ヘスティアに見送られたベルは左手に【ルーン文字】を書きながらシルバーバックの前に現れた。シルバーバックはヘスティアを今も探しており、何処に隠したかをベルに目で訴えている。
「【
「ガァアア!」
ベルはヘスティア・ナイフに雷を纏わせ、シルバーバックに突撃する。シルバーバックは腕を振りかぶり腕についた鎖で迎撃するも
「【アイギス】!」
「ガァア!?」
ベルは前もって手のひらに書いておいた【ルーン文字】を発動した。効果は『結界を張る』。シルバーバックの鎖は【アイギス】に阻まれ、ベルのナイフはそのままシルバーバックの胸に刺さり、魔石に傷をつけたのか灰になって消えた。
「・・・勝った」
その瞬間に周りから歓喜の声が上がった。ヘスティアはベルのもとに走ってベルを抱きしめた。
「やったね!ベル君!」
「はい!けど、まだ他にもモンスターが・・・」
「え?」
ベルはゴーグルをかけながら言う。ベルは透視の効果を持つゴーグルを通して見たこともない蛇でようなのモンスターが暴れている光景を見た。
「神様!僕、行ってきます!」
「あ、おい!ベル君!?」
ベルは野次馬を飛び越え、件のモンスターが暴れている場所へ向かった。
ロキ・ファミリアの魔術師のレフィーヤ・ウィリディスは絶対絶命のピンチに陥っていた。蛇のような新種のモンスターに自身の魔法をぶつけようと、詠唱していたらモンスターがいきなりこっちを向いて攻撃してきた。腹部に触手が刺さり、モンスターの姿が変形して花の形になるとこちらに近づいてきた。このままレフィーヤを食べるつもりだ。レフィーヤは動けず、仲間のアマゾネスも近づけない。
(あ、死ぬ)
レフィーヤはそう思った時、食人花に金色と銀色の線が入った。アイズが食人花の頭を断ち切った。レフィーヤは憧憬の相手にまた助けられたのだ。しかし事態は更に続く。
「ちょ、ちょっと、まだ来るの!?」
その瞬間、さっきの食人花が三体もあらわれた。アイズ達は応戦するも、アイズが使っている剣が折れてしまう。すると、そこに新たな乱入者が現れた。
「大丈夫ですか!?」
「貴方は・・・?」
「アイズ、あの子って・・・」
「うん、ベル・クラネル」
ベルはレフィーヤのもとに走り、腹部の傷を見て早速【ルーン文字】を行使する。傷口の近くで指が空中をなぞり、文字は緑色の光になって傷を治した。
「傷が・・・これなら!」
「待ってください!」
レフィーヤは傷が治ったことに驚くが直ぐに参戦しようとするも、ベルに止められる。
「っ・・・な、なんですか」
「アイツは恐らく魔力の高いほうに反応して襲う敵です。だからこのままお姉さんが詠唱しても、また襲われます」
「!?、それじゃあどうすれば・・・」
「僕に任せてください!」
ベルはそう言うと、今度は左手から腕に【ルーン文字】を書いた。レフィーヤはそれを見て疑問に思う。
「何をする気ですか?」
「結界を張ってお姉さんの魔力を隠蔽します」
「え?」
ベルの【ルーン文字】は効果を自由自在にすることが出来る。シルバーバックの時は盾の場合もあるが今回は『結界をドーム状に張って魔力を隠蔽する』という工夫をしている。
「よし、出来た。お姉さん、僕が結界を張ってから一番強い魔法の詠唱をお願いします」
「な!?、命令しないでください!それと私の名前はレフィーヤ・ウィリディスです!神ロキに恩恵を授かった、ウィーシェの森のエルフです!」
「わかりました。それじゃあお願いします!レフィーヤさん!【アイギス】展開!」
「【ウィーシェの名のもとに願う。森の先人よ、誇り高き同胞よ。我が声に応じ草原へと来れ。繋ぐ絆、楽宴の契り。円環を廻し舞い踊れ。至れ、妖精の輪。どうか、力を貸し与えて欲しい】【エルフ・リング】!」
レフィーヤの詠唱の魔力がベルの結界によって隠蔽されて食人花達は気づかない。アイズ達は気づいているので、そのまま食人花達に時間稼ぎを続ける。
「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に風を巻け。閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け三度の厳冬。我が名はアールヴ】行きます!」
「【アイギス】解除!」
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!」
レフィーヤの師の魔法が食人花達に炸裂し、纏めて氷像となった。その瞬間にアイズとアマゾネスの姉妹は一斉攻撃を仕掛けて砕け散った。
「ふぅ・・・っ!」
「危ない!」
ベルは
「ベル君!ベル君っ!」
「あほぉ、精神疲弊で気絶してるだけや。取り敢えず、ウチのホームに連れて行くで」
「ベル君に何をするつもり?」
「違うわ、この子はウチの子の恩人やから助けることと、宴の時の話をやるんや」
「そういえばそうだったね、わかったよ」
「忘れてたんか・・・!」
ヘスティア達は気絶したベルを連れてロキ・ファミリアのホームである黄昏の館に向かった。
怪物祭の騒動はこれで終了した。
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