碇シンジは怒っている   作:@ルカ

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家出をしたシンジ君の続きです。
(pixivと同時投稿してます)


第二話 新たな、居場所

碇シンジは今、司令執務室に居る。

 

「話は聞いた。ジオフロント内に職員用だが部屋の空きがある。そこを使え。案内は護衛に任せてある」

 

いつも将棋を指している副司令の姿は無く、この部屋にはゲンドウとシンジしか居ない。よって、今日はゲンドウ自身がシンジと会話をしている。

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

「問題無い」

 

親子とは思えない会話である。其れもその筈、この親子は地球1、いや、宇宙1仲の悪い親子なのである。例えば、普通の鶏と卵の親子丼だと、仲良く混ざってご飯の上に乗っかっているものだが、この親子の場合は、鶏と卵が綺麗に分かれ、尚且つ少し離れているくらい仲が悪いのだ。

 

「失礼しました」

 

「問題無い」

 

何故この男は『問題無い』でしか返せないのだろうか。魔女に呪いでもかけられたのだろうか。そんな風に普通の人なら疑問に思うが、シンジはそんな父を気にする事なく部屋から出て行った。

 

 

 

シンジが保安部の案内人と歩いていると、見知った顔がベンチに座っていた。

 

「よう、シンジ君じゃないか」

 

「加持さん!」

 

シンジは驚いて声高になる。

 

「どうしたんだ、保安部なんか連れて」

 

「僕、ジオフロント内に住む事になったんです」

 

「葛城は何も言わないのか?」

 

リョウジは疑問に思う。ミサトはシンジを弟の様に可愛がっていた。其れに、時々自分にシンジを自分に重ねている様にも感じていた。そう簡単にシンジを手放す筈は無いだろう。

 

「はい、まぁ…」

 

シンジが言い淀むのを見ると、リョウジは案内人と話し始める。会話が終わると、案内人はリョウジに一礼して、立ち去って行った。

 

「シンジ君、たまには俺とお茶でもどうだ?」

 

「僕、男ですよ…」

 

 

 

2人はカフェに来ていた。リョウジは店員にコーヒーとカフェオレを頼むと、近場の空いている席に座る。

 

「俺の行きつけなんだ」

 

リョウジは少し自慢げに言う。

 

「落ち着いた、良い雰囲気ですね」

 

「だろ?」

 

リョウジがニヤリと笑う。するとそこへ、先程頼んだコーヒーとカフェオレが運ばれてくる。リョウジはコーヒーを一口飲むと、珍しく真面目な顔でシンジを見つめる。

 

「シンジ君、家出なんてどうしたんだ?」

 

「ど直球で聞いてくるんですね」

 

「まぁな、それだけ心配って事さ」

 

「葛城さんが、でしょう?」

 

シンジは少し怒りを込めて言う。そんなシンジの怒りにリョウジは少し驚く。

 

「君が怒るなんて、よっぽどだな。葛城とアスカは一体何を仕出かしたんだか…」

 

リョウジは殆ど溜め息のような声で言った。考える。やらかすとしたらアスカだろう。まぁ、ミサトにも充分問題が有るだろうが。 

 

「シンジ君、君はアスカをどう思う?」

 

「他人の気持ちも考えられない、外面だけの最低の奴ですよ」

 

シンジは今までの事を思い出して、怒りを滲ませる。彼の普段の様子からは想像も出来ない言葉だった。

 

「そうか…」

 

それを聞いたリョウジは、昔の事を思い起こして、遠くを見た。

 

「アスカは、昔からパイロットになる為だけに生きていた。今まで自分の全てを棄てて、ここまでやってきた。だから、何も知らないんだ。………シンジ君、俺はオーバーザレインボーで初めて君と会った時、君ならアスカを変えられると思った。エヴァという呪縛から、アスカを助けてくれると思った。それは、それだけは、今でも変わらない。だからもう少しだけ、アスカを見守ってやってくれ。救ってやってくれ。君にしか出来ない事だと思う」

 

リョウジは真っ直ぐな眼でシンジを見つめる。シンジの眼は、少し揺れた。

 

「僕は…許せません」

 

「まぁ、そう簡単に許せる程、人間出来ちゃいないさ。今はそれで良い。唯、俺の言った事は全部本当だ。だから、頭の隅にでも入れておいて欲しい」

 

「…分かりました」

 

「よし、じゃあこの話は終わりだ。そうだ!この後遊びに行かないか?」

 

「遊び…ですか」

 

「折角家出したんだ、遊び以外に何がある?」

 

「ま、まぁ…」

 

「ボウリングにしよう。シンジ君の護衛とやれば、4人になる」

 

「流石に護衛の人は…」

 

「「やりましょう」」

 

シンジの背中側の席から、護衛2人がひょこっと顔を出す。

 

「うわあぁ!」

 

シンジは突然の背後からの声に思わず絶叫する。

 

「さぁ、行きましょう」

 

片方がそう言うと、シンジは2人の護衛に引っ張られ、黒塗りのNERV専用車に乗せられる。傍から見れば、ただの誘拐犯にしか見えない。

 

「ボウリングなんて何年振りだろうな」

 

そう呑気に話すリョウジは未だ知らなかった。これからボウリング場で始まる悪夢を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンジ君がボウリングをしたそうだ」

 

「相手は」

 

「保安部と加持リョウジだ」

 

「結果は」

 

「シンジ君が全てストライク、一人勝ちだよ」

 

「そうか」

 

「意外な才能だな」

 

「…あぁ」




ルカです。
前回の一話ですが、感想を送ってくれた方、本当にありがとうございます。暴れて喜んだ結果、家は全壊、左右の家が半壊、正面の家が火事となりました。嘘です。

今回の話では、シンジ君はNERVに住む事になり、NERVが『新たな、居場所』になった訳ですが、実は他にも色々な案が自分の中でありました。例えば、「シャムシエル戦後のように家出して最終的に見つかる」だったり、「レイに会って、そのままレイの家に住む」だったりとか、とにかく自分の中で必死に考えました。そして、決まったのが「NERV」です。加持さんがシンジ君に話した通り、シンジ君とアスカ、そしてミサトさんの3人で幸せになって欲しいと思います。そのゴールに辿り着ける道はどれなのか考えた時、僕はNERVだと考えました。この決断がどうなるのか、正直作者にも分かりません。

さぁ、次回の三話ですが、多分色々はちゃめちゃになる予感がします。お楽しみに!

それと、作者あまりシリアス得意じゃないんですけど、コメディに振って良いのか迷ってます。ぜひ感想で教えてください。
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