「戦いを求めるガンプラと戦いを避けようとする人間の主人達、悲しいかな互いのすれ違いは……果たしてどのような結果を招くのでしょうか?」
「それではっ! ガンダムファイトォ! レディィィィィ……ゴオォォォォォォ!!」
というわけでまたも人の姿となったガンプラ、『ゴッドガンダム』は今、トモヒロの部屋で俺達の前にあぐらをかいて座っている。対峙するのは……何故か正座している俺とトモヒロだ。トモヒロは先ほどの攻撃がよほど痛かったのか、時々背中を摩っている。
「……で、お前は俺が作ったゴッドガンダムってのは……本当なんだな?」
「だからさっきから何度も言ってるじゃねぇかご主人よぉ、俺はあんたの作ったガンプラなんだって! この格好と、そしてこの紋章がその証だ!」
そう言ってゴッドガンダムは自分の右手の拳を目の前で握る。すると、握った手の甲にハートを象った紋章が浮かび上がる。間違いない、アニメ『機動武闘伝Gガンダム』で主人公、ドモン・カッシュの手の甲に浮かび上がるシャッフル同盟の証、“キング・オブ・ハート”の紋章だった。人となったガンプラはその元となった機体や搭乗者の特徴をその身に反映させることがある……それはあのキサラギのガンプラ、ギラーガの容姿を見ても明らかだった。トモヒロはというと、それを見るや否や俺の肩を掴んで後ろでこそこそと小声で話す。
「お、おいソウシ……こりゃ一体どういうわけなんだ?」
「どうもこうも、お前も俺達と同じってわけさ。俺やキサラギ、それにオトメに起きたことがお前にも起きたって話だ」
「マジかよ……ファントムちゃんの一件で慣れてるつもりだったが……いざ自分の身に起きてみると……って、オトメにもだとぉ!?」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「初耳だよ!」
そういやトモヒロにはオトメのサバーニャが人化したって話はまだしてないんだった。それを聞いてさらにうろたえるトモヒロだったが、そんな俺達をよそにゴッドはというと。
「とにかく、俺は行く!」
さっきまであぐらをかいて座っていたゴッドがすっくと立ち上がると、すたすたと窓の歩まで歩み寄る。
「お、おい! ちょっと待て! どこに行くっていうんだ!?」
嫌な予感を察知したのかトモヒロがゴッドに待ったをかける。
「決まってるだろご主人、俺はガンダムファイターだ! 俺は俺自身の力を向上させるために戦いに繰り出す!」
「戦いって……まさか、ウチのザクファントムか!?」
戦いと聞いて、俺は真っ先にファントムのことが頭に浮かんだ。
「ザク? 違う、俺はガンダムファイターだと言っただろう! ガンダムファイターの相手はガンダムでなければならない!」
「ちょ、ちょっと待てよゴッド! お前まだ……―!」
「待っていろよ……今! 俺が……
喋りかけたトモヒロの言葉を構わず遮ると、ゴッドは背中のウイングを広げ、ブースターと足のスラスター全開で窓から外に飛び立った。
「あいつ! 人の話聞かないで勝手に出て行きやがって!」
「追いかけるぞ、トモヒロ」
「追いかけるって……お前、あいつの行き先わかるのかよ!?」
「あぁ、わかるさ」
あいつはガンダムを相手に戦うと言っていた。つまり、この辺でガンダムタイプの人化ガンプラを所有している人物と言ったら……それは一人しかいない!
―――――第7話:「ガンダムファイト! レディー、ゴー!!」―――――
………………
…………
……
「はいサバにゃん! これトーン貼りお願い!」
「は、はい!」
「あとこっちはベタ塗りして」
「はい。……というかお嬢様、これは何ですか?」
オトメが学校から帰ってくるなり、サバーニャはオトメの同人誌制作にこき使われていた。
「なにって今度の新刊よ新刊! これをなんとかして今週中までに仕上げなくちゃいけないんだから!」
「はぁ……」
「今度のはねぇ、ガンダムOOの世界観を基準にした話で、ユニオンのイケメンエースパイロットが人革連の捕虜になって、むさいおっさん達にあーんなことやこーんなことをされちゃう話なの♪ で、そのエースパイロットのモデルは実はソウ……―」
別に聞いてもいないのに同人誌の内容を喜々としてサバーニャに説明していた……その時だった。オトメ達のいる部屋の窓が突き破られる。
「な、なに!?」
「これは……!」
そして割れた窓から部屋に入ってくる人物。突然の事に驚き、慌てふためく二人をよそに、窓を割って入ってきた人物は二人の前に姿を現す。
「俺、参上!」
そう言って呑気に決めポーズをとるのは、先ほどトモヒロの家から飛び出たゴッドガンダムだった。彼女は突然のことに呆気にとられているオトメ達を一瞥すると、サバーニャに目線を合わせた。
「お前! ガンダムか?」
「え、えぇ……ガンダムサバーニャですけど……?」
自分を指さすゴッドに対して妙な威圧感を感じてしまい、サバーニャはおそるおそる自分がガンダムタイプだということを打ち明けた。
「ガンダムか。よし、ならばお前にガンダムファイトを申し込む!!」
「ふぇえっ!?」
いきなりのことにサバーニャは素っ頓狂な声をあげた。ちょうどその時、オトメの部屋の玄関の戸を開け、ソウシとトモヒロの二人が部屋に入ってきた。
「ちっ、遅かったか……!」
