碇シンジは怒っている   作:@ルカ

1 / 2
初投稿、初作品です。
シンジ君が同居人2人にブチギレます。



第一話 碇シンジは怒っている

突然だが、碇シンジは怒っている。それも、今迄に無い程に(生まれてこの方一度も怒った事は無いけど)。理由を説明しよう。それは、遡る事1日前。夕飯の材料を買いに出かけていたシンジが、ケーキを見つけた事から始まる。

 

「ケーキだ。美味しそうだなぁ」

 

シンジはケーキの入ったショーケースを覗き込む。

 

「げっ、高い」

 

お小遣い制のシンジにとっては、高めの値段だった。

 

「どうしよう…」

 

そして、ショーケースの前で3分程悩んだ末、ショートケーキを1つ買って帰った。だが、買い物に時間がかかった事や、出された課題が多かった事から、次の日に食べる事に決めたシンジは、ケーキを食べずに1日を終えた。

今日、シンジは学校が終わり、家に着くと鼻歌交じりに手洗いうがいを済ませ、ルンルンで冷蔵庫を開けた。だが、そこにケーキの姿は無かった。

 

「…無い」

 

今まで我慢してきたが、ケーキを食べられ、遂に堪忍袋の尾が切れたシンジは殺意の波動に目覚め、三号機の様に雄叫びを上げて大爆発を起こした。

 

「どっちだ、どっちが食べた…」

 

怒気を孕んだ声でそう呟くと、同居人の葛城ミサトと惣流アスカラングレーに「早く帰ってこい」と言う旨の電話をかけた。

 

 

 

 

 

突然だが、葛城ミサトは焦っている。それも、今迄に無い程に。理由を説明しよう。それは、遡る事15分程前。自身の執務室で仕事をしていた事から始まる。

 

「報告書に請求書。見ただけで吐き気がするわね」

 

机には、大量の書類が置かれている。使徒が来る度この量が来るそうで、責任者は使徒を倒した後も忙しいらしい。

 

「リツコにお小言言われる前に、さっさと済ませますか」

 

そう言って椅子に座ると、ケータイの着信音が鳴る。

 

「誰だろ。あら、シンちゃんだわ。もしもし…」

 

シンジが怒っている。顔色がみるみる悪くなっていく。すぐさま立ち上がり、猛ダッシュで部屋を出た。廊下を爆走していると曲がり角からリツコが出てくる。

 

「ゴメンリツコ、先帰る!」

 

リツコをスレスレで避けて更に加速しつつ通り過ぎる。リツコの白衣が靡く。

 

「…何事かしら。ミサトがあんなに焦るなんて」

 

出口で挨拶をしてきた警備員を無視すると、車に飛び乗り、エンジンをかけ、アクセルペダルを踏み抜いた。ミサトの乗った車は光の如き速さで走り去った。少しすると、歩道に立ち竦む少女を見つける。

 

「あれは…アスカ!」

 

 

 

 

 

突然だが、惣流アスカラングレーは震えている。それも、今迄に無い程に。理由を説明しよう。それは、遡る事5分程前。帰路についた事から始まる。

 

「バカシンジの奴、私をおいて先に帰るなんて、ホント信じらんない!」

 

大抵用事が無い場合、一緒に帰っている同居人が、今日は先に帰ってしまったらしい。

 

「きっと、あのケーキを私にバレずに食べるつもりね。残念ながら、私がもう食べたわ。バカシンジにはあんなモノ、似合わないものね」

 

独り言を呟きながら足を進めていると、ケータイの着信音が鳴った。

 

「きっとバカシンジだわ。今気付いたのね」

 

電話を切ったアスカは、手の震えでケータイを落とした。シンジが怒っている。石のように全身が硬直した。全身から汗が噴き出す。心臓の鼓動が、速まっていく。これ程の恐怖を感じた事があっただろうか。使徒と初めて対峙したあの時も、恐怖こそ感じはしたが、しっかりと戦い、勝利を収めた。帰れない。足が、家へ近付く事を拒否している。一体何分そこで竦然としていただろう。突然、目の前に車が止まる。窓が下がると、そこには蒼白したミサトの顔があった。

 

「帰るわよ」

 

 

 

 

 

「「ただいま」」

アスカとミサトはシンジに帰宅を告げる。

 

「おかえりなさい」

 

シンジから返ってきた言葉はただならぬ殺気を帯びていた。2人は恐る恐る、シンジのいる部屋へ向かう。シンジは静かに座っていた。テーブルには小さな箱が置かれていた。

 

「座ってください」

 

シンジの顔には、いつもの笑顔は消えていた。

 

「この箱、なんだか分かりますか?」

 

「「…」」

 

「昨日、ケーキを買ったんですよ。冷蔵庫に入れておいたんです。それで、帰ってきたら、箱がごみ箱に捨ててあったんです」

 

「「…」」

 

「2人しか、いないですよね?どっちですか?」

 

「私は、食べてない…と思う」

 

ミサトが口を開いた。

 

「じゃあ、昨日何本ビール開けました?」

 

「えっと…」

 

「覚えてないですよね。それなのに、食べてないって言えるんですか?」

 

「…」

 

「でも、どっちが食べたかは、もう分かってるんです」

 

「えっ」

 

アスカは思わず声を出してしまった。鼓動が速くなるのを感じる。

 

「食べたの、アスカだよね」

 

「なっ…なんでそんな事」

 

恐怖で声が上擦る。

 

「食べた後にフォークを洗うなんて、ミサトさんには出来ないから」

 

「っ…」

 

図星だった。

 

「ゴメン…私が食べた」

 

「だよね。何で食べたの?」

 

「…シンジのなら、食べてもいいと思って」

 

「そう」

 

シンジは短くそういうと、静かに立ち上がって部屋に入っていった。シンジが部屋から出てくるまで10分もかからなかった。だが、アスカにはそれが何時間にも感じた。

 

「僕、出て行きますね」

 

罪人に、死刑を告げるように、シンジは言った。

 

「待ってよシンちゃん、冗談でしょう?」

 

「今までお世話になりました」

 

「そんな、ケーキ食べたくらいで、怒る事ないじゃない!」

 

アスカは逆上する。

 

「そうだよ。僕はケーキを食べたくらいじゃ怒らない。今まで我慢してたんだ。でももう限界だ」

 

「わ、私が何したって言うのよ」

 

「覚えてないの?なら思い出すといい。ミサトさんもです、2人で反省でもしててください」

 

そう言い残し、シンジは家から去った。アスカとミサトは、唯それを見ている事しかできなかった。

 




初めまして、ルカと申します。
この度、この作品を読んで頂いて、ありがとうございます。お楽しみいただけましたでしょうか。さて今回、シンジ君が同居人2人にキレる話なのですが、本編でシンジ君が怒ったシーン(ガチギレ)を見た事がなく、どうやって怒るのかとか、想像に苦労しました。当初、この作品は単発で終わる予定でしたが、オチが見つかr((……色々思いついたので、どんどん詰め込んでいきたいと思います。最後までお付き合いくださると嬉しいです。



感想などくれると、家の家具を壊すほど暴れて喜びます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。