ウマ憑依(ぴょい)伝説   作:タイシン推し

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 120億()宝塚記念連覇(名声)ナイスバディ()!!

 この世の全てを手に入れたウマ!ウマ娘ゴールドシップ!!

 彼女の一言は、トレーナーをウマへと駆り立てた!!



『アタシの財宝?欲しけりゃくれてやる!


  探せ!!馬券の全てをゲートに置いてきた!!(15着)』



 ウマ娘たちはトゥインクルシリーズ優勝を目指し、夢を追い続ける!




         世はまさに!大トレセン時代!!!



 ゴールドシップ劇場!続演!!



#2 やはりただの馬鹿なのかもしれない

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園。通称『トレセン学園』

 

 トゥインクルシリーズを勝ち抜いて優駿に名を刻むために日々ウマ娘たちが鎬を削るもっとも有名な学園。

 そんな有名な学園に通うウマ娘たちはどれもこれも、前世の世界での優秀な名馬の名前を継いでいる―――はずだ。

 

 

 ゲートの解放と同時に駆け出していくウマ娘たち。

 

 

 

「―――はっ、はっ……はっ……はっ……」

 

 

 

 そんな中、おっとりゆったりとゲートから飛び出し、最後尾をゆっくりと走っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――そう、ゴールドシップ()だ。

 

 

 

「―――はっ、はっ、はっ……」

 

 

 何故俺がゴールドシップの身体を使ってレースに挑んでいるのか というと。割と話は簡単である。

 

 

 

『お前もレースで走ってみる必要があるんじゃね?』

 

 

 

 などとアレが言い出したからに他ならない。

 

 既にゴールドシップに憑依?してから一週間が経過したわけだが、いろいろと自分にできること、できないことがわかってきた。

 

 

 まず第一に『ゴールドシップ本人の意識が“拒否”していることは許可されない』

 風呂・トイレなど生理的な問題での行動では、ゴールドシップが強い拒否の意思を持つと視界が完全にブラックアウトする。これは意識の主導がゴールドシップにあるというのが主な理由だと考えられる。

 味覚・嗅覚・視覚をある程度共有している。触覚も同様に共有されている。

 

 これらの結果も踏まえて「レースを経験してみるべき」と言い出したのが当の本体の人格?なのだからどう反応しろと言うのか。とはいえ、レースそのものに興味がなかったわけではない。

 

 

 

 

 ウマ娘の身体というのは人類のそれを大きく凌駕している。

 

 

 

 

 実際にウマ娘は走る場合『軽車両』の扱いになる。これは時速60kmを地で突っ走ることができるウマ娘ならではの法だろう。そのわりにウマ娘どうしが激突する事例が多々あるのにそれに関する怪我はレース以外では聞くことはないのだが―――アニメ2期10話のターボ師匠とイクノディクタスの激突然り。いや本当に、胸部装甲にバルジとか追加してるわけでもないのに師匠を受け止めることができ(閑話休題)

 

 あと、一週間という短い間ではあったが様々な自分の変化がわかった。

まず、性欲云々に関する感情が希薄になっている。というか、性別がゴールドシップ本体の影響を受けているのもあって嗜好が女性よりになっている。とはいえ全く「ない」といいきれない。不意に感情がもたげる場合もあるし、全くわかない場合もある。この辺りは感情の起伏の問題なのかもしれないし、ゴールドシップ本体の感情に引きずられている可能性もある。と、割と語ったが、正直深く悩むこともないので放置している。が正解。

 

 

 

 

 

 まぁそんな遡及を繰り返している間もレースは進んでいるわけであるのだが。

 

 

 なお、今回出走したのは『選抜レース』と呼ばれるもの。

 

 

 

 

 

 

 そう、このゴールドシップ、“まだデビューを果たしていない”のだ。

 

 

 

 正確には、『何度も選抜レースで勝利を果たしているのに、トレーナーのスカウトを受けていない』というものらしい。実際、ゴールドシップの性能を前にトレーナーがスカウトを試みた回数も何度かあったらしいが、そっけなく断っていたらしい。理由は不明。マジでよくわからん。

 

 

 

 

『なっちゃいねぇな……お前走り方がなっちゃいねぇよ』

 

 

 

 

 頭の中で色々考えながら走っていたら最後尾な上4バ身くらい離されていたらしい。脳内でゴールドシップからのヤジが飛んできた。

 とはいえ―――人間の走り方だとウマ娘の身体能力を活かせないのかもしれないと思うほどに“走りにくい”。

 

 

 

 脚から伝わる地面を蹴った反動を活かしきれない。

 

 

 

 腕の振りを勢いに変えるのもスプリンターの経験なんかない前世の知識じゃ活かせない。

 

 

 

 人間だった前世と比べてもスペックが違い過ぎて走り方もそれに合わせなきゃいかんというのに、そもそもその人間のころの走り方も素人である。結論として、ゴールドシップの性能を活かし切れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――しゃーねーなぁ……運転を変わるから、そこで見てろよ?』

 

