翌朝、肖は咲き誇る桜を見ながら登校するとあることに気づいた。
「谷山さん?」
昨日、百物語に誘ってくれた麻衣が旧校舎に近づいてた。間違いなく旧校舎の怪談に興味を示したということ。肖は旧校舎を見る。どう見ても床を踏み抜いたりして怪我などするだろう。なので麻衣を連れて帰ることにした。
「谷山さん」
「うぉ!?ど、百目鬼さん!?びっくりした」
肖に話しかけられたせいか心臓がバクバクいっているような表情だ。
「ごめんね。気になるのはわかるけど流石に心配になっちゃった」
「あーアリガト。百目鬼さんの言う通り気になっちゃって…覗き込んだらこれがあったの」
麻衣が示したのはビデオカメラ。一般人が使わない本格的なカメラだった。
「怪しいね」
「でしょ」
旧校舎に本格的なカメラ。肖の言う通り怪しい。
「だれだ!?」
「「!?」」
男性の大声。いきなりだったので驚く肖と麻衣。さらに麻衣が近くの靴箱のぶつかってしまい、倒れてきたのだ。
「危ない!」
肖はドン!と麻衣を突き飛ばす。しかし今度は肖を誰かがドン!と突き飛ばした。麻衣はとりあえず無傷。肖は膝を擦りむいただけの軽傷だったが
「…う」
多分、話しかけた男性が怪我をして倒れていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
男性は頭から血が出ていた。それを見た肖はすぐに仰向けにさせて自分のハンカチで止血する。
(他に怪我してる場所は…あれ?)
ふよふよと感じる気配。肖は霊は見えないが感じ取ったりできる。その気配は五つあり、男性の左足首に集まった。
「(左足!)ちょっとすみません!靴と靴下脱がします!」
「ええ!?」
驚く麻衣をスルーして肖は靴と靴下を脱がす。男性の足首は捻挫をしていた。それを見た肖は制服のスカーフを包帯代わりに巻く。
「どうした」
聞き覚えのある声がした。そこいたのは昨日会った渋谷だった。
「──リン?なにがあった」
そう言って肖と麻衣を見る。
「あの、すみません! あたし、びっくりして」
麻衣がすぐに謝る。
「少し切ったな。……他は?」
「大丈夫です」
「なに言ってるんですか!捻挫してるんですよ!」
肖の言葉に渋谷はスカーフで応急処置された足首を見る。
「このあたりに医者は?」
「校門を出て角を曲がったすぐのところ……」
「そっちから支えてくれ」
麻衣も慌てて反対側の腕に手をかけたのだが、そのとたん、パシッと手を振り払われた。
「結構です あなたの手は必要ではありません」
しかも冷たくだ。リンの冷たい言動に麻衣はカチンとしたためか拳を握って震えている
(珍しく怒ってるお父さんみたい)
静は基本的に無表情のため、肖はそう思ってしまった。
「リン、歩けるか?」
「大丈夫です」
リンの言葉に頷いてから、渋谷は肖と麻衣を見据えた。
「名前は?」
「百目鬼です」
「谷山……ですけど」
「では百目鬼さん、谷山さん。この場は大丈夫のようですから、どうぞ教室へ」
「でも」
「大丈夫なんですか?」
自分たちのせいで怪我をしたのだから心配になってしまう。そんな2人に渋谷は言う。
「親切で教えてさしあげますが、さっきチャイムが鳴りましたよ」
その言葉の爆弾に麻衣は「げ」と声をあげた。
「百目鬼さん行くよ!!全速疾走!!」
「わ!」
麻衣は肖の手を掴み、全速力で校舎に走った。
ー放課後ー
肖と機嫌が悪い麻衣が帰り支度をしていた。
「うん」
「そだよ。なんで?」
「だってほら、昨日の転校生、来るって言ってたじゃない」
その問いに麻衣は「帰る」。肖は苦笑いしながら「私は約束してないから」と
応える。そんな二人に恵子たちは「変だ変だ」と言う。しかし麻衣はやだ。あんな目が笑っていない男と一緒に居たくないからだ。そうしている内に恵子たちは今日は何処で怪談をしようかと話し合っている。すると
「ちょっと」
するとある一人の女子がそんな三人に話しかけた。話しかけたのは黒田。メガネにおさげの優等生な女子だがピリピリした雰囲気をしている。
「あ 黒田さん、さようなら」
祐梨が笑顔で言う。しかし黒田は笑顔を向けず、さらにピリピリした
「さよなら、じゃないわ。あなたたち、今、何の話をしていたの」
恵子たちは黙る。なにか様子がおかしい。代わりに麻衣が答えた。
「今日、怪談するの。その話だよ」
「黒田さんもしたいの?」
麻衣と肖の言葉に恵子が慌ててつつく。黒田はギロリと睨んだ。
「百目鬼さんと谷山さん、いるかな?」
その時だ。そう言って現れたのは渋谷だ。恵子たちは渋谷が来たことに喜び、麻衣は嫌な予感、肖は名指しにされたことは「もしかして」と思っている。黒田は現れた渋谷を睨む。
「何年生? 何の御用ですか」
見知らぬ渋谷にピリピリした雰囲気を崩さず聞いた。そんな彼女に渋谷は肖たちを見ながら答えた。
「彼女たちと約束があって」
「約束? 怪談の?」
「そうだけど?」
「そんなことは、やめなさいって言ってるでしょ!」
その言葉に黒田はヒステリックな声をあげた。「やめなさいって……なんで?」
「どういうことなの?」
黒田の様子に麻衣と肖は問う。まるで校則違反よ!!て言っているように聞こえた。
「怪談は危険なの。知らないの?」
「危険って、なんで? べつに昨日だって何もなかったよ?」
麻衣の言葉に恵子たちが妙な声を上げる。禁句のようだ。
黒田がさらにイライラした感じになる。
「昨日もやったの? 道理で今朝学校に来たら頭が痛くなったはずだわ」
「……は?」
(……中二病?)
麻衣は固まり、肖は失礼なことを思い浮かべてしまった。
「谷山さん、百目鬼さん。あたし、霊感が強いのよね。霊が集まってると頭痛がするのよ。今日も一日、頭が痛いの。やっぱり霊が集まってるんだわ」
「「……はあ」」
肖は自称・霊が見える人だと分かった。おそらく自分を見てほしいと思っているようだ。そうしている内に渋谷は騙されたふりをして旧校舎について聞く。「あそこには戦争で死んだ人の霊が集まってるみたいね」と言ったが病院何てなかったのでバレた。
「──それで? やめろという声もあるようだけど」
ミチルたちは複雑な顔でやめると言った。黒田の影響は結構スゴイ。
「……君もほどほどに」
「何の話?」
「分からないなら、いい。──百目鬼さん、谷山さん、ちょっと」
「はい?」「何でしょう」
麻衣が及び腰に問い返すと、
「少し時間をくれないかな」
(絶対弁償とお手伝いだ)
話すと確かにカメラの弁償と言われたがかなり高級。高校生には無理な金額なのでリンの代わりのお手伝いだ。話がまとまった後、肖は聞く。
「……渋谷さんって、何をしてる人なんですか?」
肖の問いに渋谷は答えた。
「ゴーストハント」
直訳すると幽霊退治。渋谷とリンは校長の依頼で旧校舎を調査に来た。渋谷サイキックリサーチの者だ