D✕D✕D《デュランダル・デート・ドラゴン》   作:デュランダ流

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初投稿です。


暗躍
序章1


Deus Ex Machina Industry(デウス・エクスマキナ・インダストリー)通称DEM社。世界規模の大企業で様々な事業を展開している。DEM社の事業で一番有名なものといえば科学技術で魔法を再現する技術、顕現装置(リアライザ)である。これは自衛隊などの各国の軍隊にも支給されている代物であり、その大多数がDEM社によって作られている。だがその実態は技術の発展のためには人体実験などの非人道的な行為も厭わない危険な企業である。

 

その本社であるビルのとある1室にふたつの人影がある。

 

「よく来てくれた。実は面白い発見があってね。君と共有したかったのさ。神蝕篇帙(ベルゼバブ)によればこの世界とは歴史の異なる世界があるらしい。これは私達が元々いたであろう世界もそのうちの一つなのかな?」

 

白い髪に光の無い青い瞳の男は座る者の地位の高さが伺える立派な椅子に座り禍々しい巨大な本を見ながらそう呟いた。

 

すると近くにいたその男の秘書であろうノルディックブロンドの長髪が特徴の綺麗な女性が彼の呟きに反応した。

 

「いえ、おそらく違うでしょう。"ナイトメア"時崎狂三が使用した刻々帝(ザフキエル)によって行われた時間改変により、彼ら霊力を持つ者たちは本来の歴史から少しずれた時間へ、言うなれば並行世界へ移動したのだと思われます。ですが今回あなたが発見したという歴史の異なる世界は我々の世界とは全く関連がないものであると推測されます。つまり異世界というのが正しいかと。隣界に近いものではないでしょうか?」

 

秘書の言葉に満足した表情で男は言う。

 

「流石だねエレン。正解だ。」

 

男の言葉にエレンと呼ばれた秘書は顔をしかめた。

エレン・メイザース。DEM社でアイクの秘書官をしているがそれは表の顔であり、裏の顔は彼のためなら何でもする世界最強の魔術師である。

 

「わかっているのなら私を試すようなことはせず素直に教えてくださいアイク。時間の無駄です。」

 

そしてアイクと呼ばれたこの男の名前はアイザック・ウェストコット。DEM社の創設者であり、トップである彼は人が絶望する様を見ると

快感を覚えるという歪んだ性格の持ち主であり、本人もそれを自覚している。そして彼女に従うエレンもまたまともな性格の持ち主ではない。その性格から彼らの目的は人々にとっては碌なものではないであろう。

 

エレンの言葉にアイクは笑いながら答える。

 

「すまないね。試したわけじゃないさ。ちょっとからかいたくなっただけだよ。」

 

全く…といった感じでエレンは呆れている。

アイクは続ける。

 

「それでその異世界なんだが、どうやら私達でも行くことが可能らしい。その方法は神蝕篇帙には2つほど手段があると書かれている。1つはラタトスクが保護している精霊が持つ天使、封解主(ミカエル)だ。だがこの方法は持ち主である精霊、もしくは彼女の霊結晶(セフィラ)を手に入れなければならない。君が行けば可能であろうが時崎狂三による妨害に合う可能性がある。イレギュラーは少しでも避けるべきだと思ってね。」

 

精霊とはこの世界に存在する特殊災害指定生命体と称される存在であり、特徴としては人間の美少女の姿をしていること、霊装と呼ばれる霊力をまとった鎧を纏っていること、天使と呼ばれる超常の武器を所有していることが挙げられる。彼女たちは隣界と呼ばれる所に住んでいるとされ、彼女たちが現れると空間震と呼ばれる空間の歪みが発生し、甚大な被害が出る。あまりに危険であるが故に彼女たちの存在は公にはされていない。

 

エレンは質問する。

 

「では2つ目の方法というのは?」

 

「なに、簡単な事さ。次元の狭間を通るんだよ。」

 

「次元の狭間?それは一体?」

 

エレンの疑問にアイクは子供のような好奇心に満ちた顔で答える

 

「隣界があるだろう?そう、私達の世界の隣に存在する隣界。この隣界も異世界に分類される。そしてその隣界と私達の住む世界の間にはある境界が存在する。この世界と世界の間に存在する境界、それが次元の狭間だ。」

 

