一応閲覧注意です
「うにゅ・・・ふわぁぁぁ」
いつも通りクレナイさんの隣で寝て、目を覚ました私は体を起こして目をぐしぐし。そうしていると、外が妙に騒がしいのに気が付く。
「あ、キタちゃん起きた? 朝ごはんできてるよ」
「ん、ありがとう、ダイヤちゃん」
私が起きるよりも早くに来てたダイヤちゃんがご飯を作ってくれていた。毎朝こうして私のご飯を作ってから学校に行って、放課後にまた来て勉強を見てくれたり、夕飯を作ってくれる。そのあとは家に帰るけど、こうして毎日来てくれるって、ほんと私の心からの親友でライバルで大切なウマ娘だ。恥ずかしくて面と向かってなんか言えないけどね。だから心の中でだけ毎日感謝してる。
「今日、何かあったっけ? 外が騒がしいんだけど」
「キタちゃん、クレナイさんのことで頭がいっぱいなのは良いけど、少しは周りのことも気にしたほうがいいと思うよ? 今日はファン感謝祭の日だよ?」
あー、そっか。もう今日だったんだね。
「キタちゃんは、テイオーさんのライブ、見に行かなくていいの?」
「ん、私はいいかな。今テイオーさんに笑顔なんかむけられないだろうし、それに」
「それに?」
「やっぱり、周りにせがまれたからって、クレナイさんをこうしたってわかった後にライブに出てるの、なんか許せない」
私が険しい顔をしながら言うと、ダイヤちゃんがぎゅーって抱き着いてきた。
「わわっ、ダイヤちゃん!?」
「キタちゃん、あんまり重く考えすぎだよ? それじゃ、クレナイさんが起きた時に、笑顔で迎えられないよ?」
うにゅ、そういわれると・・・。
「んー、よし、決めた! 今日はキタちゃんとずーっと一緒にいるね」
「え、いいの? マックイーンさんのとこ、行きたいんじゃ・・・」
「それは行きたいけど、それよりもキタちゃんのことが大切だから。だから、キタちゃんが一緒に行ってくれるなら、私はすっごくうれしいんだけどなぁ」
ほっぺをすりすりしながらそう言われると、なんかテイオーさんに向けてた黒いものがなくなっていく気がする。
「じゃあ、午前中はここにいていい? 午後は一緒に出掛けよ、ダイヤちゃん」
「うん、わかった。じゃあ、朝のうちに、ここのお掃除とクレナイさんのお世話しないとね。二人でやればすぐに終わるよ、キタちゃん!」
「うん、ダイヤちゃん!!」
そうして私はお祭りのことをいったん頭から追い出して、お掃除をしたり、クレナイさんの体を拭いたりと色々やった。そして午後にダイヤちゃんとマックイーンさんに会いに行って一緒に周って、それからテイオーさんのライブに行くマックイーンさんと別れて、またお部屋に戻って来た。それと同じころ、ライブ会場ではテイオーさんが衣装を着て舞台に上がろうとしていた。
そういえば、途中で見かけたあの覆面をかぶった人たち、いったい何だったんだろう??
