愛しきものたちへ   作:砂岩改(やや復活)

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第3話

「はぁぁ!」

 

 シールドに懸架されたビームガトリングでガイアを牽制するエリアに連携してシンはエクスカリバーを振るういシールドに受けたガイアは吹き飛ばされる。

 

「なんだこれは!?」

 

「相変わらずのパワーだな」

 

「あれも新型か。ガンダム…どういうことだ、あんな機体の情報は…アウル何してる、早く来い!」

 

 ステラの援護に行きたいがこのグフのパイロットも手練れのせいで上手く連携できない。

 ステラを牽制しつつカオスを的確に追い詰めるエリアの技量にスティングは歯噛みする。

 

「くっ!」

 

「なにっ!こいつっ!」

 

「命令は捕獲だぞ!解ってるんだろうな!あれは我が軍の」

 

「解ってます!でも出来るかどうか分かりませんよ。大体何でこんなことになったんです!なんだってこんな簡単に!敵にっ!」

 

「副長、作戦変更です。3機は撃墜します」

 

「えぇ、何を言ってるんだ。ノイエフォード隊長!」

 

 ガイアに苦戦するシンを横目にエリアは側面から一斉射してきたアビスの攻撃を避ける。

 

「現状、味方を守りつつ3機を確保することは不可能です。味方の被害を抑えるためには撃破が一番です」

 

「それは…」

 

「グラディス艦長、MSなどいくらでも造れます。ですが人は戻ってきません」

 

「分かりました、許可します」

 

「艦長!?」

 

「彼女の言う通りよ。ここで面子を気にしていたら何もならないわ」

 

 タリアの言葉に思わず叫ぶアーサーだったが彼女の決断に対して息を飲み覚悟を決める。

 

「分かりました…」

 

 それと同時に響き渡る振動。

 それはミネルバだけではなくこのプラントその物が揺れている大きなものだった。

 

「何なの?」

 

「外からの攻撃だ、港か?」

 

「やはり外に母艦が居たか。軍事プラントを襲うなんてどんな神経をしているんだ」

 

 これだけ派手に暴れると言うことは身内である可能性は低い。

 戦火を誘発して広げようとするなら機体を奪って逃げれば良いだけの話。

 コーディネーターはナチュラルへの憎悪はあるが身内に対する思いは深くはない。

 

(まぁ、交戦派と穏健派では対立しているがな)

 

 迫るアビスのビームランスをシールドで受け流すとそのままショルダータックルで倉庫の壁に沈め、援護に回ろうとするカオスの足を払う。

 

「なんなんだこいつ!」

 

「やるな!」

 

 体勢を崩しながらもビームライフルで反撃してくるカオスに舌を巻くエリア。

 

「ザクのパイロット」

 

「あ、あぁ」

 

「お前はミネルバに合流しろ。あそこには議長も居られるだろうもしもの時のために合流しろ」

 

「分かった」

 

(あの声…どこかで)

 

 往生していたザクを離しカオスとアビスの相手をするエリアはザクから聞こえてきた声に違和感を覚えながらも戦闘を続行する。

 

「MS各機はD12ポイントに集結。包囲し三機を撃墜する!」

 

「くっそーこの新型ども!」

 

 新型のガンダムもそうだが厄介なのは目の前に対峙しているグフだ。

 アウトと二人で相手をしていると言うのに落とすどころか損傷すらさせられない。

 

「手加減されている…いや、そんなことはない!」

 

「カオスもガイアもアビスも、何でこんなことになるんだ!」

 

「シン、落ち着け。焦る必要はない、ここは我々の領域だ。時間をかければ有利になるのは我々だ」

 

「は、はい。教官!」

 

「まったく…」

 

 エリアの言葉に気持ちを落ち着かせるシン。

 プラントへのダメージも考えてソーラー装備を選択したがやはり対艦刀《エクスカリバー》では対MS戦ではやや不利であった。

 そんな状況でシンを戦わせた自身の判断ミスを後悔しつつもカオスとアビスを相手に大立回りを見せるエリア。

 そんな二人を援護するようにビームが飛来し強奪機を狙う。

 

「隊長、遅くなりました」

 

「このぉッ!よくも舐めた真似をっ!」

 

「レイ、ルナマリア!」

 

