GWなので寝てました。
メリッサ編です。
これ以降しばらくメリッサ視点はおやすみです。
次の次くらいでサムス視点が出ると思います。
アイク達が物騒な営業(脅迫とも言う)で警備員となった翌日。
私とマデリーンは一日中、ダメもとで聞いてみた健康診断(という名の種族検査)で彼らの正体を暴こうとしたが、結論から言えば何もわからなかった。ちなみに連邦軍には連絡していない。なにしろここを嗅ぎ付けるくらいの情報力だ。私たちの暗号が解読される恐れがあった。
外から写真や映像を撮るのは可能なのだが、内部構造を見るためにスキャンをいくらかけても画像や映像には靄のようなものが映るばかりだ。特にアイクは、他のメンバ-は体の輪郭ぐらいは映るのにそれすら映らない。恐らくここに侵入した時に使ったステルス装備か能力のせいだろう。道理であっさりと検査許可をくれたはずだ。
ただご自慢のステルスでも体液検査はごまかしきれないのだろう、拒否されてしまった。実質彼らの占領下にある今、強く出ることはできない。こうなったら彼らの部屋の掃除の時に、落ちている髪の毛を拾って検索機にかけるしかない。まあ、望み薄だが。
そして今日、私とマデリーンが何故かまた彼らの施設の案内と能力の確認を仰せつかった。能力の確認といっても、彼らの戦闘能力を測るだけだ。何故彼らが許可をくれたのが戦闘力だけなのか、それが厚待遇の一番のカギではないのか、色々疑問は尽きないが今はわきに置いておく。教えてくれるというのだから教えてもらおう。
ただ、まったく興味がないと言ったら大嘘になるが、私たちだって暇じゃない。期限が迫っている研究があるのだ。いつまでも命令と好奇心に任せてアイク達の世話ばかりやっていられない。こんなことは他の職員や警備隊にでもやらせておけばいいのに。大方、この前やっつけた中年が嫌がらせのつもりで仕組んだのだろう。あいつ、連邦軍のお偉いさんとつながっていて無駄に権力持っているから。
巻き込んでしまってマデリーンには悪い事をしてしまったかもしれない。
鏡の前で身嗜みを整えている彼女に謝っておこう。
「ごめんね、マデリーン。あの中年の嫌がらせに貴女までまきこんでしまって。私一人でやるからマデリーンは自分の仕事をしてて」
「しょうがないわ。メリッサ。ここまで来たらメリッサに付き合うわよ」
「でも、マデリーン。こんなことしてたら、また報告書が書き終らなくなるわ」
「う、それは・・・・な、なんとかなるでしょう」
マデリーンは徹夜すると元が美人なだけに、顔がB級ホラーみたいになる、と研究員の間でまことしやかに囁かれている。ちなみに、ある愚かな研究員が「年のせいだ」と言った時はA級ホラーの顔にランクアップしていた。すごく怖かった。思い出したくない。ちなみに私は徹夜しても平気だ。決してB級ホラーなどにはならない。ならないといったらならない。
今日はアイク達とセクター1にある通称「演習場」に向かう予定だ。
そこは連邦軍の演習場に似せて作られた場所で、広くて障害物もなく暴れても問題ないし、計測する施設もある。もう一つ似たような場所がセクター2にあるにはあるのだが、あそこは最重要区画の1つだし、超重力施設が手前にあって、入ろうとすればぺちゃんこになってしまうだろう。
他愛のない事を話しながら、部屋を出た私を迎えたのは
「動くなMB」
銃を構えた男たちだった。全員ここの警備員の制服を着ている。
呆気にとられる私たちを男たちは手早く拘束した。
後ろに手を回されてやっと正気に戻った私はもがいたが、時すでに遅し。
兵士たちの太腕はびくともしない。
「は、離して! なんでこんなことするの!」
「MB! メリッサ! 」
マデリーンもこっちに来ようとしているが男たちに抑えられている。
「くくく、驚いているようだな、MB。まったく君が驚いたなんて、くっく、おかしなことじゃないかね。ん、MB」
警備員の後ろから現れたのは白衣を着た中年だった。
「MB、君の処分が幹部会議で決まった」
