D✕D✕D《デュランダル・デート・ドラゴン》 作:デュランダ流
卒論終わったのでぼちぼち頻度上げていこうと思います。
誤字脱字報告、感想等お待ちしております。
現れた6人目の少女、黄色い装備を纏った立花響と呼ばれた少女の口から伝えられたのは話し合いがしたいというものだった。
「俺達を信用してくれるのか…?」
士道は思わず聞いてしまった。先程までどうしようもない状況だったのに、思わぬ展開である。このまま上手く事が運べればいいが…。
「私の名前は立花響。私はあなた達を信用したいと思ってる」
そう言って彼女は笑顔を向けてくる。
「おいバカ!正気か!?こいつはあの野郎と同じく異世界から来たとかほざいてやがるんだぞ?奴らの仲間に違いねぇ」
だが赤い装備を纏った少女は依然としてこちらの話を聞いてはくれない。翼と呼ばれた女性と、マリアと呼ばれた女性の2人はこちらを警戒したまま、会話を見守っているようだ。
すると響は士道の元へに近づいてくる。狂三たちが警戒するが、士道はそれらを静止する。そして響は士道が抱えている少女の頭を優しく撫でる。
「あなたたちは調ちゃんを助けてくれたんでしょ?あなたのその目は私達を襲った人とは違う、とても真っ直ぐな目をしているもの。それだけでも私は信用できるよ」
すると刻々帝を構えて狂三が質問する。
「そんな簡単にわたくしたちを信用してしまって平気ですの?この世界の人々にとって、わたくしたちは得体のしれない存在ですのよ?目を見て人を判断できるほど、世界は単純ではないと思いますけれど?」
「それもそうだね」
「わたくし達がその少女を捕らえて、貴女方を陥れようと画策してるかもしれない。そうは考えませんでしたの?」
「そんなことは全然考えてなかったな。だって、拘束もしないでずっと大切に抱えてくれているんだもん。そんなことするなんて思えないよ。それに… 」
響は真剣な眼差しで狂三に告げる。
「私があなた達を信じたいんだ」
響の言葉に狂三は少し驚いた表情を作る。
「それで騙され、取り返しのつかない事態になったとしても、貴女はよろしいのですか?」
「信じないで後悔するよりは信じて後悔するほうがマシだもん」
それを聞いた狂三は構えていた刻々帝を下ろす。
そして何かを諦めたかのように笑う。
「貴女も士道さんに負けず劣らずのお人好しですわね。『わたくし』たち」
狂三が号令をかけると、分身体が次々と影の中へと消えていく。
「私達のことも信用してもらえたかな?」
「ひとまずは。これでよろしいのですよね?士道さん」
「あぁ、嫌な役をやらせて悪い。ありがとうな」
「いえいえ。お礼なら彼女に言ってくださいな」
「あぁ。えっと…立花もありがとな」
「響でいいよ。調ちゃんを助けてくれたんだもん。これくらいなんてことないよ。とりあえず、お互いのことについて話し合いたいと思うんだけど、みんなもそれでいいかな?」
響が仲間たちに問いかける。
「無益な争いを避けられるのならこちらとしても歓迎だ。刃を向けてすまなかった」
「分かればよいのじゃ。仲良くできるのならそれが一番じゃからのぅ」
「あぁ、そうだな」
六喰の言葉に翼が微笑みながら同意する。
「私も構わないわ。調を助けてくれたというのならお礼もしたいし」
「アタシもデス!調を助けてくれて感謝してるのデス!」
マリアと切歌も了承してくれた。
「クリスちゃんも平気?」
「アタシはまだそいつらを信用しちゃいない。けど…」
クリスと呼ばれた少女は続ける。
「そこのバカは信用してる。だから…その……悪かったな」
「クリスちゃーん!!そんなに私のこと信用してくれてるの!?嬉しい!ありがとー!!」
「バ、バカ!引っつくな!!」
2人のやり取りを見て笑いが起こる。会話の行く末を見守っていた七罪は、余程緊張したのか、地面に座り込んでしまう。
