に入った人間組のメンバーにまで影響し。

「おおっと、ウマ娘組の加速で発生した衝撃派で人間組が転倒したぁ!? そこまでの勢いなのか、速い、速すぎる!!!」

その風を受けて足をもつれさせたトレーナーと、それをかわそうとしてバランスを崩したほかの面々。みんな一気に転倒し、ケガこそなかったものの、大幅なタイムロスとなってしまった。

「さぁ転んだ人間組には目もくれず、今、クレナイがトップでゴールしましたぁ!!!! 2着にはトウカイテイオー、3着にメジロマックイーン、シンボリルドルフは4着という結果になりました!」

そして転倒から復帰した人間組も次々にゴールし、結果。

トレーナー杯、最強のトレーナーはチームアリアのクレナイとなり、そのまま上位をチームアリアが独占したことで、その名はいたるところに広まり、更にウィンタードリームトロフィーでの結果も併せ、引退したウマ娘のトレーナーへの転向という新たな道を確実なものとすることができた。

この結果を受けその先駆者となったクレナイは、トウカイテイオー、メジロマックイーン、シンボリルドルフらと共にその名をトレセン学園に語り継がれる伝説の存在となったのだった。

そしてこの催しも大好評であったので、毎年ファン大感謝祭に合わせてトレーナー杯が行われることとなり、各トレーナーの心に暗いものを残すのであった。

 

なお、スピカ以外のトレーナーは健闘したと所属ウマ娘に慰めてもらっていたが、スピカの沖野トレーナーだけは、慰めてもらいつつもしっかりと食事に連れていかれ、結果数か月分の給料が吹っ飛んだという噂が流れた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うー、うまぴょいうまぴょい!」

時間を空けてのウイニングライブ。今回はエキシビジョンマッチということもあり、ウィンタードリームトロフィー、トレーナー杯の参加者全員でライブに出ることになった。センターは次々に交代し、キタサンブラックとサトノダイヤモンド、トウカイテイオー、メジロマックイーン、クレナイ。みんながかわるがわるに真ん中で踊る。

「キミとユメをカケルよ! 何回だって~」

曲もたくさん。ウマぴょい伝説、ユメヲカケル、NEXT FRONTIER・・・。今までのウイニングライブで踊られてきた様々な曲でファンを盛り上げる。もちろん中にはトレーナーがセンターで踊ることもあり、恥ずかしそうにしながらも一生懸命に踊る姿に、担当ウマ娘との絆も深まった。

そしてクレナイがセンターのユメヲカケルの時。軽くダンスにアレンジを入れたクレナイは足癖がもとになったテイオーステップの前身、言わばクレナイステップを披露。これ以降クレナイのファンも一気に増え、レースに出ていないのに公式グッズが作られることとなった。もちろん引退したテイオーやマックイーン、ルドルフも踊りファンを興奮させ、衣装チェンジの演出では、キタサンとテイオー、ダイヤとマックイーンが衣装を交換。それぞれの絆を披露した。こうしてファン大感謝祭は大盛り上がりで大成功ののちに幕を下ろし、トレセン学園を目指すウマ娘の数も一気に倍増したという。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最後に彼女たちのこの後の軌跡を書いていこう。

 

クレナイ

世界で最初のウマ娘トレーナーとして名を残した彼女はその後何人もの強いウマ娘を輩出。その結果クレナイ記念が開催されることとなり、トレセン学園での伝説と合わせ、その名を永遠に語り継がれるものとなった。

そして生涯現役を掲げ、最後の時までウマ娘の育成に携わったという。その横には何人ものウマ娘が彼女のサポートに就きトレーニング技術を学び、その技術を日本全国から世界に伝えていったという。

 

トウカイテイオー

クレナイの横で常にサポートに徹していた彼女は主にダンスレッスンと位置取りのレッスンに当たった。

そしてクレナイが作り上げたテイオーステップを後世に残せるよう努力し、彼女は最後までクレナイと共に添い遂げたという。

 

メジロマックイーン

トウカイテイオーと同じくトレーナーの道に進んだ彼女は経験を重ねたのちチームアリアから独立。自分のチームを持ち、彼女のステイヤーとしての経験と才能を生かし、長距離ウマ娘育成専門のトレーナーとなった。

その結果、その名を確固たるものとし、メジロ家の名を更に世界にとどろかせることに成功した。

 

シンボリルドルフ

彼女もまた経験を積んだのち独立。皇帝の走りを後世に伝えるとともに、ウマ娘がトレーナーに転向しやすいよう制度や教育体制の確立に尽力した。その結果、引退を選ばざる負えなくなったウマ娘の幸福を確保することに成功し、自身の念願であったすべてのウマ娘に幸福をを達成することができた。

 

キタサンブラック

トウカイテイオーとクレナイの元で学んでいた彼女はその後、三冠は逃すものの菊花賞、天皇賞春秋、有馬など名だたるGIレースを制覇。自身の名だけではなくトレーナーとしてのクレナイやトウカイテイオーの名前も世界にとどろかせた。更には体もぐいぐい成長し、その長身と胸囲、その体つきからくる豪快な走りからいろんなウマ娘のあこがれのウマ娘になった。

また一度、レース直前に勝負服が不慮の事故で着れなくなった際にクレナイの勝負服を借りることがあり、その時にあこがれのウマ娘の服と興奮して絶好調になり、ものすごい速さでターフを駆け抜けワールドレコードを達成。その記録は長年経っても破られていないという。

そんな彼女が引退した後はクレナイとテイオーの元でトレーニング指導に当たり、二人と共に末永く幸せに暮らしたそうだ。

ちなみに、クレナイをめぐってテイオーと湿度の高いバトルを繰り広げていたという噂があるが、詳しくは語られていない。

 

サトノダイヤモンド

トウカイテイオーとメジロマックイーンのように、キタサンブラックのよき理解者、親友にして最高のライバルであった彼女は、キタサンブラックの1年後にデビュー。キタサンブラックの後を追うように菊花賞、有馬を制し、その有馬では念願のキタサンブラックとの熱いデッドヒートを繰り広げた。

彼女の優しそうでおっとりした雰囲気に合わない全力の走りは幾多のウマ娘にギャップ萌えを感じさせ、またサトノダイヤモンドも様々なウマ娘のあこがれとなった。

引退後はキタサンブラックと同じようにトレーナーへの道へと進み、彼女はメジロマックイーンの下で後進の育成に当たった。そして生涯、キタサンブラックのよき盟友であったという。




この話はこれで本当に完結です。

また筆が乗ったら、キタテイの湿度の高い話でも書けたらなとは思いますが、それよりも前に少しクレナイから離れて別のオリジナルを書けたらなと思っています。

それではここまで、誠にありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。