バトルスピリッツ Legendary Liberator   作:bustered

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どうも、busteredです。
かなり久しぶりの投稿になってしまいました……
Y学園を読んでいてそれを楽しみにしていただいた方、そちらももう少しで出来あがりますので、もう少しお時間を……
今回はプロローグからずっと放置していたバトスピの小説を投稿させていただきます。
ただ、今回は会話パートとバトルパートを合わせるとかなりの文字数になるので、その1とその2に分けさせていただきます。
それでは、どうぞ。


第1話 運命の出会い その名は赤星カズマ! その1

──ここはとあるコンビニ。

 

そのイートインコーナーにて、2人の少年が机に突っ伏していた。

 

「……うっぷ……」

 

「……うえっぷ……」

 

彼らの近くにはお菓子のゴミの山。その菓子の袋には、

 

"バトルスピリッツ ウエハース"

 

というタイトルとスピリットのイラストが描かれていた。

 

知っている人もいるかもしれないが、このお菓子はバトルスピリッツのカードが1枚入っている。

 

この少年たちは、このお菓子をカレコレ10袋以上も食べているのだった。

 

「こ……これで……20袋目……出てくれ、Xレア……!」

 

苦しそうに最後の1袋を開ける緑髪の少年。

 

しかし、現実は非情である。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」

 

出てきたのはXレアでもなければレアでもない、ただのコモンカードであった。

 

「……悔しいのはわかるけど、店の中なんだからもうちょっと静かにしようよ……」

 

そう言いながらもう一人の少年──赤髪の少年もまた苦しそうに緑髪の少年を注意した。

 

 

 

 

 

赤髪の少年は、失意の中最後のウエハースを食べている緑髪の少年を横目にゴミをまとめ始めていた。

 

「いつも付き合わせちまって悪いな、カズマ」

 

緑髪の少年はゴミをまとめている赤髪の少年──"赤星(あかほし)カズマ"にそう言いながらウエハースをかじった。

 

「いやいや、いつもお菓子を奢ってもらってるんだしお礼を言うのはこっちの方だよ、リョウジ」

 

カズマはニッコリ笑いながら緑髪の少年──"緑川(みどりかわ)リョウジ"に返事をした。

 

不意にリョウジがカズマにこう言った。

 

「なあカズマ、お前もそろそろやってみないか?バトスピ」

 

すると、カズマのゴミをまとめる手が止まった。

 

「いつも付き合わせちまって悪いとは思ってるが、カズマにもやってほしいと思ってるんだよ」

 

カズマはそう言われるも、複雑そうな表情で、

 

「俺もやってみたいとは思ってるけど……なかなかピンと来るやつがいないんだよなあ……」

 

と言った。

 

「……そうか……まあ、始めるなら自分が気に入ったカードを使いたいもんな」

 

それにつられ、リョウジも複雑な表情を浮かべた。

 

「ごめんな、リョウジ……」

 

「いいっていいって」

 

少し気まずい空気になってしまい、カズマはこの話題を終わらせることにした。

 

「んじゃあ、こいつら捨ててくるな」

 

「おう、悪いな……うえっぷ」

 

そう言ってカズマは集めたゴミを持ってコンビニの外のゴミ箱へと向かった。

 

 

 

 

 

「ふう……こんなに食べちゃったけど、この後の夕飯食べられるかな……?」

 

と言いながらゴミ箱にゴミを入れようとしたカズマだったが、

 

「うわっ!?」

 

うまく入らず、ゴミ箱の周りにゴミを散らしてしまった。

 

「うわぁ、やっちゃった……うん?」

 

そう言いながらカズマがゴミを拾い集めていると、ゴミの隙間から何かが出ているのが見えた。

 

よく見るとそれは、バトルスピリッツのカードだった。

 

「リョウジってば抜き忘れたのかな……?」

 

カズマがそう言いながらそのカードを手に取ると、

 