 

 

 

 

 

 ―――瞬間、“視界が変わった”

 

 

 

 グンと視点が低くなる……身体を前傾姿勢に傾けて『前に倒れる身体を足で前方に飛び込むことで転がることを阻止しつつ駆け出す』独特の走法。ゴールドシップの取ったそれは通常のストライド走法よりもより低い。四足歩行の動物の視点のそれに近い。ぐっと身体を前に傾けたゴールドシップは、前に倒れながらグッと踏み込む。

 

 

 

 

―――そうして踏み込んだ足が、“爆ぜた”。

 

 

 

 

 

 爆ぜた。そう、それが正しい。

踏み込んだ地面に地雷でも埋まっていたかのように爆発的な衝撃が脚を伝う。同時にゴールドシップが爆発を利用して跳んだ―――ように感じた。

 

 

 

 1歩 1歩 また1歩。

 

 

 爆発、爆発、爆発。

 

 

 

 踏み込むたびに弾けて吹き飛ぶ。吹き飛んだ先で着地して踏み込む。そしてまた――爆ぜる。

 

 

 

 

 

「――スゥ――――――――――ッ」

 

 

 

 

 

 深く息を吸い込んだゴールドシップが、より強く――踏み込む!

 

 

 

 

「―――盛り上がってきたぜぇ!!!!!」

 

 

 

 

 

 グンと、ジャンプした―――と、感じた。

 

 

 

 

 ダンと足を踏み鳴らすたび、世界が躍る。

 

 

 

 1歩 1歩 また1歩

 

 

 足が地を蹴るたびに世界が変わる。

 

 

 

 

 恐ろしいのは、これだけ爆発的な加速と、ジャンプしているような踏み込みダッシュだというのに――“視界の揺れが一切ない”というところ。

 背を真っ直ぐに伸ばしたまま上半身を倒して身を低く、しかし身体の軸は完全に制御して加速しているのだ。

 

 一人、一人、また一人、グングンと加速するゴールドシップが最後尾から並走者をごぼう抜きにして置き去って行く。抜き去って行く先から「むーりぃぃぃぃぃ」ともりくぼ染みた声がドップラー効果を残して過ぎ去っていった。

 

 

 

 

「―――あー……こりゃちぃっと“届かねぇ”かもしれね」

 

 

 

 

 ぼそりと呟いたのは最終コーナーの手前で、

 

 

 

 

“最終コーナーを回って最初に立ち上がったのは―――サイレンススズカ!!逃げる!逃げる!サイレンススズカ!!”

 

 

 実況の熱の入った声にこたえるように、最前線でさらに加速して駆けていくウマ娘が一人。サイレンススズカと呼ばれている以上、後ろ姿しか見えないけれど、あれが『ススズ』という名称で親しまれるサイレンススズカなのだろう。

 

 

 

 

「スズカ相手にコーナー抜けてない状態で……4バ身ってとこか。

 

 

 

 ―――まぁ、負けるの大っ嫌いなんで、全力ブチ撒けるけどなぁッッ!!!」

 

 

 

 より一層の力を籠め、地面と平行だった背筋をより傾けて、前傾姿勢というより地面に身体を擦り付けるような態勢を取り―――そのまま1歩目を踏み出す。

 

グンと身体をのけぞらせて全身を振り回す様にして上方向にベクトルを伸ばす、

 

 

 

そのまま再び身体を揺らすように腰と背筋で上半身を制御しながら、前傾姿勢と身を起こしてを繰り返しながらストライド走法で駆けるというよりも跳ねるように走る。

 

 

 

 グィン、グィンと暴れ馬のように跳ねる上半身に合わせて、不規則に揺れまくる視界に焦点がままならない。だというのにゴールドシップ本人の方では視界が定まっているかのように揺れる視界の中でも前を行くスズカの背が視界から外れることがない。

 

 

“ゴールドシップ!!ゴールドシップが上がってきた!この動き!!不思議な軌道を描くこの動きは?!なんだ!?どういう走りなのか!?浅学の身を恥じ入るばかり!私にもわからない!けれど速い!恐ろしい末脚でジリジリと迫る!ゴールドシップ!サイレンススズカまでおよそ3バ身!2バ身!!”

 

その背がグングンと近づいていく。とんでもないスピードだと舌を巻いたその瞬間

 

 

 

 

“だがしかし!サイレンススズカ加速!再び引き離したぞ!残り200メートルを通過!!脚色は衰えない!!サイレンススズカ!!!”

