愛しきものたちへ   作:砂岩改(やや復活)

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第7話

 

 

「こんなひよっ子どもに!」

 

「あぁ!」

 

 ジンの斬機刀が胴体を切り裂き、反撃の術を持たないゲイツRを真っ二つに切り裂く。

 

「我等の想い、やらせはせんわ!今更!」

 

「隊長!!」

 

 ビームに貫かれ破壊されるゲイツR。

 

「えぇい!下がれ、ひとまず下がるんだ!」

 

 オルトロスを装備していたディアッカのザクは反撃ビームを放つがジンは手慣れた動きでかわす。

 

「ゲイツのライフルを射出する!ディアッカ、メテオブレーカーを守れ!俺も直ぐに出る!」

 

 ナスカ級からライフルが射出されゲイツRたちも反撃を開始するが破砕作業は一向に進んでいなかった。

 

「ハイマニューバ2型…」

 

 ミネルバから敵機のデータが送られて来る。

 その機体はジンハイマニューバ2型と記載されており全員が息を飲む。

 

「ジン…」

 

 ジンハイマニューバ2型はジンの正統後継機だ。

 ザクウォーリアと比べれば旧型化が進んでいるもののビームカービンを装備するなど武装を近代化、さらにスラスターなどの改良により良好な足回りを手にした機体である。

 現在でもベテランパイロットが好んで使う機体だ。

 

「ジンが妨害してるってことは…」

 

「落ち着けルナマリア、ジンとは言え中身がコーディネーターであるとは言い切れないぞ」

 

「レイの言う通りだ。邪魔者は排除するだけだ、やることはジンだろうとダガーだろうと関係ない」

 

「は、はい!」

 

 ユニウスセブンまで加速するグフを追いかけるようにしてシンたちも続く。

 

「くッ…どういうやつらだよ一体!ジンでこうまで…」

 

「工作隊は破砕作業を進めろ!これでは奴等の思うつぼだぞ!」

 

 ジンを撃墜しながら動き回るイザークだが広大なユニウスセブン全域に展開する部隊をカバーしきれない。

 

「冗談じゃないぜ!こんなところでドタバタと」

 

「お前らのせいかよ、こいつが動き出しのは!」

 

「なんだ?カオス、ガイア、アビス?」

 

「アーモリーワンで強奪された機体か!?」

 

 ただでさえジンの襲撃で混乱する部隊にカオス、ガイア、アビスが加わり更に戦場が混乱する。

 

「あいつら!」

 

「あの三機、今日こそ!」

 

「目的は戦闘じゃないぞ!」

 

「解ってます。けど撃ってくるんだもの。あれをやらなきゃ作業もできないでしょ?」

 

 やる気になるシンとルナマリアを諌めるアスラン。

 

「ルナマリアはガイア、レイはカオス、シンはアビスを抑えろ。アスランは私と一緒にイザークと合流する。あくまで敵の目を逸らせればいい!」

 

「「「了解!」」」

 

 対してエリアは各機に対応するように指示しイザークの元へ向かうのだった。

 

ーーーー

 

「ああ?」

 

「やらせん!」

 

 ゲイツRに襲いかかるカオスを牽制するためにビームを撃つ。

 

「何だこいつ」

 

 カオスはビームライフルで牽制しつつレイに接近、脚部のビームクローを展開し蹴りを入れるがシールドで受け止める。

 

「くっ!」

 

「見せてみろよ、力を!」

 

ーー

 

「はあぁぁッ!」

 

「くぅ…!」

 

 ルナマリアの砲撃を縫うように避け、接近するガイア。

 

「これで終わりね、赤いの!」

 

「なにを!」

 

 ガイアのサーベルをシールドで受け止め、頭突きをかます。

 

「このぉ!」

 

「あぁ!」

 

ーー

 

「ええい!」

 

 接近するジンハイマニューバ2型に対しディアッカが攻撃を加えるが避けられ接近を許す。

 