「……!?」

 

ビリッと体に電流が流れる感覚を覚えた。と同時に、

 

"このカードを手離したくない"

 

という衝動に駆られたが、すぐにハッと我に返り、そのカードを拾いつつもそそくさとゴミを捨てたのだった。

 

 

 

 

 

リョウジの元に戻った後も、カズマは先程のカードのことを考えていた。

 

「おう、おかえり……どうした?何かボーッとしてるけど……」

 

リョウジは戻ってきたカズマの様子が変なことに気付き、カズマに声をかけた。

 

「……えっ!?いや、何でもないよ……」

 

リョウジに声をかけられたカズマはまたハッと我に返り、そう答えた。

 

「……そうか?んじゃあそろそろ帰ろうか」

 

「そ、そうだね……」

 

結局その日はちょっとぎこちないまま解散となったのだった。

 

 

 

 

 

「ただいま……」

 

カズマは家に帰ってきて早々に自分の部屋のベッドに寝転んだ。

 

「……ハァ~……」

 

ため息をつきながらポケットからある物を取り出した。

 

それは先程、ゴミの中から見つけたカードだった。

 

「……結局持ってきちゃったな……」

 

あの後結局、そのカードをリョウジに返すことを忘れ、そのまま持ってきてしまったのだった。

 

「でもどうして手離したくないなんて思っちゃったんだろう……」

 

ベッドで寝転びながらカズマがカードを眺めていると、急に睡魔が襲い、カズマは眠りに就いてしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うーん……って……どこだ、ここ……?」 

 

カズマが目を覚ますと、そこは荒野のような場所だった。

 

どこまでも広がる荒野。しかし遠くには山や森、海も見える。

 

この時カズマはすぐに理解した。これは夢だ、と。

 

すると、カズマの背後で何かがこちらに駆けて来る音がした。

 

カズマが振り返って見るとそこには、とても体が小さなドラゴンがいた。

 

その小さなドラゴンはカズマの体をすり抜け、そのまま走り去っていった。

 

「(もしかして今のは……スピリット……?)」

 

リョウジが持っていたカードの中に今のドラゴンと似たスピリットがいたことを思い出し、自分は今、バトルスピリッツの世界にいるのではないか、とカズマは考えた。

 

どうやらその考えは当たっていたようで、先程のドラゴンを皮切りに様々なスピリットが行き交っていった。

 

四足歩行で走るドラゴン、大きな翼をはためかせて飛ぶドラゴン、いろいろなドラゴンがカズマの眼前を通り抜けていった。

 

「(すごい……これがスピリット……!)」

 

すると、感心しているカズマの目の前に1体のスピリットが翼をはためかせながら降りてきた。

 

そのスピリットは今まで見えたドラゴンの中では一番大きく、とてつもない威圧感を放っていた。

 

カズマはそのスピリットに見覚えがあった。

何故ならそのドラゴンこそ、カズマが持ってきたカードに描かれていたスピリットだったからだ。

 

「……君がこの世界に連れてきたの?」

 

カズマはそう質問をしたが、ドラゴンは

 

『グルルル……』

 

と鳴いただけだった。

 

するとドラゴンはゆっくりと頭をカズマの方へと近付けた。

 

カズマは驚きながらも、ドラゴンの頭に優しく手を乗せた。

 

カズマがドラゴンの頭に手を乗せた瞬間、そこから光が溢れ出し──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ!?」

 

──目を覚ますと、自分の部屋のベッドの上だった。

 

「今のは一体……」

 

時計を見ると、すでに2時間も経っていることに気付いた。

 

そろそろ夕飯の時間だった。

 

カズマは手に持っていたカードを見て少し考えたが、

 

「……明日、ちゃんとリョウジに謝って返そう……」

 

と言ってカードをカバンの中に入れ、自分の部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

翌日──

 

放課後になり、人が少なくなった教室でカズマはカードをリョウジに渡しながら謝っていた。

 

