Bloodborne × ワールドトリガー 血濡れの万能手 作:たっつんG2
ラウンジに入った時、空気が違うように感じた。
重いというか、苦いというか、これまでとは覚悟が違うからか――
今までの私は、ダメで元々、勝てずとも得られるものはあるだろうと、手を抜いていた節がある。
どうせ勝てないと。
違う。
勝たなければ、得られるものは、勝利への道標だけなのだ。
そしてそれの使い道とは、勝つこと、それのみである。
先へと進むには、勝つしか道はない。
それは嫌というほど学んだ。
聖職者の獣、あるいは神父。
何度殺されたか、十を超えたあたりから数えるのを諦めた。
だからこそ、勝つ。
味方だとか仲間だとかは関係ない。
戦うからには、殺す気で臨む。
ラウンジにやはりいた。
ヒゲである。
「太刀川さん」
一言声を掛けると、ヒゲはこちらを向いてニヤリと笑った。
「おーう柊、お疲れ。今日はどうしたんだ?
「とりあえず、百本頼みます」
それを聞いた時、太刀川さんはずいぶん楽しそうな表情を浮かべ、重い腰を上げて立ち上がる。
やけに背が高く見えた。
「久しぶりに顔出したと思えば、ずいぶん積極的だな。なんかあったんだろ」
肩を伸ばしながら、そんなことを言う。
「彼女にでも振られたか」
「いや、その逆ですよ、いい人を見つけたんです」
まじか! 格子状の目を張ってそんな事を言った。
「名前は? なんて言うんだ? かわいい?」
「エミーリア」
呟くように言うと、太刀川さんは聞き返した。
「は!? 外人?」
「そのうちわかりますよ」
ブースに入って、太刀川さんを指名した。
トリオン体は仮想戦闘体となり、住宅街の一角で、ある程度の距離を離して太刀川さんと対峙する。
「そんじゃいっちょ、お手並み拝見――」
右の旋空。
発動するその瞬間。
神速の
不意打ちのような一本。しかし、一本は一本だ。
『おい柊! お前どうしたんだ、そのトリオン体のモデル!』
太刀川さんのブースからの通信。
あの人が言っているのは、月見に頼んで作ってもらったモデルのことだろう。
ヤーナムの狩装束を元に、カラーリングをボーダー正隊員の青色にしたもの。
目深帽子つき。ロングコートが最高にカッコいい逸品である。
『カッコいいでしょう。あげませんよ』
『めっちゃカッコいいな、それ! 俺もコートにしようかな』
『ごちゃごちゃ言ってないで、次、行きますよ』
『あっ! 待てお前その銃って――』
二本目が始まる。
太刀川さんは
「おいおい柊、そんな初見殺しずるいぜ。てか、なんだ? そのトリガー構成。銃と剣って、聞いたことねえぞ!」
お構いなしに距離を詰める。
太刀川さんは冷静に旋空の構えをとる。この距離ではアステロイドは届かない。確かに、賢い選択。
しかしこの距離ならば――孤月を立てて、旋空の横一閃をなんとか弾く。
私の孤月には深いヒビが入った。
切先ほど速く、強くなる旋空。しかし、あくまで刀身を伸ばしているだけにすぎない。
こうして凌ぐこともできはする。
が、あと半歩引いていたら叩き折られていたろう。
「ほー、運のいい奴だな」
太刀川さんはニヤリとそんなことを言う。
バカ言え、私が何度その旋空で叩き斬られたと思っている。
左手をぴくりと動かす。銃撃を警戒してシールドを張る。
あの太刀川さんが、私の一挙手一投足をつぶさに観察し、それでいて警戒していると思うと、なかなかに気分がいい。
私は流れるように、
しかし太刀川さんはしっかりとそれを警戒して、上に跳んでくれた。
瞬間、駆け出して距離を詰める。
焦って旋空を放つ太刀川さんだが――その角度からでは、死角が生まれる。
スライディング。間一髪で避け、土手っ腹に銃弾を撃ち込む。
太刀川さんもバカではない。旋空を避けられるや否や、シールドを展開したが――
持てる限りのトリオンを注ぎ込んだアステロイドは、シールドさえも粉砕した。
主人公強化イベの度に、へその緒を得る演出どうですか?
ネタバレになりますかね?