「なるほど。たしかに異世界同士が直接繋がっているわけではない。となるとふたつの世界の間にそのようなものがあっても不思議ではないでしょう。」

 

「その通り。だが次元の狭間は無の世界、通常の人間が対策もなしに行けば短時間で体が消滅してしまう場所らしい。準備する方法はこの世界には存在しない。」

 

「ではどうするのですか?結局我々では異世界には行けないと?」

 

エレンの疑問にアイクは答える。

 

「いいや。条件さえクリアできれば可能だよ。なにせ君も私もこの世界から他の場所へ移動する者の姿を見たことがあるじゃないか。」

 

アイクに言われエレンは納得する。

 

「そういうことですか。霊結晶があれば良いということですね。霊力を持つ彼女たちは次元の狭間を通って隣界へ移動していた。つまり魔王である神蝕篇帙を持つアイクも可能というわけですか。」

 

彼女たちの体内には霊結晶と呼ばれる核があり、これが破壊されない限りは生命活動は継続できるとされている。

 

その霊結晶のひとつをアイクは1人の精霊に深い絶望を与え、反転させ、更にその霊結晶を奪取している。完全には手に入れられなかったが精霊の反転体が扱う天使と対を成す存在、魔王のひとつである神蝕篇帙を手に入れた。

 

「あぁ、前者と比べると時間がかかってしまうがね。というわけで早速だがこれから出発しようと思う。私達の目的に役立つものがあるかもしれないからね。」

 

そう言って立ち上がったアイクにエレンは慌てた表情でいう。

 

「ま、待ってください。今現在、我々は五河士道殺害のために動いています。それを中断してあなたの呼び出しに応じたのですよ?ここでやめるというのですか?」

 

「あぁ、そのつもりだよ。なに、今彼を殺すより異世界に行くほうが良いということがわかったんだ。アルテミシアにもこの件は伝えといてくれ。」

 

主であるアイクの言葉に呆れつつも自分のするべきことを考え述べる。

 

「貴方という人は…。どうせこれ以上止めても無駄なのでしょうね。わかりました。指示があればいつでも行動できるようこちらも準備しておきます。」

 

「よくわかってるじゃないか。連絡用にニコルベルを何人か置いていくから何かあったらその子達に伝えるといい。それじゃあエレン、留守は頼んだよ。」

 

そう言うと彼は空間を歪ませその中へと進んでいく。その姿をエレンは見送りながらも彼女は不満そうに呟く。

 

「おそらくアイクは何かを隠していますね。『何故異世界という言葉にたどり着いたのか』と私に聞かれるのを避けているかのようでした。おそらく知った原因を私が聞けば、彼が異世界へ行くのを阻止したか、無理にでもついていく方法を見つけるよう動くと考えたのでそょう。だからすぐ行動に出たというわけですか。」

 

「へぇ?エレンにしては賢いじゃない?」

 

声はエレンの後ろから聞こえた。そこには突然現れた謎の少女。それを振り返らずエレンは少女に少しの怒気向けて言う。

 

「黙りなさい。ずっとアイクの側にいた私が彼の思考を読めないはずがありません。それは彼も同様で、私の考えを先読みし、私に選択させないよう動いた、それだけのことです。それにアイクの身に何かあった場合、あなたを全員殲滅するだけです、ニコルベル。」

 

黒に近い灰色の髪に緑青の瞳の少女、ニコルベルと呼ばれた彼女は嘲笑しながら言う。

 

「きゃはは!あんたに言われなくても私がお父様を守るし?エレンは黙ってお留守番でもしてれば?」

 

 

神蝕篇帙は全知全能の魔王であり、真実が書き記されている。その権能は本に記載したものを具現化させたり、世界中の物語が交わった空間を作り出し対象者を閉じ込めたり、精霊の贋作を無数に作り出すことができる。その贋作というのが彼女たち、ニコルベルである。

 

ニコルベルの言葉にエレンは苛立ち、それをぶつける。

 

「黙りなさいと言ってるでしょう。あなたはアイクと私の中継役として動けばいいのです。私はやらねばならぬことができました。あなたは私が呼ぶまでどこかへ失せなさい。」

 

そう言うとエレンは部屋を出ていく。

その姿をニコルベルは笑いながら見つめていた。

 

 

 




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