霊狩中毒   作:WATAHUWA

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〇

あの家の異常に気付いている住職は慌ててナルと肖を説得する。

 

「家は異常です。あんなにも子供が亡くなるなんて!あなた方近づいてはいけません!!まだ若いのに危険すぎます!!」

「原因が分かったんです。解決するにはある少女の生没年を調べないといけないんです。」

「お願いします!あの家に小さい子供が居ます!その子のためにも調べさせてください!」

 

ナルと肖はお願いする。あの家に子供がいる。それを聞いた住職は「………わかりました」と言ってくれた。

 

「その代わりにその少女以外は口外しないでください」

「わかりました!」

 

こうしてナル達は富子の生没年を調べることになった。そして

 

「あ、あった!」

 

ナル、肖、弓弦が大分つかれて来た時。肖は声を上げる。

 

「どこだ!」

「ここ」

 

肖が指さした場所。そこには「大島 富子」の名前。生没年も亡くなった原因もあった。大島 ひろという女性の一人娘だがある日神隠しに遭い、その半年後池に死体が浮かんだそうだ。

 

(そっか……それだったら娘を探すよね)

 

愛する娘が行方不明。その半年後に池に死体として浮かんでいた。絶望するのは無理もない。古井戸から出てきたのは恐らくひろは絶望のあまり、井戸に身を投げたのだろう。

 

「肖。生没年がわかったなら行くぞ。決着をつける」

「……うん」

 

***

 

「戻ってきたの!?」

 

ソファーで横になっていた麻衣はナルと肖、礼美の傍にいるはずの滝川、真砂子、ジョンを見て驚いた。

 

「みんなまで戻ってきちゃって、礼美ちゃんと典子さんは!?」

「ホテルに残してきた。ナルがそうしろとよ」

 

慌てたように言う麻衣を滝川は事もなげに言った。

 

「大丈夫なの!?」

「大丈夫だろう。今夜中に決着をつける」

 

自信満々なナルの様子にみんなは目を見開く。

 

「できるの!?」

「なんのために人が駆けずり回ったと思ってるんだ?まったく、これだけの人間がいてこのザマとはな」

 

呆れるナルは「肖に至っては疲れるまでやってくれたぞ」と言う。その言葉に麻衣は肖を見る

 

「うわ!肖眠たげ!大丈夫!?」

「………流石に疲れた」

 

ナルの作戦はこうだ。

 

①子供の霊を散らすために綾子作成の符を内側に向けて家中に張り、結界を張る。つまり霊を家から出られないようにして、鬼門を解放する

 

②滝川と綾子が鬼門の外で待ち構えて、出てきた霊を散らす。ジョンは居間の霊担当。

 

そして肝心の女の除霊をするのは・・・・・・ナルらしい。肖は麻衣に薦められ、人形が出来るまで仮眠をとることになった。

 

 

 

「……ん。ひいお祖父ちゃん。」

「ああ。肖お疲れ様。ちゃんと寝た方が良いぞ」

 

遥に言われたが肖は首を振る。

 

「……仕方がないとはいえ、ひろさんを騙すみたいで」

 

富子そっくりな人形を渡す。それはひろを騙すということなので肖は罪悪感があるのだ。

 

「親の愛情は大きいからな」

「うん。だからひろさんは地縛霊になって……子供たちを縛りつけたんだよね」

「富子ちゃんは今どうしているかな?」

「富子ちゃん?」

 

いきなり話題が富子になったことに肖は疑問符を浮かべる。遥は言った。

 

「ひろさんは富子ちゃんを愛しているから成仏できずに地縛霊になってしまった。逆に富子ちゃんは?富子ちゃんは絶望しているひろさんを心配するよね?」

 

「あ!」

 

ガバ!

 

「うお肖どうしたの!?」

 

勢いよく起き上がった肖に麻衣は驚いた。

 

「麻衣!今何時!?」

「え?まだ夕方」

「ありがとう!弓弦行くよ!」

 

肖は弓弦を連れて外へ向かった。富子はまだ子供。死んだとはいえ絶望する母を心配して成仏出来ないかもしれない。だから母と同じくこの世にいたら?ナルが用意する人形に入って貰えればひろと再会できる。

 

(それで富子ちゃんがいる可能性があるのは…)

 

富子の死体が浮かんだという池だ。

 

「富子ちゃん富子ちゃん聞こえたなら来てください!富子ちゃん富子ちゃん聞こえたなら来てください!」

 

富子がいることを願って彼女を呼ぶ肖。すると

 

 

すり

 

弓弦がすり寄ってきた。肖の前に霊の気配がする。

 

「富子ちゃんが来た?」

 

弓弦は頷いた。

 

「富子ちゃん。お母さんが探しているよ。このままじゃ富子ちゃんとお別れになっちゃう。お母さんが怖いなら黒い服を着ているお兄さんが持っている木の板に入れば怖くないよ」

 

すると富子は肖の傍に寄った。こうして肖は富子を見つけることが出来た。

 

「ほらあのお兄さんが持っている物だよ」

 

丁度リンがナルに人形を渡していた。富子は急いで人形に入る。

 

ー夜ー

 

ジョンの祈祷が始まった。

 

「天にましますわれらが父よ。願わくば御名を崇めさせたまえ」

「……除霊には二つありますの。除霊と浄霊……」

 

真砂子は霊と浄霊について説明した。浄霊は霊を説得して、成仏させる。除霊は問答無用に滅する、いわば霊の処刑だ。

 

「除霊はあまりしてほしくありませんわ。少なくとも、あたくしの目の前では………」

 

霊が見えるものにとっては、除霊は見たくないのだ。そんな真砂子に肖は彼女の頭を優しく撫でていった。

 

「大丈夫。今回はしないよ」

「「え?」」

 

 

そうしている内にひろが現れた。

 

「…ナル!!やめてください!少し待って!!」

「真砂子、大丈夫だって」

「でも!」

 

ナルは木の人形を高く持ち上げた。

 

「……お前の子供はここにいる。集めた子ども共々、連れていくがいい──」

 

それを放り投げると富子が現れた。

 

『お母さん!』

 

ひろは目を見開き手を伸ばした。もう離さないとばかりに抱きしめるひろ。富子はありがとうと肖に手を振る。子供たちの霊は笑っていた。縛られた霊たちはようやく解放されたのだ。

 

「本当にありがとうございました。兄もできるだけ早く帰ってきてくれるそうです」

「よかった」

 

しかし典子はまだ不安そうだ。礼美が危険な目に遭ったから仕方がない

 

「あの…本当にもう大丈夫でしょうか?」

 

 

「心配ないでしょう。気になるのなら家をかわってもかまいませんよ。そのほうが安心できるかもしれませんね」

 

その一方、礼美は麻衣と肖と話していた

 

「麻衣ちゃん、肖ちゃん、弓弦ちゃん、また来てくれる?」

 

お別れが寂しいようだ。そんな礼美に麻衣と肖は言ってあげる。

 

「うん。礼美ちゃんが呼んでくれたらすぐくるよ」

「私も弓弦と一緒に来るよ」

 

弓弦も礼美にすり寄る。

 

「やくそくね!」

 

そう言って三人と一匹は指切りをした。

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