「一次はどうなるかと思ったわ。暫く立てないかも」
「六喰も七罪もありがとな」
そう言って士道は2人の頭を順番に撫でる。
「むんっ」
「べ、別に、大したことしてないわよ」
六喰は嬉しそうに、七罪は恥ずかしそうに頷いた。
そして士道は少女たちに自らの思いを伝える。
「とりあえず、俺達を信じてくれてありがとう。話し合いをしたいのは俺達も同じ気持ちだ。俺達は訳あって、この世界に存在しているという痕跡をあまり残したくないんだ。ホントは長居もしない方が良いんだが、この世界のことを知らなさすぎる。だから、君たちにだけは事情を話しておこうと思うんだ。その後はこの子を君たちに引き渡して、この場を去ろうと思うんだけど…どうかな?」
「そっか、わかった。なら、ここで話すのもなんだし、どこか場所を移さない?」
「本当は本部へ連れて行くのがいいのだけれど、今はきっと無理ね。先日の1件以来、ずっとゴタゴタしているから、任務終了予定時刻まではこちらへのヘリは飛んでこないでしょう」
マリアの一言に、みんな暗い顔をする。
あまり触れないほうが良いのかもしれないと思った士道は、建物へ視線を向けて提案をする。
「なぁ、ここは研究施設って言ってたよな?なら、あの施設の1室を借りられないか?」
士道の言葉に響はあぁ、それならと回答する。
「この施設は今は無人だから平気だよ。ここの立ち入りの許可も、私達が調査のためにお偉いさんから貰っているし」
「そうね。調も寝かせてあげたいし、私もそれで構わないわ」
響とマリアから賛同をもらう。
他の3人も大丈夫のようだ。装備を解除し、こちらに歩み寄ってくる。六喰と七罪も限定礼装を解除する。狂三は万が一に備えて、礼装は解除していない。
そして士道達は施設へ歩き始めた。
道中、調と呼ばれた少女を抱えながら、近くを歩いていた士道は切歌に疑問に思ったことを聞いてみた。
「なぁ、なんでえっと、君は俺達に攻撃しなかったんだ?狂三に捕まっても抵抗らしい抵抗はしてなかったよな?」
「暁切歌、切歌で良いデスよ。そうデスね、咄嗟のことで体が動かなかったのもあるんデスけど…一番の理由はどうすれば良いか、わからなかったのデスよ」
「わからなかった?」
「デスデス。アタシ達は先日、仲間を連れ去られてしまって…。えーっと、士道さんデスよね?連れ去った人たちの特徴が士道さんたちに類似してたのデス。だからみんな警戒してたんデスよ。アタシも戦おうと思ったんデスけど…」
切歌は俯きながら続ける。
「調はアタシのとてもとても大切な人なんです。その調を敵かもしれない見ず知らずの人がこちらを攻撃しようとはせず、懸命に庇っている。
士道さんのその姿を見て、どうすれば良いのかわからなくなってしまったのデスよ…」
「切歌は本当にこの子のことが大好きなんだな。
謝らなくていいさ。元はといえば仲間を連れ去った奴らが悪いんだ。俺も仲間を攫われて、疑わしい奴が目の前に現れたら冷静でいられるかわからないからな」
「でも、みんなを止められなかったのデス…」
士道は続ける。
「確かに無闇に攻撃をするのは良くない。でもそれが大切な人を思っての行為なら、俺には咎めるなんてできないさ。大切な人を守りたいなんて、当たり前のことだからな。そんなに自分を責めなくていいんだ。切歌が悪いわけじゃないんだから、全部背負い込まなくてもいいんだよ」
士道の言葉を切歌は真剣に耳を傾けている。
「だから切歌は、これからも悩んで悩んで悩み抜いて、大切な人のために行動してほしい。勿論、自分や他の何かを犠牲にしちゃ駄目だぞ?そんなのは誰も望んでなんかいないからな」
「それはわかっているデス。昔、似たような経験をしたときに学んだんデス。大切な人に傷ついてほしくない、それは相手も同じく思っているって。いっぱい怒られて、いっぱい心配かけたのデス」