「ト、トモヒロ君!? ソウシ君も!? これって……どういうこと!?」
「俺達もなんと説明したらいいのか…」
あぁこの感じ……きっとオトメもあの時電話で俺に事情を話そうとしたときはこんなにも言葉では言い表せない気持ちだったんだなぁ……と、改めて実感した。
「3行でお願い」
「わかった……
・トモヒロの作ったガンプラが人化した
・人化したゴッドガンダムがガンダムファイトをしたいと
・で、ガンダムサバーニャにファイトを申し込んだ
てことだ」
あ、なんかすげぇ。3行でまとめるとこんなにも上手く要約できるものなのか。
「ふむふむ、なるほど……ってえぇ!? ウチのサバにゃんと!?」
「オトメ……すまん! 俺の不届きで……」
と、トモヒロはオトメに頭を下げて謝罪した。
「あ……いや別にそんな謝ってもらうほどのことでも……それよりもあの娘を早く止めて!」
「お、おう! おいゴッド! ガンダムファイトだなんてアホな真似はよせ!」
「ご主人は黙っていてくれ! これは俺の闘いなんだ! 俺自身を強くするための試金石! そのためには、同じガンダムタイプと闘うしかないんだ!」
ゴッドガンダムの決意は堅そうだった。そして本人の性格からしてとても頑固そうだ。これは言葉だけの説得に応じるかどうか……。負けじとトモヒロが反論しようとした時だった。
「……わったわ、ファイトを受けます」
「えっ!?」
「お、おいサバーニャ……!」
ゴッドのこんないきなりの申し出に対し、サバーニャは意外にもあっさりとそれを受け入れてしまったことに、オトメと俺は思わず声をあげてしまった。
「実を言うと、ちょうど私も自分の力を試してみたいと思っていたところなんです。ファントムさんとは共同戦線を張ってるけど、いつ私一人で闘うかわからないですし、その時に備えて……私も私自身を強くします!」
「だ、ダメだよサバにゃん! 私はあなたに戦ってほしくなんか……!」
「お嬢様、お嬢様の気持ちはわかりますけど……でもいざという時に私が戦うための力を身につけていなかった時、貴女に害を与えてしまうかもしれません。そうならないために、私は自分を強くするために戦います!」
「でも……!」
俺達ガンプラのマスターは、自分のガンプラに戦ってほしくなんかないと思っているのが大体のはずだ。しかし、そんな俺達をよそに、当のガンプラ達は無意識かもしれないが戦うことを望んでしまっている……。
『人となったガンプラは皆戦うために生まれてきた』……ギラーガが言ったことだ。その事が本当だというのであれば……やはり俺達に彼女たちを止めることなどできないのではないだろうか……?
でも……サバーニャとゴッド……オトメとトモヒロの……友達同士のガンプラが戦うだなんて…!
「お嬢様、これは貴女を守るための闘いなんです。だから、お願い」
「……わかった。そこまで言うんだったら……わかったよ」
サバーニャの必死の懇願に、ついにオトメも折れざるを得なくなった。
「でも約束して。あの娘は私の友達のガンプラなの……わかるよね?」
「えぇ、できるだけあの娘を傷つけないし、私も傷つかないようにします」
「うん……ありがとう」
それを聞いて少し安心したのか、オトメの表情が朗らかになる。そして向けるのは信頼の視線。サバーニャもそれに応えるべく、小さく頷いた。
「話はまとまったか? ならさっそく……!」
喧嘩っ早いゴッドが拳を構え、早速闘いの意を表すが。
「ちょっと待って! こんな部屋の中で戦ってもらっちゃ困るよ! 屋上に行こ、そこなら広いし、誰もいないから」
オトメの提案をゴッドは承諾した様子で、足早に部屋から出て屋上に向かって行った。そして俺達も、その後に続いて屋上に向かった。
………………
…………
……
「悪いなオトメ……俺のガンプラがこんな面倒なこと起こしちまって」
「気にするな、俺は気にしない」
レイ・ザ・バレルの真似をしながらオトメが答える。よかった、こういう返し方をする辺り、オトメはゴッドのことをあまり気にいしていない様子だった。
「その代わり割ったガラス代、後で弁償してよね」
「へいへい……」
それを聞いて軽く落胆するトモヒロ。つい昨日ガンプラとその道具を買い揃えてそれなりの出費がかかったからな、気持ちはわからなくもない。
一方のゴッドとサバーニャはというと、屋上で対峙しあったまま、まだ動かない。
「ご主人、一つ頼みがある」
「なんだ?」
ゴッドは目線をサバーニャから逸らすことなく、トモヒロに語りかける。
「俺達の闘う準備はできている。だから闘う合図をご主人に頼みたい」
「……わかった」
トモヒロはあんまり乗り気じゃない様子なのは明らかだった。自分の作ったガンプラが、自分の友人のガンプラと戦いたいだなんて言い出したら、苦い気持ちになるのは当たり前だ。しかし、ここで止めたところで二人は大人しく止めるとも思えないし、無責任な言い方かもしれないが、もうこうなったらあいつらの好きにさせてやるしかないんじゃないかな。それは俺だけじゃない、トモヒロとオトメの二人もわかっていることだろう。
「それじゃ……いくぞ」
トモヒロが一歩前に出ると、ゴッドは拳を構える。が、サバーニャはどういうわけか目を瞑り、一向に構える姿勢を見せることはない。なにをするつもりなんだ……?