 

 

 

 

 

目の前に見えたかに見えた背中が不意に小さくなっていき、そうして

 

 

 

 

 

―――選抜レースで2着という結果だけが、ゴールドシップの手元に残っていた。

 

 

 

 

 

 

*******

 

 

 

 

 

『なんていうか……申し訳ない』

「あぁ?気にすんなって。アタシは別に本番でもない練習のレースで負けたって気にするウマ娘じゃねーよ。そもそも、お前に走らせたのはアタシだからな」

 

 走った後のクールダウンにタオルを首にひっかけた状態でどっかりと座り込んでいるゴールドシップと脳内でそんな会話を交わしていると―――

 

 

「ごめんなさい。お邪魔でしたか?」

 

 

 そんな風に声を掛けて来たのは先ほどの勝者、サイレンススズカだった。

 

 

「おうスズカ。さっきはおめでとう」

「……でも、ゴールドシップさんは、本気ではありませんでしたよね?」

 

 隣に座って、ドリンクを片手に息を整えるサイレンススズカ。一口ごくりと嚥下して、一息呼吸。ゆっくりとしゃべり始める。

 

「最初の800mくらいは、子供が走ってるみたいでした…。普段のゴールドシップさんの走り方とは違って、適当に走っているのがよくわかるというか……」

「あー……だろーな」

 

 ものすごい適当に答えるゴールドシップに「変わりませんね」と苦笑するスズカ。

 

 

 

「ンだお前……アタシが最初から本気でやってたらアタシが勝ってたって言いたいのか?アーユー煽りスト?新春初喧嘩大バザール?」

「まさか」

 

 

 

 ニコッと微笑んで立ち上がったスズカは、ゴールドシップに背を向けてゆっくり歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――先頭の景色は譲りません。たとえ誰であっても――」

 

 

 颯爽とした、美しい後ろ姿だった。

 




 ***** 【 場面転換 】



「―――話だけでも……」
「悪い。他当たってくれ」




 食い下がるトレーナーを一蹴して、ゴールドシップはテクテクと歩いていく。


 『いいのか?デビューしてトゥインクルシリーズに出走する。優勝して、ひいてはドリームトロフィー?だっけ?それに出走するのがトレセンに通うウマ娘の最終目的的なモノなんじゃ……?』
「はぁ?どこ情報だよそれー?」


 ふざけるなといった様子で脳内にツッコミを入れるゴールドシップ。心底心外そうな様子にこっちが首をかしげるところである。状況、寮の名前、レースの様子から察するに、今こちらから覗けている世界はアプリ版の世界だと思われる。が、当の本人にはトゥインクルシリーズを含めたそれらに対してまるっきりやる気がない。


「アタシはな、自分の好きなように走って、勝って、大騒ぎして……

 そんだけあればいいんだよ」


 さっぱりと言い切った、なんだかかっこいい姿だった。
 まぁ正直ゴルシのストーリーってレースやってるよりも離島で遭難サバイバルしてる方が多い気がする。と考えた場合わかる気もする。さっきの物言いとは全く関係ないけど。





「おっ!マックイーンじゃーーん!!お前も選抜レースだったのか?」



 ドリンクボトルを片手に、上気した表情のマックイーンを遥かかなたの豆粒レベルで発見したらしいゴールドシップが秒で駆け出して声を掛けていた。声を掛けられたマックイーンはゴールドシップの方を見て余裕の笑みを浮かべて見せる。


「ええ。レースに関しては当然の如く、メジロ家に生きる者として勝利しましたけど」
「……言ってくれんねぇ~」


 言外に『なんで負けてるんですか?』と微妙にチクチクと嫌味にも思える言い方ではある。が、正直負け方としてはスズカが言ってたように序盤遊んでて負けたようにしか見えないんで言われても仕方ないとしか言えない。


「まっ、お前もトレーナー探しだろ?気長に頑張れよ?」


 ポンポンと肩を叩いてうんうんと頷くゴールドシップに




「それなら、もう見つけておりますわ」




 そんな風にあっさりと答えるマックイーン。「え!?」と困惑の感情で脳内を一杯にしているゴールドシップを置き去りに、スッと背を向けて去って行くマックイーンの向こうでは、テーブルに腰かけて紅茶を嗜んでいるテンプレートな英国淑女っぽい女性の姿。


『選抜レースで勝った後普通にトレーナー見つけたのか。ということは次はデビュー戦だな』


 そんな風にぽつりと脳内で呟く。固まったままのゴールドシップは思考が停止しているのか微動だにしない。そのまま去って行くマックイーンが視界から消えて、選抜レースも大方終わりを迎え、夕焼けが似合う時刻に差し掛かかろうという時点で―――











「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!トレーナー狩りじゃぁぁぁ!!!トレーナーを探せえええええええええええ!!!!」








 “GI優勝確実!勝利請負人”“好機物件テナント募集”“トレーナー急募中!条件応相談”
と書かれた謎のノボリを戦国武将さながらに背中に背負ってトレセン学園の敷地内を駆け回るゴールドシップの姿があった。







 ―――やはりこいつはただの馬鹿なのかもしれない。



次にゴルシが絡む相手は?(希望する娘に当たるとは言ってない。参考程度です)

  • サイレンススズカ
  • マルゼンスキー
  • トウカイテイオー
  • シンボリルドルフ
  • フジキセキ
  • メジロライアン
  • マチカネフクキタル
  • マヤノトップガン
  • オグリキャップ
  • ダイワスカーレット
  • ウォッカ
  • ヒシアマゾン
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