Bloodborne × ワールドトリガー 血濡れの万能手   作:たっつんG2

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出会い 幼年期の始まり

「くそっ、小南の女郎、しっぽり搾りやがってっ!」

 女子中学生のヘタクソな先輩ヅラが脳裏にリフレインする。

 街中でそんな独り言を言うものだから、通行人がちらほら俺の方を向く。

 

 しかしまあいい。許そうじゃないか、許そうじゃないか。今日の俺は機嫌がいい。

 何故なら金曜日の夜だから。それだけじゃない。これまでの節制が実を結び、ゲームソフトを一本買える日だからである。

 

 嫌なことがあった日はゲームに限る。

 潰れた自宅から引き揚げた思い出のPS4に、その日の悩みと辛みを全て吐き出してしまうのだ。

 

 これがあるからこそ、太刀川さんにボコられようが、小南にいじめられようが、平静を保っていられる。

 

 何より、プレステを遊びに来る、お隣さんの真登華(まどか)ちゃんと沙耶香(さやか)ちゃんがかわいいのだ。

 

 仮設住宅の暮らしになってから、お隣の宇井さんには何かと世話になっている。おかずをもらったり、おかずをもらったり。

 

 その代わりと言っちゃなんだが、共働きの両親の代わりに、よく宇井家の姉妹二人の面倒を見ているのだ。それで、よくプレステやトランプで遊んでいる。

 

「前はみんなでできるレースゲー(グランツーリスモ)だったから――今月は一人でじっくりできるのにするかな」

 

 中古屋に足を踏み入れると、古本特有の香りが心地よく鼻に広がる。

 入店して右手にある螺旋階段を登り切ると、棚の中に所狭しとPS4のソフトが詰められていた。

 

 今回、重点的にピックアップするのはRPGとアクション、そしてFPS。

 

 ……いや、インターネット環境が整っていない仮設住居でFPSは今一つ面白みに欠ける……となると、選択肢は自ずと、インターネットを必要としないゲームに限られてくる。

 

 ドラクエ、ファイナルファンタジー、メタルギア……

 ビッグネームを手に取っては、棚に戻す。

 

 はたまた、ベンチャーにするか、悩ましい。

 

 そう考えていた時だった。

 

「……Bloodborne?」

 

 あるソフトに目が止まる。煤けた背景に男の後ろ姿が写っているだけの、簡素なデザイン。

 

 男はノコギリのようなものを右手に、短銃を左手に持ち、何かと対峙するように、ただ立っていた。

 

 妙なことにそのソフトから目が離せない。パッケージ裏まで舐めるように見てしまう。

 

 一人用。

 

 だそうだ。

 

 値段は、予算ギリギリ。

 

 しかし、俺は気がついたらレジの前にいた。

 

 これだ、と、店から出てから腑に落ちた。

 

 このソフトは、俺を必ず高みへと導いてくれる。

 

 根拠のない高揚感が、ただひたすらに心地よかったのを覚えている。




 注釈
 Bloodborne、現在では非常にお求めやすい価格で販売されています。
 よろしければぜひ購入をご検討ください。
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