C.E.71年9月27日 ヤキン・ドゥーエ
「敵艦接近!オーブ軍《クサナギ》、エターナル!」
ヤキン・ドューエ防衛ライン。最終防衛ラインにはラクス・クラインを主軸とするオーブ軍たちを先頭に、彼女たちが食いちぎった穴に連合軍艦隊が押し寄せてきた。
「絶対に通すな!我が隊は連合旗艦を叩く!」
エリアのゲイツを皮切りに展開されるプラント絶対防衛線。そして彼女の乗艦はヤキン・ドューエの防衛艦隊として迎え撃つ。
「敵艦、陽電子砲発射体勢!」
「取り舵!」
「駄目です、間に合いません!」
「くそっ!」
クサナギのローエングリーンがドロイドに直撃。その攻撃に耐えられずに轟沈する。
「ドロイドの反応が!」
「怯むな!敵MSを叩き、ドロイドの仇を取る!」
母艦が沈もうと進撃は止められない。このジェネシスを潰されればこちらは勝機を失ってしまう。
部下のゲイツによる射撃を避けたM1アストレイを確実に潰す。
「ジュリー!」
僚機がやられたのを見て隙が出来たもう一機も確実にビームライフルで仕留めると赤色のストライクがものすごい速度で迫ってくる。
「ストライク、お前だけは!」
「くそっ、お前らぁ!」
ストライクダガーを潰しながら迫ってきたストライクのビームサーベルを盾で受けながら盾に仕込まれたビームサーベルを起動。
盾を反らしながら攻撃するもそれも盾で受け止められる。
「くっ!」
「……」
ジュリとアサギを殺した灰色のゲイツがカガリの前に立ち塞がる。右肩には黒でペイントされたクローバーのマーキング。
明らかにエース級のゲイツに追い詰められていった。
するとゲイツは頭部のバルカンで威嚇。怯んだカガリは思わず退いてしまう。
その隙にライフルのビームで左肩のアーマーを持っていかれる。
「こいつ!」
こちらに負けじと応戦するもビームを軽々と避けられ、再びの接近を許す。
「くそっ!」
「お前だけは!」
シールドバッシュで殴られ体勢を完全に崩す。そして向けられるゲイツのライフル。
SEEDに覚醒した彼女でさえも死を覚悟する。
「カガリ!」
「っ!?」
二人の間に放たれる強力なビーム。アスランのミーティアによる砲撃であった。
「ジャスティス…アスランか!」
「エリア!」
ミーティアに施された武装でエリアの部下たちは武器やメインカメラを破壊され戦闘不能に陥る。
「隊長!」
「良い、さがれ!」
「カガリは殺らせない!」
「この裏切り者がぁ!」
ミーティアから射出されたジャスティスとゲイツがはげしくぶつかり合い、火花を散らす。
「あんな物を守って何になる!ただ破壊をもたらすだけのアレが!」
「使うという選択肢を選ばせたのはナチュラルだ!お前は私たちにずっと核に怯え続けろと言うのか!」
「それは…」
「我々を護るための剣。ジェネシスはその為のものだ!」
ジャスティスと対等に渡り合うゲイツは異常な存在だろう。例えこの機体が彼女用にユーリが用意したフルカスタム機だったとしてもだ。
「ニコルを見殺しにしたお前が…よくもぬけぬけと!」
「ちがっ!」
「黙れ!私は許さない…お前もストライクもナチュラルもだ!ニコルを返せぇぇぇ!」
気迫がなせる技ではない。彼女の純粋なMSの操縦技量が卓越していたのだ。
あのアスランでさえ凌駕する程にだ。
「死ねやぁ!」
そんな二人の間に割り込んで来たのはカラミティ。カラミティは圧倒的な火力でジャスティスを狙うがアスランもそれを避けて退避する。
「邪魔をするなぁ!」
「エリア!」
既存のゲイツとはかけ離れた速度で突っ込むゲイツ。それをオルガはカモが来たと言わんばかりに攻撃を加える。
「舐めるな!」
その瞬間、彼女の中で何かが弾ける。カラミティの砲撃を紙一重で避けながら接近するゲイツはシールドのサーベルを起動させる。
「バカが!」
「くっ!」
シールドの対ビームコーティングが限界を迎え爆発。左腕ごと破壊されるも追加装備されていたサーベルをカラミティの動力部に突き立てる。
「ぐあぁぁぁぁ!」
動力部から頭まで切り裂くとそのまま退避。カラミティは爆発の炎に包まれる。
「雑魚が!」
カラミティが撃墜されたのを見てストライクダガーが襲いかかってくる。それを腰に備えられたエクステンショナル・アレスターで2機を葬ると持っていたサーベルを投げつけダガーのコックピットを貫く。
「アスラン!」
「あぁ…くっ!」
エリアがダガーに気を取られている間にアスランはミーティアと再びドッキングしてプラントに向かっていく連合軍に迎え撃つのだった。
「逃げるな、アスラン!」
まだ戦いたいが左腕もバッテリー残量もない。
「くそっ…」
迫る敵は味方に任せて撤退するのだった。その後、両陣営の指導者の死亡により戦闘は終結。
後のC.E.72年3月10日、地球連合とプラント間に停戦条約としてユニウス条約が締結され戦争は正式に終結したのだった。
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そして終戦からしばらく経った後に戦争犠牲者に対する国葬が盛大に執り行われた。
そこには多くの人間が参列し戦死した者達を悼んだ。
「エリア…」
「イザーク、ディアッカ…」
アカデミーの同期でありニコルの婚約者であるエリアの元にはイザークとディアッカが姿を表した。
「裁判はどうだったんだ?」
「あぁ、新議長のデュランダル議長のお陰で無罪放免。ザフトにも復隊したよ」
「あぁ、議長のおかげだ」
イザークとディアッカは軍の行動から逸脱してアークエンジェルと行動を共にしていた。
本来なら極刑すら適用される重罪行為だ。
だがこうして目の前にいるのは新議長のおかげらしい。
「お前はどうするんだ、エリア?」
「さぁな、もう軍は嫌かな…。ニコルを弔いながら実家で働くさ」
「実家って…マイウス・ミリタリー・インダストリー社なんて大手中の大手じゃねぇかよ。羨ましい」
「まったく…その軽薄さはなんとかならんのか?」
「悪いな…これは性分なんで」
「そうだな、お前の空元気はありがたいよ」
腰まで延びる長く、美しい銀髪を風で揺らしながらエリアは笑う。その笑みに二人は思わず引け目を感じてしまった。
二人は彼女の最愛のニコルを護れなかった。
おめおめと生き残ってしまったのをエリアは怒ることも泣くこともなく静かに振る舞っていた。
その姿は二人にとってとても心苦しかった。
「ふん、情けない…アカデミートップのお前が軍を止めるとはな。勿体ない」
「戦果は負けるがな」
「何をいうか……何かあったら連絡しろよ」
「ありがとう、イザーク」
脱け殻のようなったわ仲間の姿を見た二人はこれ以上、耐えられずにその場を後にする。
ニコルの墓の前で立ち尽くすエリア・ノイエフォードは静かに墓前で体勢を崩す。
「……ニコル…」
唇を噛みちぎり、握りしめた拳からは血が溢れる。
目からは大粒の涙を溢しながら彼女は絶叫した。
「あああぁぁぁぁぁぁぁ!」
これは婚約者であるニコルを失った一人の女性の復讐の物語である。