「行くぞ……ガンダムファイト!! レディィィィィィ……」
トモヒロが右手をあげる。緊張感が場を支配する。何故か俺の心臓がドクドク音を立てて鳴っているのを感じる。それは俺だけではない。オトメも、トモヒロも、あの二人も、同じく緊張している筈だ。
そして……その緊張はトモヒロの掛け声と共に破られた。
「ゴオォォォォォ!!」
掛け声が上がると同時にゴッドが背中のウィングを開き、そのウィング部に日輪を背負いながら、ブースターの出力全開でサバーニャに突っ込んで行く。
「ゴッドフィールド・ダァァァシュ!!」
『ゴッドフィールド・ダッシュ』は、背部ブースターの推進力で一気に加速し、相手に突撃する技だ。確か本編じゃ、ボルトガンダムのガイアクラッシャーの弱点を見破った時に使用した技だが……これで果たして先制攻撃を加えることができるのだろうか?
「……!」
と、その時、ずっと目を閉じていたサバーニャがカッと目を見開き、両脇に抱えているホルスタービットの一つからライフルビットを素早く取り出し、その銃口を突っ込んでくるゴッドの眼前に突き付ける。早撃ちの構えか!?
「……チッ!」
それに気付き、瞬時に加速を止めようとブースターの出力をカットするゴッドだったが、一度加速すれば簡単に止まることはできない。サバーニャはそんなゴッドの眼前でライフルのトリガーを引き、ビームを発射する。
眼前で発射されたビームはそのままゴッドに命中する……かと思われたが、その瞬間にゴッドは地面を蹴り、同時に脚部バーニアから炎があがり、上へと飛び上がる。放たれたビームはゴッドの踵あたりの装甲を掠めたが、ゴッド自身へのダメージは無いようだった。ゴッドはそのまま空中で一回転すると、サバーニャの背後に回り込む。
「もらったぁ!!」
腰のビームサーベル、『ゴッドスラッシュ』を引き抜くと、大きく振りかぶって斬りかかる。サバーニャは狙撃や遠距離射撃特化の機体だ。それ故にビームサーベルのような近接格闘用の武器は装備されていない。背後の敵を攻撃しようにも、前面から後面にいきなり姿勢を向け、ライフルで攻撃するのにはモーションに時間がかかりすぎる。この勝負…距離を詰められたサバーニャの不利か!?
しかし、その時だった。
「なっ…!?」
ゴッドの振り下ろした斬撃がサバーニャの本体にまで届かず、何かによって阻まれる。よく見ると、それは2枚の板のような物。 そう、サバーニャの腰に装備されているホルスタービットがシールドの代わりとなり、宙を舞ってゴッドの前面に展開されたのだ。
動きを止められたゴッド、その隙にサバーニャは素早く振り返り、両手にライフルを構えて攻撃する。
「くっ……!」
苦々しい表情をしながらゴッドは後ろに飛び退き、ライフルによる射撃から逃れる。一気に近接戦に持ち込んだゴッドも見事だったが、それを一瞬にして覆し、遠距離戦に持ち込んだサバーニャも見事と言わざるを得ない。近接戦闘特化型と遠距離戦闘特化型…極端に相性の悪いこの二人が、一体どのような形で決着をつけるのか…それは誰にも予想できなかった。
「せっかくのところ悪いけど、一気に決めさせて!」
そうサバーニャが言うと、両手のライフルビットを空中に放る。投げられたライフルビットは、トリガー部が収納されると、まるで意思を持ったかのように空中で静止し、銃口の狙いをピッタリとゴッドに向ける。そしてさらにサバーニャのホルスタービットの中から左右4基づつ…合計8基のライフルビットが飛び出て、それぞれがゴッドの周囲を囲む。通常のHGシリーズのガンダムサバーニャに、ライフルビットは2基しか付属していない。が、このサバーニャはブルジョワなオトメが5個買いして組んだサバーニャなので、10基全てのホルスタービットが稼働し、内部には全てライフルビットが仕込まれている。
サバーニャは手を翳すと、それに呼応するかのようにビットが宙を舞い、ゴッド目がけてビームを放つ。ゴッドはその攻撃を軽い身のこなしで避けるか、もしくは手に持つビームサーベルでビームを弾いたりしながら、防御に徹する。
もしここが地上ならば、ゴッドは逃げ回り、サバーニャはそれを追撃し、まるで鬼ごっこのような攻防が永遠に続いたかもしれない。しかし、ここはマンションの屋上。面積に制限がない地上とは違い、少し距離をとっただけで、すぐ足場のない屋上の縁にまで追い詰められてしまう。
