姐さんのヒーローアカデミア   作:犬吾郎

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朱色の羊さん感想ありがとうございました。

感想にあった助言を参考に一部分変更しています。


高校入試

 遂にこの日が来た。

 

 ヒーローへなる為の最初の壁、雄英高校一般入試。

 その中でもヒーロー科は推薦で4名、一般で36名しか入れない難関中の難関。

 それでもあのオールマイトやTOP10入りしているヒーロー達を多く排出している実績によって毎年偏差値79、入試倍率300倍にも膨れ上がる。

 

 校門付近では大勢の人が途切れることなく学校に入って行く。俺は上を見上げて少し呆然としていた。

 本当に校舎がHの形をしていた。雄英高校の校舎はガラス張りで2つのビルの間に渡り廊下らしきものが繋がっている。確か何処からでもHの形に見えるような構造にしたとTVで見たことがあるけど…何でH?別のでも良いのでは?と思う。凄く思うけど、表には出さず心の中だけに閉まっておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 筆記試験が終わって実技の試験会場に入ると既に大体の席が埋まっていた。座席指定されていたので自分の名前が書いてる場所に座る。偏差値が高いだけあって問題の難易度が凄く高かった。正直最低限の点を取れてるかさえも怪しい。

 

 にしてもやっぱり同じ学校の人が何人かいるのか話している人が多く感じる。

 と言うか破山から進学したのは俺を含めて学年の半分だけだった。残りは全員就職した。

 

 勉強できない奴が集まってる学校だけど、ごく一部の生徒はあの学習環境で素晴らしい成績を残すことがある。同級の奴の1人が模擬のTOP10にランクインを果たした。これには学校全体が驚きお祭り状態だった。そいつは今年東大に入って法律学を専門に学ぶ。

 

 いけねボーっとしてる場合じゃなかった。筆記試験が終わったからって気を引き締めてないと。

 ん?会場が暗くなった、と思ったらライトがついた。何か始まるのか?

 

「受験生のリスナー、今日は俺のライブによーこそ!エヴィバディセイヘイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ………なんか凄く聞いたことのある声がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シ──ン

 

 

 

 

 

 

 

「コイツはシビい。なら受験生のリスナーに実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ。アァユウレディ⁈イエァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 シ──ン

 

 

 

 

 

 

 

 シーンてなるだろ当たり前だ。ノリに乗れるか馬鹿野郎。こちとら受験生、緊張してんだ。てか何であんたが説明者に抜擢されてんだよ。空気読めよ!ゴラァ!って叫びたい心の声を必死に飲み込む。

 

 知らないみんなにも一応説明だけはしておこうと思う。

 

 …遺憾だ。物凄く遺憾なことにヒーロー兼雄英高校英語教師「プレゼントマイク」こと本名山田ひざしは俺の母さん進撃(旧姓山田)奏恵の実弟に当たる人。つまり俺の叔父だ。

 

 この叔父さんはいい人ではあるが、何かと騒がしくしては恥ずかしい思い出をいくつも残すから少し苦手だ。

 中でも1番の黒歴史は、姪っ子が産まれて凄く嬉しかったのか一時期ラジオで大音量で俺の可愛さを永遠と喋り続ける迷場面が動画にアップされていること。中々の視聴率で一向に消える気配がしない。

 

 ……ダメだ思い出すな落ち着こう。話を聞かなくては。

 

 話を聞くと、それぞれ指定の実技試験会場に移動して演習を行う。そこには4種類のロボットが放たれていてヴィラン役をしている。ロボットごとにポイントが設定されていて多くポイントを獲得することが成績に反映される。

 中でも1番謎なのは0ポイントのロボット。お邪魔虫と叔父さんは言ったけど、雄英がそれだけの為にお邪魔虫を用意するとは思えない。頭に置いて行動しよう。注意しておくに越したことはないからな。

 

