「・・・はぁ」
ボクがクレナイになろうとして、しばらく。最初こそ、クレナイに慣れてた気がしたボクだけど、最近はうまくいかなくなって、元のテイオーに戻ってる気がする。
そのせいか、今度トレセン学園で行われるライブにも出ることが決まった。ボクの引退ライブでどうしてもといわれて、最初こそ断ってたボクだったけど、最後は押し切られる形で出ることが決まっちゃった。ふふ、幼馴染を壊した僕にライブなんてやる資格無いはずなのにね。
それにこの前・・・えーっと、ダブルジェエットだっけな? なんかすっごい元気のよさそうなウマ娘にからまれた。オールカマー出ろって言われても普通に無理だし。というか怪我してるボクにどうしろとだし、それにクレナイをああしたってわかった後も走れるほどボクは図太くないしね。
まあ断り続けてたら泣いたままどっかいっちゃったけど・・・。あれは中等部じゃなくて小学生に見えたね・・・。
そんなある日、またクレナイの服を着て、外に歩きに行った帰り。
ボクは学園の門であるウマ娘と会った。
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「テイオーさん・・・」
私、キタサンブラックは、トレセン学園の門の前で、テイオーさんを待っていた。目的はテイオーさんのために作ったお守りを渡すため。ちなみに、この手作りのお守りを作るのは二回目だったりする。最初に作ったのは、あの名前の知らないウマ娘さんに渡すため。一度もレースに出ないから、ケガしたんじゃないかと思って、その時に作った。まあまだ渡せてなくって、ずっとカバンの底にしまってるんだけどね。
そうしたら、遠くからなんかぶかぶかの制服を着たウマ娘が歩いて・・・ってテイオーさんだ!
「テイオーさん!!」
「ん、ああ、キタちゃんか。どうしたの?」
私はすぐさまテイオーさんに駆け寄り、お守りを見せる。
「あのこれ、テイオーさんに元気になってもらいたくって」
でも、それを見たテイオーさんは力なく首を振る。
「ん、ごめん。それ受け取れないや」
「え、なんで・・・」
「ボク、もう走らないことにしたから」
あまりのショックに、お守りを落としそうになった。
「なんで・・・ですか・・・。まさか、そんなに足が悪いんですか?」
「ううん、そうじゃないんだけど。もう走らないことにした、それだけだよ」
そう言って学園の中に入ろうとするテイオーさん。思わず、その背中に抱き着いた。そして、そのままテイオーさんに辞めないでって声をかけようとして思いっきり息を吸い込んだ瞬間、私はあることに気づいた。
「あれ・・・?」
もう一度深呼吸。それから、テイオーさんの服に鼻をつけてもう一度。この匂い、間違いない・・・。あの時の・・・。
「どうしたの、キタちゃん」
「テイオーさん、一つ教えてください」
後々聞くところによると、この時の私の目は真っ黒だったらしい。
「どうして、テイオーさんの来てる服から、あのウマ娘さんの匂いがするんですか?」
テイオーさんが息をのむのがわかる。そのまま黙って何も答えないテイオーさんを、私はさらに問い詰める。
「なんで黙ってるんですか? 早く答えてくださいよ。この匂い、あの時私に優しくしてくれたウマ娘さんので、テイオーさんが何時も着てる服の匂いじゃないです。なんでこの匂いのする服をテイオーさんがきてるんですか?」
少しして、テイオーさんが口を開いた。なんでか、涙を流している。
「そういえば、キタちゃん、前に言ってたっけ。トレセン学園に来た時に、ボクよりも憧れのウマ娘さんに出会ったって。そっか、あれ、クレナイのことだったんだ」
へぇ、クレナイさんっていうんですか、あのウマ娘さん。
「ごめんね、ボク、キタちゃんの夢も壊しちゃったんだね」
「それって、どういう・・・?」
「キタちゃん、この後、じかんある?」
「ええ、まだしばらくは」
「じゃあボクと来てよ。全部、話すから」
そうして私は、テイオーさんにしがみついたまま、学園の中へと運ばれていった。
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「ついたよ。クレナイはここにいる」
「そうして運ばれてきたのは、あるプレハブ小屋だった。中に入ると居間みたいなとこにベッドが一つ。
「・・・っ」
私がベッドに駆け寄って、横の椅子によじ登って寝ている人の顔を見ると、あの時私にダンスの基礎を教えてくれたあのウマ娘さんがすやすやと眠っていた。