「ごめん!昨日ゴミを捨ててた時に見つけたんだけど結局渡しそびれちゃって……」

 

リョウジは驚いた顔をしつつも、カズマにとあることを聞いた。

 

「……どうしてすぐに渡さなかったんだ?」

 

「えっと……何故だかはわかんないんだけど、なんか手離したくないなあ、って……」

 

「……つまり、カズマはそのカードが気に入ったってことか?」

 

「え?うーん、まあそうなる……のかな?」

 

そう言いながらカズマがリョウジの方を見ると──リョウジはなんと涙目になっていた。

 

「えっ!?ご、ごめん!泣くほど悲しかった!?ホントゴメン!もう二度とこんなことしないから……!」

 

カズマは自分がリョウジを泣かせるほどひどいことをしてしまったのかと思い、必死に謝っていたが、次の瞬間、

 

「──ようやくバトスピに興味を持ってくれたかあああああぁぁぁぁぁ!!」

 

リョウジは涙目の顔とは裏腹に歓喜の雄叫びをあげた。

 

どうやら涙目だったのはカズマがバトスピに興味を持ってくれたことに対する嬉し涙だったようだ。

 

「え!?……怒って、ないの?」

 

「怒るわけないじゃないか!まあ確かに黙って持っていったのはアレかもしれないが、そんなこと今は些細な問題さ!」

 

「そ、そうか……」

 

許してくれたのは嬉しいが、こんなに必死になって謝ったのは何だったんだと思い、ちょっと複雑なカズマであった。

 

「よし!そうと決まれば早速いくぞ!」

 

「いくって……どこへ?」

 

「決まってるだろ?バトスピをしに、だよ!」

 

リョウジはそう言うと、そのカードをカズマの制服の胸ポケットの中に入れ、カズマの腕を掴んで引っ張った。

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよリョウジ!」

 

半ば引きずられる形でカズマはリョウジと共に教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……カズマ?」

 

──教室を出る時に一人の金髪の少女とすれ違いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ着いたぞ!」

 

リョウジはカズマの腕を掴んだまま、ある建物の前で止まった。

 

「ここは?」

 

「俺の行きつけの店、カードショップ"四季"だ!」

 

カズマが連れてこられたのは、アパートのような建物でその1階が店になっているカードショップ、"四季"であった。 

 

"四季"というちょっと和風な名前の店ではあるが、看板はポップなフォントで描かれており、四季の名前通りそれぞれの季節をイメージしたカラーリングで彩られていた。

 

「店長!こんちゃーす!」

 

リョウジが軽い挨拶をしながら店に入っていったので、腕を離してもらったカズマも中へ入った。

 

店の中は案外広く、店の中には様々な物が置いてあった。

 

カードのパックを陳列しているラック。

高額なカードを1枚ずつ陳列させているショーケース。

対戦をするために多く設置されたバトルテーブル。etc……

 

中でも目を引くのが、バトルテーブルの奥にある大画面のモニターとその手前にある小さなステージだった。

 

「(イベントでもある時にでも使うのかな……?)」

 

そんな風にカズマが考えていると、店のレジから緑色のエプロンをした銀髪の青年が近付いてきた。

 

「いらっしゃい、リョウジ君。……おや、君は?」

 

「店長、紹介します。こいつが前々から言ってた俺の親友の赤星カズマです」

 

「ああ、この子がそうなんだね」

 

「カズマ、この人がこのカードショップ"四季"の店長で凄腕のカードバトラー、"白紫(はしば)トウジ"さんだ」

 

「は、はじめまして。赤星カズマです」

 

「はじめまして。僕は白紫トウジ。今紹介に預かった通り、このカードショップ"四季"の店長をしています。君のことはリョウジ君から聞いてるよ。凄腕のカードバトラーっていうのはちょっと違うかもしれないけど……これからも当店をご贔屓にしてくれると嬉しいかな。これからよろしくね、カズマ君」