ーーーーーーーーーーーーーーーー
これを着るのも、もう最後かな。はは、また袖を通す機会なんて一生来ないと思ってたんだけどね。
そんなことを思いながら、勝負服に身を通す。最初はいつものライブ服って話だったんだけど、最後の最後だからどうしてもって。まあ、最後なら着るのも悪くないかなとも思うし。
しっかり身だしなみを整えて舞台袖へ。そこではスピカのみんなが待ってた。
「よし、じゃあ行ってくるね」
みんなにそう声をかける。
「こんなこと言えないけど」
「後悔しないよう、思いっきりね」
ウオッカとスカーレットが応援してくれる。後悔、ね・・・。
「本当に、これで最後でいいんですのね?」
「うん、本当にこれでおしまい」
念を押すようにマックイーンが問いかけてくる。うん、これでおしまい。これ以上、ボクは走る気持ちも、みんなの前に出る気持ちも、保てそうにない。
「テ゛イ゛オ゛ー゛さ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛」
「うひゃっ!? そ、そんなに泣かなくても・・・」
ずっとうずくまって泣いてるスペちゃんが顔をあげてきたけど、そんなに泣かなくても・・・。
「テイオー・・・」
「うん、気にしないで」
ゴールドシップはいつものはっちゃけさもなく、何とも言えない表情を向けている。
ライブが決まってしばらくした後、ゴールドシップとトレーナーの二人がボクに頭を下げに来た。どうやらボクがなんで走らないって決めたかを知っちゃったみたいで、何も知らなかったとはいえ最後のライブをなんて辛いことをやらせてごめんって。まあこれもボクの贖罪になるのかななんて思うからまあいいんだけど、二人は本気で謝ってきた。
とりあえず謝罪は受け入れて、もう気にしないでって言ったんだけど、ゴールドシップはまだ気にしてるらしい。ほんと、いつもはあんなふざけてるのに、こういうところは真面目なんだよね、ゴールドシップ。
まあそんなのはさておき。ゴールドシップの視線に頷きで返したボクは、みんなに背を向ける。
「それじゃ、行ってくるね」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
舞台袖から出ると、ライブを見に来てくれたたくさんの観客が一斉に拍手をしてくれた。
「みんな~、今日はボクのライブに来てくれてありがと~~っ!」
歓声が上がる。よし、じゃあまずは行こうか。
「まず、最初に一曲いくよ~!!」
最初に踊るのはWinning the soul。
でも、踊っているうちに。歌っているうちに、だんだん涙があふれてきた。
たどり着きたい場所はあるけど、それは自分で壊した。今の先に進んでも、たどり着きたい場所には行けない。だんだんと走りたい、勝ちたいという歌詞が自分に突き刺さる。そして、本当にこれを壊した自分はなんてやつなんだと。そんな思いが胸をかける。なんとか踊り切って、もう涙を流しながら観客のみんなに目を向ける。
「みんな、ありがとおおおお」
また歓声が沸く。多分、これ以上は無理。隠したまま踊るなんてできない。
そう思ったボクは、ここで明かそうと、決意を固めた。
「一つ、みんなに聞いてほしいことがあるんだ」
ボクがそういうと、みんなが鎮まった。
「ボクは、トウカイテイオーは、このライブをもって、いんt」
「辞めないでくださいテイオーさぁぁぁぁぁん!!!」
引退の言葉を口に出した瞬間、甲高い声がそれを遮った。
「やっぱり、やめるなんて、言わないでください、テイオーさん!」
はっと声のしたほうを向くと、スペちゃんが大泣きしながらこちらに顔を向けていた。そのスペちゃんを止めようと焦った顔のゴールドシップと沖野トレーナーが出てくる。
そうすると、観客のみんなもそれに乗って、口々にまた走ってくれ、辞めないでという声をかけてくる。
「・・・・・・・・・」
なんだよ、なんなんだよ。みんな、自分勝手に。ボクはもう、走る資格なんてないのに・・・!!!」
そう思っていると、突然後ろのモニターがぶつっという音を立ててブラックアウトした。驚いてそちらを向くと、映像が切り替わって、突然、何かのレースが映し出された。
あれはツインターボ。ボクに挑戦状を投げかけてきたウマ娘。これ、あれかな。こうして走る姿を見せれば、ボクがまた走るようになるとでも思われたのかな。
・・・なんだ・・・なんなんだよ・・・これは・・・ほんとなんなんだよ!!! わけがわからないよ!!!!!!
人の気持ちも知らないで、みんな走れ走れと。そう思うと、知らないうちに頭が真っ白になって、叫んでいた。
「みんな勝手なこと言わないでよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
これを書いた後アニメを見直して、アニメ10話に近づけるよう直したいなと思ったので、筆が乗ったら大幅改稿するかもしれません。
ところでリア友に「君、人の心どこかに落としてきたよね? 探してきて」と言われたのですがそこまで人の心無いでしょうか()