『ベル』
_あぁ、これは夢だ_
ベルは目の前の光景が夢だとわかったのは死んでしまった筈の義母がいるからだ。幼い頃、ベルは義母とおじと祖父の四人で暮らしていて、祖父がかつてオラリオに君臨していたゼウスだということはわかっていた。義母は自分を抱きしめてくれるがこれが現実ではないということも知っているので心が痛くなる。景色が一転して視界に映ったのは二人目の祖父だ。祖父との出会いは義母と叔父がいなくなって途方に暮れている時に声をかけられて名前を聞けば
『オーディン、神だ』
神様だったので急いで謝った、だけど許して寄り添ってくれた。ゼウスおじいちゃんの知り合いのようで、おじいちゃんのもとに連れて行くとおじいちゃんはとても驚いていた。話し合った後、オーディンはここに住むことになった。その日からベルはオーディンおじいちゃんと呼び、もう一柱の祖父にはゼウスおじいちゃんと呼ぶことになった。祖父達との生活は新しくて楽しかった。ゼウスは英雄譚やハーレムのことや、オーディンは槍の使い方やルーン文字というものを教えてくれた。二柱共大好きだった。そして、夢が醒める。
「・・・知らない天井」
テンプレのような起き方をしたベルは頭の中で情報整理を始める。すると、部屋の扉が開いてハーフエルフのエイナが入ってきた。エイナはベルのアドバイザーで休憩時間にベルの様子を見に来ていた。
「ベル君、起きたんだね」
「エイナさん、すいません・・・こんな事になって」
ベルは本来なら逃げるのにミノタウロスと戦った事を思い出して謝った。
「反省してるならいいけど、これからは無茶しちゃダメだよ」
「はい・・・」
冒険者は冒険してはいけないとエイナに説教されながら反省した。ふとベルはミノタウロスから助けて貰った金髪の少女を思い出した。
「そういえば、僕を助けてくれた金髪の女の人って誰なんですか?」
「ベル君知らなかったの?アイズ・ヴァレンシュタイン、ロキ・ファミリアの冒険者だよ」
「ロキ・ファミリア・・・」
ベルはロキ・ファミリアの名前を聞いて、かつて祖父のオーディンとゼウスからロキに手紙を渡して欲しいと言われ、手紙を預かっているのを思い出した。そして今度会ったら、お礼と共に手紙を渡そうと決めた。そして、これから強くならないといけないと思いながら、エイナから解放されたベルはホームに帰って行った。
「ただいま戻りました。神様」
「お帰りベル君!今日は遅かったね?」
「ちょっと事情がありまして、ステータスの更新をしながら話します」
「そうかい?なら早速更新しよっか!」
そう言いながらベッドで横になるベルにヘスティアは自身の血を流した。そして絶句した。
ベル・クラネル
Lv.1
力:I77→I82
耐久:I13→I52
器用:I93→I96
敏捷:H148→H172
魔力:I85→I99
《魔法》
【ブロンテ】
・付与魔法
・雷属性
【ルーン文字】
・文字魔法
・刻まれる文字の意味によって効果変動
《スキル》
【
・早熟する
・向上心が続く限り効果持続
・向上心の丈により効果向上
ヘスティアは絶句した。スキルが発現したのだ。この前の魔法が二つ発現した事にも驚いたが、帰りが遅くなった理由を聞いた。
「ミノタウロスと戦ったぁ!?」
「はい、そしてロキ・ファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインさんに助けてもらいました」
「うむむ、ロキのところにかぁ」
ヘスティアはロキとは余り仲が良くない。けど己の眷属を助けてくれたことに微妙な顔をしていた。
「はい、更新終わったよ」
「ありがとうございます。ん?神様、スキルの欄に塗りつぶした後がありますがコレは?」
「あぁ、それは手元が狂ったんだよ。さぁ!晩御飯にしよっか!」
「わかりました、それでは準備してきます」
ステータスの書かれた羊紙を渡すヘスティアはそう誤魔化しながら晩御飯の提案するとベルもそれに承諾して台所に向かって行った。ヘスティアはそれを見ると溜息を吐きながらもう一枚のステータスが書かれた羊紙を見た。
(向上一途・・・成長を促進するスキル。魔法二つもそうだけどバレたら確実に神々の玩具にされる・・・外に漏れないように気を付けよう)
ヘスティアはそう思いながらベルのつくる晩御飯を待った。