今のゴッドはまさにその状況だった。屋上のほぼ中央にいるサバーニャに対して、ゴッドは屋上の隅にまで追い詰められた。
ビームサーベルを構えるゴッドだが、一向に距離を詰めようとはしない。それもそのはず、今の自分はサバーニャの10基のライフルビットに狙われており、ピクリとでも動けば四方八方からのビームの一斉射撃により、それで終わりだ。仮にそのビームの雨を潜り抜け、サバーニャの懐に入り込んだとしても、攻撃は全てあのホルスタービットによって防がれてしまう。ゴッドにとってこの状況は、まさに万事休すだった。一方のサバーニャは、勝利を確信したのか、こんなことをゴッドに対して提案した。
「追い詰めたわよ、大人しく降参したらどう?」
「はっ、降参だと? 笑わせるなよ、俺はまだ負けたわけじゃない!」
尚もビームサーベルを構え、反抗の意思を示すゴッド。しかしこの状況……万に一つでもゴッドに勝機が残されているとは誰もが思っていなかった。
「往生際が悪いわね。なら仕方ないわ……お嬢様との約束だし、貴女の攻撃力を奪っておしまいにしてあげる!」
再びサバーニャが手を翳すと、ゴッドに狙いをつけている10基のライフルビットの銃口から赤いビームが放たれた。その攻撃はまっすぐゴッドに向かう。このまま命中してゲームオーバー……誰もがそう思った。
「今だ!!」
しかしその瞬間、ゴッドが左腰にあるももう一本のビームサーベルを装備する。それを左右真横に構えると、突然ゴッドが回転を始める。
「ゴォォォォォッドスラッシュ・タイフゥゥゥゥゥン!!」
回転は一瞬にして荒風を撒き散らし、竜巻のように鮮やかな赤いビームの軌跡を描いて一層激しくなる。サバーニャのライフルビットから放たれたビームは、そのビームを纏った竜巻によって防がれ、ゴッドの本体にまでダメージは及ばない。
「なっ……! こ、これは……!」
攻撃が防がれたことにサバーニャは驚きの声をあげると同時に、激しくなる神風に思わず腕で顔を覆い、隙ができた。その瞬間、制御を失ったライフルビットがビームを纏った竜巻の中に吸い込まれる。吸い込まれたライフルビットはバラバラに砕け散り、さらに尚も回転が激しくなるゴッドはそのまま地面を滑るように移動し、サバーニャのすぐそばまで接近する!
「しまった……!」
寸前で気がついたサバーニャが慌ててホルスタービットを展開し、自身の防御に回すが、ビームを纏った神風はそんなサバーニャをホルスタービットごと巻き上げる。
「きゃあああああっ!!」
竜巻の中に吸い込まれたサバーニャから悲鳴があがる。そのビームを帯びた竜巻の間に生じる真空空間は、まさに小宇宙とも言うべき圧倒的な破壊空間を生み出している!
「見ろ!」
突然トモヒロが声をあげ、ゴッドスラッシュタイフーンが通過した地面を指さす。
「固いコンクリートでできているはずの屋上の床が、まるで畑の柔らかい土を鍬で掘り起こしたかのように抉れている……異常だ! この破壊力!」
確かに、トモヒロの例えはもっともだった。屋上の床は抉れ、竜巻の通過した軌跡を標していた。この圧倒的な破壊力に呑みこまれ、サバーニャは無事なのだろうか……?
ゴッドが回転を止めると、吹き荒れた竜巻が徐々に威力を弱めていく。やがて、竜巻が完全に止まると、巻き上げられていたサバーニャが上空から真っ逆さまに落ちてくる。その姿をよく見ると、ビームの竜巻で攻撃を受けたせいか、全身の装甲はところどころヒビが入ってたり、破損していたりしている。当のサバーニャ自身も、肌の露出しているところに切り傷があったりと、かなりダメージを受けているようだった。そんな彼女を辛うじて守っていた10枚のホルスタービットは、その半数以上が壊れており、マトモに機能するのは4枚程度のようだ。
上空から落ちるサバーニャ……意識はあるようだが、背部のGNスラスターを起動し、姿勢制御を行うほどの気力はもうない様子と見て取れる。
そんなサバーニャに、ゴッドが最後の追い打ちをかける。
「トドメだぁ!!」
ゴッドが叫ぶと、背中のウィングを開き、自身の右手を大きく開く。開かれた右腕は熱を帯び、徐々に赤くなる。腕の籠手部分がスライドして、その赤い拳の甲を覆う。
そしてゴッドは有名なあのセリフを叫ぶ!!
「俺のこの手が真っ赤に燃える!! 勝利を掴めと轟き叫ぶ!! ばぁぁぁぁぁく……ねつ!!」
するとゴッドはその赤い右腕を上空へ突き立てる。その腕の先には……真っ逆さまに落下してくるサバーニャが!