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

そうしてカズマとトウジは互いに自己紹介を済ました。

 

「というわけで店長、早速なんだけどカズマの"ライセンスカード"を作りたいんだけどいいかな?」

 

「オッケー。じゃあ準備をするからちょっと待っててね」

 

そう言ってトウジはレジに戻ると、その近くのパソコンを起動しながら作業をし始めた。

 

「なあリョウジ、ライセンスカードって何だ?」

 

「ああ、そういえば言ってなかったな。ライセンスカードってのはバトラーの情報が詰め込まれたIDカードで、これがあると大会にエントリーすることができたりポイントを貯めて景品と交換したりすることができるんだ。それにこれがあることで……」

 

とリョウジがライセンスカードについて説明していると、途中で止まってしまい、顔がどんどん青ざめていった。

 

「どうしたの?リョウジ……」

 

「ヤベえ!一番重要な物を忘れてた!すまんカズマ、なるべく早く戻るからちょっと待っててくれ!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっとリョウジ!?」

 

そう言うやいなや、リョウジは大慌てで店を出ていった。

 

それとほぼ入れ替わるようにトウジが戻ってきた。

 

「お待たせー……って、リョウジ君は?」

 

「ああ……何か、一番重要な物を忘れたー……って言って出てっちゃいました……」

 

「そ、そうなんだ……」

 

どうやらトウジもその様子を想像できたようで、苦笑いを浮かばせていた。 

 

「おっとそうだ、これがライセンスカードを作るための書類だよ。これに必要なことを書いて、書けたら僕に渡してね」

 

そう言ってトウジは書類とペンと下敷きを渡してレジの方へと戻っていった。

 

書類には基本的な情報に加え、下の方にはアンケートのような質問欄もあった。

 

カズマは基本的な情報をさっさと書き終え、アンケートへと進んだ。

 

その質問の中には、

 

"あなたの好きな色を選んでください"

 

というものもあり、それは合計6つの選択肢に分かれていた。

 

カズマは少し考え、自分の名前や髪の色、そして何より今自分の胸ポケットに入っているカードから、"赤"のマークシート欄にチェックを入れた。

 

そうしてアンケートも順調に答え、全ての記入欄に書き入れ終えたカズマは、それをトウジへと渡した。

 

「あ、書き終わった?じゃあ最後にライセンスカードに載せるための写真を撮るから、こっちへ来てくれるかな?」

 

トウジにそう言われ、カズマは彼にレジの奥へと案内された。

 

レジの奥の壁は白く塗られており、写真を撮るには最適な場所だった。

 

トウジは手に持っていたタブレットに備え付けてあるカメラでカズマを撮影した。

 

「よし。あとはさっきの書類と写真を送れば数分後には発行されると思うから、それまで店の中で待っててくれるかな?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

そうしてトウジは最後の手続きを始め、カズマは店内を見て回ろうとしたその時、店のドアが開いた。

 

そこには、大きなバッグを背負い、かなり息切れをしているリョウジの姿があった。

 

「ぜぇ……ぜぇ……カズマ……お待たせ……ヒィ……ヒィ……」

 

「お、おかえりリョウジ……どこへ行ってたの……?」

 

「ヒィ……ヒィ……家に……忘れ物……取りに……行って……チャリで……戻って……来た……ぜぇ……ぜぇ……」

 

「そ、そっか……ところで、何を取りに行ったの?」

 

リョウジはやっと息を整え、普通に話し出した。

 

「決まってるだろ!バトスピのカードだよ!」

 

そう言ったリョウジはバッグの中から複数の箱を取り出し、それを開けるとその中から複数枚のカードを出した。

 

「せっかくお前のフェイバリットカードが見つかったんだ、それを最高に活かせるデッキで戦いたいだろ?だからいっぱいカードを持ってきたぜ!まだライセンスができるまで時間あるだろ?カードやルールについて教えるから一緒にデッキを作ろうぜ!」