「そんじゃあ各自会場に移動してくれ!グッドラック!」

 

 

 

 

 

 

 

 バスに会場に着くと街があった。この街も学校の敷地内って何処からお金出てるんだ?国立だから国からってのはわかるけど…絶対予算オーバーしてるだろ。

 

 気を取り直して準備体操をする。ジャージは市販で売られている物を着てきた。

 破山の学校ジャージを着たら広島の人は見てくるだけで良いかも知れないけど、他の県からの不良中学の生徒って思われて印象が悪い可能性がある。一応考慮して学校ジャージは持って来なかった。

 

『準備は良いかぁぁぁあ⁈』

 

 いつでもどうぞ。

 

『はいスタート〜』

 

 軽い合図と同時に走り出した。他の人達はいきなりで困惑してるのか止まっている。

 ヒーローたるもの突然のハプニングに対処しないといけないから今ので対応力を試されたんだと思う。俺が反応できたのは良くも悪くも叔父さんのおかげだ。叔父さんエンターテイナーだから、いつも気を引き締めてないと何してくるかわからないんだよね。鍛えられてて良かった。

 

 街に入るとすぐにロボットが現れた。

 

「ブッツブス!」

 

 おいロボット、ここ国立だろ。口悪過ぎないか?

 

 胴体部分を殴り飛ばすと、思ったより頑丈に作られてないのかすぐに壊れた。演習ように脆くしてるのか。これならいける。

 

「イタゾ!」

「リンチダコノアマ!」

 

ロボット達が集まってきた。時間が勿体ない、速攻で切り抜く。

 

 マシンガンボイス!!

 

ババババババッ!!

 

 

 声を連射してロボットに攻撃した。マシンガンボイスは1番弱くてショットガン位の威力しかない技だけどこのロボットの耐久力なら問題なく一撃で壊れた。

 

「おいヤベーぞ!」

「早くしねーと全部取られる!」

 

 後ろから大勢がやってきた。ちょっと遅かったな。でもこれは競争だから、ごめん。

 さて、次は何奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからロボットを見つけては壊して数分が経った。辺りには壊したロボットで溢れ返ってる。多分50ポイントは超えてると確信してるけど、まだ安心できない。

 

 すると、地面が揺れて辺りから地響きが鳴り響いた。

 

「うわぁぁ!!!」

 

 ビルが崩れて下にいた奴らが潰されそうになってる。ギリ間に合うか?

 

 

 ハァ!!!

 

 

 降り注いだ瓦礫を肺活量で大量に取り込んだ空気を圧縮して声で吹き飛ばす。量が多かったから流石に全部は捌けなかったけど全員上手く避けたのか怪我はなかった。

 

「怪我ねぇか?」

「お、おう!サンキュー!」

 

 赤いツリ目の黒髪男子が大きな声でお礼を言った。

 

 地響きが大きくなるとビルの陰から大きな手が現れた。

 まさか、あれが0ポイントか?邪魔にも程があるだろ。

 

「何メートルあるんだこれ?んーと、隣のビルよりは高いな」

「高さ気にするとこか⁈早く逃げるぞ!ヤベーって!」

 

 黒髪に肩を持たれ振り返ると一目散に後ろにいた連中が逃げ出してた。

 

 …全く。こーゆーのは趣味じゃねぇんだけどな。

 

「お、おい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?この子達逃げる気配無いわね」

「…相変わらずだな」

「そう言うなよイレイザー!俺の姪っ子マジでクールだからよぉ〜」

「あの子がアンタ達が言ってたマイクのお姉さんのお子さん?」

「ザッツライト!俺のビックシスターのチャイルドでマイエンジェル響鬼だぜ!イィヤア!!」

「後半の情報いらないだろ」

「まあ何にせよ、こっからアンビリーバボーな展開が来るのは間違いねーぜ」

「だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あいつ、ヤル気だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ。本当に柄じゃねぇんだけどな、これ。俺どっちかと言えば先陣切って突撃する方が性に合ってんだよな。