 続々と援軍が襲いかかる、そんな状況を耐えられなかったのか撤退を始める3機。

 

「外の母艦に接触されたら面倒だ。追撃するぞ!」

 

「は、はい!」

 

 3機を引き連れて追撃を開始するエリアだったが突如、ルナマリアのザクのスラスターから火が吹きはじめる。

 

「え!」

 

「ルナマリア!」

 

 脱落するルナマリアと機体の残りエネルギーがレッドラインに到達したグフを見てエリアは撤退を決意する。

 

「シン、レイ。追撃は二人に任せる、頼んだぞ」

 

「分かりました!」

 

「了解です」

 

 エリアとルナマリアを置いて追撃する二人。

 そんな状況を見てルナマリアは叫ぶ。

 

「教官、私は大丈夫ですから追撃に参加してください!」

 

「私の機体は既に限界だ。それにお前に怪我なんてしてほしくない」

 

「教官…」

 

「隊長な…」

 

 ルナマリアのザクを支えながらミネルバに向かうエリアは先に逃がしたザクを思い出す。

 

(あのザクも中々見込みのあるやつだったな)

 

ーー

 

「医療チームD班は第七工区へ!」

 

「A45号ストレージの弾薬庫に注水しろ!」

 

「Eブロックも駄目だ!動ける機体はミネルバのドックへ行ってくれ!そう、負傷者もだよ!」

 

「解りました!」

 

 ミネルバのハンガーを中心に設置された仮設司令部においても事態は混乱しておりそこに退避し降り立ったアスランたちは周囲を見渡す。

 

「ミネルバっていうのはあれか?」

 

「確か、新造戦艦が御披露目されるって話だったからな間違いないだろう」

 

 見慣れない艦を見つけた二人はそこに向かう。

 

(エリア…)

 

 先程の機体のパイロット。

 エリア・ノイエフォードはアカデミー時代の親友であり、自分のせいで死んだニコルの最愛の婚約者であった女性だ。

 先の大戦後は軍を退いたとディアッカから聞いていたが。

 

「まさかまだ戦場にいるなんて…」

 

「どうした、アスラン?」

 

「いや、なんでもない」

 

 ナチュラルへのいや、キラへの憎悪をあの時、感じた。

 アスランは旧友との再会を少し喜びながらも多きな不安を感じていた。

 

ーー

 

 無事にミネルバに辿り着いたエリアは機体をルナマリアのザクを座らせグフをハンガーにする。

 

「グフのエネルギー補給を頼む!」

 

「は、はい!」

 

 長丁場になるなら再びグフに乗るかもしれない。

 幸いなことにグフには損傷はないが状況が切迫していると言うのに撤退するしかないと言うのは歯がゆいものだ。

 

「そこの二人!動くな!」

 

「ん?」

 

 水を飲みながら機体システムの点検を行っていたいるとルナマリアの鋭い声が響き渡る。

 視線を移したエリアが見たのはかつての友であった。

 

「アスラン?」

 

《本艦は此より発進します。各員所定の作業に就いて下さい。繰り返します、本艦は此より発進します。各員所定の作業に就いて下さい。》

 

「動くな!何だお前達は。軍の者ではないな!何故その機体に乗っている!」

 

「銃を下ろせ。こちらはオーブ連合首長国代表カガリ・ユラ・アスハ氏だ。俺は随員のア…」

 

 ミネルバの発艦準備の最中、自己紹介をするアスランは聞きなれた声に話を遮られる。

 

「アスラン・ザラ、前大戦の英雄にして裏切り者…オーブにいるとは思っていたがまさかプラントに来ていたとはな…」

 

「エリア…」

 

 ハンガーの奥から姿を表したのは白い制服に身を包むエリア。

 

「なんてな…久しぶりだなアスラン。この艦は戦闘に出る、ひとまず空いている部屋に案内しよう」

 

「教官…」

 

「ルナマリア、案内してあげろ。報告は私が行う」

 

「は、はい」

 

「ありがとう、エリア」

 

 前に会った時とくらべ落ち着いた雰囲気の彼女にたじろぎながらもアスランは礼を告げ、ルナマリアについていくのだった。

 

(アスランか…私の邪魔をするなよ…)

 

 その後ろ姿を見て彼女は静かに笑みをこぼすのだった。

 

 

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