「ゴォォォォォッド!! フィンガァァァァァァァァァァーーーーーーっ!!!! 」
掛け声とともに腕を脇の下に引っ込め、そのまま一気に突き出す!赤く熱を帯びたゴッドフィンガーは、サバーニャの頭部をガッシリと掴んだ。
「サバにゃん!」
「ぐっ……ううっ……! あああああああっ!!」
オトメが叫び、サバーニャが苦悶の表情と共に叫び声をあげる。おそらく今のサバーニャには、ゴッドのその燃えたぎるような掌の感触を顔面に感じていることだろう。その感触をを想像するのは……考えただけでも冷や汗が出る。
「ガンダムファイト国際条約第一条! 頭部を破壊された者は失格となる!!」
そう、彼女……ゴッドにとっては相手の頭部を破壊することによって初めて勝利となる。それは即ち……サバーニャの頭が……!
「っ……!」
洒落にならない……そんなこと! ただの力試しでそこまでやる必要はない! 俺はすぐに彼女らのマスターのトモヒロとオトメにやめさせるように頼むよう言おうとするが……。
「まだ……まだ! 負けてない!!」
顔面にゴッドフィンガーを受けつつも、サバーニャは尚も動こうとする。
「私がこんな姿で負けたら……誰がお嬢様を守るのですか! 私は最後まで……戦い抜きます!」
「ならば……今楽にしてやろう! ヒィィィィィト!! エェェェェェン……―!」
ゴッドの手に力が籠る。そしてオトメは…そんなサバーニャの戦う姿勢を見て、オトメが今まで噤んでいた口を開いた。
「……お願い! 負けないで! サバにゃん!! やっと会えたのに……こんなところでお別れなんて嫌だよ! だから……負けないで!!」
涙を流しながらオトメが必死に叫ぶ。その激励に、サバーニャは力を振り絞る。
「お嬢様……! うおおおおおっ!!」
オトメの声に呼応するかのようにサバーニャは声を張り上げ、胸部の装甲を開く。強固な緑色の装甲の内側は、白いボディスーツのようなものでサバーニャの生身を覆っているのだが、問題はそこではない。確か設定では、サバーニャの装甲の内側には小型のGNミサイルが取り付けられている。その設定はガンプラのサバーニャにも活きている。サバーニャの頭を押さえつけているゴッドとサバーニャの距離はまさに零距離……そんな距離でサバーニャは胸部のGNミサイルを……発射した!
「ぐあっ……!? なっ……なに!?」
この距離で、しかも自分の身に取りついているともなればミサイルだろうとなんだろうと嫌でも命中する。6発のGNミサイルは全てゴッドの胸部に命中し、緑色のGN粒子が弾け、命中した個所からは濛々と煙があがる。こんな距離でミサイルなど撃てば、少なからずサバーニャ自身にもダメージがあるが、しかしそのおかげでゴッドは隙を作り、押さえつけていた手がサバーニャの頭部から離れた。ゴッドは今まさにサバーニャにトドメを刺すつもりだったため、まさにギリギリだった。
だが、零距離で撃ったGNミサイルの威力は思ったよりも高く、ミサイルが取りつけられていたサバーニャの胸部装甲ボロボロになり、ガチャンと重い金属音を立てて地面に落ちた。
ゴッドの方も、ミサイルが命中した腹部を左手で抑えつけているが、やがて痛みが和らいだのか、地面に降り立つとまた対峙するサバーニャに構える姿勢を取る。
「ふっ……なかなかやるな。俺の必殺のゴッドフィンガーをこんな手で破るとは」
「それはお互い様です。私のライフルビットの包囲網を抜けるなんて……おかげでマトモに動くのは……これだけですね」
と、サバーニャの周囲にまたホルスタービットとライフルビットが集う。ただし、その数はどちらも半数以下……4基程度だった。
「どうやらここからがお互い本気みたいだな」
「えぇ……そうですね」
ゴッドが構えを解くと、そのまま大きな深呼吸をしながら腕を脇の下へと構える。ウィングが開きそ、その背中に日輪が輝くと、胸のエネルギーマルチプライヤーが輝く!
そしてゴッドの額から……一滴の汗が零れ落ちた。
「見えた……水の一滴! はぁぁぁぁぁあっ!!」
カッと眼を見開くと、気迫と共にゴッドの周囲から気のようなものが溢れ、立っている地面を抉る。それと同時に、ゴッドの身体が徐々に黄金色に染まっていく。
「これは……!」
「ハイパーモードか!?」
全身煌びやかな黄金色に染まったゴッドを見て、俺とトモヒロが叫ぶ。『ゴッドガンダムハイパーモード』……明鏡止水の境地に達したガンダムファイターのみが体現できる、人機一体の形態だ。どうやらゴッドガンダムは、ここからが本気らしい。
「ならば……私も全力でいくわ! ≪TRANS-AM≫!!」
ゴッドの本気に応じるかのように、同時にサバーニャの全身が紅く染まる。背部のGNコンデンサーから放出されるGN粒子の量も夥しく放出される。『トランザムシステム』は太陽炉搭載モビルスーツの機体スペックを一定時間3倍近くにまで引き出すシステムだ。
明鏡止水にトランザム……それぞれの持ちうる最大の機能を用いて、黄金の剣闘士と深紅の狙撃手は対峙する。
そして……飛んだ!
