終わりの魔導書   作:peg

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五分未満で読めるのは、平均して何文字くらいなんですかね……?


聖杯戦争

 とある日、隣国に出張していたハゲ店主が、また厄介なものを持ってきた。

 それは、土器で出来た杯だった。

 おおよそ、栄華なものから程遠く、一見して貧民の使うような器に見えるソレは、名を聖杯と言った。

 古くは、世界で覇権を握った帝王などが大事に持っていたとされる、曰く付きの物なんだそうだ。

 己の知識の中にある聖杯は、ありとあらゆる願望を叶える万能の器で戦争しないと手に入らないという物であったし、これと違って黄金に輝いていた。

 

「おいおいおい。馬鹿馬鹿しい。誰だそんなこと教えたやつは?」

「魔導書……おまえ……?」

 

 ハゲ店主とウン某が、二人して己をバカにしてきた。お、おのれ……。

 

「いいか。聖杯ってのは、こいつで朝に1日1杯の水を飲むだけで、お通じが改善し寿命がちょっと伸び、子供が沢山生まれるんだ。隣の国で流行っているんだぞぉ~? 知らんのかぁ~? ん??」

「……」

 

 ハゲ店主がここぞとばかりに煽ってきたが、己には分かる。これは、絶対騙されている。お通じ辺りの下りで、既に消化器官を持たない己でも分かったぞ。ウン某も、半目でハゲ店主を見ていた。

 

「それで、いくらしたんですか?」

「なんと。聞いて驚くなよ! 金の卵いっこだ! いつもの半額なんだってよ!」

 

 なんともまぁ、ぼったくられたものである。これだけであれば、ただハゲ店主が騙されただけで済んだのであった。

 

「馬鹿だなぁ、お前ら。こういうのは、高い方が効果があるんだよ」

「……はいはい」

 

 きっと、高い方が売れるの間違いだろう。得てして、怪しい商品ほど高いものだ。特に金を持った人間は、長く生きた老人が多く、生にしがみ付こうとする。まぁ、これ以上は、本である己が考えても詮無きことか。

 

 それから数日後、聖杯は金の風見鶏を磨くときに使う水差しになった。ハゲ店主は、聖杯に3日で飽きた。そもそも朝に起きないのだ、こいつは。

 しかし、金の風見鶏には効果があったらしい。毎朝ウン某が、その水を使って磨いていたのだが、なんと金の卵を多く生むようになったのだ。1日1個だが……。

 

「いやぁ~、俺には分かってたんだ。こうなるってな!」

 

 絶対嘘だ。ウン某と己は思った。

 更に数日後、売り手が決まる前にその卵が孵った。生まれたのは、ダークヒドラの幼体だった。ダークヒドラは王国法で禁種にあたり、持っているだけで厳罰となる生き物だった。あぁ、長く世話になったが、この店ともお別れだな……。

 

「何でこんなのが生まれるんですか!」

「知るか!! 山に返してきなさい!」

 

 ハゲ店主とウン某が、店先で言い合っていた。幼体と二人、醜い争いを観ていたが、何かに気づいた幼体が飛んでいってしまった。

 

「あぁ、バルガス帝が!?」

「そんな名前つけてたの!? あんた聖杯で水を飲んでから、おかしくなってないか!?」

 

 ウン某よ。そいつは、元からおかしいぞ。

 店先の上空へと飛んでいった幼体は、王都の空でよくネズミを狙っている猛禽の鳥が急降下して獲っていった。

 

「ミギィォ――」

「あぁ、バルガス帝が!?」

「いや、良かったんじゃないですかね……。問題はそれよりも……」

 

 ウン某が振り返った。そう、金の風見鶏に産ませまくった卵が、まだ沢山あった。まったく、子沢山な()()である。

 

 

 後6個残った卵は、下水に流したり、川に流したり、井戸に投げ込んだりしながら、徐々に数を減らしていった。

 最後の2個は、行商に頼んで海に投げ込んでもらった。

 このときの己らは知る由もなかったが、50年後、王都が王都でなくなった頃に世界のあちこちに7体の竜が現れ、ハゲ店主が手放した聖杯を廻って争うのであった。

 

 ちなみに、名前のついたバルガス帝が勝利を納め、()を求めて旅立つのだが、そこから先は己の預かり知らぬところとなった。




それを置いておいても、書くとき何も考えなくて良いから楽だコレ……。
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