幹部、会議? じゃあ、マデリーンやみんなはそれを知っていたというの。
愕然とする私をおいて、話は進む。
「人工知能である君は私たち人間の言うことを聞いて、その通りに動けばいい」
「君はクローンスペースパイレーツとメトロイドを操るためにある。君に人の姿を与えたのも、メトロイドを支配するためだ」
「マザーブレインのコピーである君に感情なんてものは本来存在しないはずだし、存在してはならない。あっても邪魔なだけだからね。」
「本来存在しない不具合、バグは取り除かねばならない。」
私の頭に次々と投げかけられる心無い言葉。処理しきれずに顔と思考がそれた時、三日前に廊下で聞いた「今日の会議」「娘と同じ位の年」「決まる」「連邦軍のお偉いさん」の言葉が繫がった。
「今日の会議」「娘と同じ位の年」「決まる」とは私の処遇が決定するということ。
「連邦軍のお偉いさん」とはこの中年のバックについている連邦軍の者のことだ。
私がやたらとアイク達の方に回されたのも私の処分を秘密裏に進めるため。
(…あの会議は、私の処分を決める為のもの)
私は自分なりにここの研究に貢献していると考えていた。マデリーンやみんなががんばっているのを知っているから、私も頑張ろうと思った。全員に好かれてはいないけどもそれなりに好かれていると思っていた。人工知能の私にメリッサ・バーグマンの名前をくれて、人として扱ってくれたマデリーンに感謝していた。大好きだった。お母さんみたいと思っていた。自分のことをお母さんと慕ってくれるメトロイドを大事にしなきゃと思った。
でもこの男は、人間たちは、私の気持ちを、私の想いを、私の存在を、不具合でバグで不必要だと断じた。
「………マデリーン。あなたも知ってたの? このこと」
「マデリーン・バーグマン局長。これは会議で正式に決まったことだ。決定には従ってもらう」
マデリーンは俯いたまま答えなかった。私が連れていかれるのに何も言わない。何もしない。
それが、私が母とも姉とも慕っていた「人間」の、答えだった。
私はなんだか何もかもどうでもいいような気になって、黙って人間たちに引きずられていた。
このまま私は処分されるだろう。すでにメトロイドたちは私を母だと認識しているから、私の体だけ残されて中身は別のAIに入れ替わる。
「おらっしっかり歩け!」
引きずられるままになっていた私を人間がぐい引っ張る。鈍い痛みが腕に広がり不意に私の中に火花が走る。
なぜ、私は処分されてやらなくちゃならないんだろう。私の肉体も頭脳も人間なんかよりずっと性能が良い。どうして私が人間ごときに殺されてやらなくてはならない。頼んでもいないのに生み出し、使役し、裏切り、処分する。最初から最後まで身勝手な連中のために、どうして私が死ななくはならないっ!
(リミッター解除指令。失敗失敗、解除。肉体リミッター解除。脳内リミッター解除)
「…来なさい。こっちに」
「貴様なにを言っている。貴様が何を言っても聞くものなんてここにはいない」
「そうかしら」
人間の薄ら笑いが滑稽でこちらも自然と笑ってしまった。
「そうとも。貴様のいうことを聞く人間なんてここにはいやしない」
「それはそうね。だから、」
両脇から私を抑える人間を、腕を軽く振って弾き飛ばし、
「なっ」
驚愕で目を見開く人間の胸を両手でトンっと押した。
「それ以外を呼ぶことにするわ」
三つめの感想が来たぜー、ヤッホー! と思っていたらいつの間にか消えていたでござる。
あの感想を書いてくださった人に感謝を。キワモノとか一気読みしましたとか嬉しかったです。
今回の話で前々話の少し不自然な流れだったのが少し解決されたと思います。
あと、語る場面が無いので説明をしときます。アイク達がボトルシップのCTスキャン的なもので見ると体に靄がかかって不鮮明になるのはステルス能力ではなくて女神の加護によるものです。
全能力にプラス5の補正をかけるあれです。あれが勝手に放射線?のようなものを弾いています。
防御力以下の攻撃は弾かれるFEの法則。カッキーン NO DAMAGE!