 ま、テメーらが逃げてる間は時間ぐらい稼いでやるよ。でも、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 別に0ポイント(コイツ)ぶっ壊しても構わねぇよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 0ポイントに向かって歩いていると、後ろから黒髪が慌てた様子で走ってきた。まだ逃げてなかったのか。普通に驚く。

 

「逃げてなかったんだな」

「見捨てれるかよ!てか目の前まで来ちまったじゃねーか!どうすんだこれ!」

「ぶっ壊す」

「これぶっ壊すつったて…マジか…っ、残っちまったからには俺もやるぞ!!でもどうすんだ?こんなデカーのどうやって壊す?」

「黒髪。お前個性はどんなやつだ」

「硬化だ!全身を硬くする!あと、俺は切島鋭児郎。名前言ってなくて悪かった!よろしくな!」

「進撃響鬼。時間がねぇから手短に話すぞ」

「おう!」

 

 切島に手順を伝えて直ぐに行動に移した。

 

 

 

 

「……なぁこれ大丈夫か?」

「恐らく大丈夫」

「不安しかねーんだが⁉︎」

 

 説明しよう。

 今、俺は切島の胸倉を持って吊り上げて0ポイントに向けて鉄球投げのフォームを維持してる状態だ。

 これだけ言えば皆まで言わなくてもわかるだろ?

 

「現状これが1番確実なんだよ。そろそろ逝くぞ」

「ちょっと待て、なんか漢字が違ぇ「逝って来い!」オォァァァァアアアア!!」

 

 切島砲、発射

 

 切島の発言を無視してそのまま切島を投げた。

 切島は放物線を描きながら0ポイントの足元に近づいていく。

 

「ッ!ウォラァァ!!」

 

 ぶつかる前に全身を硬化して0ポイントの右足付近を殴った。投げられたスピードも合わさり右足首が限界を保っていない。0ポイントはバランスを崩して右に傾きながらしゃがみ込んだ。

 

 切島は即座に立ち上がりこっちに全力で走り出す。

 

「進撃ーー!!ブチかませーーー!!」

「あとは任せろ切島」

 

 切島を投げ飛ばした後、直ぐに空気を大量に吸い込み声に変換。そして0ポイントの頭上に向けて圧縮した声の玉を放ち準備を完了していた。

 

 

 ドッドッドッドッ…!

 

 

 0ポイントの頭上からゆっくりと落ちてくる声の玉の内部では、小さな球がいくつも生まれて球同士がぶつかり合い勢いを増していた。

 その勢いの増加に応じてぶつかる速さも音も大きくなる。

 

「内部で反響を増幅。さあ落ちな、音の落雷よ」

 

 球がまだ追えない程にスピードを増した後、声の玉は弾けた。

 

 

 バァァン!!

 

 サンダーノイズー!!

 

 

 声の玉は稲妻の様に変化し、0ポイント向けて落ちた。

 サンダーノイズの落ちた衝撃で周りにあった瓦礫が吹き飛びこっちにも飛んできた。

 

「危ねぇ!!」

 

 瓦礫にぶつかる前に切島が俺を庇った。庇われたことに驚いて体制を崩した俺と切島が揃って地面に倒れ込む。

 

 倒れ込んだ時に丁度サンダーノイズが消え去り辺りが静かになった。

 

「大丈夫か進撃、ッ⁈」

「おう、サンキュー」

 

 切島が固まった。どした?

 

「ご、ごめん!!」

「何が?」

 

 切島は顔を真っ赤にして慌てて離れた。理解が追いつかない。なんで顔赤くなってんだよ。何処に顔赤くする要素あった?おい、逃げんなコラ。

 

 

 

 

 俺が逃げる切島にムカついていた時、0ポイントは黒く焦げて煙を噴き出していた。

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