「聞いてくれ!千空、魔央!俺は決めた!今日こそ今から!この5年越しの想いを杠に伝える!!」
学校終わりの放課後、突如1人の学生の声が科学部室内に響き渡る。
彼は俺、
「大樹、声デケェよ。まぁ、頑張れ。振られたら慰めてやるからよ」
「声帯がブチ切れるほど応援してるわ。この科学部室から」
俺と千空はそれぞれ大樹に声をかける。
「おお、そうか。ありがとう千空、魔央!」
「うるせえな。1mmも応援してねぇよ、このデカブツ」
「なにぃ!どっちだー!」
「そもそも5年も何も言わねぇとかバカはどんだけ非合理的だ」
「確かになぁ〜」
俺はついつい千空の正論に同調してしまう。
5年も片思いとかやってられん。
「死ぬほど合理的な方法をくれてやるよ」
そう言って千空は一本のフラスコを取り出す。
「それって・・・」
俺は危うく中身を言いそうになり口を押さえる。
「フェロモン放出を極度に活性化するいわゆる惚れ薬だ。こいつ飲んできゃ100億%だ」
そう言ってフラスコを渡す。
大樹は受け取ったフラスコを数秒間見つめると黙って水道に中身を流す。
「ありがとう千空。だがすまん。こんなインチキには頼れん」
それだけを告げると大樹は科学部室を出て何処かへ行った。
恐らく杠の元へ行ったのだろう。
「千空も危ないことよな〜」
「どういうこと?」
俺のセリフに科学部室にいた1人が疑問も持つ。
「あれの中身はガソリンだ。そうだろ千空?」
「ああ、そうだ。よくわかったな」
「何年お前といると思ってんだよ」
俺と千空、大樹は出会ってから十年以上経っている。
だからお互いのことはわかっているつもりだ。
でも、ごめん。
俺は2人には重要なことを隠しっぱなしだ。
「飲んでたら大樹くん死んでるじゃないか・・・」
そんな俺たちの会話に誰かがボソッと呟いた。
「「100億%飲みやしねえよ。あの真面目バカはよ」」
俺と千空の声は重なる。
俺たち2人はあの場で大樹が飲まないことを確信していた。
すると廊下にいた生徒たちが中庭を指差して何やら騒いでいた。
気になった俺も廊下に出て中庭を見るとそこには大樹と杠がいた。
「へぇ〜、あの木の下で告白するつもりなんだ」
俺の記憶が正しければ確かあの木の下で告白すると結ばれるっていう逸話があったはずだ。
「フルパワーでフラれるに100円」
「フラれるに500円」
「フラれるに1000円」
どうやら生徒たちはあの告白で賭けをしているようだった。
今の所フラれるにしかかけてないが賭けは成立するのか?
そんなことを考えていると部室から千空も出てきた。
「意外とフラれねぇに一万円」
「「まじか!?」」
千空の言葉にフラれるにかけていた生徒たちは驚いていたが恐らく結果は・・・。
「俺もフラれないに5000円くらいかけとくわ」
「「お前もか!」」
俺は大樹がこの部室に来た時から絶対にこの告白は成功すると確信していた。
あくまでも俺のかんなのだが。
「聞いてくれ杠!俺は5年間ずっと・・・」
中庭から大樹の声が響く。
「あいつ声デカすぎんだろ」
俺は軽く笑いながら告白の続きを聞こうと耳を傾ける。
「なんだ!あの光!」
だが聞こえてきた言葉は告白の続きではなかった。
俺は嫌な予感がして急いで大樹の見ている方向を見る。
そこには大樹の言った通り謎の不思議な光が輝いていた。
その光はどんどんこちらに近ずいてきている。
あれに
じゃあ、あの光は一体・・・。
「杠!そのクスノキにつかまれ!」
大樹はそう言い杠の前に立つ。
すると光が当たった所から大樹が石化して行くのが見えた。
それとほぼ同時に俺を含めた周りにいたみんなも石化して行く。
何も見えねぇ。
恐らく千空も石化しているか。
・・・ヤベェ、石化せてから少しずつ意識が消えていきそうな感覚になってる。
くっ、意識を途絶えさせるわけにはいかない。
少しずつ体内の魔力を循環させて意識を保っていけばなんとか・・・。
この石化に魔法的概念は感じ取れなかった。
ということはこれは科学の領分。
なら、千空。これはお前の領分だ。
どうせお前なら意識保ってなんか考えてんだろ。
任せたぞ!