先ほどとは比べ物にならないほどのスピードで、二人は空を駆け廻る。ゴッドはビームサーベルから黄金のビーム刃を展開し、一方のサバーニャはライフルのバレル部をパージし、ライフルビットをピストルビットとして両手に構える。サバーニャの射撃用ビットの下部には、唯一の近接戦闘用の武器ともいえるブレードが装備されている。
黄金のサーベルと深紅のブレード、二人はそれらを互いに凄まじい勢いでぶつけ合う。離れてはまたぶつけ合い、その繰り返しだ。俺達はその光景を辛うじて肉眼で追いついていくが……ダメだ、徐々にスピードが増していき、もう俺達の目ではどんな戦いが繰り広げられているのかわからなくなってしまった。常人の俺達の目には、二人は黄金の線と紅い線となり、互いにぶつかり合い、離れてはまたぶつかり合うという光景の繰り返しを見ている。時折、紅い線からさらに細い紅い閃光が迸ることがあったが、あれはサバーニャのピストルビットからのビーム攻撃だとわかった。しかしそんな攻撃は全てゴッドは受け流すか、黄金のサーベルで斬り払うかしている様子だった。
だが、そんな攻防が5分ほど続いただろうか。不意に二人の勢いが弱くなった。
ゴッドの方は気力が、サバーニャの方は粒子残量の限界がもう近いんだろう。二人はまたも距離をとると、明鏡止水、トランザムを解除することなく、屋上の最初の立ち位置に戻り、またも対峙し合う。
しかし、よく見ると二人はもうボロボロだった。ゴッドの方は黄金色の装甲が凹んでいたり、ビームを掠めたのか少し焦げていたり、肌が露出している頬や腕、太もも辺りにも切り傷があった。サバーニャも同様で、身に纏う装甲はところどころが剥がれ、下地の白いボディスーツがむき出しになっている部位もある。そして何よりも、二人とも息が上がっており、肩で呼吸している。
「そろそろ……決着をつけようじゃねぇ」
「望む……ところです!」
荒い呼吸をしながら二人は双方に応える。ゴッドは両手のゴッドフィンガーを胸の前で構えると、その二つのゴッドフィンガーの間から膨大なエネルギーが蓄積されていく。
「はぁぁぁぁぁあああああああああああっ……!!」
一方のサバーニャは、辛うじて機能する4基のホルスタービットとライフルビットを駆使して、自分の前にホルスタービット4つで四角形を、その頂点部にライフルビットをそれぞれ配置する。
「GN粒子チャージ……」
そしてその四角形を形作ったホルスタービットの中心に粒子エネルギーが溜められていき、赤く輝きを増していく。一方のゴッドガンダムも、両手の間に溜められたエネルギーが臨界を迎える。
「流派! 東方不敗が最終奥義!!」
そしてゴッドは叫んだ! それとほぼ同時にサバーニャもチャージが完了した!
「圧縮粒子……チャージ完了!!」
そしてそれぞれの攻撃が放たれる!!
「せぇぇぇぇぇき破! 天驚拳んんんんんんんんっ!!!!」
「圧縮粒子解放!! トランザム・バスター!!」
ゴッドの手の間からは膨大な黄金色のエネルギーの塊が、サバーニャの四角形に束ねたホルスタービットの中心からは赤い大出力の粒子ビームの光が放たれた。二つの攻撃は中心でぶつかり合い、どちらかを押し戻そうとせめぎ合う。
「ぐっ……! うっ……おおおおおおおっ!!」
「はぁあああああああっ!!」
二人の声と共にエネルギーと粒子ビームの勢いが増す。しかし、二人の力が互角なのか、尚も中心でせめぎ合ったまま動こうとはしない。
やがて、飽和状態が解けてしまったのか、ぶつかり合う中心から大きな爆音と閃光が轟く。その凄まじさに、俺達は腕で目の前を覆い、オトメが悲鳴をあげ、思わず吹き飛ばされそうになる。が、しっかりと足を踏ん張り、この戦いの行く末を見届ける。
……やがて閃光と爆音が止んだ。
おそるおそる腕を目の前から降ろし、目の前の光景を見据える。
その目の前には……ハイパーモードとトランザムの効力が切れ、元の体色に戻ったゴッドとサバーニャが立っていた。しかし先ほどまでとは違う。二人とも己の力の全てを出し切り、そして互いへその全力ぶつけたためか、疲労困憊、満身創痍……そんな言葉が似つかわしいほどにボロボロだった。
「……」
「……」
しばらく立ちつくす二人。もう互いに戦う気力は残っていないはず……だから、互いに待っているんだ。相手がダウンするのを。 フラフラと揺れ、目の焦点が合わず、それでも立ち続ける二人。いつまでも続くかと思われるそんな光景だったが……やがて、立つ気力をも限界を迎える時が来たようだ。
「っ……!」
吐息のような短い声を漏らし、その場に崩れ落ちる。先に気力に限界が達し、気を失ったのは……サバーニャの方だった。
「サバにゃん!」
オトメが叫び、サバーニャの元に駆け寄る。そして、サバーニャが倒れこむ様を見て、対峙するゴッドはフラフラとしながらも勝利を確信した。
「へ……へへ……! やった……! このファイト……俺の……勝……―」
力が抜けたのか、そのままフラフラと後ろに下がってしまうゴッド。気力が限界に来て、身体の重心が自然と後ろに向かってしまうのだろう。そして身体を支えようと、屋上の柵に手をかけた。
その時だった。ゴッドが手をかけた柵がぐらりと不気味に揺れる。
「え……?」
不意な事に短く声をあげるゴッド。二人が繰り広げた幾度もの攻撃によって、ガタが来ていた屋上の柵。それにゴッドの体重がかかると、その重量に耐えきれず、金属の柵がひしゃげてしまった。
そして柵が壊れ、ゴッドの身体は、空中に投げだされる。
「あっ……!」
ゴッドの声が聞こえて、俺達はようやくそこで異変に気が付いた。だが俺達が気付いた時には、すでにゴッドの身体が柵の外へと落ちていく瞬間を、まるでスローモーションで見るかのような光景だった。ここは高層マンションの屋上、そんなところから地上に落ちれば……いくら人化したガンプラといえども、無事では済まない!