「こんな攻撃…なに!?」

 

 それと同時に横から放たれたビームがジンの一機を撃ち落とす。

 

「腕が落ちたか、ディアッカ?」

 

「エリアか!」

 

「ディアッカか?」

 

「おいおい、アスランかよ!」

 

 いきなりの出来事に思考が追い付かなくなっているディアッカのもとにいつもの怒鳴り声が響き渡る。

 

「急げ、モタモタしてると割れても間に合わんぞ!お前ら二人は邪魔をするな!」

 

「つれないな、イザーク」

 

「やかましい!」

 

 からかうエリアに激昂するイザークだが付近に展開していたジン2機を即座に切り刻むのだった。

 そうしているうちにユニウスセブンは大きく二つに割れる。

 

「グゥレイト!」

 

「だがまだまだだ、もっと細かく砕かないと」

 

「うるさい、貴様。だいたいこんなところで何をやっている!」

 

「そんなことはどうでもいい!今は作業を急ぐんだ!」

 

「流石はザラ隊の皆さん、仲の良いことで」

 

 漂流していたメテオブレイカーをディアッカに手渡したエリアはそのまま掘削地点まで先導する。

 

「今は違う!」

 

「相変わらずだなイザーク」

 

「貴様もだ!」

 

「やれやれ」

 

 一見、罵りあっているだけのようだが4人全員が小さく笑みを浮かべていた。

 すると上方からアビスが襲来しビームを浴びせる。

 

「イザーク、エリア!」

 

「おけ!」

 

「五月蠅い!」

 

 アスランの声と共に一気に加速するイザークとエリア。

 

「今は俺が隊長だ!命令するな!民間人がぁぁッ!」

 

「うぅッ!」

 

 大型ビームアックスであるファルクスを勢い良く振るいアビスのビームランスを真っ二つにするとそのイザークの後ろからエリアがテンペストを構えて突撃する。

 

 だがそれは囮、アビスは背後から接近していたアスランに左足を切り飛ばされる。

 

「アウル!」

 

 危機に陥ったアウルを助けるために兵装ポッドを射出し迎撃するも3機は難なく回避する。

 エリアはウィップで兵装ポッドの1つの動きを封じるが片方のポッドが彼女の背中を狙う。

 

「残念」

 

 エリアは急加速し上昇、それと同時にディアッカの放ったビームがポッドを二枚抜きし撃破する。

 

「くっ!」

 

 ポッドの撃墜に気を取られた一瞬の隙にイザークはカオスに接近しシールドを真っ二つにすると同時にアスランの投擲したビームアックスがカオスのビームライフルを破壊する。

 

(あれが…ヤキン・ドゥーエを生き残ったパイロットの力かよ…)

 

 四人の間に会話は無かったがお互いに思考が繋がったようにカバーしあっていた。

 圧倒的な実力差に見ていたシンは唖然するしかなかった。

 

ーー

 

 メテオブレイカーをユニウスセブンに打ち込むとミネルバとボルテールから発光信号が上がる。

 

「チッ!限界高度か!」

 

「ミネルバが艦首砲を撃ちながら、共に降下する!?」

 

ーー

 

「この!」

 

「っ!?」

 

 ルナマリアはガイアと殴りあっていると横合いから割り込んだエリアがガイアを蹴り飛ばす。

 

「ミネルバまで撤退しろ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「総員に告ぐ…本艦はモビルスーツ収容後、大気圏に突入しつつ艦主砲による破片破砕作業を行う、各員マニュアルを参照。迅速なる行動を期待する」

 

 ルナマリアをミネルバに収容させるとエリアもグフをロックする。

 

「ザクとインパルスはどうした?」

 

「まだ戻ってません!」

 

「なんだと!?」

 

 シンとアスランの姿が見えないと思えばまだ帰還していないと言うのだから流石に焦るエリア。

 

「無事でいてくれよ…」

 

 エリアはグフのコックピット内で心配そうに呟くのだった。

 

 


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