絶対に寝ないドクターvs絶対に寝かせるオペレーターズ   作:8OROCHI丸

1 / 12
ふと別のアークナイツ2次小説書いてる知り合いと話してるときに唐突に思いついたネタ
書けって言われたから書いた


vsアーミヤ

突然だが私は全く睡眠をとらなくて良い体質のようである。

ようであるというのは以前の記憶が全く無いからなのであるが……

 

私はチェルノボーグという場所で目覚め、ロドス・アイランドという組織に救出された。私を救出してくれた皆は、私のことをよく知っているようだった。だが、当の私は記憶喪失に陥り、以前の記憶、自分の名前、救ってくれたオペレーター達の顔と名前すら全くわからなかった。

皆は私のことをドクターと呼んでいる。自分の名前がわからない以上、個人を呼称する名称は都合がいいので特に不思議に思わない。

それに、私は鉱石病の研究をしていた博士だったようなので、ドクターという呼称自体が間違っておらず、()()()()私にとっては都合がいいに違いない。

 

みんなが求めているのは右も左も分からない今の(ドクター)ではなく、かつてのロドスの重鎮であるドクター()なのだから。

 

ロドスというのは製薬会社である、最近の業務はそれだけではないが。

ロドスは感染者の治療を第一理念として挙げている。そのため薬剤の研究・開発だけでなく、患者の診察や治療なども業務に含まれる。

また感染者の保護をする際、荒事になることも珍しくないため、ロドスが雇用、または治療の対価として志願した者たちがオペレーターとして戦場に赴く。私は戦場での指揮も業務なので、各オペレーター達との交流も決して欠かせない。

医療部門はケルシー医師、経営はアーミヤCEOが担っているので、今のロドスは実質3トップ体制と言っても過言ではないだろう。

 

 

そんな私は睡眠をとらなくていい体質のようだ

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

「ドクター、もうそろそろお休みになられては如何ですか?もうそろそろ日付が変わりますよ?」

 

「んー、そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ。まだ仕事終わってないんだよ。ごめんね」

 

「いや、ドクター………

 

 

 

もう既に1ヶ月睡眠を取られてないんですよ!?はっきり言って異常です!!今すぐに!休息を取るべきです!!!」

 

「仕事が終わっていないから休んではいけないと言ったのはアーミヤ、君だろう?現にまだ仕事は終わっていないし、私は何回も言っているが全く睡眠を取れないんだ。ずっと暗い部屋で意識を失うこともできずに横になっているだけなら、こうして書類仕事をしていたほうが何倍も建設的だと思うが」

 

「うっ………。た、確かに言いましたが……」

 

 

ああ、まただ。

こうしてこの人は、絶対に休みを取ろうとしない。

 

「で、ですが、この書類も、この書類も!これだけの数は既に今月の分をゆうに超えています!!今しなければいけない緊急の書類じゃないんです!ね?休みましょうドクター?」

 

「じゃあ書類仕事の代わりになるものを提案してくれるかい?アーミヤ」

 

「…………え、えっと…………」

 

「さっきも言ったが、私にとって睡眠は休息たり得ないんだ。何故なら厳密に睡眠という行為を行うことができないからね。それより、こんな時間だ。アーミヤこそ明日に備えて休息を取るべきだろう?君は私と違って寝なくていい身体ではないんだ。さあ、お疲れ様アーミヤ」

 

「私が休むならドクターもです!!たしかに最初こそ右も左も分からない状況で熱心にやっていただけるとは思いました。それにかこつけて書類仕事をさせてしまったことも認めます。あのときは私達も余裕がありませんでしたので……。ですが、最近のドクターはあまりにも酷すぎです!!ご自分でロドス艦内の設備点検・修理に始まり戦闘訓練、指揮訓練、オペレーター達との交流からカウンセリングまで!!!明らかにオーバーワークです!!!一刻も早く休むべきです、ケルシー先生もそう言っています」

 

「……それでも、私は休むわけにはいかないし、仮に休息を取るとしても、君の思うような休息にはなれないんだ、アーミヤ。それに、私は一刻も早くかつての(ドクター)としての私を取り戻さなければいけないんだ」

 

「………?」

 

 

 

「君たち、私を知るオペレーター達が、(ドクター)を通してドクター()を見ていることは知っているんだ」

 

「……!!」

 

 

「きっと、君たちは失望しただろう。エリートオペレーターが、中堅オペレーターが、新人オペレーターが、命を賭して救おうとしたドクター()は、なんの記憶も知識も能力も持ってないただの無能の(ドクター)だったのだから」

 

「………」

 

「私は私なりに頑張ろうとはしたさ。だけど、どうやってもだめなんだ。私は私であり、私はドクター()にはなれない。記憶を取り戻し、知識を取り戻し、能力を取り戻さなければ、本当の、君たちにとってのドクター()にはなれないことを悟ってしまったんだ。だから君たちの期待に応えなければいけないんだ、アーミ……ッ!?」

 

 

――私は、きっと今、酷い顔なのだろう

 

 

「……どうして、そんな事、を………っ、仰ら、れる、の…ですか……っ?」

 

「ア、アーミ……ヤ?な、何故、泣いているんだ?」

 

――私は、きっと、悪い娘なのだろう

 

 

「わた、私…たち、はっ、ド、クター…が、ぶ、無…事で、よかっ……た…っ、た、ただ…、それだけ、それ、だけ……っ、なの、なのに……!」

 

「アーミヤ!!」

 

 

――私は、それなのに、幸せを感じています

 

 

「……すまない、どうやら私が悲しい思いにさせてしまったようだ。私は、君たちの知っているドクター()になれれば、君たちも安心するのではないかと思っていたんだ。」

 

「…………ぐすっ」

 

「泣かないでくれ、アーミヤ、すまなかった」

 

 

「……私たちにとっては、前のドクターも、今の貴方も、かけがえのない、ドクターなんです。」

 

「………ああ」

 

「ですから、どうか、どうか…。そのようなことを、言わないでください、ドクター……。私は、あなたの……こ、とを…………」

 

「……………」

 

「……スゥ……、スゥ………」

 

 

「……きっと、疲れていたんだな。アーミヤ」

「すまない、私が不甲斐ないばかりに、君に苦労をかけさせてしまっていて」

「……おやすみ、アーミヤ。いい夢を」

 

 

――わたしと、どくたーと、けるしーせんせい

みんな、わらっている。

 

ああ、わたしはとっても、しあわせですよ?ドクター……。




第一戦、アーミヤ、敗北
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。