間に合うか間に合わないかはわからない……だが一か八か、俺が彼女を助けるために走ろうとした、その時だった。
「大丈夫か!?」
俺なんかよりもずっと早く、トモヒロがゴッド駆け寄りその手にゴッドの腕をガッシリと掴む。腕を掴まれたゴッドは一瞬何が起きたのかわからないという様子だったが、すぐに現状を理解した。
「あ、ありがとう……」
と、トモヒロに対して礼を口にした。その後、ゴッドは俺とトモヒロの二人がかりで屋上の上に引っ張り上げた。
「ハァ……ハァ……ったく、気をつけろよな」
「す、すまないご主人……俺は……」
「気にすんなよ。自分のガンプラを守るのが、主人の役目だろうが」
「ご主人……」
「ふふっ……最後の最後で油断しちゃったみたいですね、貴女」
気絶していたサバーニャが目を覚まし、オトメに抱えられながらその光景を見て小さく呟いた。
「サバにゃん、大丈夫?」
「お嬢様……ごめんなさい。私、負けてしまいました……」
「ううん! よく頑張ったよ! 私のためにこんなにボロボロになって…」
傷だらけのサバーニャの手をとり、オトメはちょっと涙目になりながらもその手をしっかりと握った。
「私の完敗だわ……強いんですね」
「いや……俺は最後の最後で油断をしてしまった……それは武闘家にあるまじき失態だ。俺もまだまだ未熟……故にこのファイトは引き分けだ」
ゴッドもトモヒロの肩を借りて立ち、サバーニャの方に歩み寄ってそう言った。
「そう……貴女も私もまだまだ強くならなきゃいけないってことですね。でも、なんだか楽しかったです」
「あぁ、いいファイトだった」
ゴッドは片膝立ちになり、オトメの腕に抱かれているサバーニャと固い握手を交わした。
「けどさ、さすがにちょっとやりすぎじゃないのか? ゴッドはあの時、サバーニャの頭を潰そうとしたわけだし……」
「へ? 頭を潰す? 俺がいつ?」
「何言ってんだ、ゴッドフィンガーを使ったときに決まってるだろ」
水を差すようで悪いが、やはりあの時のゴッドフィンガーは流石にやりすげだったのではないだろうかと俺は思ったんだが……。
「何言ってんだ、あれは確かに必殺技だが、ファイトで相手を殺すような真似は俺はしねーよ。気絶する程度で止めて、勝ちを決めるつもりだったんだ」
「そ、そうなのか!?」
あの時はあまりの気迫の凄まじさで気圧されてしまっていたが、そうか別に殺すつもりじゃなかったのか……それを聞いて安心したような、心配して損したような……。
「ま、なんにしてもやっぱこういう互いに健闘し合う決着の仕方は心に染みるなー」
その光景をトモヒロが腕を組んで眺める。鼻を啜ったその目には、感動のあまりか、わずかに涙が浮かんでいた。
「さて、じゃあ感動を讃えあったところでちょっと手貸してくれる?」
「なんですか? お嬢様」
「ソウシ君もトモヒロ君もゴッドちゃんも、ね?」
「俺達も?」
「一体なんだよ、オトメ」
「締め切りが近いのに時間潰しちゃったから、ちょっと急がないといけないんだ~」
締め切り……なんだか嫌な予感がするんだが……。
………………
…………
……
「はい、サバにゃんはここの吹き出しにセリフ入れて! ゴッドちゃんはペン入れ手伝って!」
「や、やっぱりですか、お嬢様~」
「俺……こういう細かい作業苦手なんだけど……」
というわけで案の定、オトメの同人誌作成に駆り出されてしまった。場所はリビング、何故かというとオトメの部屋はさっきゴッドが窓を割って入って来てしまったがために吹き抜けになってしまったからだ。
「窓を割って乱入してきたゴッドと、その主のトモヒロが手伝うのはわかる……でもなんで俺までやらなきゃいけないんだ!」
「し、しかも……よりによってエロシーンの手伝いかよ……」
そう、本来ならば俺は無関係。こんなことを手伝う義理など無いはずなのである。
「腐腐腐っ……♪ 女の子にはちょいと刺激が強すぎるでしょ? だからそういったデリケートな部分は男の子にお願いね♪ ていうか、自分の身体のことなんだからもしかしたら私より詳しいんじゃない?」
「自分の……? お前まさか!!」
「あっ、やば……!」
オトメの余計なひと言にまさかと思い、俺はこの漫画の主人公をよーく見てみる。……うん、なんとなく顔つきが俺に似ているような気がする。そんな主人公があられもない姿でむさいおっさん連中にあんなことやこんなことをされていいる……それはつまり……俺自身が……。
「あ……あはは……いやぁ、ソウシ君て絶対総受けだし、レ○プ目とか似合いそうだなーって思ったから……つい……ね♪」
「う……WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYーーー!!」
人間をやめたような奇声を発しながら同人誌の原稿を破ろうとする俺。そしてそれを必死で取り押さえようとするオトメ達。
もう……絶っっっっっ対にこいつの同人制作は手伝わないからな!!