じわっと涙があふれてくる。
「どうして・・・なんで・・・」
かすれた声でこういうと、すぐそばに来たテイオーさんが全てを話し始めた。
「全部、ボクが悪いんだ」
クレナイさんとテイオーさんの関係。夢の話。それを叶えるためにクレナイさんが奮闘した話。そして、それを忘れてスピカに入ったテイオーさんの話。
最後の方は泣きじゃくりながら聞いていた私は、その時あふれてきた感情を全てテイオーさんに向けた。
「なんで!!!なんでそんなことを!!! なんで大事な約束を忘れてクレナイさんをこんなにしちゃったんですか!!!」
それから私は思いつく限りの言葉でテイオーさんを責めた。それをテイオーさんは何も言わず、涙を流しながらただただ聞いていた。それから泣きつかれた私は、ショックも合わさって倒れるように寝てしまった。
倒れるのを見たテイオーさんはびっくりしていたけど、優しく私を抱いて、クレナイさんの隣に寝かせてくれた。
夢の中で私は、クレナイさんと離れ離れになって二度と会えなくなる夢を見た。そして目が覚めた時、私は絶対クレナイさんと離れたくないと思い、そしてテイオーさんのことを憎く思い、そのままベッドの中に居座った。そしてクレナイさんの様子を見に来るテイオーさんに、鋭い視線を浴びせ続けた。
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「キタちゃん、キタちゃん」
私、サトノダイヤモンドは突然いなくなったキタちゃんに会いに行こうとしている。
一昨日の放課後に、キタちゃんがテイオーさんにお守りを私に行くと言ってトレセン学園に向かってからキタちゃんの行方が知れない。学校にも来ないし、家にも帰ってないみたい。これは誘拐されたかって話が出始めそうになった時、テイオーさん→ゴールドシップさん→メジロ家→サトノ家→キタサン家と伝言ゲームがつながって、キタちゃんの居場所が分かった。どうやらトレセン学園にいるらしい。それを聞いた私は、放課後になると同時にトレセン学園へと全速力で走っていった。
「キタちゃああああああああああん」
案内された部屋に飛び込むと、ベッドの上で胡坐で座っているキタちゃんが見えた。
「キタちゃん!!!」
そのまま飛びついて、ぎゅーと抱きしめる。
「もう本当に心配したんだよ!! 今まで何やってたの!!」
そう問いかけるも、返事がない。
「ほんと、無事でよかった」
そうしてさらに強く抱きしめると、キタちゃんが弱弱しい手で私の腕をぽんぽんと叩いた。
「キタちゃん・・・?」
不思議に思った私がキタちゃんの顔を見ると、青白い顔をしたキタちゃんが泡を吹いていた。
「うわっぁぁぁぁぁぁ!? キタちゃん、ごめんね!!!」
抱きしめた腕がちょうど首を絞める形になっていたみたいで、とりあえず誰かが寝ているベッドの端にキタちゃんを寝かせ、介抱する私だった。
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「そっか、この人がクレナイさん。キタちゃんが追ってたウマ娘さんなんだね」
キタちゃんが落ち着いた後、なんで帰ってこなかったのかのわけを聞いた。
「うん。ようやく会えたと思ったんだけどね・・・」
クレナイさんの首には、キタちゃんが最初に作ったお守りがかけてある。ずっと持ってたお守り渡せたけど、お話もできないんじゃ、キタちゃんかわいそう・・・。
「それで、キタちゃんはこの後どうするの?」
「私は、もうしばらくここでクレナイさんと一緒にいる」
「しばらくってどのくらい?」
「クレナイさんが起きるまで」
うーん、キタちゃんの一緒にいたいって気持ちはわかるけど・・・。キタちゃんの叔父様が心配してるし・・・。
「ねえキタちゃん、一度はおうちに帰ったほうがいいよ?」
「やだ」
うぅ、きっぱりと否定されちゃった・・・。こうなったら。
「ちゃんと叔父様にお話だけはしたら? 電話貸してあげるから」
「それなら、うん・・・」
それから叔父様に電話をしたキタちゃんは、わがままを言って叔父様からトレセン学園にいてもいいという許可を取った。ついでに私は、放課後にキタちゃんに学校のプリントを届けつつ、キタちゃんの様子を見るためにトレセン学園に通うことになった。
フラウンスの二次創作とか、アニメのキタサトまとめ見てると尊さにやられて湿度が浄化されるので、浄化されない限り毎日更新続けたいと思います。
ダメだったら浄化されたんだこいつと思って、次の日までお時間ください(土下座