愛しきものたちへ   作:砂岩改(やや復活)

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 ※新機体の解説は最後に



第13話

 

 

 ミネルバはスエズ駐留軍支援のためにボズゴロフ級潜水艦《ニーラゴンゴ》と共にカーペンタリアを出向した。

 

「シン」

 

「は、はい」

 

 ブリーフィングルームで待機していたエリアたち。

 そんな中、彼女はシンの隣に座ると小声で話す。

 

「昨日はすまなかった」

 

「い、いえ」

 

「前の戦争の時に色々あってな。たまにフラッシュバックするんだ」

 

「そうだったんですね」

 

「まぁ、少し恥ずかしいから忘れてくれると助かる」

 

「コンディションレッド発令。コンディションレッド発令」

 

 そんな会話をしていた時にメイリンの声が艦内に鳴り響く。

 インド洋を抜けてジブラルタル基地方向に進路を取ろうとしていた時にレーダー手であるバートの声と共にレーダーは複数の敵機を捉えていた。

 

「パイロットは搭乗機にて待機せよ」

 

 メイリンのアナウンスに艦内で待機していた全員が虚を突かれる。完全にこちらの勢力圏内で奇襲されるなんて思ってもいなかったからである。

 

「熱紋照合…ウィンダムです。数30」

 

「30?」

 

「うち一機はカオスです」

 

「は!あの部隊だって言うの?一体どこから?付近に母艦は?」

 

「確認できません」

 

「またミラージュコロイドか?」

 

「海で、有り得ないでしょ?あれこれ言ってる暇はないわ。ブリッジ遮蔽。対モビルスーツ戦闘用意。ニーラゴンゴとの回線固定」

 

「艦長、状況は?」

 

「どうやらまた待ち伏せされたようだわ。毎度毎度人気者は辛いわね。既に回避は不可能よ。本艦は戦闘に入ります」

 

 すぐに新型に乗り込んだエリアは回線を開き、タリアに状況を聞く。

 

「了解です」

 

「アスランの事も含めて指揮をお願い」

 

「分かりました」

 

 システムチェックを終えて起動すると全員の顔がモニターに移る。

 

「どうやらまた連合の待ち伏せにあったようだ」

 

「ちっ、証拠にもなく!」

 

「アスラン。お前はどうする?」

 

 彼女の言葉に全員が黙る。

 アスランは独自権限を持つフェイスだ。戦闘の参加の有無自身で決められる。

 

「確かに指揮下にはない、だが今は俺もこの艦の搭乗員だ。残念ながらこの戦闘は不可避だろう」

 

「分かった。指揮権はお前の方が上だ、MS隊の指揮は?」

 

「エリアに任せる。その方がいい」

 

「分かった。大気圏内戦闘が可能なシン、アスラン、私で出る。ルナマリアとレイは待機だ。状況次第では出てもらうから機乗して待機」

 

「「了解!!」」

 

「シルエットハンガー1号を開放します。フォースシルエットスタンバイ。シルエットフライヤーを中央カタパルトにセットします。気密シャッター閉鎖。非常要員は待機してください。中央カタパルトオンライン。発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー全システムオンライン。発進待機願います」

 

「X23Sセイバー、アスラン機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認」

 

「ZGMF-2500イフリート改、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認」

 

 中央カタパルトにはコアスプレンダー、右舷カタパルトにはセイバー、左舷カタパルトにはイフリート改がそれぞれスタンバイしハッチが解放される。

 

「射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。コアスプレンダー発進、どうぞ」

 

「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」

 

「チェストフライヤー射出、どうぞ。レッグフライヤー射出、どうぞ。シルエットフライヤー射出、どうぞ」

 

「右舷ハッチ開放。セイバー発進、どうぞ」

 

「アスラン・ザラ、セイバー発進する!」

 

「左舷ハッチ解放。イフリート改、どうぞ!」

 

「エリア・ノイエフォード、出るぞ!」

 

「今回はカオスもいる。雑魚ばかり気取られるなよ」

 

「了解!」

 

 そう言うとエリアはウィンダムを撃ち落としながら加速、セイバーは変形しカオスとの戦闘に入った。

 

「カオスはアスランに任せて私たちで数を減らす」

 

「了解!」

 

 シンも大気圏内戦闘に大分慣れ、エリアと連携しつつウィンダムを落としていくと紫色の機体が二人の間に割り込み、連携を乱される。

 

「くそ、なんだこいつ…速い!」

 

