Bloodborne × ワールドトリガー 血濡れの万能手 作:たっつんG2
「くそっ、小南の女郎、しっぽり搾りやがってっ!」
女子中学生のヘタクソな先輩ヅラが脳裏にリフレインする。
街中でそんな独り言を言うものだから、通行人がちらほら俺の方を向く。
しかしまあいい。許そうじゃないか、許そうじゃないか。今日の俺は機嫌がいい。
何故なら金曜日の夜だから。それだけじゃない。これまでの節制が実を結び、ゲームソフトを一本買える日だからである。
嫌なことがあった日はゲームに限る。
潰れた自宅から引き揚げた思い出のPS4に、その日の悩みと辛みを全て吐き出してしまうのだ。
これがあるからこそ、太刀川さんにボコられようが、小南にいじめられようが、平静を保っていられる。
何より、プレステを遊びに来る、お隣さんの
仮設住宅の暮らしになってから、お隣の宇井さんには何かと世話になっている。おかずをもらったり、おかずをもらったり。
その代わりと言っちゃなんだが、共働きの両親の代わりに、よく宇井家の姉妹二人の面倒を見ているのだ。それで、よくプレステやトランプで遊んでいる。
「前は
中古屋に足を踏み入れると、古本特有の香りが心地よく鼻に広がる。
入店して右手にある螺旋階段を登り切ると、棚の中に所狭しとPS4のソフトが詰められていた。
今回、重点的にピックアップするのはRPGとアクション、そしてFPS。
……いや、インターネット環境が整っていない仮設住居でFPSは今一つ面白みに欠ける……となると、選択肢は自ずと、インターネットを必要としないゲームに限られてくる。
ドラクエ、ファイナルファンタジー、メタルギア……
ビッグネームを手に取っては、棚に戻す。
はたまた、ベンチャーにするか、悩ましい。
そう考えていた時だった。
「……Bloodborne?」
あるソフトに目が止まる。煤けた背景に男の後ろ姿が写っているだけの、簡素なデザイン。
男はノコギリのようなものを右手に、短銃を左手に持ち、何かと対峙するように、ただ立っていた。
妙なことにそのソフトから目が離せない。パッケージ裏まで舐めるように見てしまう。
一人用。
だそうだ。
値段は、予算ギリギリ。
しかし、俺は気がついたらレジの前にいた。
これだ、と、店から出てから腑に落ちた。
このソフトは、俺を必ず高みへと導いてくれる。
根拠のない高揚感が、ただひたすらに心地よかったのを覚えている。
注釈
Bloodborne、現在では非常にお求めやすい価格で販売されています。
よろしければぜひ購入をご検討ください。