名前の知らないウマ娘さん   作:小鳥遊 小佳夏

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名前を知られなかったウマ娘と、シンボリルドルフ

私はシンボリルドルフ。トレセン学園の生徒会長をしている。

私の目標はすべてのウマ娘が気持ちよく過ごせる学園を作れること。そのために様々なことをやってきた。その中で、彼女。クレナイとの出会いはいい経験となった。

普通、トレセン学園には勝ちたい、走りたいというウマ娘が入学してくる。だが彼女は、トレーナーになりたいと思って入学してきた。実際、資料やら実例やら生き字引やらがそろっているトレセン学園に入れば、トレーナーになる近道になるだろう。

私は彼女の夢をかなえられないかとサポートに周った。根回しに始まり、実例を集めたり、トレーニング方法を研究したり。私が所属するチーム、リギルのトレーナーのおハナさんも手伝ってくれてな。普通のトレーナーとして遜色ないウマ娘が出来上がることになった。そこからは理事長以下頭の固いやつらの説得をし、この先実績が出せれば、トレーナーコースの設立も視野に入れると約束を引き出すことができた。このままうまくいけば、前途有望なトレーナーを育てることができ、学園の深刻なトレーナー不足を解消し、結果的にウマ娘たちの環境を向上させるk十ができる、そうおもっていた。

だが、悲劇が起こった。彼女がトレーナーになろうとしていたウマ娘のトウカイテイオーが、チームに加入してしまった。いや、これは私の責任でもある。彼女がトウカイテイオーとのトレーニングをするためにというのは以前から聞いていたが、そのトウカイテイオーをあるチームのライブ指導に行かせてしまったんだ。そのチームはスピカ。そしてテイオーはそのままそのスピカに加入してしまった。

元々スピカはウイニングライブをおろそかにする学園の恥で、どうにかテコ入れをしなければと思っていたんだが、その時丁度開いていてダンスレッスンを教えられるのがテイオーだけだったからと言って派遣してしまったのが間違いだった。

テイオーがスピカに加入したことをクレナイに伝えたところ、錯乱した。まあ無理もない。いままでテイオーと一緒にと、その思いだけで前人未到の道を突き進んでいた。その根源がなくなってしまえば、予想に難くない。

彼女をそうしてしまった罪悪感から、私はしばらく彼女との距離を置くことにした。

 

それから彼女は、ひたすらトレーニングにのめりこむようになった。幸い、彼女が手に入れたトレーニングルームには研究のために籠ることもあったから、何日彼女が寮に帰らなかろうと不自然視されることはなかった。

そして私が気づいた時には、あれから一週間がたっていた。私が彼女のトレーニングルームを訪れた時、彼女は器具の上で昏睡していた。

ただただトレーニングを続けた彼女は1週間足らずで体がぼろぼろになった。オーバーワーク。筋肉が破断して、それでも鍛え続けた彼女の体は、二度と歩けないだろうとすら言われた。

これも私のミスだ。彼女との距離を置いてしまったから、彼女はもう二度と走れなくなった。私は、一人のウマ娘から、将来を根こそぎ奪ってしまった。

 

私はそれで落ち込んだが、ずっと落ち込んでも居られない。私が落ち込んでいる間にも、生徒会には多数の仕事が入っている。

エアグルーヴやナリタブライアンに仕事を振るも、私がやらなければいけない仕事もある。それからしばらく、罪悪感にまみれたクレナイの介護と生徒会の仕事で、私は忙殺されることになった。多分、これが私への罰なのだろう。だから、この状況を絶対持たせる。そう意気込んで私は毎日を過ごすことになった。

そしてその日々はずっと続き、1年たっても2年たっても彼女が目を覚ますことはなかった。そしてもちろん、彼女の体が回復することもなく、もう間違いなく彼女が立って歩けることは無い。そんな診断が出てしまっていた。

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