「シン、的を絞るな!視野を広く持て!」

 

 イフリート改のデトネーションビームソードがウィンダムの盾ごと機体を両断すると迫ってきていたウィンダムのライフルをスレイヤーウィップで破壊する。

 ウィンダムたちは数の利を生かしてこちらに包囲陣形を取り始める。

 

「囲まれる、着いてこい!」

 

「はい!」

 

 エリアはイフリート改の突破力を生かして陣形を突破、インパルスもそれに続く。

 

「あの新型が指揮官か。よくやる」

 

 紫色のウィンダムに搭乗していたネオはエリアの判断を見て嫌な顔をする。

 以前からいた指揮官だろうが状況判断が的確で視野も広い、相手にしたくないタイプの現場指揮官だ。

 

「エリア、レイとルナマリアを出すわ」

 

「どうしたんです」

 

「海中からアビスが接近中よ。現在ニーラゴンゴのグーンが交戦してるけど」

 

 タリアの通信を遮るように海面が大きく膨れ爆発が海上にも現れる。おそらくグーンがやられたのだろう。

 

「分かりました、二人には深追い厳禁と」

 

「分かったわ」

 

「くそっ!」

 

「おい、シン!」

 

 紫のウィンダムに寄せ付けられシンが単独行動し始め、止めようとするが残存のウィンダムがイフリート改の進路を阻む。

 

「そんなに死にたいのか!」

 

ーー

 

「ガイア!」

 

 紫のウィンダムに夢中でガイアの奇襲に対応できず浅瀬に押し倒される。

 

「うわぁ!」

 

「シン!」

 

 最後のウィンダムのコックピットにデトネーションビームソードを突き立てると一気に加速。

 インパルスに迫っていた紫のウィンダムとの距離を一気に詰めデトネーションビームソードを振るうとウィンダムはシールドを構えるがそのシールドごと左腕を両断した。

 

「無事か!」

 

「はい…」

 

 そのままガイアにタックルをかましデトネーションビームソードを振るうが盾に阻まれると同時に脚部六連装ミサイルランチャーを接射、VPS装甲は実弾兵装には効果がないが怯ませるのには充分だった。

 

「そい!」

 

 そのままガイアを突飛ばし激しい接近戦を行っていると何かしらの基地に侵入してしまう。

 

「なんだ?」

 

 見覚えのない基地に見かけた兵士を見ると白い制服、連合の制服を確認する。

 

「連合軍の基地か!ミネルバ!」

 

「エリアさん!」

 

「シン、民間人を傷つけないようにやれ」

 

「はい」

 

 シンはイーゲルシュテルンで基地を破壊し、対空砲等の砲台を破壊していく。

 エリアも適度に破壊していくとカオスが退いたらしくセイバーが割って入って来た。

 

「エリア、何してる!」

 

「敵基地の殲滅だ。こんなカーペンタリアの鼻先に基地が建設されていたんだぞ?」

 

「やりすぎだ!」

 

 シンは民間人を捉えていたフェンスを破壊しているとエリアの居た方向を見ると息を飲んだ。

 

「戦争にやりすぎもないだろう?」

 

「これじゃ、虐殺だ!」

 

 肉塊になった連合軍兵士がイフリート改の周りに転がり、足元は血塗れだった。

 

「とにかく、ここは俺に任せて一旦ミネルバに戻れ」

 

「…分かった」

 

 こうしてインド洋海戦は幕を閉じたのだった。

 

 

 





イフリート改

 マイウス・ミリタリー・インダストリー社で開発されたグフの改良型MSで対エース用に開発された近接戦闘特化型。
 頭部が大型化しているのは新型のドラグーンシステムを搭載しているため。
 しかしこの機体にはドラグーン兵器は搭載しておらず機体の追従性を上げるための補助的な扱いをされている。
 性能的にはインパルスとひけをとらない。

武装
 MMI-M633 ビーム突撃銃
  ザクウォーリアと同じもの
 MMI-611 デトネーションビームソード×2
  形状はイフリート改と同じもの。実体剣にビームを纏わしているため単独でビームサーベルと鍔迫り合いが可能。
 MA-M757 スレイヤーウィップ×2
  グフイグナイデットと同じもの。グフと同様両腕部に装備されている。
 M181SE ドラウプニル 4連装ビームガン×2
  グフイグナイデットと同じもの。グフと同様両腕部に装備されている
 M92パルデス 脚部6連装ミサイルポッド×2
  イフリート改と同じ形状の6連装ミサイルポッド
 
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