………………
…………
……
『素人め、間合いが遠いわ!』
テレビ画面に映し出される緑色のモビルスーツ。『MS-05ザクⅠ』、通称『旧ザク』、ザクの初期生産型だ。今テレビ画面に映っているのは機動戦士ガンダムの3話においてガンキャノンにショルダータックルを仕掛けるガデム大尉のザクⅠだ。
「はぁ~……やっぱりいいでござるなぁ、旧ザク」
自室のテレビにて機動戦士ガンダムのDVDを見ていたアキバ・タクオはそのザクⅠの姿に惚れぼれしていた。何せ、ザクⅠは彼の一番好きなモビルスーツだからだ。部屋には美少女フィギュアの隣にザクⅠのプラモを置き、そのプラモを用いたジオラマもあるくらいだ。
「この無駄のない曲線美……引き締まった顔……モノアイの間の棒……そしてなにより、弱点丸出しのザクⅡとは違って動力パイプを装甲内に収納してある機能性! 素晴らしいでござる……まさに全てのモビルスーツの元祖でござるな」
「そ、そんなに褒められると……なんだか照れてしまうんじゃが……」
「いやいや、僕は事実を言ってるだけでござるよ。何せその機能が全て理にかなって……ん?」
ここでタクオは疑問に思った。今自分は誰と話していたのかと。声のした自分の座っているソファーの横を見てみると……。
「な、なんじゃぬし様よ、そんなにじろじろ見るでない……」
そこには一人の美少女(少なくともタクオはそう認識した)が自分の隣にちょこんと腰かけていた。髪は茶色で、肩までの長さで短く揃ったボブカット、そして瞳は綺麗なピンク色だった。かわいい……誰が見てもそう思えるだろう。だが、一番異様なのはその格好だった。腕を覆う青色のアーマー、ふくらはぎと腰を覆う緑色のアーマー、そしてその両方の色が存在する胸部のアーマー。さらには左肩には堅そうな丸いショルダーアーマーが取り付けられている。
どこかで見たような格好だが……その子は自分の姿がタクオにじろじろ見られているのが恥ずかしいのか、内股になって少しもじもじする。
「う……うわわわわわ!! ……いてっ!」
自分の隣に突然現れた子の存在に、思わず驚きソファーから転げ落ちてしまう。
「だ、大丈夫かぬし様よ!?」
床に転げ落ちたタクオの手を、その子は優しく掴むと引っ張って起きあがらせた。
「いたた……。き……ききき、君は一体ど……どどどっどこから……いや、ていうか……ききき……君は一体……だれでござるか?」
こんなかわいい子を前にして、しかも手まで握られてしまい、タクオは思わずどもりながらその子に問う。なにせ彼は生れてこの方、オトメはまだしも、それ以外の女子とマトモに会話もしたことがないから話し方がぎこちないのだ。
「わしか? わしはぬし様のガンプラで“ザクⅠ”と申す者じゃ、よろしくな♪」
―続く―
まず最初に…
約4ヶ月ぶりの投稿となってしまいました…本当に申し訳ありません!
実はパソコンが壊れてしまいまして…それで一ヶ月くらい修理に出した後、書き溜めてた分を始めとするデータが全て消えてしまっていたのでまた一からちまちまと書いていたために遅くなってしまいました…すいませんっ!!
これを皮切りに、また元の更新速度で更新していこうと思いますので、何卒よろしくお願いします
さて、というわけで今回はガンダムファイト回でした
サバーニャの技に「トランザムバスター」っていう技が出てきましたが、あんな技は実際はないです
まぁ所謂捏造技というやつでしょうかw
そしてついに姿を見せたタクオのガンプラ
次回もバトル回、ザクⅠの戦う相手とは…?