 

「リョウジ……うん、ありがとう!」

 

二人はバトルテーブルとは違う普通のテーブルのイスに座り、カードを広げ始めた。

 

「よし、じゃあまずはバトスピのルールについて教えていくぞ」

 

「よろしくお願いします」

 

「"バトルスピリッツ"……通称"バトスピ"はカードとコアを使って戦うTCGだ。40枚以上のカードの束、デッキを用いてスピリットを召喚したりマジックを使ったりして相手のライフを破壊。先に相手のライフを0にした方が勝者となる……とザックリ説明してみたがある程度のルールはわかったか?」

 

「うん。相手のライフを0にした方が勝ち、なんだね?」

 

「その通りだ!じゃあ次はカードの種類についてだが……」

 

 

 

 

その後もリョウジによるレクチャーは続いていき……

 

 

 

 

「……とまあ、基本的なことはこれで全部かな。どうだ、だいたいはわかったか?」

 

「うん、カードの種類についてもだいたい覚えられたよ」

 

「じゃあ次はいよいよデッキ構築だ!本当だったら構築済デッキを買うのがいいんだが……やっぱり、あのカードを使いたいだろ?」

 

カズマは強く頷くと、自分の胸ポケットに入っているカードを取り出した。

 

「じゃあさっき言った通り、そいつを最大限に活かせるデッキを作ろう。今回は俺がほとんど作るから、よく見て、これからのデッキ構築の参考にしてくれよ?」 

 

「うん、わかった」

 

リョウジはカズマにレクチャーしながらデッキを構築していった。

 

カード枚数のバランス、役割、戦術etc……

 

そうして、1つのデッキが完成した。

 

すると、リョウジはおもむろに赤い束を取り出してカズマに渡した。

 

「これは"スリーブ"って言って、カードを保護するためのプロテクターだ。大切なカードはキレイにしておきたいだろ?入れてみな」

 

カズマは先程できたデッキのカードを1枚1枚入れていき、最後のあのカードはまだ梱包材に入れたままだったので、それを丁寧に取り外し、スリーブに入れた。

 

「これで……バトルができるようになったの?」

 

「ああ!だが、デッキができたからってそれで終わりじゃない。やっぱり実戦あるのみだ!というわけで、俺がティーチングバトルを……あれ?」

 

リョウジはバッグの中をまさぐっていたが、また顔が青ざめていた。

 

「今度はどうしたの?」

 

「俺のデッキ……通学用カバンに入れっぱなしだった……」

 

「あっ……」

 

そう、リョウジはいつも自分のデッキを通学用カバンの中に入れており、今日も入れていたのだが、先程家に戻った時にそのカバンを置いていってしまったのだった。

加えて今持ってきたバッグも、バラのカードはいっぱいあるものの、デッキとしてまとめられるほどではなかった。

 

「ま……また往復するしか……」

 

「いやもういいよ!疲れてるだろ?」

 

「大丈夫、今度は行きもチャリだから……」

 

「カズマ君お待たせ……あ、リョウジ君おかえり。それで……今どういう状況?」

 

カズマとリョウジが戻る戻らないで話し合っていると、そこへトウジがやって来たが今の二人の状況に困惑していた。

 

カズマが状況を説明すると、トウジはこんな提案をしてきた。

 

「なるほど……だったら僕がティーチングバトルをしようか?」

 

「え"」

 

「いいんですか?」

 

「もちろん!せっかくバトスピに興味を持ってくれたんだもの。それを教えるのも店長の役目だからね」

 

「ありがとうございます!」

 

トウジの提案にカズマは嬉しそうに返事をしたが、リョウジはあまり面白くなかった。

 

「ずるいぞ店長!俺がカズマの初めてをもらうつもりだったのに!」

 

「コラ、言い方。……おっとそうだ」

 