フロンティア事変で、魔法少女事変で、それらを学んだ切歌には、昔のような危険な行動をする考えは持ち合わせていなかった。
それを聞いた士道は安心したように頷き、
「そっか…それなら良かった。切歌は優しい子だから無茶を平気でやってのけそうだから心配だったけど、無駄だったみたいだな」
すると話を聞いていたのか狂三が話に加わってくる。
「あらあら、もう士道さんは出会ったばかりの子に対して、優しいと言って口説いてらっしゃいますの?」
「口説いているって言い方はやめてくれ…。俺は思ったことを言っただけだ。話してれば切歌が他人思いの優しい子なんてことわかるだろ?」
「冗談ですわ。少し寂しかったので士道さんに構ってほしかっただけですの」
気のせいかどうかわからないが、狂三の態度がここに来てから軟化した…ような気がするのだ。確証はないので感覚でしか言えないが、以前は士道以外に話しかける行為はあまりしなかったはずである。
それがこちらの世界に来て以来、七罪や六喰とは普通に話したり、多少ではあるが戦闘の際に連携を取ったりしている。士道が恐怖を覚えた頃の狂三とは随分雰囲気が異なる。
─何か心境の変化があったのかもしれない。このまま狂三が普通の女の子として生きていってくれればいいんだけどな─
なんてことを士道が考えていると、褒められて照れている切歌が、それを誤魔化すように質問してくる。
「えっと、お二人はどのような関係なんデスか?」
すると狂三は
「そうですわねぇ…わたくしは以前、士道さんに
なんて爆弾発言を
「すすす、全てデスか!?」
日頃は常識人として振る舞っている切歌であるが、色恋沙汰に関しては周りにもそういった話がないため、めっぽう弱かった。耳まで真っ赤にして頬を両手で覆っている。
まずい。確かに間違ってはいないが、今このタイミングでその発言は、100%誤解される。なんとか話し合いに持ち込んだのに、このままでは士道は女性を誑かして仲間にしている、なんて思われかねない。
だが士道も伊達に精霊たちと時間をともにしてきたわけではない。二亜や美久や狂三といった個性の強い子達との会話も多いため、対処にも慣れてきていた。
スマートに誤解を解くためにも、ここは狼狽えず、大人の余裕というやつを見せるときなのだ。おいおい、切歌が困ってるだろ、と言おうとしたときだった。
「主様はむくのことを好きと言ってくれたのじゃ」
さて、困ったものである。まさか狂三への援護射撃が行われるとは思わなかった士道は、先程まで調子に乗っていた自分を殴りたくなった。
「しゅ、修羅場デス!!ドラマで見たことあるデス!!」
切歌は真っ赤な顔のまま喜んでいるように見えた。
こうなれば時間との勝負である。早めに誤解を解かなければ、二股野郎になってしまう。急いで行動に移すが…
「切歌、聞いてくれ。それは」
誤解なんだ、と言おうとしたときである。
「アタシも口説かれたし、他にも何人もの女性を口説いてたわね」
「そ、それは、なんデスか…!?」
「いや…………なんでもない…」
終わった…。七罪からとどめの一撃を喰らい、士道は誤解を解くことを諦める。全ての内容が事実であるため、否定もできない。
これからこの世界でどうやっていけば良いか考えていると、
「さて、お喋りはここまでに致しましょう」
と、狂三が茶番を終わらせる。どうやら3人ともグルだったようである。
「そうね、十分楽しめたわ」
「主様の顔、見たかえ?むくはとても満足じゃぞ」
そう言って2人は楽しそうに施設に向かっていった。切歌は状況について来れていないようで、
「な、何が起こったのデスか…?」
混乱していた。そんな様子の切歌に狂三は告げる。
「わたくしたちの関係はとても複雑ですの。ですからまた後ほどになりますわ」
