姐さんのヒーローアカデミア   作:犬吾郎

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進路

 広島県

 お好み焼き、宮島、原爆ドームでも有名な県と同時に、そこは古くから極道が裏社会で影響力を持っている土地としても全国で有名な県である。

 

 そんな広島の中でもトップクラスの危険地帯に指定されている町が存在する。

 

 その町の中には幾つかの学校があるが、それら全てが荒れに荒れた生徒しか入学してこない所謂不良学校。当然、必然的に学校が終われば町は不良達で埋め尽くされ物は壊されるや喧嘩も毎日絶えることがなかった。

 

 いつしか町は「最低町」と言われるようになり、人が訪れることが少なくなって行った。

 

 しかし近年、不良達の動きが衰えてきている。いや、統率がとれていると言った方が正しいのかも知れない。

 

 それは「最低町」1の不良学校である破山中学校が共学化し、最初にして唯一の女子生徒が入学したことが全ての始まりであった。

 

 彼女は入学してすぐに破山のトップに目をつけられ屋上へと呼び出された。素直に呼び出された彼女は何を思ったかトップを討ち破りその日のうちに頂点に君臨した。

 

 そして、1年が経ち、2年生となった彼女は破山中学校にある掟を作る。たった5つの簡単な掟だ。

 

 

 一つ、堅気の者に危害を加えてはならない

 

 一つ、薬に手を出すな

 

 一つ、仲間を信じろ

 

 一つ、仲間の仇を許すな

 

 一つ、何を言われようとも我々が誇れる最強の破山であれ

 

 

 この掟が破山に出来てから破山の学生は町を荒らすことはなくなった。

 

 人間とは不思議なもので、ルールを中心として行動することで、各々が暗黙の了解というものを作り出す。それを知ってから知らずか掟を作った彼女によって、少なくとも以前よりは格段に町の安息が訪れた。

 

 彼女は不良達から伝説として崇められ、破山中学校には彼女の意思を継ぐ有志が入学するようになった。

 

 他校では彼女の伝説を超えるべくより最強の高みを目指し、日々喧嘩を売ってくる奴が現れているが、流石は破山。山のように揺れ動かず牙を剥いた者に報いを受けさせる。例え彼女が卒業しても過去のような状況にはならない。過去に戻ることは彼女の功績を無にするのと同義だ。そんなことは我々が許さない。

 

 底辺にいた中学校を町の守護者にまで引き上げた彼女の流儀は校訓となり語り継がれる。未来永劫、彼女が教えてくれた恩を忘れることはない。

 

 

 彼女の異名は【鬼】冷徹な振る舞いを持ちながら熱血の心を持った真の番長。

 

 

 

 

 

 

 

「どうすか姐さん!傑作っス!」

「…は?いや、んだよこれ。何で学校のホームページにこんなの書てんだよ、勝手に書いちゃあいけねーだろ」

「ダメですか?」

「……ダメじゃねえよ。いや…いんじゃね?つか、いーじゃん。カッコいいじゃん」

「あざっス!!」

 

 舎弟の1人がホームページに変なこと書きやがった。まぁ、悪い気はしない。センスあんじゃないの?

 

 ふと廊下の向こうから足音が聞こえた。教室の時計を見ると8時40分になっている。先生が来る時間だ。

 

「そろそろHR始まるぞ。テメーら座っとけ」

「「「ウッス!」」」

 

 駄弁ってた奴らを座らせると暫くして教室の扉が開いた。

 担任が教卓の上に出席簿を置く。

 

「おはようございます」

「「「おはようございます!」」」

「おう、今日の連絡事項を言うぞ」

 

 自分の挨拶の後に続いて周りの奴らも挨拶をした。担任は破山中学校の卒業生で色々あったがきちんと更生して中学校で勤務している。荒れていた時期もこの人だけは他の奴らも礼儀をみせてた程に人徳がある人だ。

 

 連絡事項が終わって卒業後の進路についての話になった。

 

「進撃、お前は雄英高校志望だったよな?」

「ウッス」

「おー!流石姐さんだ」

「学がねぇ俺たちじゃ手も足も届かねえ」

「お前らは就職希望で関係ねーだろ」

「「例えばの話ですよ先生♪」」

 

 元気組が少し騒がしくなったがいつもの事だ。

 

「まあ兎に角、もうすぐ一般入試が始まる。足掬われねぇよう気を引き締めて行けよ」

「わかりました」

「俺からは以上だ。お前ら授業の準備しておけよ」

「「「お勤めご苦労様です!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全部の授業が終わって家に帰りながら町を眺めた。入学時は荒れ果ててたのに今じゃあゴミ一つもない。少しばかり中学3年間頑張った甲斐があったと思えた。心に達成感が湧いて少しくすぐったい。

 

「あ!響鬼ちゃん!今帰りかい?」

「はい」

「おい響鬼、コロッケ持ってけ!あったかいぞ」

「あざっス」

 

 コロッケ屋のご夫婦にお礼を言って歩き出した。

 道中歩いていると町の人から良く声をかけられる。声をかけられる度に高確率で食べ物を持たされるけど…何でだろう。嬉しいから良いんだけど。

 

 

 

 

 俺の夢は破山中学に似合わないヒーロー。小さい頃からヒーローが憧れの存在だった。

 そもそも雄英を目指したきっかけは、雄英高校出身の両親がきっかけなんだ。

 そういえば、俺の個性は「狂声」。自分の声を自在に操ることができる。言ってなかったのな。遅れてすまない。

 

 父親から貰った強靭な体に母親の声に関する個性が合わさった複合型と呼ばれるもので、体が丈夫な分、操れる声の幅が通常よりも広い。そして個性の特性で耳も人より優れている。幼い頃はこの個性の制御に苦労したものだ。悪意のこもった声も遠くから聞こえるし、少し力を入れただけで窓ガラスが気持ちよく割れていくんだ。窓ガラスに至ってはもういくら賠償を請求されたか覚えてない。

 

 でも、それでも両親は怒らなかった。父さんは個性を制御する訓練をしてくれたし、母さんはいつも温かく見守って辛くて涙が出た時は慰めてくれた。

 

 そんな2人の背中を見て育ったからなのか、物心ついた時には自分も両親みたいな人になりたいと思った。その結果がヒーロー志望の選択。

 

 人に迷惑を掛けてきたこともあり、ヴィラン向けの個性だってコンプレックスを抱いていたけど今はそんなことは一切ない。この個性があっての俺だ。両親が誇れるヒーローになる為、俺は必ず雄英に行く。

 

 

 だから…覚悟は良いか雄英。俺は出来てる

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