トウジはリョウジの文句の言い方にツッコみながら、カズマにある物を渡した。

 

「カズマ君、これが君のライセンスカードだ。これで君もカードバトラーの仲間入りだね」

 

カズマは受け取った自分のライセンスカードをまじまじと見つめた。

 

カードの枠は赤色に縁取られ、右側には先程撮った写真が印刷されており、左側には名前やIDナンバーが記載されていて、中心には六角形のルビーがデザインされていた。

 

「これが、俺だけのライセンスカード……!」

 

カズマは目を輝かせながら、感極まっていた。

 

「さてと、じゃあ二人ともこっちへ来て」

 

トウジは二人をバトルテーブルの方へと案内した。

 

「店長、今回は"バトルフィールド"は使わないのか?」

 

「残念だけど、今日は予約でいっぱいでね……まあその初めてを君がとればいいんじゃないかな?」

 

「そっか……それもそうだな!」

 

カズマは二人の会話を理解できなかったが、とにかくリョウジが納得してくれたことだけは理解できた。

 

「さてカズマ君、君のライセンスカードの裏側を見てくれるかな?」

 

トウジの言う通りにライセンスカードの裏側を見ると、6箇所に窪みのようなものがあることに気が付いた。

 

「それは"ライフカウンター"と言って、バトスピをする際にライフとなるコアを置ける窪みとなっているんだ」

 

次にトウジは、バトルテーブルの左側にある窪みを指差し、

 

「ここに、ライフカウンターの面が上になるように、ライセンスカードを置いてね」

 

と言いながら、もう一つの窪みに自らのライセンスカードを置いた。

 

カズマが言われるがままライセンスカードを置くと、テーブルが一瞬光り、中心に備え付けられているモニターが作動した。

 

モニターには、まっ平らな平地が広がっているだけの殺風景な映像が流れていた。

 

「じゃあ、バトルの準備をしていこうか。」

 

そう言うとトウジはたくさんの透明な水色の結晶が入った小さな容器を持ってきた。

 

「もう知ってるとは思うけど、これが"コア"。バトスピにおいてカードと同じくらい重要な物さ。ゲームの前にこのコアをライフに5個、リザーブに3個置いてね」

 

カズマは容器の中からコアを8個取り出し、5個をライフカウンターの窪みに、3個をライフの下の"リザーブ"と呼ばれるゾーンに置いた。

 

「次は、リザーブにもう一つコアを置くよ。でも、これはただのコアじゃない。これは"ソウルコア"と言って、ゲーム中1人一つだけ与えられる特別なコアなんだ」

 

そのコアは他のコアとは違い、枠が銀色に縁取られ中心が透明な赤色だった。これこそ、ソウルコアなのだ。

 

二人はソウルコアをそれぞれのリザーブに置いた。

 

「これでコアの準備はOK。次はカードの準備だ。自分のデッキをシャッフルして、相手にデッキカットをしてもらおう」

 

シャッフルの方法については人によって様々だが、二人は同じようにカードを数枚の束に分けた後に一つにまとめてシャッフルした。所謂、ディールシャッフルからのヒンドゥーシャッフルである。

 

その後、二人はお互いのデッキをカットし、デッキゾーンに置いた。

 

「次に先攻と後攻を決めるよ。本来ならじゃんけんやコイントス、ダイスなんかで決めるんだけど、今回はティーチングだし、おさらいも兼ねて僕が先攻をもらうね」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

「最後にデッキの上から4枚を引いて最初の手札にすれば、バトルの準備は完了だよ」

 

トウジの動きを見て、カズマもデッキから4枚のカードを引いた。

 

「さあ、バトルを始めよう。用意はいいかな?」

 

「はい!」

 

準備が完了したところで、二人はおなじみの掛け声を掛けた。

 

 

 

   「「ゲートオープン 界放!!」」

 

 

 




バトルパートへ続きます。
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