「わ、わかったのデス。調を早く寝かさなきゃデスし、さっさと向かうとするデスよ。いやぁでも流石にびっくりしたのデス。そんなドラマみたいなことが日常で起こるわけなかったのデスよ」
どうやら女たらしにならずに済んだようだ。突然訪れたピンチであったが、なんとか切り抜けることができた。
「あぁ、そのことですけれど…」
「?」
「わたくしたちは1言も冗談なんて言ってませんわ」
「なんデスと!?」
くすくす、と再び笑いながら、狂三は六喰と七罪の元へ合流する。いつの間に仲良くなったのか、3人は仲良さそうに士道達を置いて、先へ進んでいった。
自分たちも向かわなければ。この後のことを考えないことにした士道は、驚いている切歌に声を掛ける。
「切歌」
「な、なんデスか!?もしかしてアタシも口説かれちゃうんデスか!?」
先程まで警戒されてなかったはずだ。
軽くヘコみながら士道は否定する。
「はぁ…そんなことしないから、俺達も行こうぜ」
そう言って士道も再び施設へ歩き始める。
それを慌てて追うように切歌も歩き始めた。
もしかしたら狂三たちは、切歌が少し沈んだ表情をしたのを察して、場を和ませてくれたのかもしれない。もちろん、士道の困った顔が見たかっただけかもしれないが。
どちらにしろ、少しは切歌とは打ち解けられたと思うので、士道は心の中で再び感謝の言葉を述べるのだった。
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少女は目覚める。辺りは真っ新で何もない空間。
この何もない場所に何故、自分はいるのか?
与えられた役割を終え、少女は確かに消えたはずだった。
大好きな人に抱きかかえられながら、幸せな気持ちのままこの世を去った。
自分の存在が存在であるため、死後の世界にいるというはずがない。だが、どうやらまだ生きているらしい。この場合、生き返ったという表現が一番正しいのだろう。
なら誰がなんのために生き返らせたのだろうか?
そんなの決まっている。自分という存在を作り出したあの人だろう。その予想を肯定するように、頭の中に声が聞こえる。驚いたのが、とても焦っていたということだ。あの人が感情を顕にするのは本当に珍しい。
生き返らせた目的と新しい役割を伝えられ、納得する。速やかに実行するようにと言われたが、ここが何処かもわからないため、どうすれば良いかと頭を悩ませる。
すると目の前に当然光が差し込み、目を開けるとそこは、かつていた世界ではないらしい。あの人から聞いたところによると、似てはいるが歩んできた歴史は全く異なるそうだ。
目的を果たすために、現状の確認をする。どうやら力も戻っているようだ。流石に何もできない状態で放り出しても意味ないと判断したらしい。これなら未知の世界でもなんとかなるだろう。
当面の目的はこの世界の情報収集と監視ということになる。あの人からは大まかな情報しか聞いていないので、まずはこの世界について知らなければならない。本当は今すぐに会いに行きたい…だけど残念ながら役割を放棄しては行けない。でも…少しの間、我慢するだけ。この世界に居ればいずれ必ず会える。
本来なら二度と会えなかったはずなのだ。それがこうして機会が与えられた。それなら色々と準備をしよう。前回出来なかったこともしたいし丁度良いだろう。
そうして少女は歩き出す。やるべき事をするために。
きっと…目的を果せば再び消えてしまうだろう。自分は生み出された存在。これはもう決まっていることであり、その運命を既に受け入れている。前もそうであったし、今更何ということはない。
たとえ消えるとわかっていても…再び会えるのなら
それだけで生き返って良かったと
心の底から思えるのだから。
最後に現れた人物に関してはトップシークレットです。
いずれかの作品に登場してますので想像しながらお楽しみください。
案外簡単かもしれませんが…